ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

少年期最終話です。

では、本編いってみましょう!



第九十八話 ぬわーーーーっっ!!

「……そうか、君がアリアだったのか……」

 

 

 パパスは小さな少女を見下ろし、ゲマに気付かれないように【ホイミ】を掛ける。

 ゲマは満足したのかアリアの拘束を解いてすぐに、アベル達の元に戻っていて気付かなかった。

 ジャミとゴンズはゲマを称賛し、小躍りしている。

 

 

「……っ……、パパ……ん」

 

 

 アリアは弱々しくパパスを見上げた。

 意識を失ってはいなかったらしい。

 

 

「シィ……。……すまない。少しだけ回復させてはみたが、私ももう持ちそうにない……。ただ、どうやら君は殺されるわけではないようだ」

 

 

 パパスは小声でアリアに話す。

 

 

「……パパスさん……」

 

 

 アリアも青白い顔でパパスの名を呼んだ。

 

 

「……私は恐らく殺されるのだろう。……最期に言わせて欲しい。アベルと共に居てくれてありがとう。そして、これからもアベルをよろしく頼む……」

 

「……っ、……下さい」

 

「……ん?」

 

「床に下ろして……」

 

「……ああ、そうだな。私から離れた方がいいだろう……」

 

 

 パパスはアリアをそっと床に下ろす。

 すると、アリアはパパスの脚に抱きついたのだった。

 

 

「っと……、アリア、ちゃん……?」

 

「パパスさん。私……。パパスさんみたいなお父さんがよかった……」

 

 

 アリアはパパスを見上げてから、すりすりと、パパスの太ももに額を擦り付ける。

 

 

「…………え、……と……、私も君のような可愛い娘がいたらと……」

 

 

 パパスはアリアのくりくりした大きな愛らしい瞳につい、応えてしまうが……。

 

 

 いや、そんなこと言っている場合じゃないのだがっ!?

 

 

 パパスは自分から離れようとしないアリアに離れる様にと告げた。

 

 

 けれども、アリアは離れない。

 どころか、パパスの脚に纏わりつくようにしっかりと腕を回し抱きしめている。

 

 

 

『小娘、その男から離れなさい!』

 

 

 

 パパスの脚にしがみ付くアリアに、ゲマがアベルの傍から命令してくる。

 アベルは倒れたまま、目だけでパパスとアリアを追って、アリアが生きていることに安堵したのか少しだけホッとした顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

「……背中はね。痛かったけど、途中からアドレナリンドバドバで何てことないよ。回復呪文掛けてもらったし。……それに、痛いのは慣れてるからね。久々だからちょっとびっくりしたけど……」

 

「な、何を言って……」

 

「……絶望的っていうのよね、これ。……なら、お父さま」

 

 

 アリアがちらっとゲマを見ると、ゲマは「仕方ありません、一緒に死んでもらいましょう」と片手を頭上に掲げ【メラゾーマ】呼び出していた。

 

 

「ん? お父様?」

 

「……私、死ぬの二度目だからいいよ。一緒に逝くよ。ふふっ、今度は焼死かぁ……熱いかな?」

 

「なっ!?」

 

 

 パパスはアリアの言葉にはっとした。

 

 

 ゲマはパパスとアリアの会話を待ったりはしない。

 

 アリアの瞳にはゲマの放った【メラゾーマ】が飛んでくる光景が映り込んでいる。

 パパスの瞳にも赤い大きな火球が向かってくる様を映していた。

 

 

 そんな中、アリアは起き上がれず横たわっているアベルを一瞬見て、笑った。

 

 

 

 

「アベル……、…………――――。…………――――!」

 

「ぬわーーーーっっ!!」

 

 

 

 

 ゴォォオオオオオッ!!!!

 

 

 

 

 と、爆炎が躍る。

 炎が風を纏って二人に襲い掛かったのだ。

 

 

 

 パパスとアリアの身体は炎に飲み込まれ、あっという間に燃え尽きてしまい、二人の居た場所には黒く燃えた跡だけが残されていた。

 

 

 ブスブスブス…………。

 黒く焦げた床が煙を上げ、肉の焼けた臭いが辺りに漂う。

 

 

 

「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁぁ、あああああああああああっっっ!!!!」

 

 

 アベルは絶叫した。

 大声を出すほどの体力がなかったにも関わらず、どこから出たのかとても大きな声だった。

 

 

 

 

 父さんがまた……。

 

 

 アリアまで……。

 

 

 

 

「……だ、……そだ、……うそだ、嘘だぁあああああっっっ!!!!」

 

 

 

 

 あああああああああああっっっ!!!!

 

 

 

 

 あああぁぁぁ…………

 

 

 

 

 アベルの悲痛な叫び声が徐々に小さくなっていく。

 絶叫している内に限界を超えたのか、ぷつん、と糸が切れたようにアベルは気を失った。

 

 

 

 

「ほっほっほっほっ。子を想う親の気持ちは、いつ見てもいいものですね。しかし心配は要りません。お前の息子は我が教祖様のドレイとして一生幸せに暮らすことでしょう。ほっほっほっ」

 

 

 アベルの後ろでゲマが「せっかくもう一人貴重なドレイを用意したというのに」と残念そうに云うも、次には嗤っていた。

 

 

 そして、

 

 

「ジャミ! ゴンズ! この子供達を運び出しなさい」

 

「はっ!」

 

 

 ジャミとゴンズにアベル達を運ぶよう、ゲマが指示すると、

 

 

「ゲマ様、このキラーパンサーの子は?」

 

 

 ジャミが伸びているプックルを指し、指示を仰ぐ。

 

 

「捨て置きなさい。野に帰ればやがてその魔性を取り戻すはず」

 

「それもそうですね。では」

 

 

 ゲマの言葉にジャミは早速アベルを運ぼうとするが……。

 

 

「うん? 待ちなさい。この子供は不思議な宝玉を持っていますね」

 

 

 ゲマはアベルの袋から覗くゴールドオーブに気付いて、取り出したのだった。

 

 

「この宝玉はもしや……? まあどちらにしろ、こうしておくとしましょう」

 

 

 ゲマはゴールドオーブを両手で掴むと、圧迫するようにして力を込める。

 圧を掛けられ、ゴールドオーブに罅が入ったかと思うと、

 

 

 パリンッ。

 

 

 なんと!

 

 

 ゴールドオーブは粉々に砕け散ってしまった。

 

 

 

 

「ほっほっほっほっ。さあ行きましょう」

 

 

 ゴールドオーブを壊したゲマは満足したのか上機嫌に嗤うと、両手を広げる。

 ジャミとゴンズがそれぞれアベルとヘンリーを抱えて、ゲマの傍へとやって来ていた。

 

 

「ぬんっ!」

 

 

 ゲマが念じると、闇の霧が現れ一行を包み込む。

 そして、闇の霧は小さく収縮し、消えていく。

 

 その闇が消えたと同時、アベル達の姿は古代の遺跡から姿を消したのだった。

 

 

 

 

「…………がう……? …………がうぅっ?」

 

 

 

 

 アベル達が消えしばらくして、プックルは目を覚ます。

 プックルの意識が戻った時には、古代の遺跡には誰も居なかった。

 

 

 

 

「ふにゃぁ~……」

 

 

 

 

 プックルの淋し気な鳴き声は、水路の水音に掻き消され、覆い隠されてしまう。

 

 

 アベル達は一体、何処へ連れて行かれたというのか……。

 




ンぁ~。何。

結局ぬわーーーーっっ!! しましたネ。
というわけで、少年期これにて終了でございます。
お疲れ様でしたー! パチパチパチっ!

アリア居なくなっちゃったじゃんっ!?
と、思うじゃんっ!?

うふふ。(ナニヨ)

さて、息抜きにと書き始めたドラクエ小説、オイオイ。
楽しすぎてオリジナル小説そっちのけで書いてるってどうなんだ……。

でも毎日更新しないと一年で終わらなそうなので、頑張るのです。
本日は3/23。
UPは5月入ってからか……。大分先ですね。
よぉ、書きましたわ。

次回から青年期いってみます!

待ちに待った青年期!
ようやく恋愛出来ますねっ、やっぱ適齢期にならないとね~www
これ恋愛小説だったハズなのよ……なのに何故か普通に冒険してるっていう。

やっとラブラブ出来るねぇっ、ウレシイ!
書くのが楽しみです。ぐふふ。

糖度をドンドン上げていきますので苦手な方はごめんなさいです。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!

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