ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

パパスにアリアを紹介するね、の回。

では、本編どうぞっ。



第九十話 紹介するね

 

「んんん……? アベル、お前は何を言っているのだ……? どこに女の子などいる?」

 

「えっ……、ここに居るでしょ? もしかして……見えないの?」

 

 

 アベルがアリアの手を取り掲げると、パパスの首が横に倒れたかと思ったら元に戻り、目を擦って真顔でアベルを見たのだった。

 

 

「むむむ……? アベル、すまない、父さんには見えないようだ……。ははは、その女の子はもしかして、妖精か何かなのか……? だとしたら父さんに見えないのも無理はない」

 

 

 うむ、そうだな、そうに違いない。

 妖精なら大人には見えないと聞いたことがあるしな!

 

 

 パパスは、自分の息子が心の病に掛かっているとは思いたくなくて無理矢理そう思うことにした。

 

 

「っ、違うよっ! 彼女は天空人だよ! ほらっ!」

 

『わわっ、アベル、転んじゃうよっ』

 

 

 アベルはアリアの手首を引っ張り、パパスの目の前にアリアを立たせる。

 

 

「何ぃっ!? 天空人だと……っっ!!? それは真なのか!?」

 

 

 パパスは驚き、一歩前に足を踏み出す。

 そこには丁度アリアが居たわけで、

 

 

 ふにゅ。

 

 

『ブッ!』

 

 

 アリアの顔面にパパスのパパスが僅かに触れる。

 

 

「あ、アリアっ!?」

 

 

 アベルは慌ててアリアの手を引き、自分の隣に移動させた。

 

 

「……大丈夫?」

 

『っ……またぁっ……! だから、高さがね……っ!!』

 

 

 アリアは位置がどうのこうのと、頬っぺたをほんのり赤くしてぷりぷり怒っている。

 

 

「ま、また……?」

 

『っ、何でもないよ。ちょっと吃驚しただけ』

 

 

 訊ねたアベルにアリアは苦笑いを浮かべていた。

 その後ろで、パパスは一瞬何かが下半身に触れたような気がして自分を見下ろしている。

 

 

「ん……? 今一瞬何か触れたような……?」

 

「っ、それがアリアだよ!」

 

「天空人の?」

 

「えっ、あ、う、うん……。背中に翼があるから、多分」

 

「その子は、いくつくらいなのだ?」

 

「七歳。僕の一つ上だよ」

 

 

 パパスに問われ、アベルはそれに答えていく。

 パパスは確かに触れた“何か”の感触に、アベルの言っていることはもしかしたら、嘘ではないのかもしれないと思い始める。

 

 確か、アルカパでも今と同じ見えない壁に通せんぼされたことがあったような……? と思い出していた。

 

 

「ねえ、アリア。どうして父さんには見えないのかな?」

 

 

 アベルはアリアの手を取り握って、彼女の方を向く。

 

 

『さあ……私、ヘンリーと同じように見えてもいいって思ったんだけどなぁ……』

 

「ヘンリーは見えたけど、父さんはダメってことかぁ」

 

『ん~……、私の魔力が足らないとか関係あるのかな? 大人が見えるようになるには私がもう少し魔力を増やさないとダメ……とか?』

 

 

 アベルの指摘にアリアは顎に繋いでいない方の手を当て思見た。

 その様子にアベルもはっとして、

 

 

「あぁー……うん、もしかしたら それはあるかもしれないね。そっか……残念」

 

 

 残念そうに瞳を伏せる。

 

 

『ね。でも、パパスさん少し信じてくれてるみたいだよ?』

 

「え……?」

 

 

 アリアはほらほらと、パパスの方を指差した。

 

 

「……そうか。天空人……、珍しいこともあるのだな(七歳では、何もわからないかもしれんな……。だが、何故天空人の子がサンタローズに……?)」

 

 

 パパスは半信半疑ではあるが、息子がこれ程言うのなら信じてやらねば……と(存在す)ると仮定し、思案顔をしたのだった。

 

 

「えっと、アリアは普通の人には見えないみたいなんだ。妖精達と同じなのかもしれない……」

 

「…………、……うむ、わかった。アベルよ、お前の言うことを信じよう。して、その子は可愛いのか?」

 

「えっ!? かっ、可愛いけど……っ」

 

 

 突然振られて、アベルはアリアをチラッと見て頬を赤くする。

 

 

『へ? ……あはっ、ありがとっ! アベルにそんなこと言ってもらえて嬉しいなっ(でも、アベルの方がカワイイんだぞっ)』

 

 

 アベルの言葉にアリアは喜びに柔らかく微笑んだ。

 アベルはそれを見て照れ臭そうに後ろ頭を掻く。

 

 

「女の子なのだろう? ずっと一緒に居た……。……お前も隅に置けんな」

 

「ん? 隅に置けない? 何……?」

 

『? 何だろ?』

 

 

 パパスは口角を上げ横目でアベルを見るが、アベルは首を傾げただけでよくわかっていなかった。

 アリアもアベルと同様で二人は顔を見合わせる。

 

 

「はっはっはっはっ! さすがは私の息子だと思っただけだ。ビアンカちゃんと…………む? アベルっ! 魔物が出たぞ!」

 

「っ、うんっ!!」

 

 

 会話の途中ではあったが突如魔物が現れ、パパスとアベルは戦闘態勢に入ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か? アベル?」

 

 

 戦闘を終えると、パパスは【ホイミ】を唱え、アベルの傷を回復する。

 

 

「父さんありがとう」

 

「では、行くとしよう!」

 

 

 パパスは再びイカダを操り水路を進んでいく。

 途中で宝箱も発見したので忘れずに回収していった。

 

 

 そして……、

 

 

 漸くヘンリーの囚われているであろう、牢のフロアへと辿り着く。

 牢は三部屋あり、真ん中の牢の奥にヘンリーがぐったりした様子で横たわっていた。

 

 

 

「へ、ヘンリー王子!」

 

 

 パパスはヘンリーを見つけ、ガチャガチャと鉄格子の扉を掴んで呼び掛ける。

 

 

「く! 鍵が掛かっている!」

 

 

 扉を開けようとしたのだが、開かなかった。

 

 

「開かないみたいだ」

 

 

 うん、そうだね。とパパスの後ろでアベルとアリアが様子を見ている。

 

 

 ガチャガチャ、ガチャガチャ。

 

 

 パパスが鉄格子を前後に揺らして何とか開かないか試すのだが、上手く開かない。

 

 

 仕方ない。

 錆びついているし、力を入れればもしかしたら壊せるか?

 

 

「ぬっ! ぬお…………」

 

『アバカム!』

 

 

 パパスが鉄格子を外してやろうと力を込め……る拍子に、アリアが扉に向かって呪文を唱えた。

 

 

 ……なーんちゃってね。

 この世界にもある呪文かは知らないけど、ドラクエⅢで知って覚えてるもの。

 

 

 すると、

 

 

 カチャンッ。

 

 

 解錠した音がして、キィィーーー。と、扉が前に開いた。

 

 

「ぬわぁっ!?」

 

 

 パパスは突然開いた扉に勢い余って前のめりにバランスを崩す。

 転ばずには済んだ。

 

 

「っとっと……(何だ? 急に鍵が開いた……?)」

 

 

 いや、私が動かしたから外れただけか……?

 まあ、いい。

 

 

 パパスは奥に横たわるヘンリーに駆け寄って行く。

 

 

 その後ろで、

 

 

『えっ……?』

 

 

 アリアは口をぽかんと開け、目を丸くするとパチパチと大きな瞳を瞬かせていた。

 




アバカムで開いたのか、鍵が勝手に外れたのか、どっちでしょうwww
その内判明します。

実はこれまで色々伏線仕込んでたりするんですけどね……。

クロスオーバーとまではいかないけれど、タグを追加しないとかなぁ……。
しれっと、あらすじにドラクエⅢを追加しておきます(多分これがUPされる頃には追加されてるはず)。

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感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!

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