ヘンリー、助けに来たよ~! の巻き。
では、本編どうぞっ。
『えっ……?』
アリアは口をぽかんと開け、目を丸くするとパチパチと大きな瞳を瞬かせていた。
「アリア……」
『え? あ……、え?』
「っ、今の呪文って、前に言ってた扉を開く呪文……だよね?」
目をパチクリさせて驚いている様子のアリアに、アベルは訊ねる。
『っ、ど、どうだろ……パパスさんが、ガチャガチャ動かしたから外れたのかも……?』
「そうかなぁ……」
“カチャンッ”って、鍵の開いた音を聞いた気がするんだけど……。
……こんなこと初めてだ。
やっぱりアリアがいれば、父さんを助けられるかもしれない!
アベルは希望が見えた気がして、アリアを瞠目した。
「ヘンリー王子!」
パパスが奥でヘンリーの身体を起こしているので、アベルとアリアもそちらへと向かう。
「ふん! 随分助けに来るのが遅かったじゃないか。まあいいや。どうせオレはお城に戻るつもりはないからな」
アベルとアリアも駆け付けるとヘンリーは口を尖らせ、チラッとアリアを見た。
『っ、ヘンリー……? 何言って……』
「王位は弟が継ぐ。オレは居ない方がいいんだ」
悪かったな、アリア。
お前を嫁にしてやれそうにない。
せっかくオレを安心させてくれて、信じても良さそうだと思った女の子だったっていうのに……と、ヘンリーは諦めたような瞳でアリアを見る。
『ヘンリー……』
どうしてこんな小さな子が、自分が居ない方がいいだなんて言わなければならないの……?
そんなこと、言わないで欲しい……。
アリアの瞳は悲し気に揺れていた。
「王子!」
不意に、パパスの大声が聞こえたと同時、
パシンッ!
乾いたビンタの音が聞こえた。
するとヘンリーの頬が赤く色付き、痛みに手を頬に添える。
それは熱く、じんじんと痛んだ。
「なっ! 殴ったなオレをっ!!」
「王子! あなたは父上のお気持ちを考えたことがあるのか!? 父上は、父上は……」
一瞬、何が起きたかわからなかったヘンリーだったが、殴られたと気付き反抗するのだが、パパスは彼を戒める。
「…………っ、…………」
ヘンリーは唇を噛み締め、瞳を潤ませパパスを睨み付けていた。
パパスは黙ってヘンリーを見下ろし、言葉を探しているようだった。
アベルとアリアはパパスのビンタに驚いたものの、心配そうにヘンリーを見守っている。
「…………、…………、……まあともかくお城に帰ってから、ゆっくり父上と話されるがいい。さあヘンリー王子! 追手の来ない内にここを!」
パパスはあまり多くを云っても伝わらないだろうと切り上げ、脱出しようと踵を返した。
「ヘンリー、急ごう」
『……行こう?』
パパスが扉の方へと歩いて行くと、アベルとアリアはヘンリーに手を差し出す。
「っ、お前ら……」
ヘンリーは二人の手を取ろうか躊躇い、手を出せずにいた。
「っ、早くしてよっ!」
アベルはつい、大きな声を上げる。
ヘンリーがビクッと肩を震わせ慌てて二人の手を取ると、三人でパパスの後を追った。
パパスは牢を出た所で辺りを警戒して見回しており、三人が扉を潜ると話し掛けて来る。
「アベル、大きな声を出してどうした?」
「あっ、いや……急いだ方がいいかなって」
アベルの額に冷や汗が浮かんでいる。瞳の動きも彷徨い、揺れていた。
「ああ、それもそうだが……、…………ふむ……」
アベルの奴、何だか落ち着きがないな……。
一体どうしたというのだ……。
どこか落ち着きのない息子の様子に、パパスは注意深く観察するが、今はそれよりもここから脱出するのが先決だと、とりあえずアベルの頭を優しくぽんぽんと撫でる。
安心させるように、口角もわずかに上げておいた。
そんなパパスをアベルは不安気に見上げ、
「っ、父さん急ごうっ!」
早くイカダに乗って脱出しようと、アベルはパパスの手を取り引っ張る。
「お、おい、アベルっ!? どうしたのだっ!? 追っ手か!?」
パパスは辺りを見回す。
近くには魔物の気配はない。
ヘンリーもアリアもアベルが急に引っ張ったので驚いたが、走り出すのでついて行こうとしていた。
「みんな急いでっ!」
アベルは皆を引き連れイカダまで一目散に走る。
確か、ここで魔物が現れて父さんと離れ離れになるんだ。
だけどまだ、魔物は出ていない。
未来は変わったのかもしれない。
けど、まだ安心は出来ないから。
本当に急がないと、
アベルはどうにか未来を変えたくて、以前とは違う行動を起こしていたのだった。
この行動が別の未来に繋がりますように。
アリアがいるのだから変わるよね。
アベルは後ろを走るアリアをちらりと見返す。
「アリアがいればっ、大丈夫だよねっ!!」
『…………え、な、何が……?』
急に振られて要領を得ないアリアは、ポケーっとした顔で目を丸くしていたが、アベルは目を細め飛び切りの笑顔を見せた。
ヘンリーもわけがわからず頭に疑問符だらけのまま走る。
「だって、アリアは…………、………………………………ぁ」
急にアベルは立ち止まる。
視線が最後尾のプックル、の、更に後ろを見ていた。
「……っ! アベルっ!」
パパスの足も止まり、アベルの手を振り解く。
そして、パパスは最後尾へと走って行った。
『っ、魔物っ!?』
「っ、くそっ!」
アリアとヘンリーも立ち止まり、目を見開く。
アリアはヘンリーを庇う様に前に立ちはだかり、武器を構えた。
背後に追っ手……、魔物の群れが現れたのだった。
今にも殿のプックルに襲い掛かろうとしている。
「く! さっそく現れたかっ!? アベル! ここは父さんが引き受けた! お前は王子を連れて早く外へ!!」
パパスは現れた魔物に切り掛かって行く。
プックル目掛け振り下ろされた拳はパパスの剣が弾いていた。
「ガウガウッ!」
プックルは咄嗟に身を翻し、アリアを護るように彼女の前に位置を取ると、魔物を睨み付ける。
「父さんっ!! ダメだっ!」
アベルはヘンリーの手を解くと、今度はパパスに向かって手を伸ばし叫ぶが、パパスは聞こえない様子で魔物達と戦い始めていたのだった。
このままだと少年期だけで百話超えそうです(※ギリ超えません・投稿時追加後日談)。
おかしいなぁ……こんなに書くつもりは……。
楽しい……♪
私プロットとか書かないので勝手にストーリーが進んでいきます。
キャラにぶん投げなので歩みは遅いけど、最後まで付き合っていこうと思ってます。
最後までお付き合いいただければとても嬉しいです。
----------------------------------------------------------------------
評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。
読んでいただきありがとうございましたっ!