ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

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坑道を抜けた先はエスターク神殿のある地下空間。辿り着いて早々魔物と遭遇したアリアとクリエは逃げ出した。

不利な時は逃げるのも一つの手。
まあ、ゲーム中だと逃げることはまずしないんですけどね。

では、本編どぞ。



第七百九十五話 避難

 

「はあっ、はあっ、はあっ」

 

「はあっ、はあっ……」

 

 

 なんとか通路の正面にあった小さな建物の中へと入り、すぐに扉を閉じる。

 魔物の群れもついて来ていたが、扉を開くことができないのか「グルルルル……」という息遣いだけが外から聞こえた。

 魔物はこの屋内には入れないらしい。

 扉を叩く音もしないから、建物自体に聖なる加護でもあるようだ。

 

 

「はあ、はあ……ふー……。間一髪ぅ~♪ あいつらここには入って来れないみたいだね~……はあ、はあ……」

 

「はあ、はあ……ん、うん……、間に合ってよかった……はあ、はあ……」

 

 

 扉を背にアリアの隣に座るクリエは、笑顔でウインクとサムズアップをする。

 ……こんなに必死に走ったのはいつ振りだろう。

 アリアはクリエの笑顔に応じて目を細めた。

 呼吸が整うまで二人はその場で休み、しばらく経ってから額に掻いた汗を拭うと、肩から脱力するように“ふう”。深く一息吐く。

 

 

「……アリアお姉さん」

 

「ん?」

 

「あそこが回復の泉だよ。回復しよー。憶えてたボクえらーい!!」

 

「ああっ、本当だ☆ うれしい……! クリエちゃんえらーい!!」

 

 

 あぐらを掻いたクリエが部屋の中央にある回復の泉を指差し、明るく笑う。

 安全地帯に到着してさっきまでの不安が和らいだのだろう、いつもの愛らしい笑顔にアリアもほっとしてクリエに抱きついた。

 

 

「えへへっ! もっと褒めてくれていいんだよー?」

 

「すごい、すごいよ、クリエちゃーん♡ よくぞ憶えててくれました……!」

 

 

 褒めてと言われたらめいっぱい褒めてやるのが、アリア流。

 クリエを抱きしめながら時に頬擦りもかましつつ、頭を何度も撫でてやる。

 アベルを褒める時もたまにこんな感じだったりするが、嫌がられたことは一度もない。

 

 そんな風にじゃれついていると、ふとアリアは胸部に違和感を感じた。

 

 

「フフフッ♪ でしょー! って、アリアお姉さんおっぱいでっかっ! 柔らかっ☆」

 

「んっ、ちょっ! クリエちゃん、どこ触って……!?」

 

 

 ……クリエの手がアリア、自らの胸を鷲掴みしている。

 彼女の手に収まりきらない柔らかく白い肉の塊(【スライム】)は、アベルの手でも収まりきらない大きさを誇り、慢性的な肩こりを引き起こす原因となる代物。

 アリアにとっては異性の目を無駄に引くわ、太って見えるわ、走る時は痛いわで、大きな胸はあまりポジティブな存在ではなかった。

 

 モミモミ。

 張りと弾力が気に入ったのか、クリエが両手で真面目な顔して何度も揉んでくる。

 

 

「わお~。すごぉぉ……♡ 感触がめっちゃ気持ちいい~♡ 癒される~♪」

 

「っ……(確かにスクイーズみたいかもしれないけどもっ……!)」

 

 

 アベルのように【スライム】の頭頂を刺激したりしてこないから耐えられるが、むず痒さは多少感じてしまうもので、アリアの眉が寄せられた。

 

 ここまで無事に辿り着くことができたのは、すべてクリエのおかげである。

 命の恩人であるクリエが触りたいのなら思う存分どうぞ――と、アリアは黙って胸を張るように背筋を伸ばした。

 

 ……が。

 

 

「ん……ふっ、んんむっ、コホンッ!」

 

 

 時折アリアの口から思わず声が漏れてしまい、咳払いで誤魔化す。

 夫ではない、しかも女の子に揉まれて反応してしまうとは情けない。

 

 クリエは目の前の白い【スライム】を凝視、興味津々な様子で揉み続けている……。

 早く終わって欲しいと願うアリアの頬は、恥ずかしさで紅潮していた。

 そんなアリアを尻目にクリエは夢中で白い【スライム】を揉み続け、一頻り気の済むまで揉んでからようやく手を離した。

 

 

「うん……うんうん、なるほど……こんな感じだったんだね~。参考になるな~」

 

「……ご、ご満足いただけましたか?(参考ってなんだろう……)」

 

「うんっ大満足だよ、ありがとう!! すっごい気持ちよかった~☆ できればずっと揉んでいたいくらい」

 

「ずっとって……あのね……」

 

 

 白い【スライム】から離れた両手指をワキワキ。交互に見下ろしたクリエの顔は満足気で、お礼に「ボクのも揉んでみる?」なんて胸部を突き出される。

 アリアにはそんな趣味がないので首を左右に振るった。

 

 

「いやあ~、一度揉んでみたかったんだよねー。アベルお兄さんがあれだけ執着するパイってどんなもんなんかなーって。あ、ボクはちっぱいだからさー」

 

 

 自らの胸をモミモミするクリエは触り心地に満足できないらしく、口をへの字に目を閉じて眉を寄せている。

 ……コレジャナイ感があるようだ。

 

 

「っ、も、もぉっ……! クリエちゃんはこれから成長するんでしょっ!」

 

 

 ――クリエちゃん、アベルがおっぱい好きってなんで知ってるの!?

 

 

 アベルが白い【スライム】に執心なのは確かだが、二人きりの時にしかそんな素振りは見せたことがないというのに。

 ビルダーはなんでもお見通しなのだろうか……。

 指摘されて恥ずかしくなったアリアはなんとなく両腕で胸を隠した。

 

 

「……へ? ……ぁ、フフフッ、そだねー☆」

 

 

 ふと、アリアの言葉にクリエが目をぱちくり。驚いたような顔をした後で、困ったように破顔する。

 ……どこかぎこちない笑顔の気がして少し気になった。

 

 

「クリエちゃん……? どうかし……」

 

「時ってさ、残酷だよね」

 

「ん?」

 

「……まあ、この世界じゃしょうがないんだけどね」

 

「え? なにが?」

 

「……あー、うん。回復が済んだら少し休憩しよっか」

 

「うん、そうだね……?」

 

 

 部屋の中央、回復の泉を示してクリエが行こうと誘う。

 彼女は一人で先に回復の泉へと歩いて行ってしまった。

 

 “この話は終わり”ということなのだろうか。

 意味深な言葉と、淋しげな表情がやっぱり気になる。

 けれど訊いても良いものか……。

 

 出逢ってから今までいつも朗らかだったクリエの初めて見る顔に、アリアは心配になったが無理に尋ねることはせず、回復の泉に向かった。

 




クリエにも色々事情があるのです。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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