ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

アベルの未来変えよう奮闘記。続きます!

では、本編どうぞっ。



第九十四話 変わらない未来

 

 アリアに見送られながら古代の遺跡の出入口、巨大な水路のあるフロアへと出たアベル達。

 そこを抜ければ外へと出られる。

 

 

「……なあ、アベル。アリアを置いていって良かったのか? あんな……ロープで……」

 

 

 痛そうだったんだけど……。と、ヘンリーはアベルに問い掛ける。

 さっきはアベルのあまりの剣幕に圧を感じたのか口を出せず、ヘンリーは黙ってついて来ていたのだった。

 

 

「……いいんだよ。後でプックルが助けるから。ね? プックル」

 

 

 アベルは横を歩くプックルに「頼んだよ」と言い聞かせる。

 プックルは首を傾げながらポカンとアベルを見ていた。

 

 

「……どういうことだよ……」

 

「……ヘンリーも僕も狙われてるからね。アリアはそもそも無関係なんだよ。だから巻き込むわけにはいかない」

 

「は……? 何言ってんだお前……(わけわかんねえことばっか言って……)」

 

 

 ヘンリーが「あいつはオレの友達なのに……」と唇を噛んだ。

 

 

 さっきはアベルの目が怖くてつい黙ってしまったが、よくよく考えたら魔物がうろつく遺跡に女の子一人置いて行くなんて男としてどうなんだ?

 

 今からでも戻って連れて来た方がいいんじゃ……?

 

 

 ヘンリーは後目で、もう見えない隣のフロアへと視線を流す。

 その隣でアベルは自嘲気味に口角を上げた。

 

 

「…………、……結局さ、何にも変わらなかったんだ」

 

「何のことだよ……?」

 

「……あの子に期待し過ぎてた僕がバカだった」

 

 

 二人は行く先を見つめながら話を続ける。

 その先に、男が独り佇んでいた。

 

 

 ヘンリーは知らない男だが、アベルにはわかっている。

 

 

「……あ、おい、あいつ誰だ? 襲って来る感じもないし、オレを助けに来た奴じゃないか?」

 

 

 ヘンリーはただ黙って突っ立っている男が特に襲って来なかったので、「おーい! お前城から来たのかー!?」と声を掛けていた。

 

 

「…………ヘンリー、ごめん」

 

「あ? 何がだよ?」

 

「この少し先までしか、今はまだわからないんだ……」

 

 

 アベルは俯き、腰に引っ掛けていた【チェーンクロス】を握り締める。

 

 

 

 

 アリア、ありがとう。

 

 

 そして、さようなら。

 

 

 

 

 アベルはヘンリーと共にその男の元へと歩いて行った……。

 

 

 

 

 

 

 一方で、アリアはというと。

 

 

「っ、アベルっ!! どうしてっ!? ねえ、何があったの……!?」

 

 

 アベル達が隣のフロアへと消える前、アリアは必死に問い掛けていたのだがアベルが答えることはなく、それどころかもう振り返りもせずに消えてしまった。

 

 

 ……………………。

 

 

 ……しばらく待ってはみたもののアベル達が戻って来る様子はなく、隣のフロアに流れている水路のザーーーーッという水音がわずかに聞こえるだけ。

 

 

「……どういうことなの……? ……っ、こんな所に一人置いて行かれても困る……っ!」

 

 

 アリアはどうにかロープを弛めようと身を捩ってみるが、アベルが随分きつく巻いていったようで、弛む様子はなかった。

 

 

「っ……、何で私を縛っていくのよぉ……」

 

 

 アリアは背中が痛いよぉ、と嘆きながらアベルのことを考える。

 

 

 アベル、この遺跡に来てから様子がおかしかった。

 ううん、違うな……。

 

 ヘンリーと私が攫われた時……から?

 

 

 アベルの不可解な行動がいつからだったかアリアは思い返してみる。

 

 

「……あの時、アベルは“逃げて”って言ってたよね……」

 

 

 

 

 

 “ヘンリー! アリアっ! っ、逃げてっ!!”

 

 

 

 

 

 ラインハット城の隠し階段を慌てて駆け下りて来た、アベルの第一声がそうだった。

 

 

 アベル、何か未来を見たの……?

 未来がわかってしまったから、私を置いて行った……?

 

 

 ん? あれ?

 

 

 ……待って。

 

 

 アベル、さっき何かおかしなこと言ってなかった……?

 

 

 

 

 

 “何度繰り返したって一緒じゃないかぁーーっっ!!”

 

 

 

 

 

「えっ、ウソ……」

 

 

 アリアはアベルの必死の訴えを思い出していた。

 

 

 繰り返し……?

 繰り返しって何……。

 

 

 繰り返してるの……?

 アベル、もしかして……、未来がわかるって……、そういうこと(・・・・・・)だったの……?

 

 

 だとしたら、この先で何かが起こるっていうの……?

 あんなに、辛そうな顔して……。

 

 

 アリアが思索にふけっていると、遠くから靴音が聞こえてくる。

 それは段々と近づいて来て、当該の人物がアリアの視界へと現れたのだった。

 

 

「はぁっ、はぁっ…………、アベル、ヘンリー王子……!(無事外へ出られたのか!?)」

 

 

 魔物退治を終えたのか、パパスは額に汗しながらキョロキョロと辺りを見回し、走って来る。

 

 

『あっ、パパスさんっ! っ、パパスさんっ、ロープをっ!!』

 

 

 パパスがアリアの目の前に立ち止まると、アリアは訴えるのだが、

 

 

「はぁ……、無事抜けられたようだな……、私も急がねば」

 

 

 アリアの声は届かず、パパスはアベル達が向かった出入口フロアへと行ってしまった。

 

 

 

 

 ………………。

 

 

 

 

「………………………………、………………アリア、人を頼ってばかりで情けないぞ。一人でどうにかしないと! ここにはお兄ちゃんも居ないんだからっ」

 

 

 アリアはとりあえず自分に巻かれたロープをどうにか解こうと、アベルの事は一旦考えるのを止める。

 

 

「…………イチかバチか……」

 

 

 アリアはすぅっと、大きく息を吸い込んだ。

 

 

 

 

 

 

 ――その頃、アベル達はというと。

 

 

「ほっほっほっほっ。ここから逃げ出そうとはいけない子供達ですね。この私がおしおきをしてあげましょう。さあ、いらっしゃい!」

 

 

 赤紫の法衣を身に纏った、青い肌に長い顎、濁ったオレンジ色の瞳の魔族。

 【ゲマ】と対峙していた。

 ゲマは、「おいたをした子には罰を与えないといけませんねぇ」と下卑た笑みを浮かべてアベル達に襲い掛かる。

 

 

「くっ……! ヘンリー、プックル……! 来るよっ!」

 

 

 正直、勝てるかはわからない……!

 でも、戦うしかないっ!!

 

 

 アベルは自分達に一直線に向かってくるゲマに武器を構えた……

 

 

 

 

 …………………………――――

 

 

 

 

 ………………が。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ…………っ…………」

 

 

 ゲマとの力の差は歴然としていた。

 アベルは床に倒れ込み、息も絶え絶えに何とか呼吸をする。

 ヘンリーに至っては、すでに気を失っている。プックルも戦闘中に吹き飛ばされ離れた場所に仰向けで伸びていた。

 

 

 やっぱり勝てなかった……!!

 何だよっ、何でこいつこんなに強いんだよぉっ……!

 

 

 アベルがうつ伏せに歯噛みすると、ギギギッと小さく音が鳴る。

 

 

「くっ、…………せ……」

 

 

 アベルは自由の利かない身体で、何とかゲマを見上げた。

 

 

「んん……? 何ですか……?」

 

 

 ゲマは首を捻り、耳元に手を当てる。

 アベルの声は弱々しく、小さくて聞き取りにくかった。

 

 

「はぁはぁ……僕を殺、せ。どう、せ……生きてて、も繰り返すだけ、だ」

 

 

 いっそ、一思いにやってよ。

 そしたらいくらかマシだろう?

 

 

 アベルはゲマを睨みつける。

 そんなアベルの様子にゲマは心底愉快そうに口角を上げたのだった……。

 




くっころ。

いや~、ゲマさん。
ちぃーっす!

アベルって時々色々記憶が混同してるんすよね……。
基本は直前に理解するんだけど、たまーに未来と繋がったりしてるっていう。仲間モンスターのこととか、嫁のこととか薄っすら憶えてるし。
なので子供なのに大人っぽい発言したり……と、余計なことは書かないでおこう……。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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