あれ? しまった。
またしてもアリアパートに……。
では、本編どうぞっ。
「はぁ、はぁ……。っ、私の魔力がぁ……」
【スライムナイト】達に魔力を奪われ、アリアは床に膝を着いて座り込み俯いてしまう。
「おおっ! 大分吸い取れたぞ!」
「オレもだ!」
「私もだ!」
【スライムナイト】達は上機嫌に【スライム】を操り、ぴょんぴょんとアリアを囲んで円を描くように回っている(かーごめかごめ~♪)。
「っ、私呪文しか取り柄無いのに……っ魔力返せぇええっ!! マホトラ! マホトラっ!」
アリアは踊る【スライムナイト】達に向け【マホトラ】を放った。
すると、奪われた魔力が戻って来る。
奪われた量よりも多く吸収した気がした。
「おっ! 使えたっ!! やっぱ一度見たら使える!?」
私、すごいじゃないっ!!
チートキタコレ!?
自分の両手を見下ろし自画自賛。
アリアは今度は攻撃呪文を唱えようとするのだが、
「「「っ、貴っ様ぁあああ……!」」」
【スライムナイト】達はいきり立って襲い掛かって来たのだった。
「ひえっ! ごめんなさいっ!!」
アリアは目を閉じ咄嗟に頭を庇う様に蹲る。
ところが…………。
……………………。
………………。
…………。
待てど暮らせど、アリアに攻撃が加えられることはなかった。
「……え……?」
アリアはそっと顔を上げる。
すると、先程の【スライムナイト】達の姿が消え始めていた。
いつの間に、一体誰が……?
アリアは消えゆく【スライムナイト】の身体に深い切創を見つける。
この傷痕をアリアは見たことがあると、気が付いた。
【スライムナイト】達の消えゆくその先に、見知った背中が見える。
「っ、あ…………、パパスさんっ!!」
アリアが声を上げるもパパスには聞こえないため、パパスはそのままさっさと遺跡の奥へと行ってしまった。
パパスにとったら、たまたま通りがかりに【スライムナイト】がいたので一掃しただけということなのだろう。
「パパスさん……! あなたは私の命の恩人ですっ!」
アリアはぼろぼろの身体ですぐには動けず、遠ざかるパパスに手を合わせる。
「回復したら合流しますから、どうか無事で居て下さい!」
パパスの無事を祈ったのだった。
その後、アリアはまた【スライムナイト】に襲われたら敵わないと、見つからないよう近くの柱の陰に隠れる。
「っ、うぅ……容赦ないんだから……。いてて……ホイミっ!」
アリアが回復呪文を唱えると、斬り付けられた傷が癒えていった。
「ふぅ……呪文て便利ね。とはいえ服は元に戻らないんだね……、ボロボロ……。はは……」
洗えば何とかなるか……。
こんなにずたぼろな格好したの久しぶりだわ……。
自分の服を見下ろすと、土汚れや血液の汚れがそのままである。
中々のボロボロな自分の姿に乾いた笑いが零れた。
「ははっ、もう……、やだなぁ……今更思い出しても意味ないのにさ」
アリアは額に手を当て俯く。
◇
現実世界の幼き頃、就学前、まだ母が生きていた頃の話だ。
――季節は冬。
夜は雪が降るかもしれないという天気予報を朝に聞いていた。
母親は仕事で家に居らず、アリアは父親にお仕置きとして兄妹で庭の物置に、裸足と部屋着のみで閉じ込められたことがある。
「寒いよ、開けて! お父さん、開けてっ!」
陽が暮れ、扉を打ち続ける手が出血するまで兄と共にアリアは叫んだが、扉が開くことは無かった。
暗闇に包まれる中、兄と互いに身を寄せ合い、励まし合いながら母親の帰りを待つ。
夜遅くなり母親が仕事から帰って来ると、子供達が居ないことに気付いて漸く開けてくれたのだが父親は、
「忘れてた」
と悪びれなく告げたのだ。
そして、物置から出てきたアリアと兄に対し、
「お前等、服も顔も全身真っ黒じゃねーか、汚ねえなぁっ! そんな恰好でオレの家に入るんじゃない! 服を脱いで入れ、家が汚れる!! もちろん身体を洗ってから入るんだぞ! ほら脱げ!!」
と、雪がちらつき始めた寒空の中、兄と共に汚れた服を無理やり脱がされることに。
父親は二人の服を脱がすと「おい、お前が洗うんだぞ! 服は汚いから捨てておけ」と母親に脱がした服を投げつけ、命令だけして家の中へと入ってしまった。
「ごめんね、このお洋服は捨てるわね」
服は砂埃や血が付いて汚れており、早く洗えば綺麗に落ちそうではあるが、父親が捨てろと云うので、捨てるしかない。
その日着ていた服はアリアのお気に入りの服だったのに。
母親は「ごめんねっ、お父さん機嫌悪いみたい。今お湯持って来るから」と涙を溢しながら家に入る。
待ってる間、兄妹は家から漏れる明かりの下、震えながら抱きしめ合った。
母親が湯を持って戻って来ると、温かい濡れタオルで顔や手や足を拭いてはくれたが、寒さは全く拭えず。
ガチガチガチと、兄とアリアは寒さに歯をかち合わせていた。
そして、身体が綺麗になると家の中に入ることを許されたのだった。
母親は優しかったが、その頃は父親の言いなりで子供を庇うことはなく……。
そもそも服や顔や足の汚れは、物置内が汚れていたために付いてしまったわけで、父親の怒りの原因もあえて言う程大したことじゃない。
ただ単に虫の居所が悪かったとか、しょうもない理由なのだ。
何度も物置に入れられてはいたが、この夜は相当堪えたのか、忘れられない出来事だった。
……今となっては、もう、どうでも良いことなのに。
◇
「……思い出さなくていいや……。もう、関係ないし……」
やだやだ、しょうもないこと思い出しちゃったっ。
早く妖精の村に行って、新しい服でも新調しよっと。
アリアは「そんなことよりも!」と気持ちを切り替え頭を捻る。
「スライムナイトは何故か私を認識出来るんだよね……」
どういう基準で見える敵と見えない敵がいるのかなぁ……?
それが判ればもう少し対処する方法もあるんだけど、法則が全くわかんないし……。
とりあえず、【スライム】系は私が見えるみたいだってことはわかって来たから警戒しておけばいいってことかな?
――実はラインハットへ向かう道すがら、パパスとアベルと共に【スライムナイト】と戦っていたのだが、その際【スライムナイト】がアリアに攻撃を仕掛けて来ていたのだった。
『おのれ、天空人!!』
先程と同じように斬り掛かられたのだが、攻撃が届く前にアベルが倒してくれた為に、負傷せずに済んでいた。
その後も、何度か【スライムナイト】に遭遇し、出会う度「おのれぇ!」と怒鳴ってアリアに向かって来る。
どんだけ天空人が嫌いなの……、天空人に親でも殺されたの……?
問いたくなる程である。
「……スライムナイトって喋れるのね……。すっごい恨まれてたな、私……」
とりあえず回復もしたし、パパスさんを追った方がいいかな……?
アリアが柱の陰から出ようと顔を出すと、すぐ近くを【スライムナイト】の群れが歩いているのを見つけ、首を引っ込めた。
「っ、ダメだ。一匹ならなんとかなるけど、集団は難しい……。……すぐ追い掛ければ良かったかな……」
はぁ、と溜息が漏れる。
「……アベル……」
こんな時、あなたが居たら頼もしいのにな。
主人公パワーで、ちょちょちょいってさ。
……そういえばパパスさん、アベルと一緒じゃなかったな……。
アベル、大丈夫かな……。
アリアは途方に暮れ、柱に凭れ掛かり腰を下ろすと天井を見上げた。
「アベルぅ……」
少年期のスライムナイトとの遭遇はキツイっていう話を書きたかっただけ。
マホトラ……。
アリアは色々呪文が使えます。
理由は後々わかってくるんだけども……。
アリアの過去話……要るか……?
ちょっと疑問。書いておいてwww
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