ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

文字の読み書き出来るといいですよね、の回、からぁの~……何だ?

では、本編どうぞっ。



第八十話 ブレイクタイム

 

「ね、アベル。“アベル”ってどう書くの?」

 

「え……? あ、僕は……」

 

 

 アリアに訊ねられ、アベルは紙に“アベル”と書いて「こうだよ」と告げた。

 

 

「アベルって、ハンカチとか持ってる?」

 

「え? あ、うん。あるけど……?」

 

 

 アベルは【ふくろ】に手を掛けると、中をごそごそしてからハンカチを取り出すとアリアに渡す。

 

 

「ありがと。これお手本にして、アベルの名前書いてあげる。私の名前書いてくれたお礼ね?」

 

「え……あ、うん」

 

「見ながら書けば上手に書けるかなっ?」

 

 

 アリアはアベルの書いた文字をお手本にアベルのハンカチに“アベル”と書き記したのだった。

 

 

「……アベ……、ル……が難しいな」

 

 

 アリアは一文字一文字、ゆっくり丁寧に書いていく。

 書き上がった出来はというと、

 

 

「アヘル……」

 

 

 濁点にあたる部分が足らないらしく、アベルはそのまま読み上げた。

 

 

「あっ、ごめん、一本足らなかった!? やだ、私ってば……!」

 

 

 アリアはアベルのお手本と自分の書いた文字を見比べ、線が一本足らない事に気付く。

 すぐ修正をとインクを足そうとすると、

 

 

「ははっ、いいよこれで。ありがとう」

 

 

 アベルはそのままでいいよと、優しく微笑んでアリアの手を止めたのだった。

 アリアが“濁点がある文字は細かくて難しい……”と嘆いてからハンカチを畳んで差し出す。

 

 

「っ、どういたしまして! これで失くさないで済むね(アベルは本当に優しい子ね!)」

 

 

 アベルはそれを受け取りながら口を開いた。

 

 

「旅先で落としたら戻ってこないと思うけどね」

 

「あっ、そっか。確かに!」

 

「でも……」

 

「ん……?」

 

「……大事にするよ」

 

「ん? うん……?」

 

 

 アリアの書いた文字を嬉しそうに眺めながら、アベルはハンカチを【ふくろ】に仕舞うのだった。

 

 

 

 

 それから三人は字の練習や本を読んだりしていたのだが、途中でヘンリーは飽きたのか、いつもの席に戻りカードゲームに興じている。

 アベルは本を開き、アリアにレクチャーしながら今度は文字を読む練習に付き合っていた。

 

 

 

 

 

 しばらくして――。

 

 

「んー……! 勉強したぁ~! もう無理。これ以上頭に入らないや~」

 

 

 アリアは腕を上げ、背伸びをする。

 

 

「……おい、アリア」

 

 

 ヘンリーがカードゲームをしていた手を止め、振り返って背後で本を読んでいるアベルとアリアを見た。

 

 

「ん……?」

 

「腹減らないか?」

 

「え……? あ、そういえば少し……」

 

 

 アリアはお腹を擦る。

 頭を使ったからか甘いものが食べたいな、などと思ってしまった。

 

 

「アベル、お前も」

 

 

 ヘンリーに云われ、「僕も」とアベルは読んでいた本を閉じたのだった。

 

 

「よし、オレがお前等にうまい菓子を食わせてやる。ちょっと待ってろ」

 

 

 ヘンリーは立ち上がると椅子をずらし、床板を外す。

 アベルは目を見開いた。

 

 

「あっ! そんなところに!?」

 

「あっ、へへっ、見つかっちまったな!」

 

 

 ヘンリーは鼻の下を指で擦って笑う。

 

 

「こっから下りた方が厨房に近いんだ。今持って来てやるから、アベルはここで待ってろ」

 

「え……?」

 

 

 ヘンリーはアベルの両肩をぽんぽんと叩く。

 そして、すぐ傍にいるアリアの手を取った。

 

 

「……アリアはオレを手伝え、いいな?」

 

「あ、うん、いいよ。持ってくるの一人じゃ大変だもんね?」

 

「お、おう……」

 

 

 ちょっぴり照れ臭そうにヘンリーはアリアに命令する。

 察しがいいのか、アリアはヘンリーのお供を快く承諾しついて行くことに。

 

 アリアの快諾にヘンリーは嬉しいのか頬をほんのりと赤らめていた。

 

 

「ちょ……僕も行くよ!(何勝手に手ぇ繋いでんのっ!?)」

 

 

 アベルはムッとして自分もと買って出たのだが……。

 

 

「子分は待ってろって言ってんの! 親分が言うことは絶対だ。いいな?」

 

「っ、何でだよぉ! 横暴だよっ」

 

「お前を連れて行ったら、この部屋に誰も居なくなるだろ? もしパパスが来たらオレは城の中に居るって伝えろ。なあに、すぐ戻って来るって」

 

 

 ヘンリーは抗議するアベルにアリアと手を繋いで、ブンブンと楽しそうに振った。

 仲良しこよし! ってするアレである。

 

 

「アベル、すぐ戻って来るから待ってて? みんな居なくなったらパパスさん心配すると思うから。……モモガキ貰って来るね?」

 

「っ……アリア……」

 

 

 アリアが優しく微笑むので、アベルはそれ以上何も言えず、二人を見送る。

 

 

 

 

「アリアはモモガキが好きなのか?」

 

「さっき、頂いたの。とっても美味しかったよ」

 

「オレもモモガキ好きなんだよなぁ……」

 

「そうなんだ。あれって、パイにしても美味しそうだよね」

 

「ほお。アリアはわかっているな、オレもそう思ってた……」

 

 

 でな……。

 

 

 へぇ~……!

 

 

 ヘンリーとアリアが楽しそうにお喋りしながら階段を下っていくのを、アベルはただ見下ろす。

 僕も一緒に行きたかったな……と瞳が悲し気に伏せられていた。

 

 

「っ、僕だけ……留守番とか……、酷い……」

 

 

 

 その時だった。

 

 

 

 ドクンっ!

 

 

 

 鼓動が一際強く波打つ。

 

 

 アベルは胸元を押さえるが、今度は頭痛がアベルを襲う。

 

 

「っっ!!?」

 

 

 眉間に皺を寄せると、両膝を床に打ち付けた。

 脳裏に突然、アレ(・・)がやって来る。

 

 

 

 

『ヘンリー王子だな!?』

 

『なんだお前等は!?』

 

『悪いが一緒に来てもらうぜ』

 

 

 

 

 城の一階にガラの悪い荒くれ者達が急に城外から入って来たかと思うと、ヘンリーを取り囲み攫って行く。

 アベルは追い掛けるのだが、男達はイカダに乗って堀を逃げ、ヘンリーを連れ去ってしまった。

 

 

「っ、また(・・)……っっ!!!?」

 

 

 アベルは慌てて、二人の後を追う。

 

 

 

 

「ヘンリー! アリアっ! っ、逃げてっ!!」

 

 

 

 

 アベルは二人に向かって叫んでいた……。

 




同じ道を……辿ってしまいま……すん……? どっちだwww

ゲーム中だとアベルは確か子分になれなかったはすなのですが、ここではヘンリーとアベルは親分子分の関係になっております。
仲良しこよし♪

インクは耐水性ってことで、ここは一つ。えいっ!

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!

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