急募:ラスボスに転生した一般人が平和に生きる方法 作:鬼怒藍落
「どうしたどうした逃げてばかりか!」
テンションが上がっているのか槍を乱射しながら襲ってくる吸血鬼。
覚悟を決めて挑んでみたが、圧倒的なレベル差を覆すことは難しく早くも僕は防戦一方となっていた。
しかも手加減された上でだ。
相手に俺を殺す気があったら今頃俺は死体になっていただろうし、殺す気がなくても既に満身創痍な僕が生き残れる未来なんて全然見えない。
縦横無尽に森の中をかけながら、なんども奇襲を仕掛けてみるもそれも全部防がれているし、全くもって笑えないのだ。
で、何より厄介なのが――。
「その再生能力だよね!」
なんとか見つけた隙を突いて、女吸血鬼の腕を刎ね飛ばして見たけれど痛みを感じていないのか、そのままこっちに向かってきて避けて視線を戻せばもう傷が治っていたのだ。
340:名無しの転生者
糞が!
341:名無しの転生者
上級魔族やっぱりやばいな
342:名無しの転生者
また治りよる
343:名無しの転生者
聖銀製の武器じゃないと死なない害虫が!
344:名無しの転生者
皆の口が悪い
とりあえず吸血鬼は滅べ
345:名無しの転生者
オマエモナー
避けながらそして何より逃げながら頭の中にある攻略ノートの情報をまとめていく。相手は吸血鬼、性格的に格下には慢心する魔界出身の魔族。
ありとあらゆる種族の血液糧にして数百年の時を生きるとされる化物。
身体能力が高い上に性能が良いリジェネ持ち。弱点は聖銀や太陽の加護が宿った武器や流水でそれ以外の攻撃はあまり効果がない。
346:名無しの転生者
銀製の武器のおかげでダメージが入ってるか感じだな
347:名無しの転生者
でも序盤の武器のせいで治される……殺すのは無理な気がする
348:名無しの転生者
じゃあどうするんだ? イッチに対抗手段がないぞ
349:名無しの転生者
というかイッチの身体能力上がってね?
350:名無しの転生者
言われてみれば確かに、普段キキョウの力借りてる時より素早いぞ
351:有能ニキ
フェンリル共闘時のバフだな
アリアを主人公として選んだ時のイベントで、フェンリルとの共闘があるんだが、その時には聖獣の加護というバフがかかるんだ
352:名無しの転生者
それのおかげで生き残れてるのか
353:名無しの転生者
相手は気づいてないみたいだけど、気付かれたら先にフェンリルを潰されるぞこれ
「ちょこまかと、逃げるなよガキ!」
「逃げられる方が悪いんじゃない? というかそんな事いうなら追いついてみてよ」
森の奥に逃げるように攻撃を暫く避け続け、ある程度距離が空いた所でキキョウに乗った俺は、このまま巨大なフェンリルが住む神殿を目指して駆け出して貰った。
354:名無しの転生者
煽るなイッチ!
355:名無しの転生者
いや冷静さを欠かすという作戦だ流石にこの状況で下手に煽ることはイッチでもしない
356:名無しの転生者
釣れたな女吸血鬼が先頭に出た
357:名無しの転生者
俺のチート戦力分析がイッチの視界共有のおかげで使えたが、あいつが一番弱いぞ
358:名無しの転生者
ナイス情報
359:名無しの転生者
イッチ届いたか
360:一般ラスボス
うん、わかった確実に殺す
361:有能ニキ
いやイッチ殺すな、殺したら奴らは本気出す!
絶対にフェンリルの神殿に着くまで油断されてろ!
362:一般ラスボス
りょーかい
363:名無しの転生者
レスが早い
364:名無しの転生者
殺意が高い、
365:名無しの転生者
というかイッチ、初めての殺し合いでよくメンタル持つな
366:名無しの転生者
今までは格下と同等な奴とばっかり戦ってた中でこれは凄い
367:名無しの転生者
今回の目的は生きることだ絶対にそれを忘れるなイッチ
「行くよフェンリル、回り込まれる前に!」
スピードでは勝てないのは分かってる。
だから僕はフェンリルに先導して貰い、入り組んだ森を利用してどんどん距離を離していく。
今回の戦いの目的、それは生き残る事。
まだ僕達を侮っている相手ならその目的を達成できる可能性はきっと存在している筈だし、何より勝てるわけがないので今は逃げて助かる道を見つけるしかない。
だからこそ此奴らを倒せる可能性がある神殿の主のフェンリルの元に向かうことにしたのだ。
「ッそういう事か、なら先に機動力を潰させて貰うぞ」
右斜め後ろから聞こえる男の吸血鬼の声、キキョウの能力の副産物である直感強化が警告を鳴らし避けなければという思考が頭の中を支配した。
「キキョウ避けて!」
キキョウもその直感を共有しているから後ろから飛んでくる巨大な槍を避ける事が出来たのだけど、それを持ってないフェンリルは避ける事が出来なくて――。
「しゃッ大当たりだな!」
巨大な槍が直撃し体に大きな穴を空けたフェンリルが倒れていく姿が目に入ったのだ。そしてその真後ろから、ゲームで景品を当てた時のような声音で喜ぶ吸血鬼の声と、ハイタッチしたような軽快な音まで聞こえてきたのだ。
「俺の勝ちだが、あの人間のガキはどうする?」
「勿論私が貰うわよ、ここまで健気に逃げてくれたんだもの。ご褒美くらいはあげなくちゃ」
フェンリルの力が弱まったせいで加護が消え、今まで感じる事のなかった疲労感が一気に僕を襲ってくる。そんな中で聞こえる吸血鬼達のふざけた声は、妙に遠くから聞こえてきて現実感がなかった。
368:名無しの転生者
今すぐその世界に行かせろそいつら殺す
369:名無しの転生者
誰か次元渡れるチート持ちいないか!
370:名無しの転生者
待ってろ今すぐ魔法を作り出す
俺のチートを使う時が来た!
371:名無しの転生者
目の前の助けようとしてた奴が死ぬのは慣れてないイッチには……
372:名無しの転生者
おい……イッチ?
「おいガキ、どうした急に動かなくなって」
これは僕のミスだ。
もっと早く戦闘に見切りをつけてフェンリルの元に向かってれば……そして何よりもっと逃げる事に集中してれば。
いや違う、そもそも僕が囮になっていればよかったのかも。
失敗だ。僕のミスのせいでフェンリルが死んだ……それにこのままだと攫われる。
「あ、ダメだこりゃ聞いてねぇ。まあいいか、まだやること残ってるしさっさと気絶させて連れてくわ」
男が近づいてくる。
このままいけば僕は倒されて、フェンリルの命も無駄になる――あぁ、ダメだそんなの許せない。でも無理だ、ここからこの状況を打開する力なんて僕にはない。
仇討ちだなんて正義感も、悔しさをバネに覚醒する主人公のような技はない。
でも、このままじゃダメなのだけは分かってる。
思考が真っ赤に染まる。
喉が渇いて、自分の負けが近づいてくるのが分かる――だけど諦めるのだけは駄目だと、そんな事を思っていた時だった。
『しょうがないな、少し力を貸してやるよ』
どこかから誰かの声が聞こえてきたのは。
378:名無しの転生者
視界共有が切れた!?
379:名無しの転生者
何が起こってるんだよ!
380:名無しの転生者
あとちょっとで魔法が出来るんだよ、諦めるなイッチ!
381:一般ラスボス?
悪いなちょっとこいつ借りるぞ
382:名無しの転生者
誰だ!?
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