ハグハグ!
では、本編どうぞっ。
「……というわけなの」
「……なるほど……。って、わかんないよっ!! 何でアリアがヘンリー王子を抱きしめてるの!」
アリアが回想から戻って来ると、アベルは抗議した。
滑らかでふっくらした可愛らしい頬がぷくっと膨らんでいる。
「は、ハグくらい、いいじゃない……(子供同士なんだし……)」
「ダメ! 絶対!」
アベルは眉間に皺を寄せ悔しそうにアリアを睨み付けていた。
「……アベル……」
「っ、ん?」
ぎゅぅっ。
不意にアリアはアベルを抱きしめる。
そして、ヘンリーにしたのと同様、トントントンと背中を優しく叩いた。
「……ふふっ、アベルも可愛いね~……ハグハグ~(ヤキモチ妬いてるのかな?)」
「っぅ……、こ、こんなんで誤魔化されるとでも……………、……………(好い匂い……ドキドキする……かも……)」
始めはぷりぷりしていたアベルだったが、アリアに抱きしめられると次第に幸せそうに微笑んでしまう。
頬がほんのり桃色に染まり、憤ってた気持ちが霧散していった。
「んなっ!? おいっ、アリア。お前はオレの嫁になるんだぞっ!! 何でそいつを……!! っ、浮気は許さないぞ!」
ヘンリーが抗議しアベルを剥がそうとするが、アベルもアリアに抱きついて離れなかった。
「浮気って……、ヘンリー王子は難しい言葉を知っているのね……。…………、あー……はいはい。いらっしゃい、坊や」
アリアが瞳を伏せがちに片腕を広げ、ヘンリーもおいでと妖艶に誘った……ようにヘンリーからは見える。
「坊やっ!!!?(オレは王子だぞっ!?)」
ぞくっ、と。ヘンリーの背中に震えが走る。
な、なに、アリア何か、大人っぽいんだけど……!?
ドクドクドク。
ヘンリーの鼓動が早鐘を打っていた。
何かに目覚めそうな予感がする……!
ヘンリーは吸い寄せられるようにアリアに近づいて行き、再びアリアに抱きしめられるのだった。
「っ、アリア、さん……好い匂いがする……」
「っ、僕のなんだけど……」
ヘンリーとアベルは小さく呟く。
「……ふふっ、二人とも可愛いなぁ~! いい子いい子!」
ああ、何だか幼稚園の先生になった気分!
いや、小学校の先生?
いや、母親か?
アリアは頬っぺたを赤くする少年二人の頭を撫でた。
そして、二人から一歩離れ、それぞれの片手を手に取ると、
「ほら、二人とも握手してね。お友達になりましょう! はい、握手~!」
「「えぇ……?」」
アリアは先生気分でアベルとヘンリーの仲を取り持つように仕切り出す。
二人は困惑して瞳を瞬かせた。
「ほらほら、お友達になると楽しいよ~?」
ねっ? とアリアはにこにこと二人の手を自分の目の前まで引き寄せたのだった。
………………。
アベルとヘンリーは無言で見合ってしまう。
いや、別に友達になりたくないわけじゃないけど……勝手に抱きしめておいて何……。
(僕を何だと思ってるわけ?)(オレを何だと思ってるわけ?)
((馬鹿にしてる?))
(ドキドキを返してよ!)(ドキドキを返せよ!)
二人は互いにそう思ったのか困惑した顔でアリアを見るが、アリアは楽しそうに目を細めているだけ。二人の手元を見て、早く握手しないかな~と顔に書いてあった。
((これ、握手しないと、アリア悲しむのかな……))
男二人は互いに目配せし、どうするか悩む。
……先に答えを出したのはヘンリーだった。
「…………、…………お前を子分にしてやってもいいぞ?」
「…………アリア、君って…………、うん……。なってあげてもいいよ……?」
ヘンリーとアベルは空気を読み、アリアに云われるがままに握手したのだった。
アリアは喜色満面で「一件落着~!」と楽しそうである。
◇
無事アベルとヘンリーの仲を取り持ちアリアはほっと胸を撫で下ろすと、三人はヘンリーの部屋で遊ぶことになった。
「アリアは何がしたいんだ?」
「え? 私?」
ヘンリーは何して遊ぶか訊ねる。
「そう。未来の奥さんの希望を叶えるのは、未来の夫の務めだろう?」
「なっ、なんっ……!(奥さんって何っ……!!?)」
ヘンリーの言葉にアベルが反応した。
「あのね……。私はあなたのお嫁さんにはならないのよ?」
流浪の旅人になるんだから、お嫁には行けないよ……。
ていうか、ヘンリー王子は王様になるんでしょうが……。
その内相応しい女性が現れるでしょ。
アリアははっきりと拒絶する。
「そうなのか!? やっぱりお前もオレを蔑ろにするつもりだな……!」
「ストップ! ヘンリー王子、顔が怖くなってるよ。笑顔笑顔! あなた可愛い顔してるんだから! 愛されスマイル大事大事! 笑顔の可愛い子、私好きだな~?」
アリアは自分の両頬をつんつんと人差し指を刺して笑い、首を傾げた。
「ぐ……か、可愛いってまた言って……!! っ、へ、ヘンリーだっ!」
ヘンリーの頬が赤く色付いた。
「……ん?」
「ヘンリー
「へ? あ、う、うん……」
照れ臭そうにヘンリーが云うので、アベルは素直に頷く。
「……ヘンリー……」
呼び捨てだとやっぱりどこかで聞いたことがあるんだよね……、とアリアはヘンリーの名を呟いた。
「何だっ!? 何がしたいっ? お絵描きか? すごろくか? カードゲームか?」
「あ、いや……ごめん。ヘンリーとどこかで会った気がして……。あ、いや……会ったというより、見た……???」
「ん? そんなわけないだろ。オレ、アリアみたいな可愛い子、一度見たら忘れないもんな」
ヘンリーは真面目な顔でアリアに告げると、
きゅぅっ。
アリアの胸が小さく疼く。
「っ、ど、どうも……」
やだ、今、きゅんってしちゃったじゃない……。
面と向かって可愛いなんて言われたら、嬉しいに決まってる……。
ヘンリーの物言いに、アリアはちょっぴり照れてしまうのだった。
そんな照れるアリアの手をアベルが引いて、
「……アリア、何して遊ぶの? 僕もアリアがしたいことでいいよ?」
「え……、あ、じゃあ……。字を……」
「字?」
アベルに訊ねられ、アリアはテーブルの上を見る。
ヘンリーの描いた絵には所々に文字らしきものの羅列が描かれており、アリアは気になっていたのだった。
「アベルとヘンリーって文字を書ける?」
「僕は書けないよ。でも、読めるから書こうと思えば書けるかも」
アリアの質問にアベルは首を左右に振る。
「オレは書けるぞ。簡単なものならな。名前くらいなら余裕だ」
ヘンリーは腕を組みドヤ顔をした。
「っ、なら、二人とも私に文字を教えてくれないかな……?」
「「え?」」
アリアの希望により、遊びは勉強会へと変わってしまうのだった……。
あれれ~? 知らない間に不幸を回避できそうな予感……!?
少年二人を翻弄したアリアさんでしたが、本人にその気がないのがなぁ……。
中身はやっぱ、大人なんだよなぁ……。
ロリBBA……。
勉強会って、真面目か。
アリアがヘンリーを見たと言ったのは最初の頃(第九話参照)です。
少年期では特に思い出したりはしないのでちょっと補足。
まぁ、どうでもいいことなんだけど。
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