龍の目を持つ悪魔(1年生編)   作:アニ督

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第6話 家族

2093年4月14日

午前12時

東京 渋谷

 

学園入学から早くも1週間が経過した。新入生は学園生活にも慣れ、新たな仲間と共に楽しい日々を送っていた。そして、今日は日曜日。どこ学園も大半が休みである。そんな日の学生は大抵は友人と共に出かけてショッピングなどを楽しむのが普通だ。そんな中、この2人の女性も同じように楽しんでいた。

摩利「ふぅ〜。やはり、休みの日はこのように楽しむのが1番だな。」

真由美「そうねぇ〜。たまにはこうするのも悪くないわね。」

と2人はカフェでコーヒー飲みつつゆっくりしていた。

摩利「ところで、真由美。なんで私を誘ったんだ。私じゃなくてもお前も葉山や十文字がいるだろ。」

真由美「もちろ。誘ったわよ。でも2人とも用事があるって断られたのよ。特に葉山君なんて「自分には何のメリットも無いから」って言って切ったのよ。ほんと、少しくらい付き合ってくれてもいいじゃない。」

摩利「仕方ないだろ。アイツは特殊部隊の隊長なんだから。もしかしたら前みたいな連中の対処しているかもしれないだろ。」

真由美「それでも、もう少し女性に対する言葉ってもんが・・・・・あれ?」

突如、真由美は摩利の方を見つめる。

摩利「どうした。真由美。急に私なんか見つめて。私の顔に何か付いてるか。」

真由美「ねぇ。あれ葉山君じゃない?」

と真由美が指を指す。そして摩利も真由美が指すを方を見ると、

摩利「確かに、葉山だな。」

その2人の視線の先には、大通りを挟んだ花屋で花を買う裕翔の姿があった。

真由美「何よ。人の誘いを断っておいて。」

摩利「でも、なんでこんな所に・・・・・あっ。動き始めたぞ。」

裕翔は花を購入すると、花屋を後にして何処かに向かい始めた。それを見ていた真由美は、

真由美「摩利。葉山君の後を追うわよ。」

摩利「えっ。」

真由美「だって、何をするのか気になるんだもん。」

摩利「真由美。その行為はストーカーだぞ。」

真由美「分かってるわよ。でも、どうしても気になるの。だって普段何も興味が無さそうな葉山君が花を買ってたのよ。絶対何か理由があるわよ。」

摩利「確かに、葉山が花を買っていた事は気になるがわざわざ尾行したくても明日学校で聞けばいいだろう。」

真由美「じゃあ、葉山君が素直に私達に答えてくれると思う。」

摩利「・・・・・・思わない。」

真由美「じゃあ、早く追いかけましょう。」

そう言うと、2人は裕翔の後を追い始めた。

 

5分後、

あれから2人はある程度の距離を保ちつつ、裕翔の後を追っていた。

摩利「葉山の奴。一体どこに行く気だ。」

と言っていると、

真由美「摩利。アレって。」

と言いつつ真由美はある車を指で指す。その指した先には1台の装甲車が路肩に停められていた。

摩利「あの装甲車は、あの時の。」

摩利と真由美には見覚えのある装甲車だった。

真由美「アレって、私が拉致された時に摩利たちが乗ってきた・・・・。」

摩利「そうだ。葉山。アレに乗ってきたのか。」

すると、

真由美「あっ。車に乗り込もうとしてる。」

裕翔は助手席に花を置くと、運転席側に回り車に乗り込む。そして、

ブゥーーーーーーーーーーン

葉山が乗った装甲車は走り出す。すると、真由美は

真由美「摩利。乗って。」

真由美はAIタクシーに乗り込む。

摩利「お、おい。」

摩利もすぐにAIタクシーに乗り込む。そして、葉山が乗った装甲車の後を追い始めた。

 

10分後

葉山をタクシーで追い始めて10分が経過した。

真由美「葉山君。一体何処に向かうつもりかしら。この先には確か・・・・・。」

摩利「防衛大学病院だ。」

自衛隊直属の病院、防衛大学病院が見えてきたのだ。すると、裕翔が乗った装甲車が病院の駐車場に入って行き、車を駐車し終えると病院の中に入っていく。それを見ていた2人は、

真由美「追いましょう。」

と裕翔の後をつけて、病院の中に入っていく。

 

防衛大学病院

6階

あれから2人は裕翔の後をつけて、6階まで上がって来た。すると、裕翔はある1室に入っていく。

摩利「知り合いでも入院してるのか。」

真由美「さぁ〜。とりあえず、覗いて見ましょう。」

そう言うと2人はこっそりとドアから病室を覗く。そこには、裕翔と1人の女性がいたのだ。

?「裕翔。久しぶりね。元気にしてた。」

裕翔「なんとかね。姉さんこそ、仕事を頑張ってるようだけど、休みをあんまり取れてないんじゃない。」

と話している姿を聞いた。2人は、

真由美「嘘、葉山君のお姉さん!?」

摩利「そのようだな。とても美人だな。だが、どこかで見た事があるような。」

と摩利が考えていると、

真由美「あっ!?ねぇ、葉山君のお姉さんって、あの有名な女優の葉山咲さんじゃない。」

と真由美が言うと、摩利も

摩利「そうだ。ここ最近で一気に注目されている葉山咲だ。葉山の姉だったとは・・・・・・ん?」

と言っている途中、摩利は病室の入り口に貼られている患者の名前の札が目に入る。

摩利「葉山・・・・・雪・・・・。」

真由美「葉山君の親戚かしら。」

と2人が札を見ていると、

裕翔「悪い。少しお手洗いに行ってくる。」

咲「私も行くわ。花を飾る花瓶を借りたいから。」そう言うと、2人は

摩利と真由美の元に近づいてくる。

摩利「まずい。2人が来る。」

真由美「急いで隠れましょう。」

そう言うと、2人は病室のドアから離れる。そして、

裕翔「仕事の方はどうなの。」

咲「う〜ん。前と比べたら少し増えたかな。」

と話しながら裕翔と咲は病室を出ていく。それを見ていた真由美と摩利は、

真由美「ふぅ〜、焦ったわ。」

摩利「全くだ。危うく見つかるところだった。」

真由美「とりあえず、もう一度あの病室を覗いてみましょう。」

そう言うと、2人は再び同じ位置から病室を覗く。そこには個室の病室のベットで、眠っている銀髪の少女の姿があった。少女は、酸素マスクを付けたまま天井を向いたまま眠っていた。

真由美「あの子、もしかして葉山君の妹さん。」

摩利「えっ!?」

真由美「古田上官から聞いたの。葉山君には4年前の爆破テロの事件以来意識が戻らない妹さんがいるって。」

摩利「じゃあ、あの子が・・・・・。」

と2人が寝ている雪を見ていると、

?「あの〜、妹に何か用ですか。」

と声をかけられる。

真由美・摩利「!!」

と2人が声をかけられた方を向くと、そこには裕翔の姉である葉山先の姿があった。

咲「すいません。驚かせてしまって。」

真由美「いえ、そんな。私達は葉山君のクラスメイトでして。」

咲「じゃあ、裕翔のお友達なのね。」

摩利「まぁ、そういったところで・・・・・。」

と言いかけた瞬間、

裕翔「ちげぇよ。そいつらはただのストーカーだ。」

とお手洗いから戻ってきた裕翔が言ってくる。

真由美「は、葉山君!?」

咲「裕翔‼︎お友達になんて事を言うの‼︎」

裕翔「だって、コイツら渋谷からずっと後をつけてたからな。」

摩利「気づいていたのか。」

裕翔「当たり前だ。お前ら独特の気配ですぐに気づいたわ。で、こんなの所まで何の用だ。」

真由美「いや、その〜。」

裕翔「その感じだと、ただ後をつけてきただけのようだな。それならさっさと帰っ・・・・。」

と言おうと言おうとした瞬間、

咲「ねぇ、せっかくだからお茶でもしていって。」

と咲が2人がお茶に誘う。

裕翔「はっ!?」

咲「わざわざ来てもらったのにこのまま帰すのも悪いでしょ。」

裕翔「だが・・・・・。」

咲「やると言ったらやるの。」

裕翔「チッ、分かったよ。でも、お茶会には参加しない。悪いけど、外の空気を吸ってくる。」

そう言うと、裕翔は去って行く。

咲「ごめんなさいね。私の弟が。」

と先が2人に謝る。

真由美「いえ、私達こそ勝手に後をつけちゃって。」

摩利「すいません。ご迷惑ない事をして。」

咲「気にしないで。それに私も聞きたい事何あったから。じゃあ、この階のテラスに座っておいて。お茶を用意してくるから。」

そう言うと、咲も2人を置いてどこかに向かう。

 

午後12時53分

咲「お待たせぇ〜。」

咲がコーヒーが入った紙コップを持って、2人の前に現れる。

咲「2人とも、コーヒーで大丈夫よね。」

真由美「はい、ありがとうございます。」

摩利「すいません。わざわざコーヒーを用意してもらって。」

咲「良いのよ。別に。」

と咲は咲は座りながら答える。そして、

咲「それで、2人は裕翔と同じクラスなのよね。」

摩利「はい。」

咲「裕翔は、普段学校ではどんな感じなの。」

真由美「え〜と・・・・・。」

と真由美が考えていると、

咲「その様子だと、裕翔との関係はあまり良くないようね。」

真由美「すいません。」

と真由美が謝る。

咲「良いのよ。別に。昔の裕翔はね。明るくて、いつも笑顔だったの。」

摩利「えっ!?」

真由美「あの裕翔君が・・・・・。」

と2人は驚きを隠せない。

咲「私の父はね昔、本家から追い出された人なの。当時、父は、魔法があまり使えない事を理由に葉山家の本家から追い出されたて、1人で新たな葉山家を作り上げたの。そして、父は対テロ組織を立ち上げたと同時に、魔法が使えなかった父は母と共にある力の研究もしていたわ。魔法の原点ともなった・・・・。」

真由美「竜の目。」

咲「知っているの!?」

真由美「前に、葉山君が使ってる姿を見ました。」

咲「あの子、何してるのよ。」

と咲は呆れた感じて言う。すると、

摩利「あの〜、さっきの子ベットで寝てたのは・・・・・。」

咲「葉山雪。私と裕翔の妹よ。そして、私達にとって数少ない肉親。雪はね。4年前の学園爆破テロに巻き込まれてね、それ以来意識を取り戻さないの。裕翔にとって雪は、唯一の味方なの。裕翔は、幼い頃から劣等扱いされてたの。でも、そんなときに、いつも味方でいてくれたのが雪だった。裕翔のことをいつも尊敬してたわ。でも、ある時、雪が父の跡を継ぐ後継者に選ばれたの。理由は、父の死。裕翔と私の、両親はね二人ともテロで死んだの。母は、私が7歳時に、父は13のときに亡くなったわ。二人とも裕翔の目の前でね。そして父が死んだあと、雪が後継者になることになった。その時にね。裕翔は、雪に対して、こう言ったの。「必ず守る」ってね。でも、その翌年、雪は、爆破テロに巻き込まれて昏睡状態になってしまった。そして、雪との約束を守れなかった裕翔は、周りから責めたわ。そして、自分自身も。」

真由美・摩利「・・・・・・・・」

咲「その後、裕翔が雪の代わりに、当主の座についたわ。でも、裕翔を味方してくれる人はいなかった。それ以来、裕翔はいつも1人だったわ。学校にも行かず、ただひたすら仕事に没頭していたわ。」

真由美(そんな、辛い人生を・・・・。)

咲から聞いた事に真由美はあの時裕翔に言われた事をようやく理解できた。

 

拉致されたあの日

裕翔「お前達と俺が生きてきた世界は違うんだよ。」

 

真由美(確かに、違う。)

と真由美は考えていた。

 

一方、裕翔は

裕翔「雪。兄ちゃんな、仕事で魔法科高校に通う事になったんだ。正直言って嫌だったけど、今は悪くないかなと思ってるんだよね。」

と俺は眠たったままの雪に対して話しかける。すると、俺は後ろからある人物の気配を感じる。そして、

裕翔「何のようだ。」

とその人物に対して聞く。そして、後ろを振り返る。

?「孫娘の見舞いに来ただけだ。」

裕翔「ふっ・・・・・。よくもまぁ、雪のことを孫娘だと言えるもんだなぁ。葉山忠敬。」

葉山忠敬。本家の葉山家の元当主であり、今は四葉家の当主四葉真夜の執事をしている。そして、俺や姉さん、雪の祖父だ。

裕翔「ここにアンタが来る資格はない。とっと、帰りな。」

忠敬「裕翔。お前は・・・・。」

裕翔「俺の前から失せろ!!」

忠敬「・・・・・。」

裕翔「今更何のようだ。父さんを本家から追い出し、父さんや母さんが死んだ時も俺や雪や姉さんに何も手を差し伸べてすらくれなかったアンタを俺は祖父だとは思わない。本家の利益しか考えていないアンタに俺や雪、姉さんを孫という資格はない!!」

すると、

咲「裕翔。何が・・・。」

そこに姉さんと真由美と摩利の3人が戻ってくる。

裕翔「姉さん。悪い、ちょっと嫌な客が来ちまった。」

咲「そのようね。それで、何のようですか。忠敬さん。」

忠敬「雪の見舞いに来ただけだ。」

咲「アナタにその資格があると思うんですか。父を見捨て、私達を助けてもくれなかったアナタに。」

忠敬「・・・・・すまないと思っている。」

と忠敬は言ってくる。それに対して、俺は

カチャ

デザートイーグルを取り出し、忠敬に銃口を向ける。

裕翔「ふざけるな!!何がすまないだ!!今まで、俺たちのことを気にしたこともなかったくせに!!」

と銃口を向たまま、俺は忠敬を怒鳴る。すると、

忠敬「裕翔。お前が私を恨む理由は分かる。だが、この際に言っておこう。裕翔。私と共に来なさい。真夜様がお前の事を気に入ってくださった。私と共に来れば、雪の治療の研究の資金も出すと言ってくださってる。お前の力は貴重なものだ。今お前を失うことは惜しいのだ。葉山家や四葉家にとってもだ。」

裕翔「ふっ・・・・・。それがここに来た理由か。どうせ、そんな事だろうと思ってたよ。やっぱりアンタは本家の利益のことしか考えていない。そんな、アンタについて行くなんて死んでもごめんだ。」

忠敬「裕翔。私は・・・・。」

と言おうとすると、

真由美「忠敬さん。」

と真由美が話しかける。

忠敬「これは、真由美様。お久しぶりでございます。」

真由美「久しぶりですね。忠敬さん。去年のパーティー以来ですね。」

忠敬「はい。その件ではお世話になりました。ところで、どうして真由美様がこちらに。」

真由美「葉山君は、私の友人です。葉山君には、色々とお世話になっているので。だから、今日はお引き取りをお願いします。」

忠敬「・・・・・何故でございましょうか。」

真由美「葉山君は、我が一族、七草家にとっても惜しい人物なのです。つまり、葉山君を狙っているのは四葉家だけではないということです。」

忠敬「・・・・・。」

真由美「これは、私の父である七草弘一から四葉家当主真夜様への伝言です。もし、葉山裕翔の親族もしくは、本人に手を出した場合、我々、七草家は十文字家と共に徹底的に四葉家を叩くとの事です。それでは、伝言よろしくお願いしますね。」

忠敬「かしこまりました。それでは、失礼します。裕翔、大きくなったな。」

裕翔「・・・・・・。」

そういうと、忠敬は帰って行った。

そして、忠敬が帰った後、

咲「ありがとうね。真由美ちゃん。」

姉さんは、真由美にお礼をずっと言い続けていた。

裕翔「で、さっきの事の本当なのか。」

と真由美か言ってた事について俺が聞くと、

真由美「本当よ。前の件で、私も十文字君も助けられたからね。だから、この前私のお父さんと十文字君のお父さんと話し合った結果、葉山の後ろ盾になる事にしたの。もちろん、頼みたいことがあったら何でも言ってね。」

裕翔「余計な事を。言っておくが、俺はどこの家にも着く気はないからな。」

真由美「良いのよ。それで。葉山君がこういった事が嫌いだということはよく分かった。だから、無理に十支族につかなくてもいい。ただ、いざとなった時は手を貸すということよ。」

裕翔「・・・・・・。」

俺は、黙り込む。すると、

咲「そろそろ、時間も時間だから、帰りましょうか。裕翔。アナタは先に帰りなさい。私は、2人を送って行くから。」

裕翔「・・・・・分かった。」

そう言うと、俺は眠っている雪に対して、

裕翔「また、来るからな。」

と雪の頭を撫でると俺は病室のドアに向かう。そして、病室から出る際に、俺は

裕翔「七草、渡辺。今日の件はできる限り黙っておいてくれ。」

と言い残し、俺は病院を出た。そして、病院の外に出ると、俺のスマホが急に鳴り出す。俺はすぐにスマホを取り出すと、スマホの画面には古田上官の電話番号が出ていた。俺は、すぐに電話に出ると、

古田『葉山君。休みの日に悪いが至急対応してほしい事がある。』

裕翔「内容は。」

古田『羽田空港で国際テロ組織である《インステッドウルフ》の日本支部が違法な取引を今日の20時に行うという情報が入った。直ぐに対応に当たってほしい。』

裕翔「分かりました。全ては、テロ組織の根絶ために。」

そう言うと、俺は電話を切り、指示された予定合流ポイントに向かった。そして、次の日ニュースにおいて、羽田空港の第8格納庫において謎の大爆発が報道された。表では格納していた旧式の旅客機でエンジンの不具合よる爆発が原因と言われている。だが、この件の裏で自衛隊の特殊部隊が動いていた事は自衛隊の一部しか知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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