あぁ~……アベルは何を見たんでしょー。
バイバイですよ、バイバイ。
では、本編どうぞっ。
アベルが古代の遺跡出入口、水路の流れるフロアを覗きに行っている間、ヘンリーとアリアは足が痛いのか座って待つことにした。
「なあ、アリア」
「んー?」
ヘンリーはプックルを撫でるアリアに話し掛ける。
「アリア、お前はラインハットに戻ったらどうするんだ?」
「え、あ……、私はサンタローズに帰るよ?」
「えー……、オレの傍に居てくれないのか? オレ、戻ったらちゃんとするからっ!」
ヘンリーはアリアの手を取り、ぎゅっと握る。
「…………あ、ふふっ」
「なっ、何だよ……」
そっか、そういや嫁になれって言ってたっけ? とアリアが笑うと、ヘンリーは頬を赤くした。
「……私ね、記憶喪失なの。だから自分探ししないといけないんだ~」
「記憶喪失?」
「うん。だからヘンリーの傍には居られないかな。サンタローズに帰ったら行かなきゃいけない所もあるし、いつか旅に出ると思う。そもそも私、他人に見えないしね。ヘンリーのお嫁さんにはなれないよ。ヘンリーにはいつかもっと素敵な人が現れると思うよ?」
アリアはやんわりとヘンリーの手を解く。
「うっ……けど……」
「私はヘンリーの幸せを祈ってるからね。たまにはラインハットに遊びに行くよ」
「っ、お前はオレの子分の友達なのに」
ヘンリーは頬を膨らませ不満顔をした。
「あははっ、私は子分じゃないんだ?」
「っ、こ、子分ていうかお前は、と、友達だっ!」
アリアが優しく微笑むと、ヘンリーは「握手しろ」と手を差し出してくる。
「うん、友達だね」
アリアは快くその手を握ったのだった。
「遊びに行くからね」
「絶対だぞ、今度来た時用に上手い菓子を取り寄せておいてやるから、事前に知らせるんだぞ!」
「じゃあ、モモガキパイをご馳走してよ。あ、タルトもいいねっ」
「おう! 食べきれないくらい作らせてやるっ」
それは楽しみだな~、と二人は楽しそうに会話をしていた。
そんな和やかな雰囲気のヘンリーとアリアの元に、アベルが俯いてフラフラと戻って来る。
「あ、アベルが戻って来たよ」
「だな」
二人は立ち上がり、お尻に付いた砂をそれぞれ払った。
「アベル、おかえり。どうだった……?」
アリアはフラフラとやってくるアベルに声を掛けるが、アベルは顔を上げてはくれなかった。
「…………て……、……のに……」
「アベル……?」
アベルはブツブツと
アリアは心配になり、戻って来たアベルの肩にそっと触れた。
「っ、アリアっ! 何もっ! なんにも変わらなかった……っっ!!!!」
「え……ぁっ」
ドンッっ!!!!
刹那アベルは顔を上げ、眉間に皺を寄せ苦々しい顔でアリアの両肩を勢いよく押す。
押された拍子にアリアは思い切りお尻を床に打ち付けてしまった。
「っ、いった…………、ちょ、アベル、どうし……っっ!?」
「っ…………、何でだよっ!! 君がいれば変わるんじゃなかったのっ!? 何でなにも変わらないんだよぉっ!!! これじゃ、何度繰り返したって一緒じゃないかぁーーっっ!!」
アベルはアリアの胸元を掴み、今にも泣き出しそうな、けれども憤怒の顔でアリアに訴える。
「っ、アベル……っ? どうしちゃったの……!? 何で、そんなに怒って……」
「お、おいアベル、お前アリアに何して、服が破けちま……」
アリアはわけがわからず、アベルを見上げていた。
アリアの服が乱暴に引っ張られ、ビリっと少し破れる。
ヘンリーが止めに入ろうとするが、アベルに胸を強く押され尻餅を搗いてしまった。
押された胸が痛いのか、ゲホッゲホッと咳払いをしている。
「信じてたのにっ!!!!」
アベルは怒鳴り声を上げ、急にアリアから手を放し【ふくろ】を漁りだした。
「…………? アベル、何探してるの……?」
「…………僕、君なら救ってくれるって信じてたんだ。けど、そうじゃなかった。なら、もう、君なんか要らない」
……君なんか要らない。
ガサゴソ、
ガサゴソ、とアベルは手探りでとある道具を探す。
そして目当てのものが見つかるとアベルは【ふくろ】から手を抜いた。
その手にはロープが握られていて、アベルはアリアを見下ろす。
「要らないって……、っ、ご、ごめん。そうだよね……私、全然役に立ってなかったもんね……」
アベルに護ってもらってばっかりで、呪文使えるようになってもそれは変わらなくて、あんまりお役に立てなかった……のは事実よね……。
要らないって言われるのは、正直、ちょっぴり悲しいけど……事実だもんね。
ポンコツからは脱したと思ってたんだけどなぁ……。
ひょっとして私がいてストレスだった?
それでついに耐え切れず爆発しちゃったのかな、とアリアは今更ながら主人公に申し訳ないと思ったのだった。
「あ、えと。サンタローズに帰ったら、私妖精の村に行くから、だからそれまでは一緒に……」
「…………、……ううん」
アベルは目を閉じ頭を左右に振って、アリアの後ろに回る。
そしてアリアの目の前にロープを垂らした。
「え? な、何……?(ロープ??)」
シュルシュル、と、アベルはアリアの身体にロープを巻き付けていく。
「あっ、アベル……!? あなた何して……!?」
縛りプレ……こほんっ。
何考えてんの私っ!
ていうか、何で私を縛る必要が???
アリアはあまりの急展開に目を瞬かせ、動くのがワンテンポ遅れアベルに身体をロープでぐるぐる巻きにされてしまった。
羽も
それは痛みを伴いアリアの眉を歪ませた。
「ぅっ……ぃた……」
ロープを巻き終えたら、アベルはギュッギュッとしっかりと解けないように結び留める。
そしてアリアは床にうつ伏せで転がされ、身動きが取れなくなってしまった。
「…………アリア、お別れだよ」
「ぅぅ、っ、なっ、お前何してん……!? …………っ……」
ヘンリーはまだ立ち上がれず胸元を押さえながらアベルを止めようとするが、アベルが冷たい目で見てくるので、黙り込んでしまう。
「っ、お別れって……、こ、こんな所で……?」
アリアが顔だけ上げて質問するが、アベルは聞く耳など持たない様子で「ヘンリー行くよ」とヘンリーを引っ張り起こしていた。
「…………後でプックルが縄を解いてくれるから。それまで大人しくしてて。魔物もしばらくは出ないと思うし、僕達がいなくなるまで出口に来ちゃダメだよ」
「アベル……? あなた、どうしちゃったの……?」
アベルとヘンリー、プックルが出口フロアに向かっていくが、アリアはわけがわからず、去り行く背に尚も問い掛ける。
ヘンリーとプックルが心配そうにアリアを何度か振り返るが、アベルは振り返らずに歩いて行ってしまった。
「…………バイバイ、アリア。君といて、少しだけ新鮮な気持ちでいられて、うれしかった。ありがとう」
出口フロアへと続く通路に差し掛かると、アベルは一度だけ振り返って、悲し気に目を伏せ微笑む。
そうしてアリアを一人その場に残し、アベル達は行ってしまった……。
お別れ……、ですかね?
ばいばーい! また会う日までお達者で!w
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読んでいただきありがとうございましたっ!