龍の目を持つ悪魔(1年生編)   作:アニ督

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大変遅くなり申し訳ありません。1年生編、最終話です。どうぞ。


第24話 更なる上を目指して

2023年9月16日

午前11時

防衛大学病院

ピッ

ピッ

裕翔「・・・・・ここは。」

と裕翔は目覚める。裕翔はスコーピオンとの決着後、龍の目の力の代償により吐血し、この防衛大学病院へと搬送されていたのだ。

裕翔「・・・・・そうか。俺は・・・・結局、死ななかったのか。死ぬ覚悟で戦ったのに。とにかく今は・・・・・うっ。」

と起きあがろうとするが、戦いの影響か体に痛みが走る。すると、

ガラガラ

と病室の扉が開き、

古田「目が覚めたようだね。」

裕翔「上官。」

古田が病室に入ってくる。

古田「体の方は。」

裕翔「まだ、痛いです。」

古田「そうか。今回はかなり激戦だったようだな。何せ君は我々の予想を大きく上回る力を見せたのだから。」

裕翔「・・・・・。」

古田「いつから、あの兄弟龍の力を同時使用などという力を思いついた。」

裕翔「思いついたのは1週間前です。奴が、スコーピオンがもし今まで通りに龍の目を使い、戦って勝てる確証がもてませんでした。そんな時にドイツで龍の目の研究に関する論文で龍の目の同時使用を見つけ、ブラックインフェルノとインフェルノの力の同時使用を思いつきました。ですが、同時使用を行ったのはあの時が初めてです。まさか、本当に成功するとは思っていませんでしたけど。」

古田「そうか。担当医からは生きている事が奇跡だと言ってたよ。本当に君はお父さんと似てタフな男だ。」

裕翔「親父が生きていれば、殴られそうですけどね。」

古田「そうだね。さて、話を変えるとしよう。今回の戦闘に関する事だ。今回、真由美君を誘拐したテロリストや傭兵の残党は既に逮捕した。しかし、今回の首謀者であるスコーピオンというは男は・・・・・残念だが、遺体で発見された。」

裕翔「奴が・・・・死んだ!?」

古田「死因は、刀による刺殺だと思われる。恐らく、第3者による暗殺だろう。それとスコーピオンや逮捕した傭兵達が所属している組織が判明した。名は『ザコム・ブレッシャー』。ロシア語で龍は戻るという意味だ。表向きはソ連を拠点に動くPMCだ。しかし、それはあくまでも表向き。裏では多くのテロ組織などに資金や武器、弾薬などの兵器の供与。そして、CADなどの横流しも行っている。他にも要人の暗殺など汚れ仕事も積極的に行っているようだ。そして、これは私のあくまでも私の予測に過ぎないが、4年前の七草家の別荘を襲った件や今年に入ってからのテロによる攻撃も全てこの組織のバックがあったからだと思う。目的は不明な点も多いが、この組織は今後も目を光らせておくべきだろう。」

裕翔「・・・・・。」

古田「葉山君。我々はこの先、更なる脅威と対峙する事になる。その為には力をつけ、あらゆる事態に備える必要がある。そこでだ。提案ではあるが、君にドイツの特殊部隊『GSG-9』への一時入隊に君を推薦しようと思っている。期間は半年。」

裕翔「『GSG-9』。ドイツで対テロを専門に活躍する特殊部隊に俺が。」

と突然の提案に裕翔は驚きを隠せずにいた。すると、

古田「君は今回のスコーピオンとの戦いでどう思った。」

裕翔「・・・・・俺は、奴と戦って俺自身がまだまだ、未熟だと感じました。史実に俺は七草の助けがなれければ、皆んながいなければきっとここには居ませんでした。俺はもっと強くなって、皆んなを、手に入れた自分の大切な居場所を守りたいと思いました。古田上官、『GSG-9』への推薦を受けさせて下さい。」

古田「そうか。そういうなら、私からは何も言う事はない。欧州にはこの日本と違って龍の目に関する研究施設が多くある言われている。ドイツに行けば、君の力も更に高めることも可能だろう。私から施設の方に連絡しておく。今はしっかりと休むように」

と言うと古田は立ち上がる。そして、病室を出る際に

古田「この5日間、真由美君が毎日見舞いに来ていたぞ。今日も来ると思うからしっかりと礼を言っておきなさい。」

と言葉を残し、去っていく。しかし、古田が裕翔の病室を出て直ぐ、

古田「これはこれは、弘一様。お久しぶりですね。」

そこには七草家の当主、七草弘一がいたのだった。

弘一「お久しぶりです。古田殿。先日は娘達の救出、当主として礼を言わせて頂きます。」

と頭を下げる。

古田「いえいえ、我々の責務はテロの脅威から国と民を守ること。当選の事を成し遂げたまでです。」

弘一「そうですか。ですが、今回は強敵との戦争で葉山君もこのような形になるとは以外でした。」

古田「世界は広いと言う事ですよ。広ければ広いほど、その小さな存在には気づきにくい。弘一様はヤドクガエルというカエルをご存知ですか。」

弘一「えぇ、カエル中でも最も強い毒を持つとか。」

古田「はい。ヤドクガエルは小さく綺麗な色にも関わらず、見た目とは裏腹に人を殺せる毒を持つ。小さければ小さいほどその小さな脅威には気付きにくい。今回の件もその小さな脅威に彼も手痛くやられてしまった。ですが、だからと言ってその脅威を放っておけば、それはやがて大きな脅威へと変化する。我々は今後この脅威に備える必要があります。」

弘一「そうですか。だから、彼をドイツへと行かせるのですね。」

古田「おや、この件は私しか知らない筈ですが、どこでその情報を。」

弘一「貴方と同様に私にも強いパイプがあるのですよ。正直に話すと私が今回ここに来たのは葉山君に責任をとってもらう為に来たのですよ。」

古田「それはどういった責任ですか。」

弘一「彼は前にもしも、私の娘に何かあった時は腹を切ると言って責任を負うと言っていました。だから、その責任として彼を七草家に取り入れようと思っていたのですか。」

古田「それはそれは、またもや強引ですな。」

弘一「強引。とこが強引なのですか。これは彼自身が自ら私に言った事です。」

古田「確かに話を聞く限り彼が言ったのは事実でしょう。ですが、まだ20にも満たない若者にそんな責任を取らせるのはどうかと思います。もし、責任を問うならそれは彼の上司である私が責任を取りましょう。お望みなら今ここで貴方に命を明け渡すことも構いませんよ。」

弘一「・・・・・分かりました。今回はこの話は無かったことにしましょう。ですが、お聞きしたい。何故、そこまでに彼を守ろうとするのです。」

古田「それは、貴方が一番理解していると思いますよ。私はただ、彼の父である亡き部下との約束を守る為に動いているだけです。それでは仕事があるので失礼します。」

そう言うと

古田は弘一の横を通り過ぎ、去っていく。そして、去っていく古田の後ろ姿を見つつ弘一は

弘一「貴方もですか。」

と呟き、そのまま裕翔への病室へと向かう。そして、

コンコン

裕翔「どうぞ。」

弘一「失礼するよ。葉山君。」

と裕翔の病室に入る。

裕翔「これは、弘一さん。わざわざ、お見舞いに来て頂きありがとうございます。」

弘一「そう気にしなくて良い。君も無事でなりよりだ。」

裕翔「この度は娘さんをこのような形で巻き込んでしまい申し訳ありません。約束通り、腹を・・・・・。」

言うとした瞬間、

弘一「その件は既に無かったことになっている。君はまだ、若い。そんな君にこれ以上責任を問うつもりはないよ。君のおかげで真由美は生きている。七草家の当主として、父として礼を言う。ありがとう。」

裕翔「・・・・礼を言うのは俺の方です。真由美が居なければここにはいません。」

弘一「そうか。そんな君のような人に娘を褒められると私も父親として嬉しいよ。では、私はこれで失礼するよ。」

と病室を去ろうとすると、

裕翔「父とは高校で出会ったのですか。」

と裕翔が尋ねる。

弘一「・・・・・君のお父さんは、私にとって親友だった。私が唯一、勝てなかった男だ。」

裕翔「そうですか。話して頂きありがとうございます。」

と裕翔が礼を言うと、

弘一「・・・・・。」

弘一は黙って病室を去って行った。

その後、裕翔は主治医から説明を受けたが、

 

午前11時30分

主治医「葉山さんの体はかなり龍の目によってかなりの負担がかかっています。今後は30分以上使い続ければ、最悪死に至ると思っておいて下さい。後、例え30分使わなかったとしても使う事に寿命を削っていると思っておいて下さい。古田さんから事情は聞いていますが、それでも可能な限り、力の使用は控えて下さい。」

裕翔「分かりました。ありがとうございました。」

と裕翔は主治医が去ると、自分の右手を見つめ、

裕翔「力を上手く扱えるようになれば、命を削らなくとも・・・・。」

と呟き、そのまま右手を見つめ続けた。

 

 

午後1時

タッタッタッ

裕翔が目を覚ましてから2時間後、病院の廊下には誰かが走る足音が聞こえてくる。そして、

ガラガラ

真由美「葉山君!!」

ドアが開くと当時に真由美が病室に入ってくる。

裕翔「おいおい、まだ授業が残ってるだろう。生徒会長とあろうものがこんな事で早退とは情けないな。」

真由美「・・・・・葉山君を心配して来たのよ!!そのこと分かってるの!?」

裕翔「分かってるよ。冗談で言ったつもりだったんだ。」

真由美「もう。・・・・それで体の方は・・・・・。」

裕翔「傷の方は殆ど塞がったが、スコーピオンに斬り込まれた右肩の傷は残るって言われたよ。後、龍の目を現段階で30分以上使えば、命の保証はないって言われたよ。」

真由美「そんな・・・・私のせいで。」

裕翔「お前のせいじゃないよ。これは俺が自ら判断してこういう結果になっただけだ。全て自分の責任だ。だから、お前は気にしなくてもいい。」

真由美「それでも・・・・・。」

裕翔「謝るな。俺はこうなる事を覚悟した上で動いたんだ。それにお前が居なければ、俺は今頃あの世に居たと思う。それにこうなったのは元々は俺のせいでもある。すまなかった。」

と頭を下げる。

真由美「・・・・・なら、お互い様という事で。」

と真由美は笑顔で答える。そんな真由美を見た裕翔も

裕翔「あぁ。そうだな。」

と少し微笑む。すると、

真由美「葉山君・・・・少しだけ目を閉じてくれない。」

裕翔「なんで?」

真由美「良いから!!目を閉じて!!」

裕翔「分かったよ。分かったから、大声を出すな。」

と裕翔は目を閉じるそして、目を閉じた事を確認すると、真由美はゆっくりと顔を裕翔の顔に近づけ、自分の唇を裕翔の口に近づけ、目の前まで近づいた瞬間、

香澄「お姉ちゃん!!」

突如、香澄の声がドアの方から聞こえてくる。そして、

真由美「か、香澄ちゃん!?」

裕翔「へ?」

香澄「・・・・・一瞬でも、アンタを見直したと思った私がバカだった。病人という立場を使ってお姉ちゃんに、破廉恥な事を・・・・

裕翔「えっ!?破廉恥!?俺は特に何も・・・・・。」

真由美「そ、そうよ。香澄ちゃん、誤解よ。」

と真由美は必死に伝えるが、それも叶うことなく

香澄「良いから、お姉ちゃんから離れろー!!」

我を忘れ、既に耳に届いていなかった香澄は裕翔に向かって、蹴り掛かる。

裕翔「ちょっ、ちょっと待て!!話を聞け!!」

しかし、時すでに遅く、

ガンッ

そのまま、香澄の蹴りは裕翔の左目に命中したのであった。

 

午後2時

真由美「本当にごめんなさい。命を助けてもらっておいて。妹の香澄がこんな恩を仇で返すような事を・・・・。」

裕翔「もう良いよ。何かしらの誤解があったからだろ。誤解が解けたなら別に良いよ。それよりも、そこでコソコソと見ている奴、さっさと出て来い。バレバレだぞ。」

と横目で病室の入り口を睨む。すると、

キリト「やっぱり、バレてたか。」

とキリトと

摩利「すまない。盗み聞きするつもりはなかったんだ。」

摩利が姿を見せる。

裕翔「光学魔法を使ってるようだが、直ぐに気配で見抜けた。」

キリト「流石、特殊部隊の隊長なだけあるな。」

とキリトは病室に入り、裕翔の肩を叩く。しかし、

裕翔「あまり、調子に乗るなよ。病人でも、魔法なしで1人や2人くらい殺す体力くらいは残ってるぞ。」

とキリトを睨む。

キリト「わ、悪かった。ちょっとしたおふざけを。」

裕翔「まぁ、今ここに居るのもお前のお陰だから今回は見逃してやる。それで、お前らも来たって事はアスナや十文字達も来るんだろ。」

キリト「あぁ、アスナとミトは風紀員の仕事で、十文字とリズは部活連でやる事があるから遅れて来ると。」

裕翔「アスナ達が風紀員に?」

キリト「あぁ。俺も部活連に入ったよ。」

摩利「あの日、お前が倒れた後、皆んなで話したんだ。私達はあの場に居たのにも関わらず、お前を助けるところから、何も出来ずに結局、お前に命を救われた。だから、決めたんだ。もっと強くなる事を。」

キリト「この先、きっとスコーピオンみたいなバケモノは出てくる。皆んな、そんな奴が襲ってきた時、いつもでもお前に頼るわけにはいかない。だから、いつかはお前に救われた借りを返す為にそれぞれ、強くなる事を決めたんだ。」

裕翔「・・・・・そうか。なら、俺も話さないといけないな。俺はドイツに行く事した。」

キリト「えぇ!?ドイツ!!」

真由美「どうして、ドイツに!?」

裕翔「目的は2つある。1つ目は欧州には龍の目に関する研究所が僅かながら、残っている。そこで、研究に協力しつつ、修行を積み、力を身につける事。2つ目はドイツいる間、ドイツの対テロ特殊部隊『GSG-9』に入隊し、テロに対する戦術、技術を学ぶ事。これが俺がドイツに行く理由だ。表向きは留学になるが、話した以上下手に他の奴に喋るなよ。」

と裕翔が言うと、

克人「葉山、お前がドイツに行く目的は分かった。だが、何故このタイミングなのだ。」

裕翔「お前らは古田上官から、今回の事件の件の詳細は聞いたか。」

摩利「いや、まだ聞かされていない。」

裕翔「そうか。なら、今ここで話しておくよ。今回の事件の首謀者、スコーピオンは遺体で発見された。」

キリト「ああ。お前が斬ったからな。」

裕翔「いや、死因は俺との戦闘後、何者かによる刺殺だそうだ。」

摩利「バカな。お前との決着後奴は倒れた筈だ。」

裕翔「あぁ、確かに俺が斬った後、奴は倒れた。だが、奴を斬った時、俺自身奴が殺せたとは思えなかった。あまり、良いことではないが今まで人を何人も殺してきたから、人が殺した時の感覚は何となく分かる。だが、あの時は奴からそんな感覚がしなかった。実際に遺体は現場から少し離れた山の中で見つかってる。」

ミト「つまり、スコーピオンを殺したのは別の奴って事ね。犯人に目星はついてるの?」

裕翔「古田上官によると、犯人は奴が所属していたPMCの手にやるものだと。だが、そのPMCはソ連国内にあるから調査するにも時間がかかる上、証拠も少ない。でも、これだけは言える。今回の一件で、スコーピオンのような龍の目を持つ隠れた脅威がいて、またいつかは仕掛けてくるという事だ。その時に備える事も今回、俺がドイツに行く理由だ。」

克人「分かった。確かに葉山が言うことは一理ある。俺も今回の件には自分の力が至らなかった部分もあった。俺はお前を友人として応援しよう。」

リズ「すごい、上から目線。」

克人「すまない。」

キリト「気にするなよ。十文字。葉山はこんな事でキレたらしないから。」

裕翔「お前に関しては俺を舐めてるだろ。」

キリト「まぁ、少しだけ。」

と言った瞬間、

シュッ

ダンッ

キリト「・・・・・。」

キリトの左頬を何かが掠め、壁に刺さる。キリトは顔を青ざめ、ゆっくりと左を見ると、そこには一本の果物ナイフが刺さっていた。そして、

裕翔「次は、外さないぞ。」

と次の果物ナイフを構える。

キリト「すいませんでした。」

と土下座する。

アスナ「2人とも此処が病院だと言うこと忘れてないかしら。」

キリト「そうだぞ。葉山、アスナのいう通りだ。」

と注意されている本人が葉山に注意する。そして、

ブチッ

裕翔「どうやら、本当に死にたいようだな。」

と裕翔は襲い掛かろうとする。すると、

真由美「はい。もう、そこまで。葉山君も怪我が治ったばかりなんだから、これ以上下手に動けば傷口が開くわよ。桐ヶ谷君も、ふざけすぎ。」

と真由美が注意し、

真由美「取り敢えず、皆んな納得したんだし、今日は帰りましょ。」

と言うと、皆んな立ち上がり、

真由美「葉山君、お大事に」

と真由美は皆んな連れて病室を去っていく。しかし、

裕翔「・・・・・七草の奴、なんか引っかかるな。」

と呟くのであった。

 

2日後、

午後4時

第1高校 生徒会室

裕翔から、ドイツへの留学を聞かされて早くも2日経ち、いつも通り過ごしていた。しかし、

鈴音「会長、本日の書類は以上になります。」

真由美「そう。リンちゃん、今日はもう上がって良いわよ。」

鈴音「分かりました。それでは、失礼します。渡辺さんもお疲れ様です。」

と椅子に座り、真由美の業務が終わるのを待っていた摩利にも一礼し、生徒会室を出る。そして、真由美と2人きりになると、

摩利「お疲れ。以外と時間が掛ったな。」

真由美「そうね。ちょっと、今日は疲れてたのかもね。」

と笑顔で返すが、

摩利「納得のいかないのか。葉山が留学する事が。」

真由美「・・・・・何の事。」

摩利「私が気づいていないとでも思うのか。」

真由美「・・・・・・。」

摩利「この半年間、親友として一緒に居てお前の考えはある程度分かる。お前は気になる事が出来たら、必ず無理をするようになる。この2日間、お前は何かと無理していた感じがあった。別に無理に聞くつもりはないが、言いたい事があるなら早めに言っておけ。葉山はもう、前を向いて歩き始めているぞ。今日は私も用事がある。悪いが、先に失礼する。」

と言うと摩利も生徒会室を出ていく。そして、残った真由美は、

真由美「・・・・・。」

その後、静かに後片付けを行い生徒会室を戸締りすると、そのまま正門へと向かって言った。

 

午後6時

七草家 本邸

ドサッ

学園から家に帰宅した真由美は部屋に入ると直ぐにベットの上に倒れ、

真由美「私は・・・・・どうすれば良いのかしら。」

と真由美は呟く。

真由美(摩利の言う通り、葉山君の留学の件を聞いてから、心が落ち着かない。本当なら、ドイツに行かずに居て欲しい。でも、そんな事をすれば、葉山君の気持ちを踏み躙る事になる。そんな事はしたくない。でも・・・・・。)

と考えていると、

コンコン

三郎「真由美様。お時間よろしいですか。」

とノックの後、ドアの反対側から護衛の名倉三郎の声が聞こえてくる。真由美はベットから立ち上がり、

ガチャ

ドアを開け、

真由美「何かしら。」

と三郎に聞く。

三郎「先程、真由美様と話がしたいとお客様から連絡があり、お屋敷の外でお待ちしておるとの事でして。真由美様がお忙しいのであれば、後日改めて来るようにお伝えします。」

と話を聞くと、

真由美(こんな時間に一体誰が・・・・・。)

と考えつつも、

真由美「いえ、直ぐに向かうのでもう少し、待ってもらっていて下さい。」

三郎「かしこまりました。」

と伝え、真由美は部屋に戻る。

 

午後6時17分

ガチャ

三郎「お待たせしました。今、真由美様をお連れしました。」

と三郎が門を開き、相手に伝える。そして、真由美もそれに続き、相手の顔を確認する。しかし、そこに居たのは

真由美「葉山君!?」

まだ、病院で入院したままの筈である裕翔の姿があった。

真由美「どうして、此処に!?入院中の筈じゃあ・・・。」

裕翔「お前がなんか変に悩んでるって渡辺から連絡受けたから仕方なく来たんよ。」

真由美「まさか、その為に抜け出してきたの。」

裕翔「ちゃんと、病院からの許可も得てる。それに怪我の部分はほぼ、完治してる。今週末には退院しも良いってよ。」

と話していると、

三郎「真由美様、弘一様には私から伝えておくので2人での外出を楽しんで来てください。」

真由美「えっ!?でも、こんな時間に行けば流石にお父様でも。」

三郎「真由美様。確かに家の事も大事では有りますが、何よりも大切なのは真由美様自身です。もっとご自身を大切なさって下さい。」

真由美「名倉さん。・・・・・ありがとうございます。行ってきます。」

三郎「行ってらっしゃいませ。葉山様、真由美様をよろしくお願いします。」

と三郎が頭を下げると、

裕翔「分かりました。」

と答え、そのまま真由美ともに乗ってきた車に乗り込み、屋敷を後にした。

 

午後6時20分

裕翔「・・・・・。」

真由美「・・・・・。」

裕翔と真由美は屋敷を離れた後、2人は何も話さずにいた。すると、

真由美「ほんとに怪我は大丈夫なの。」

と真由美が聞くと、

裕翔「あぁ。別に倒れたのも、元々は龍の目による後遺症が原因だからな。まぁ、今回は少しやり過ぎたが。それよりお前、何にそんなに悩んでるだ。」

真由美「・・・・・葉山くんらしくないわね。」

裕翔「誰のせいだ!誰の!!お陰でこっちは外出届けを出した後、家に戻って車まで取りに行ってたんだぞ。ベットでゆっくりしてたら、いきなり渡辺から連絡が来て、「お前のせいで真由美の悩みを解決出来ずにいる。お前が原因だから、責任もって解決しろ。」とか意味の分からない事を一方的に言われて、来たんだよ。」

真由美「別に迎えに来てって私は頼んでないわ。」

裕翔「こっちも、このまま変にドイツに行ったらモヤモヤが残るだろ。とにかく、少し遠くに行くぞ。」

と裕翔は車を走らせる。

 

午後7時

バンッ

裕翔「此処だ。」

と裕翔はと真由美はとある山の中で車からおり、そのまま少し、歩くと

真由美「うわぁ!!綺麗。」

そこには光り輝く東京の街が広がっていた。

裕翔「ガキの頃、親父がこの場所を教えてくれて、嫌な事が会った時はここに来てた。何故か、ここに居ると気持ちも落ち着くんだ。」

真由美「そうね。この景色を見ていると落ち着いてくるわ。」

と見つめていると、

裕翔「本当なら、あまりこういったところは教えないようにしてるんだ。」

真由美「なら、どうして私に。」

裕翔「特に理由なんてねぇよ。なんとなくだ。なんとなく。・・・・・それで、何に悩んでるんだ。」

と裕翔が聞くと、

真由美「そういう葉山君はどうして、そこまでして強くなろうとするの。」

裕翔「前にも言っただろ。俺みたいな人間を生み出さない為だ。復讐は復讐しか生まない。こんな血塗られた道を歩むのは俺一人で十分だ。だが、今の俺の力だと、また俺みたいな人間を増やすだけだ。だから、ドイツで龍の目に関する知識や制御方法など学んで、強くなろうと思ったんだ。単に魔法や剣術を身につけるだけではダメなんだ。」

真由美「そう。葉山君は凄いわね。私なんかよりもずっと前を見てて。」

裕翔「俺からしたら、お前の方が何倍もすげぇよ。」

真由美「えっ?」

裕翔「真由美には俺とは違って、皆んなをまとめる力を持ってる。そういったところは俺でも厳しいからな。それにお前は俺と比べて信頼されてる面も多い。だから、生徒会長という立場にもつけたんだろ。お前はそういった面を活かしながら、強くなればいいんだよ。」

と言うと裕翔は

裕翔「そろそろ、帰らないと弘一さんに誘拐扱いされそうだから、帰るぞ。」

車に戻って行く。すると、

真由美「葉山君。」

裕翔「うん?」

真由美「ありがとう。」

と笑顔で言ってくる。それを見た裕翔は

裕翔「俺は渡辺に言われたから、動いただけだ。礼なら、渡辺に言えよ。早く、帰るぞ。」

と言うと、裕翔は車へと戻り、真由美を家に送り届けたのだった。

 

そして、2週間後、

午前11時

成田国際空港

遂に裕翔がドイツへ向かう日がやってきた。そして、その本人は

裕翔「悪いな。わざわざ、送ってきてもらって。姉さん。」

咲「良いのよ。弟とこれから半年間も会えなくなるんだから、家族として送るのは当たり前よ。」

見送りに来た、姉の咲と一緒に成田国際空港に来ていた。

裕翔「年末には帰るから、2ヶ月後には会えるよ。」

と裕翔が言うと、

咲「・・・・・。」

咲は静かに裕翔を見つめる。

裕翔「なんか、顔についてるか。」

と聞くと、

咲「いつ見ても、お母様と同じ目をしてるわね。」

裕翔「何だよ。急に。」

咲「いえ、なんでもないわ。」

裕翔「そうか。なら、そろそろ行くよ。」

と搭乗口に向かおうとすると、

咲「裕翔、少し待って。お友達が見送りに来てくれたわよ。」

と言われ裕翔が振り返ると、そこには真由美、克人、摩利、キリト、アスナ、リズ、ミトの姿があった。

裕翔「お前ら、今日は学校だろ。どうして此処に?」

キリト「早退扱いで来たんだよ。親友がドイツに行くのを昨日の見送りだけで終わらせるわけにはいかないだろ。」

摩利「まっ、皆んな見送りしたかったんだよ。葉山、向こうでも頑張れよ。」

裕翔「言われなくても、仕事で行くんだ。全力でやるに決まってるだろ。」

摩利「流石、特殊部隊の隊長。言う事が違うな。」

と話していると

克人「葉山。」

今度は克人が声をかける。

克人「この日を迎える前に一度、お前と戦いたかったが。」

裕翔「そこは半年後のお楽しみだな。俺もお前の実力を見てみたかったからな。楽しみにしてるよ。」

克人「そうか。半年後のお前の実力楽しみにしているぞ。」

と言うと、克人は手を差し出してくる。それを見た裕翔は

裕翔「ああ。」

と2人は互いに手を握り、握手する。そして、最後は

摩利「ほら、真由美。ちゃんと言いたいことを。」

真由美「分かってるわよ。」

と真由美が前に出てくる。そして、

真由美「葉山君、私は必ずこの一校にいる間に優等生と劣等生、そしてSAOサバイバーという壁を無くしてみせるわ。だから、見ていて。半年後貴方が本当に変わったと思える一校を見せてあげる。」

裕翔「・・・・・なるほど。それが今のお前の目標か。悪くないんじゃないか。まぁ、それなりに期待してるよ。後、裕翔で良いよ真由美。」

真由美「えっ!?」

と真由美が動揺していると

『間も無く、ドイツ、フランクフルト国際空港行きの便の搭乗を開始します。ご搭乗されるお客様は搭乗口をお越し下さいませ。』

とアナウンスが流れる。

裕翔「悪い、もう行くよ。姉さん、ありがとう。行ってくる。」

と裕翔は駆け足で搭乗口へと向かい始める。すると、

真由美「葉山君!!」

と呼び止められる。そして、

真由美「いってらっしゃい。」

と真由美は裕翔に笑顔で手を振る。それに対して、

裕翔「・・・・・行ってくる。」

と言うと、裕翔はそのまま搭乗口へと入って行った。

そして、

 

午前11時20分

ヒューン

成田国際空港 展望デッキ

裕翔が乗った飛行機はドイツ、フランクフルトへと飛び立って行った。

それを真由美は最後まで展望デッキで見送っていた。すると、

咲「彼氏がいなくなって寂しい?」

と咲が声をかけてくる。

真由美「咲さん!?別に裕翔君とは恋人関係では!?」

咲「分かってるわ。でも、寂しいのは事実でしょ。」

真由美「はい。確かに寂しいです。でも、同時に負けてられないなって思いました。私も負けないように頑張っていきます。そういう咲さんはどうなんですか。」

咲「そうね。私も同じ気持ちね。でも、裕翔を見ていてあの子の成長したなと思ったわ。時々ね、思い出すの。裕翔と初めて会った時のこと。あんなに小さい手で泣きながら、私の手を握ってた。でも、今では知らない間に大きくなって私の心配関係なく前に進むようになって。姉として誇らしく思えるわ。」

真由美「私も、友人として誇らしく思えます。誰よりも前を向いてて。でもだからこそ、負けたくないんです。友人として。」

咲「・・・・・ふふ。そうね。私も、そろそろ仕事に戻るわ。真由美さん。裕翔の事、応援してるから。恋人同時になったら、連絡してね。」

真由美「えっ!?」

と真由美は顔を真っ赤にするのであった。そして、再び、時が経ち

 

12月8日

午後4時15分

第一高校 生徒会室

裕翔がドイツに旅立ち、1ヶ月が経ち、真由美達は今日も平和な日々を過ごしていた。更に

摩利「真由美、誕生日おめでとう。」

アスナ・リズ「おめでとう。」

今日は真由美の誕生日でもあった。

真由美「ありがとう。皆んな。」

と真由美は嬉しそうに礼を言う。すると、

アスナ「はい。これは摩利と私、ミト、リズの4人からのプレゼント。」

と女子組と男子組に分かれて、プレゼントを渡される。摩利、アスナ、リズ、ミトそして、鈴音の女子組からはネイルセットを、克人とキリトの男子組からは名前入りの万年筆がプレゼントとして送られてた。

真由美「ありがとう。皆んな。大事に使わしてもらうね。」

と礼を言っていると、

鈴音「会長、もう一つプレゼントが届いています。中身は確認してませんが、今日会長宛てに届くようになっていたのでプレゼントかと。」

と鈴音が小さな箱を持ってくる。

摩利「なんだ、誰からだ。」

真由美「宛先は書いてないわ。」

と言いつつ、真由美は中身を確認する。そして、中には

真由美「これって・・・・・どうして・・・・。」

夏休みの終わりにデパートで見つけたタンザサイトという鉱石で装飾された髪飾りが入っていた。

アスナ「すごい、綺麗ね。」

真由美「前に葉山君と一緒に出かけた時に見つけたんだけど、テロであのお店は閉店したのに。それにこれを使ってる職人はドイツにしか・・・・・もしかして。」

と再度、箱の中を確認すると、

真由美「あった。」

1通の手紙が入っていた。そして、封筒の中から手紙を取り出し、内容を確認する。

 

(手紙の内容)

『七草真由美殿へ この度、誕生日おめでとう御座います。以前に気になっていた髪飾りを作られていた職人と会う機会がこちらであった為、職人に頼み、全く同じではありませんが、オーダーメイドという形で用意してもらい勝手ながらコチラをプレゼントとして送らせてもらいました。気に入って頂けると幸いです。そして、真由美殿が生徒会長として奮闘されている事は耳にしています。こちらでは毎日、訓練と力の制御に明け暮れています。まだ目標までは遠い道のりですが、お互いにいつか目標に辿り着ければ良いなと思っています。再度になりますが、誕生日おめでとう御座います。 葉山裕翔より」

 

と真由美は手紙を呼び上げると、自然と笑顔になる。そして、

真由美「そっか、あの時の事、覚えててくれたんだ。」

と呟く。

 

そして、その手紙を送った本人は

ドイツ 首都ベルリン

「間も無く、現場に着く。既に暴徒が数名が飲食店に立てこもり、食事をしていた客を人質に取っている。現在も交渉が行われているが、交渉が上手くいかなかったら我々の出番になる。裕翔、日本で鍛えた実力、当てにさせてもらうぞ。」

裕翔「ヤボール。」

と答えると、

キー

車が停車し、

ガタッ

一気に乗っていた隊員が降り、現場へと向かう。そして、その中には

裕翔(テロが消えない限り、俺は戦い続けるぞ。守るものを守るために最後まで。)

家族をテロで奪われた中、再び大切なものを見つけたこの少年、葉山裕翔は今日も戦い続ける。本当の平和な日がくるまで。しかし、彼はまだ知らなかった。まだ、彼の知らない。多くの脅威がこの世にいることに。

 

 

東京 渋谷

謎の男「そうですか。彼は今、ドイツに。道理で見つからない訳ですね。彼が戻り次第、連絡を」

と男は通信を切る。そして、

謎の男「それでこそ貴方ですよ。葉山裕翔。近いうちに貴方を再び5年前の絶望の淵に叩き落としてあげましょう。ふははは!!」

 

『2年生編』へと続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご愛読いただきありがとうございます。アニトクです。今回で1年生編は最終回となります。ここまでこれたのも多くの方々からの応援があったからです。今後は異世界編、2年生編を同時に投稿していく予定です。これからも編集等を頑張っていくので応援ほどよろしくお願いします。それでは、また次のお話、お楽しみに。
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