だいにゃにゃわです。
このお話を書く時、当初この七話が一話だったのですが、ややあって、七話となりました。
ほんでもって主人公をアリアからアベルに変更したっていう。
W主人公ということで、時折今どっちがメインよと思ったりしますが、すみません。
メダパニ中だと思って笑って許して下さい。
本人も、あれ? あれ? と思ってます……。
ではっ、本編どうぞっ!
アベルが家を留守にしていたその頃……。
「っ……私、死んで……、……ない!?」
地下室で小さな少女の目蓋が開き、身体を起こし周りを見回す。
ひんやりとした床の冷たい感触がした。
「……まさかあんな事故に遭うとは思わないじゃん?」
ゆるふわプラチナブロンドの髪にアメシストを思わせる紫の瞳。少女の背には小さな翼が付いていた。
そして、彼女は思い出す。
――私、二十八歳の誕生日の日に……。
その日は休日にも関わらず、確か仕事で九階建てマンションの屋上を見に行って……、……そうそう。
変な人……? か何かに突き落とされて――、と。
「……死んだよね……。てか、ここどこ……。お尻冷たいし……地下室っぽいけど……(まさか異世界転生しちゃった……? ハハッ! そんなバカな)」
少女は注意深く辺りを窺った。
そこは見たことの無いレンガ作りの部屋――。
……窓の無い部屋だ。
部屋の隅の
床の冷たさと部屋の明るさに、今が夜でないならば地下室だと推測できる。
少女の足元には毛布が敷かれているが、温かさは殆ど感じられなかった。
というより、毛布の感触すら感じられない。
毛布の傍らには小さな丸い包みが置いてある。
アベルの置いてくれたパンだったが――、
「……あの包み、何だろ?」
少女は首を傾げるが、先ずは現状確認をしてから……と、再び部屋の中を見回した。
煉瓦造りの床……、部屋の入口の上部から風が吹いてくる気がする。
やはり地下室なのだろうか。
――ワインセラーには持ってこいなひんやり感ね……、いい状態で保存出来そう……。
けどワインはなさそうね……、樽だけか……。
地下室のある物件……悪くないわね。
少女は冷静に部屋の中を眺める。
「……あの……」
「ん……?(背後から視線が……)」
ふと後ろから子供の声が聞こえ、少女は慌てて立ち上がり振り返った。
すると、そこにはサンタローズの洞窟から戻ったアベルが目を見開き、立っていたのだ。
「…………坊や、誰?」
「っ……!」
咄嗟に身構えた少女と目が合うと、アベルは はっと息を呑んで頬を赤く染める。
「……、……君は……誰……?」
訊ねたアベルの瞳は輝いていた。
「私? 私は……、……? ……あ、あれ? ……誰だっけ……。名前が思い出せないや……何でだろ……??」
少女は自分の名前がわからず、こめかみに両手を当てて、思い出そうとするが……。
「その羽キレイだね。きらきらしてて……君は……天使……?」
「え……、しがないOLですけど……?(羽……? 天使ってなに……)」
少女の返答も待たず、興味津々なのだろう、アベルが新たに質問を重ねてくる。
アベルの質問に少女は首を傾げた。
「しがないおーえる? しがないおーえるだと翼があるの?」
「?? 坊やはなにを言っているの?(翼ってなに……?)」
「あ、僕はアベル。君は……、えっと……どうしよう、名前……」
アベルが少女の名前を呼びたそうにするが、名前がわからないので眉尻を下げる。
答えを待たずに別の質問をしたため、聞きそびれた。
「……んー……、名前か……。…………、……っ!?」
少女は頭を抱える。
……その時だった。
『アリア、いい? 七歳になったからといって、あなたはまだ子ども。……ではくれぐれも……――のよ……――』
突然脳裏に優しい目をした黒髪の中年女性が現れ、少女に言い聞かせるように告げる姿が浮かぶ。
女性はアリアの頭を撫でて“いい子いい子”と笑顔を見せたものの、顔はぼやけていてはっきりせず、よくわからなかった。
「……アリア」
「え?」
「私の名前はアリアっていうみたい」
「……みたい……?」
なぜか“アリア”という名がストンと腑に落ちて、少女は【アリア】と名乗る。
アベルは首を傾げた。
「うん、アリアって呼んで」
「わかった。アリア、素敵な名前だね!」
「ありがとう。あなたも素敵な名前よ、アベル」
「っ……あ、ありがとう……」
アリアに褒められたアベルは、恥ずかしそうにもじもじと両手指の腹を合わせる。
頬はもっちり、目がクリクリとした いたいけなアベルの姿に、思わずアリアはポツリ。
「……可愛い……(照れちゃって……)」
――アベルか……どこかで聞いたことがある名前だな……。
それにこの子、見たことがあるような既視感が……。
はて、どこでだっけ……?
アリアはアベルを窺うようにじぃっと見つめた。
「……ねぇ、アリアはどうして僕の家の前にいたの……?」
「え? 僕の家の前って……?」
「うん。だって、ここ、僕の家の地下室」
アベルに云われたアリアは固まる。
「……っ!? やだっ! 私ったらっ! ごめんなさい、知らない間にここにっ!?(っていうか……私、小さくない……? ひょえぇ~……)」
たった今今気付いたが、目線の高さがいつもと違う。小さな少年、アベルと大した差がないではないか。
むしろアベルの方が大きいような――、そう思い自分の手足を見下ろし驚愕した。
……手足が異様に小さかったのだ。
「……そうだったんだ! 君は僕の家の前に倒れていたんだよ。ここに運んだのは僕だけど。怪我をしていたから、治療してここで寝かせていたんだよ」
「そうだったのね、ごめんなさい」
頭を下げながら、アリアの心は混乱しそうになる。
アベルの服装はどう見ても現代日本の服じゃない。
なのに、日本語が通じる。
紫のターバンに、中東辺りの貴族かともアリアは一瞬思ってはみたが、地下室の雰囲気は素朴で然程広くない上、アベルの顔が日本人に似ている気がするのだ。
となれば、考えられるのは異世界くらいか……?
……いや、どう考えても異世界でしょ。
理解するのに時間は然程掛からなかった。
「っ」
(うわぁぁぁ。異世界転生しちゃったよぉぉぉ!)
アリアはワナワナと手を震わせる。
その震えは次第に全身にまで回った。
「ううん、謝らなくていいよ! 逢えてうれしい!」
震えるアリアをよそに、アベルは彼女の手をぎゅっと握りしめる。
「え……?」
「……っ、良かったら、一緒に冒険しない……?」
「は……?」
「……君、僕より年上、だよね……? あ、僕は6さいなんだけど」
「あ、うん……、七歳だけど……(うわぁぁぁ! そうだったぁ! 何か女の人がそんなこと云ってたわぁぁあああ!! 中身は二十八なのに~)」
アリアは自分の年齢を内心パニックに陥りつつ告げて、アベルを驚かせて怖がらせてもと思い、平静を装う。
「……一緒に……おじさんを捜してくれないかな……?」
「お、おじさん……?」
「うん……、父さんのお友達が風邪を引いてるらしくて、隣の村から薬を貰いにその友達の奥さんと女の子が来たんだ。でも、道具屋のおじさんが洞窟から帰って来ないらしくて……。だから僕、洞窟に捜しに行こうかと思ったんだけど……、一人だとちょっと心細くて……」
アベルは弱々しくアリアを見つめた。
「っ……(可愛いっ! なになにこの子、めちゃくちゃ可愛いっ!!)……わかったわ。でも私、何も出来ないかもしれないよ……?」
「いいよ。僕強いから、アリアを守ってあげる」
満面の笑みをアリアに向けて、アベルは力強く繋いだ手を引いた。
「えっ? ぁっ、本当、チカラ強い!」
――あれ? ……強いなら一人で行けるんじゃ……?
そうは思ったが、アベルが強引に引っ張っていくのでアリアは黙ってついて行くことにした。
◇
「あれ? 坊ちゃん、また地下室に行ってらしたんですか?」
一階に上がってくると、小太りの男性に声を掛けられる。
その男性にはアリアが見えていないのか、驚く様子が無かった。
「うん、サンチョ。僕ちょっと出掛けて来るね」
「昨日長旅から帰って来たばかりなんですから、疲れも残っているでしょう? あまり遠くに行かないで下さいよ?」
「うん、わかってるよっ」
アベルはアリアの手を引いて、サンチョの前を通り過ぎる。
「ちょっ、ちょっとアベル!?(サンチョ? ……何か聞いたことあるんだけど……! それに見たことがある気がする!)」
アリアはサンチョの姿にまたも既視感を憶えるが、手を引かれるままにアベルと共に家を出ていった。
「……はて? 今女の子の声が聞こえたような……。ビアンカちゃんが来たのかな……?」
アベルとアリアが出て行った玄関にサンチョが向かうと、アベルの後姿だけが見えたのだった。
「……あれ? 空耳か……」
やっとアベルとアリアが対面しました。
……フフフ。
はっ! す、すみません。
キモイですかね?
……それ、褒め言葉として受け取っておきますネ! ミャハ☆
と、妙なテンションで申し訳ありません。
明日よりのんびり投稿に切り替えます。
一~二日置き、もしくは週二か週三か。はたまた週一か。
見直し&誤字チェックが終わり次第(それでも抜けてたらご愛嬌)、バカスカ投稿していきたいと思います。
投稿前に加筆修正をしたため、文字数が増えております。
一話辺り2500文字前後目安で書いていますが(いや今のところ3000文字前後だったわ……)、私はそういう制約が苦手でして、だらだら書くのが好きなので、オーバーしたり少なかったりすることもあります。
悪しからず。
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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!