ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

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地下神殿でアリアを発見するも、彼女は吹雪に包まれて消える。絶望するアベルに、再びアリアの声が…。

ゆうしゃさま、がんばえ~。

では、本編どぞ!



第八百六話 幻影バトルを観戦せよ!

 

「ねえアベル、一緒に観戦しよ~よ!」

 

「……ん?(観戦?)」

 

 

 はて、“観戦”とは何のこっちゃ?

 アベルは首を傾げて吹雪の中へと目を凝らした。

 

 ……視界不良で見え辛いが吹雪の中でアリアが手を振っている。

 しかも無傷で、氷の影響も風の影響もまったく受けている様子がない。

 いったいどういうことなのかと立ち尽くしていたら、アリアは。

 

 

「世紀の一戦だよ~。ポップコーンもあるから! ここ、ここ~! 良い席なの♪ ピエール君もプックルもおいでよ!」

 

「ちょ……えっ」

 

 

 おいでおいでと手を振るアリアの元へ、アベルはふらふらと立ち上がって歩き出す。

 吹雪の中に自ら入って行くなんて、死にに行くようなもの……と思ったが、まったく冷たくなかった。

 

 

「んん??(風は少しだけ感じるけど全然冷たくない……)」

 

「これはいったい……」

 

「があう!(ぽっぷこーん!)」

 

 

 真っ白な視界の中、アベルとピエールは不思議顔で辺りを見回す。

 ……プックルはポップコーンが入った【バケツ】に一直線だ。

 

 そうして頭の中が混乱する中、彼女の元に辿り着く。

 アリアはアベルに抱きついた。

 

 

「アベル逢いたかったよー。来てくれてありがと♡ うれしい♡」

 

「ど、どういたしまし、て……? ぁあ……アリアが生きてるぅ……っ、ぐすっ。アリアのバカ……! ぶぁーっかぁああああっ!!」

 

 

 アベルは胸に飛び込んできたアリアをぎゅうっときつく抱きしめ、ちゅっ、ちゅっとこめかみや頬にキスを落とす。

 いったい何が起きているのかわからないが、アリアが無事なことに変わりはない。

 彼女の存在を確認するように何度も口付けてやった。

 

 

「ぅっ、ぐ、ぐる゛じい゛! アベル、ぎぶっ、ぎぶぅっ! ンもうっ、みんなの前なんだから恥ずかしいよ? そういうのは二人きりのときだけだってばっ」

 

「アリア……♡」

 

 

 一頻りキスを落してアリアが嫌がり、“めっ”と、口元に人差し指を押し当てられる。叱られたアベルの眉は下がり、口元はだらしなく緩んだ。

 

 

「……アベル、ここに来るまでずいぶん苦労したんだね……。でも苦労した甲斐があったよ!」

 

「ん?」

 

「ふふっ、なんと! 今戦っていらっしゃるのが、天空の勇者さまご一行なの!」

 

 

 じゃーんと、いつの間にか消えた吹雪の先で戦う冒険者たちを紹介するようにアリアの両手が開かれた。

 しかも手先だけ強調するようにヒラヒラと動かしている……。

 

 

「……へ? ゆ、勇者?」

 

「うん、そうだよ。あの鮮やかなエメラルドグリーンの髪のイケメンが勇者ソロさま!」

 

「い、イケメン……ぼ、僕の方がイケメンだと思うけど……?」

 

 

 現状を上手く理解できていないが、妻に自分以外の男を褒められるのは面白くない。

 アベルはキリっとした顔を見せてみる。

 

 

「で、とんがり帽子の強いお姫様はアリーナ姫! 青い髪の神官はクリフトさん! そして舞うように戦うのはマーニャさんね!」

 

 

 ……アリアの耳に届かなかったのだろうか。

 彼女は続けて勇者以外の者たちを紹介してくれた。

 もう一度主張しておこう……。

 

 

「僕の方がイケメンだとおも」

 

「クリエちゃんが戻って来るまでここで座って観てよ? 特等席だよ♪」

 

 

 何度かアベル自らイケメンを主張してみたが、アリアに無視された。

 

 

「ねえアリア! 僕の方がイケメンだよね!?」

 

「そこは個人の好みによる。クリフトさんもなかなかどうして……」

 

 

 アリアの視線が戦う神官に注がれている……。

 激しい戦いにも関わらず回復を優先させずに【ザラキ】【ザラキ】と連呼する神官のどこがいいのだろう。

 

 ……なぜ僕の妻は僕を愛しているのに、他人を褒めるんだ。

 アベルはわけがわからない。

 

 こうなったら――。

 

 

「アリアぁっ!」

 

「ん? 私にはアベルがいっちばんステキに見えるよ! だいすきっ♡」

 

「……よし!」

 

 

 アリアの頬を両手で包み、視線を無理やり合わさせると可愛い笑顔とともに望んだ答えが返ってきたので、ようやくアベルは満足して首を縦に振った。

 

 

「あっ、プックルもう全部食べちゃったの? 塩バター気に入った?」

 

「がうがう♡(軽くて不思議な食感でウマー♡)」

 

「ふふっ、キャラメルもあるよ~」

 

「がう!(食う!)」

 

「うふふっ、どうぞ~。あとで歯を磨こうね~」

 

 

 一方でプックルがポップコーンを完食。

 まだ他にもあるよとアリアは鞄の中から別のポップコーンを取り出した。

 

 ……アリアの説明によると、今目の前で繰り広げられている戦いは幻らしい。

 過去にこの場所で起きたことが映し出されているとのこと。道理で無傷だと思った。

 

 それを聞いてアベルはほっとしたが、幻だとわかっていても青い巨体を前に冷や汗が滲む。

 

 

「アリア、クリエちゃんはいったいどこに?」

 

「ね、アベル。シドー君さっきそこにいたよね?」

 

「え? あ、そういえば……」

 

 

 クリエはどこだと尋ねたら逆にシドーのことを尋ねられてしまった。

 近くにいると思うが、どこに行ったのだろう。

 

 

「クリエちゃーん! 見つかった~?」

 

 

 急にアリアは青い巨体の座る台座に向けて声を張った。

 

 

 “まだ~!”

 

 

 ……微かにクリエの声が聞こえた。

 

 

「そうか、クリエちゃんは台座の後ろに……」

 

「うん、カケラの気配がするってさっきから調べてるの。私は歴史的一戦の目撃者になろうとここで応援してたっていうわけ」

 

「なるほど……」

 

「シドー君も気配を感じてクリエちゃんに合流してるのかも」

 

 

 アリアの説明にアベルは台座の背後に目を凝らす。

 僅かにクリエのツインテールが揺れたのが見えた気がした。

 

 

「じゃ、じゃあ僕も……隣、いい?」

 

「うん! もちろん! でも、そこの巨体が倒されたら本番らしいから気は抜かないでね」

 

 

 大昔の勇者たちの戦いを観られるなど、そうあることではない。

 了承を得たアベルはいそいそとアリアの隣に腰を下ろし、ぴたりと身体をくっつける。

 ふわっと隣から大好きな妻の匂いを感じてほっとした。

 

 

「え? 本番って?」

 

「ん~と、この幻を作り出してる魔物が姿を現すかもってクリエちゃんが言ってて。おっきな仮面の魔物なんだけど、そいつを倒さないとここから出られないみたい」

 

「そっか……、エスタークじゃないならまあ何とかなるか……」

 

 

 とりあえず武器がいつでも構えられるように警戒だけは解かないでおこう。

 殆どが幻とはいえすべてがそうではないし、この異空間では何が起こるかわからない。

 

 

「私もがんばるね!」

 

「戦闘になったらアリアは僕たちの後ろにいてくれるかい?」

 

「ンもぉ、アベルはそんなことばっかり言って過保護なんだからっ! こんな場所まで飛ばされて馬車もないんだよ? みんなでチカラを合わせようよ! ほら、勇者さまご一行を見て。連携取れてるじゃない?」

 

「けど僕は君が心配で……」

 

 

 アリアが戦う勇者一行を指差しそちらに視線を移すと、勇者を中心に他の仲間たちがそれぞれの動きを把握しながら動いていた。

 中でも勇者ととんがり帽子の女の子の攻撃は見事で、踊り子女性が唱える超高熱閃炎呪文(【ベギラゴン】)の効き具合も良さそうに見える。

 一人【ザラキ】を連呼する神官を除いてだが……。

 

 彼も最初こそ【ザラキ】連呼だったが、観ている内に仲間の傷が深くなると回復呪文を唱えて対応し、守備力補助呪文の【スクルト】も適宜使用。確かに連携が取れているようだ。

 

 ……勇者パーティーなのだから、当たり前と言えば当たり前か。

 力を合わせて……なんて、ふんすっ、と気合を入れるアリアに、アベルは眉を下げる。

 

 

「なんかね、クリエちゃんの情報によると、その仮面の魔物はガオンっていう名前らしいんだけど、めちゃくちゃ仲間を呼ぶんだって。しかもバギマを一斉に唱えてくるって。そんなことされたら私たちあっという間に全滅しちゃうよね?」

 

「っ……、厄介な相手だね……」

 

「うん。しかもマホトーンも、ラリホーもメダパニも効かないんだって。でもバギ系は効くみたい。だから私とアベルで呼ばれた仲間は、バギ系呪文でサクサクっと片付けるのはどうかなって思って」

 

「僕とアリアで?」

 

「うん、夫婦共同作業だね♡ その間に本体の巨大ガオンをクリエちゃんたちに倒してもらうの。で、仲間がまた呼ばれたらまとめて倒すっていう」

 

「夫婦共同作業!!」

 

 

 “夫婦共同作業”……ナニソレいい響き!

 作戦を聞いたアベルの気分は高揚した。

 




お久しぶりです。
また書いてしまいましたw

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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