ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

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アベルとシドーがアリアとクリエを助けに出発。一方でアリアとクリエは謎の洞窟を彷徨っていた。

さあ、坑道の奥へ行ってみましょう。

では、本編どぞー。



第七百九十三話 坑道の奥へ

 

『っ、んのぉ! でかい仮面め! カケラを返せぇっ……!』

 

 

 旋風に巻き込まれている間クリエは、町によくいる黄色いフルフェイスマスク男が被る【あらくれマスク】を被り、ともに回転する仮面の魔物、【ガオン】にどうにか打撃を食らわせようと、【ビルダーハンマー】を何度も振り下ろす。

 ところが攻撃が当たることはなく、ようやく当たりかけたところで【ガオン】は姿を消してしまった。

 【ガオン】が消えた途端、旋風は不安定になり、遂には霧散する。

 

 

『なっ!? わぁああああ~~っ!』

 

 

 ……クリエの叫び声が闇の中で響いた。

 

 アリアはといえば、旋風に巻き込まれて早々に目を回し、意識は手放し済み。クリエが【ひも】で自身とアリアを結び、互いが逸れるのを防いでいたが、旋風が途絶えたあと、二人はともに深い闇の中へと落ちていった。

 

 闇の中に落ちる際クリエも意識を失っており、そうして目覚めた先が、採石場の休憩所のような場所である。

 魔物の気配があちこちにしていたが、不幸中の幸いで、二人が気を失っている間は休憩所に魔物が現れることはなかった。

 

 

『――さん……アリアお姉さん、起きて』

 

『う……。ここは……って、きゃーー!』

 

 

 クリエに呼び掛けられたアリアが悲鳴を上げる。

 アリアを覗き込んでいたのは【あらくれマスク】を被ったクリエだ。

 

 

『しーっ! ボクだよ! 砂が目に入るし、顔に当たって痛いから被ったの!』

 

 

 クリエは咄嗟にアリアの口を手で覆い、【あらくれマスク】を取り去った。

 身体こそ筋肉マスク男とは違うが、鼻先が触れそうなくらいの至近距離で、表情の読めない【あらくれマスク】に覗き込まれたら恐怖を感じるものである。

 

 マスクを被った人物がクリエだと判ったアリアは、ほっと胸を撫で下ろし深呼吸を何度か繰り返した。

 

 

『――すぅ、はあー……っ、急なドアップマスクはびっくりするよ~! 寿命が縮んだかと……』

 

『ごめんごめん。取るの忘れてた。アリアお姉さんも被ってみる?』

 

『えっ、いいの!? 被りた~い!』

 

 

 ……一度被ってみたかったんだ。

 

 アリアはクリエから【あらくれマスク】を受け取り被ってみる。

 息苦しそうだと思っていたが、むしろ呼吸が楽にできて快適で驚いた。

 

 鼻と口部分に呼吸を助ける装置でも付いているのだろうか……。

 目が覚めた時から感じていた、洞窟内の独特な臭いが軽減されたように思う。

 クリエに「臭いが酷いから被ってるといいよ」と言われ、被ったままにすることにした。

 

 

『ここ、たぶん知ってる場所だと思うんだ~』

 

『そうなの?』

 

『出入口が近いはずだから、出よっか』

 

『うん、そうだね!』

 

 

 なぜ砂漠ではなく、こんな場所にいるのかは不明であるが、砂嵐に巻き込まれ、飛ばされた先がクリエの知っている場所でよかった。

 ……クリエの案内で二人は出入口へと向かう。

 

 洞窟内に灯りはないが、なぜか視界は悪くない。

 ゲーム様様だなとアリアがほっとしたのも束の間――。

 

 

『あれ……?』

 

『どしたのクリエちゃん?』

 

『やば! ここやば……! なんか、出られないみたい』

 

『えぇっ?』

 

 

 休憩所のような場所から魔物の様子を窺いつつ、クリエが記憶している出入口へと辿り着くも、その先は真っ暗闇でこれ以上進めそうにない。

 否、闇の中に入れそうではあったが、出口というよりは光すらも食らってしまいそうな深い闇の中に続くようで、暗い空間に触れるのも躊躇われる。

 その闇に触れようとした、いつもは余裕のあるクリエの顔が青褪め 引き攣っているのが見えて、悟ったアリアは慌ててクリエの腕を引き、闇から少しばかり遠ざかった。

 磁場の乱れとでもいうのか、暗闇の中から不穏な空気を感じる。

 

 ……この先は出入口なんてものじゃない。

 中に入ってしまえばアベルに二度と会えない――、そんな予感が過ぎったが、漆黒の闇が呼んでいるような気もした。

 

 

『っ、アリアねえっ! ダメだよ!!』

 

『え……? あっ!』

 

 

 クリエに腕を引っ張られ、アリアはハッとする。

 いつの間にか闇の中へと入り込もうとしていたらしい。身体が前のめりに傾いていた。

 クリエの力が強くて助かった。非力なアリアの身体は、軽々斜めのまま引き留められていたのだから。

 

 

『アリアお姉さん、さっきはありがとね。けどもう、ここから離れた方がよさそう。気分が悪い……』

 

『うん、そうだね……』

 

 

 目の前の闇は、ぱっくりと大きな口を開けた魔物のようで、そこから不快な臭いと、音もないのに重苦しい気配が漂ってきているような気がする。

 鼻と口を押さえるクリエにアリアは同意し、そこから離れることにした。

 

 ……漆黒の闇の横穴へ、足を踏み込む勇気は二人にはなかったのだ。

 そんなわけで、アリアとクリエは採石場の奥へと進むことにし、現在に至る。

 

 

「ね、クリエちゃん。ここどこなの……。見た感じ坑道みたいだけど、迷路みたいに入り組んでて、早く外に出たいよ。アベルは大丈夫かな……」

 

 

 変なところに来てしまったな――、と。

 キョロキョロと辺りを見回せば、ツルハシやシャベル、鉱石を入れる蓋の開いた【木箱】、掘り起こされた【もり土】が目に入り、坑道のようだと察することはできたものの、アリアにはここがどこなのか全く見当がつかない。

 

 

「砂嵐に連れて来られたのはボクとアリアお姉さんだけだから、シドー君とアベルお兄さんは無事だと思う。あと、簡単に外には出られないと思うよー」

 

「え?」

 

 

 先を行くクリエが新たな柱の陰に到達し、周囲を警戒しながら手招きでアリアに側に来るよう促す。アリアはその指示に従いついていく。

 再び柱の陰に隠れたクリエの視線の先には、さっきの魔物たちとは違う魔物が……。

 青い襟のえんじ色の服に、手袋に靴……といった装いで、剣を持つ やや赤みがかった骸骨の魔物が四匹と、青い身体に赤い瞳の、大きなバッタの魔物がガチャガチャと音を立てながら行進していた。

 

 “――さまバンザイ”

 

 魔物の群れから僅かばかり捉えることができた言葉尻は、誰かを称えている様子。

 もっとはっきり聞くことができればよかったのだが、魔物たちは洞窟の奥へと進み、声が遠くなる。

 すぐに追っては見つかる可能性があるため、クリエは魔物の気配が完全に消えるまで待ってからついていくことにした。

 

 

「ボクたちのせいで、空間、歪んでるからね」

 

「え、空間が歪んでるの?」

 

 

 ふふん、とクリエが顎に手を添え得意気にニヤリとするが、いったい何を言っているのだろう……。

 意味がわからないアリアは、意図せず自らも顎に手を添えミラーリングしてしまう。

 

 

「そ! ボクたちが存在しているせいで、あっちとこっちが繋がってたり、繋がってなかったりね!」

 

「んん? ど、どういうこと……?」

 

 

 身振り手振りを交えクリエが説明してくれるが、アリアにはやっぱりさっぱりわからない。

 

 

「いやあ、シドー君のチカラってすごいよねえ。なんでも破壊しちゃうから~」

 

 

 そうこうしているうちに、魔物たちがアリアたちに気付かずに遠ざかり、危機が去る。クリエは朗らかに笑ってをみせた。

 よくよく聞いてみると、シドーの力で空間が歪み、今この状態になっている――ということらしいのだが、わかったのはそれだけ。

 

 

「はあ……、なんかよくわかんないけど……シドーくんのチカラが関係してるのね」

 

 

 ――シドー君は破壊の神さまだもんね……。

 

 

 クリエたちがこの世界に来たのは その力のせいということなのか。

 破壊神とはいえ、神は神。

 人智の及ばない力があるのかもしれない。

 

 ここは長話ができる場所でもないため、アリアはわからないなりにとりあえずクリエの言い分を肯定しておいた。

 

 

「そそっ! 実体のある魔物とそうでない魔物がいるから、いちいち相手なんてしないで、逃げるが勝ちってね。素材にならない魔物は狩らないのがモットー! 命は大事にしなきゃ☆」

 

 

 満面の笑みで白い歯を見せるクリエはサムズアップをする。

 クリエ曰く、魔物の一部は幻であり、実体のない魔物がいるかもしれないという。

 

 何度か魔物の群れに向けて、地面に転がっていた小石を拾い、柱の陰からこっそり投げ付けたらすり抜ける魔物と、そうでない魔物がいたゆえの発言であるが……。それに加えサンタローズで狩り過ぎ、数を減らした【おおきづち】に罪悪感があるのだろう、無駄な殺生はしませんよ――ということらしい。

 

 魔物が幻かどうかという話はともかく、確かにこの洞窟においては出入口が使えなかった以上、別の脱出口を探すためにも奥に進むしかない。

 なるべく戦いは控え、体力を温存しておくのが一番だ。

 

 

「……それで、ここはいったいどこなのー!?」

 

「思い出したら教えるねー!」

 

「あーん! クリエちゃん、置いてかないでよ~! ガイコツきらい~!」

 

 

 魔物が姿を消ししばらくして、クリエが柱の陰から飛び出し、奥へと進む。

 そんなクリエをアリアも追いかけた。

 

 そうしてしばらく洞窟の中を彷徨い歩きながら、時には避けられない戦闘に応戦しつつ、ある場所へとようやく行きつく。

 そこはかつては洞窟の行き止まりであったと思われる場所。

 掘削の途中なのか奥の壁の一部が崩れた状態で、今まで辿って来た通路に見られた 支えである柱もなく、成型されていないところを見るに、ここがこの洞窟の最奥らしい。

 辺りには掘り出した大量の【もり土】が無造作に置かれていた。

 

 

「はあ、はあ、はあ……ここは……?」

 

「坑道のおしまい……かな」

 

 

 アリアとクリエは視線の先、崩れた壁穴に目を向ける。中の様子は灯りがなく暗くてよく見えないが、かなり奥が深そうだ。

 それに、ガスのような臭いも中から漂ってきているような……。

 

 だが出入口付近で感じた、言葉では言い表せない不穏さは感じられない。

 ……この暗闇の先が、行き止まりでないことを祈るばかりである。

 




2024年最後の投稿です。
今年も一年、拙作にお付き合いいただきありがとうございました。

来年完結できるとイーナー(遠い目)
見える見える!来年の今頃同じこと書いてる私が見えるw

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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