リリカルなのはの世界のスカリエッティという男に造られ捨てられた少女が主人公ですデバイスはオマケ。
そんな主人公が、アイカツの世界に流れ着いてそこで白鳥ひめと出会うだけのお話。


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初めて過ぎて下手だし、読みにくいし、おかしいけど。
それでも許すという方だけどうぞ。

あと、百合嫌いな人は回れ右でよろしくお願いします。
はい(´;ω;`)


Small memories

あれは、この世界に流れ着いてから何年前のことだろう。

 

 

多分、まだこの世界を彷徨っていたあの頃。

 

 

初めて…温もりを知ったのはあの時だ。

 

 

全部、全部教えてくれた。

 

 

 

誰かと笑い合う幸せを…。

 

 

 

大切な人を思って切なくなる気持ちを…。

 

 

好きな人の笑顔を見るだけで嬉しくなることを…。

 

 

会えないことが途方もなく寂しくて悲しいことを…。

 

 

 

あなたが教えてくれたの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピチチッ…ピチチッ。

 

 

 

 

何かに頭を突かれる感触、そして少しだけ感じる重量。

 

 

……な、に?まだ…ねむい。

 

 

まだ眠りから覚めたくなかった私は、頭を少し振る

 

 

 

ピッ?! ピピッ ピピピピピ!!

 

 

 

 

うっ、今度はうるさくなった。

 

 

あぁ…もう、起きる。起きるから、静かにして。

 

 

そう思いながら、目はまだ瞑ったまま、体を起こす

 

 

 

ピー!!

 

 

 

 

頭が軽くなった気がして、目を開けると、驚いて飛び去る小鳥の姿が写った。

 

 

 

「…んぅ。また鳥に起こされた?…。なんで?」

 

 

 

…実はこれが初めてではなく、もう両手では数えられないほどの回数になっていた。

 

 

春の季節に、ピクリとも動かず、柔らかい髪がふわりと揺れものがそこにあれば…それはそれは鳥達にとって素晴らしい巣になるであろう事を知らない少女。

 

 

それを察している少女のデバイス、サイカは…少女のために黙っておくことにした。

 

 

 

ーーMaster. are you okey?

 

 

 

優しいデバイスである。

 

 

 

「うん。」

 

 

そうサイカに返しながら、少女はさっきまで寄りかかっていた木に振り返った。

 

 

 

ありがとう。

 

 

 

少女は心の中だけで感謝を告げて、歩き出した。

 

 

 

「いこう。」

 

 

 

ーーYes. Master.

 

 

 

 

 

目を覚ましては当てもなく彷徨い、日が落ちきるまで歩き続け、最後は歩みを止めた場所で眠り…。

 

 

また目を覚まして、また歩き続け、また眠る。

 

 

目的があるでもなく、何をするでもなく、歩く。

 

 

普通の人なら考えられない異常な毎日。

 

 

それが、まだ空っぽだった少女の日常だった。

 

 

 

 

 

 

【今日はどこへ行こう…。】

 

 

 

 

 

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

カシャッ…カシャッ。

 

 

 

 

「白鳥さん、お疲れ様でした。」

 

 

 

ライトを調節するスタッフ。

 

 

 

「白鳥さん。さっきの写真、使わせてもらうよ。」

 

 

 

写真を撮るカメラマン。

 

 

 

「白鳥さん。荷物はもうお部屋に届いてるみたいです。ゆっくり休んでください。」

 

 

 

いつもお世話になっているマネージャー。

 

 

 

「白鳥さん。今日もとてもよかったですよ。次もよろしくお願いしますね。」

 

 

 

仕事を依頼した今回の監督。

 

 

 

 大人が溢れかえっているその部屋で、視線を独占していたのは…まだ幼いながら、すでに美しさをその身に宿している少女。

 

 

 

 

「はい。お疲れ様でした。」

 

 

 

 普通なら緊張で固まってしまうだろうに、少女は綺麗な笑顔で、全ての大人に応える。

 

 

それが少女の日常だった…。

 

 

 

 

少女の名前は、白鳥ひめ。

 

 

 

未来のアイドルだ。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

今日最後の仕事を終えてから数十分。

 

 

ひめはマネージャーの車に乗り、今泊まっているホテルに後は帰るだけとなった。

 

 

 

「……」

 

 

 

窓の外では、風が少し吹いているのか、木々の葉がざわめいている。

 

 

けれど葉が飛び回る程ではなく、少し揺れる程度。

 

 

今日の天気は快晴に近い晴れで、小さい雲が浮いているだけ。

 

 

梅雨に入って珍しく良い天気に、それだけでうれしくなるひめだった。

 

 

 

「ところで、今日はもう仕事がありませんね。最近は夜遅くまでありましたし、今日はゆっくりお休みください。」

 

 

 

確かに昨日まで忙しかったけど、今日は午前中に仕事が全て終わった。

 

 

そういえば明日は、自分で休みにした気がする。

 

 

ということは、明後日までお休み…。

 

 

………なら。

 

 

 

「明日は、お休みでしたね?暇つぶしにカフェに行ってみてもいいかもしれませんよ。」

 

 

「あの」

 

 

「あ、はい?」

 

 

「ごめんなさい。ここで止めてもらってもいいですか?」

 

 

「え?…え、ええ。もちろん構いませんが。」

 

 

「ありがとう。」

 

 

「…えっと、ここでよかったでしょうか。」

 

 

人がいない場所へ車を止めてくれた。

 

 

 

「はい。では…、今日はもうここまでで大丈夫です。後は歩いて帰ります。」

 

 

「え、ええ?……そ、それで、いいのですか?ここはまだ街に入っていませんし、本当に?」

 

 

「街まで歩いて一時間もしませんし、ホテルももう見えてますから。大丈夫ですよ。」

 

 

「……でも。」

 

 

 

どうもマネージャーさんは、納得してくれないみたい。このままだと付いていきますって言い出しそう。

 

 

しょうがないから、素直に話そう。

 

 

 

「…実は、お散歩がしたくて。今日は、良い天気ですから。最近はずっと気を張っていたので、気分転換がしたいと思って。」

 

 

「そう…ですか。わかりました。何かありましたら、ご連絡ください。」

 

 

 

正直に言うと、マネージャーさんは折れてくれた。

 

 

ごめんなさい。どうしても外に出たかったの。

 

 

 

「心配してくれてありがとうございます。その時は連絡させてくださいね。」

 

 

「ぜ、絶対ですよ?では、私はこれで…。」

 

 

「はい。お気をつけて。」

 

 

「白鳥さんも。お気をつけてください。それでは」

 

 

 

最後まで私に気おつけるように念を押すマネージャーさん。

 

 

車を運転してるのに、窓を開けて、何度も振り返ってくる。

 

 

心配してくれるのは嬉しいけど、安全運転をしてほしい…。

 

 

 

 

ふわり…。

 

 

 

「あ…。」

 

 

 

うん。やっぱり外に出て正解だった。すごく風が気持ちいい。

 

 

天気のいい中、少し暑かった日差しが、涼しい風で気にならなくなる。

 

 

今回仕事で来ていた街の周りは、自然が溢れていた。

 

 

今日は天気も良かったおかげか、散歩の気分にしてくれる。

元々、自然は大好きだ。

 

 

 

「…どこへ行こうかしら。」

 

 

 

とりあえず足を動かす。特に目的地があるわけでもないので、ゆっくりと…。

 

 

歩く…。

 

 

 

歩く…。

 

 

 

歩く…。

 

 

 

ただ歩いて、自然を眺めた。

 

 

 

今日は、なんだか…不思議な気分。

 

 

 

普段ならこんな場所で散歩なんてしないのに、今日はここでゆっくりしたいと思う。

 

 

 

…天気がいいせいかしら?

 

 

 

 そんな事を考えながら、広い公園のように整えられた道を歩く。

流石に普段は人が通らないのか、草たちは伸びきっていたり、倒れてしまった木もそのままになっていた。

 

 

 

基礎体力を鍛えていることもあって、まったく疲れない。

 

 

 

これならいくらでも散歩が出来そう。……まぁ、もう少しで日が暮れちゃうから、あまり長居は出来ないけど。

 

 

 

心は普段通りな気がするのに、体がいうことを聞かない。

 

 

もしかしたら長居してしまうかも…。

 

 

 

「…それにしても、どこへ向かっているのかしら。」

 

 

 

初めて来たはずなのに、足が自然と動く。

 

 

 

その様子に、自分の事ながら不思議な気持ちで自分の足と、たまに自然を眺めていた。

 

 

 

しばらく歩き続けて数分後、小さな泉のあるひらけた場所についた。

 

 

その場所でようやく足が止まると、まるで阻害されていたようにどこからともなく知らない声が響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

【ねぇ。知っているかな?】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……歌?」

 

 

 

 

…不思議な歌…。

 

 

 

白鳥ひめという少女は、アイドルを目指している。

 

 

必然的に歌に詳しい。

 

 

生まれてこのかた、歌を調べないことはなかった。

 

 

その努力による結果といえなくもないが、それだけではない。仕事柄、自然と新曲などは耳に入ってくるのだ。

 

 

そこに捜索が混じれば、おのずと知らない曲の方が少なくなってくる。

 

 

最近の曲は調べ尽くしたと思っていたが、そうでもないらしい。

 

 

と、そんな事を考えているとまた歌が聞こえてきた。

 

 

 

だが、今度は歌だけではなくとてもいい香りが漂っていた。

 

 

 

 

 

 

【流れる風の中、咲き誇る前に香る花のように】

 

 

 

 

 

 

「……いい、匂い。」

 

 

 

 

 

な、に……。この、胸を焦がすような香りは…。

 

 

 

……なに…。ただ息を吸うだけで、自分の喉に爪をたてたくなるこの衝動は…。

 

 

 

気がつくと…また足が動き出していた。一歩、一歩…もどかしい程に遅い足取りで…。

 

 

 

 

「っ…はぁ…。」

 

 

 

 

 

 

 

【未来へと導いてくれる香りを…】

 

 

 

 

歌が響くたび…、香りが増す。

 

 

 

 

み…らい?……ぁぁ…いい匂い。

 

 

 

もう、私の理性は消えかけていた。

 

 

 

 

【香りを求めた、その先は】

 

 

 

 

いい…におい……。胸が、苦しい。…痛い。熱い…。

 

 

 

 

 

 

【きっと求めてやまないあなたの欠片】

 

 

 

 

 

 

次の歌詞が響いた瞬間、何かに全身が引っかかる感覚がした。

 

 

まるで、透明な膜に引っかかるような…でもそれほど丈夫でもなく、脆くもない、中途半端な膜。

 

 

私は、香りに誘われるがまま…膜を壊さぬようにそっと中へ入っていった。

 

 

 

 

【〜〜〜〜♪】

 

 

 

 

一瞬で景色が変わった。

 

 

先程まではなかった泉…。それを覆うように大きな木々が立っていた。

 

 

少し歩くと花が多く咲いていて、小さな広場になっている場所についた。

 

 

そしてそこには…、

 

 

 

星を纏う少女がいた。

 

 

 

ふわり…。

 

 

 

運命の…香り…。

 

 

 

 

………………あぁ………すき。

 

 

 

 

私に気づいていないのか、少し浮いた状態で歌い続ける少女。

 

 

私と似たような容姿で、少し年下かと思うほどに幼い。

 

 

なのに…、一つ一つの仕草から既に美しさが滲み出ている。

 

 

 

少女が歌うたび、星達が喜ぶように少女の周りを動き回る。

 

 

その様子に微笑んで、また歌う少女。

 

 

星の眩しいほどの輝きの中で、少女だけがはっきりと目に映った。

 

 

私はその神秘的な光景に…、息を吸うことすら忘れて立ち尽くす。

 

 

触れたら、近づいたら、消えてしまうような儚い少女。

 

 

それでも力強いその歌声で、存在を主張する。

 

 

 

まるで…『私はここにいる。』

 

 

…、とでも言っているかのように。

 

 

 

私は、何をするでもなく…ただそこに立っていた。

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

いろはSide

 

 

 

 

【〜〜、〜〜〜〜♪】

 

 

 

 

私は、歌を歌っている。

 

 

 

声がもっと響くように…宙に浮いて。

 

 

 

 

キラッ……キラッ…

 

 

 

 

星が私の周りを楽しそうに回っている。

 

 

 

私が歌を歌うたび、まるで踊っているかのように

回っている。

 

 

 

その姿に私は嬉しくなって、もっと息を吸って歌を、歌う。

 

 

そのたびに星達から "ありがとう" という思いが伝わってくる。

 

 

嬉しいなぁ…。

 

 

 

えっと、どうして急に歌を歌っているかというと。

 

 

 

少し時間を遡る

 

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

 

いつものように歩いていると、サイカが突然お願いをしてきた。なんでも、今いるこの場所で私の歌が聞きたいそうだ。

 

 

 

いきなりどうしたのか、と問いかけると…この世界のシステムに懇願されたらしい。

 

 

 

は?っとうっかり返してしまったが、サイカはいたって真面目に詳細を教えてくれた。

 

 

 

煌めきが薄れている星達に元気を分けてほしいらしい。

 

 

 

最近はあまり綺麗な状態でない世界に、星たちが悲しいんでいるようで、元気が足りなくなっているみたいだ。

 

 

 

それで何故私に歌を?

 

 

 

その疑問に、サイカが今まで私が知らなかった力について教えてくれた。

 

 

 

私の歌には力があるらしい。別に攻撃できたりとか、防御できたりとかではなく。

 

 

理性ある存在を精神的に癒やす効果がある。くらいの力があるみたい。

 

 

 

どうやらその力を星達に使ってほしいとのこと。

 

 

 

それを聞いた私は、すぐに発声練習をした。

 

 

もちろんそのお願いに応えるために。

 

 

この世界には、《外》から流れ着いた私を受け入れてくれた恩がある。

 

 

 

恩を仇で返すなんて、ありえない。

 

 

 

それに、こんな私に誰かを癒やす力があるなら…。

 

 

 

惜しまず使いたい。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

というわけだ。

 

 

 

【〜〜〜〜♪……】

 

 

 

おっと、回想が終わったと同時に歌も歌い終えてしまった。

 

 

 

みんなは満足してくれたかな…。 

 

 

 

私が歌い終わると、星たちは満足そうに眩しく輝いて、消えていった。

 

 

『あなたに星の加護を…。』

 

 

という言葉を残して。

 

 

 

え。星の加護?なんかすごそう。

 

 

 

ーーー It was good.

 

 

 

ん、えへへ。ありがとうサイカ。

 

 

 

…さて、ちょっと休憩してからまた歩こうかな。

 

 

 

まだ浮いた状態だった私は、飛行モードを解除して、泉の近くにある大きな木に体を預けた。

 

 

少し乱れてしまった呼吸を整えていると、隣から声がかけられた。

 

 

 

「ねぇ。」

 

 

「ひゃあっ!?」

 

 

 

ひ、人!?なんで人がここに!?

 

 

あ、綺麗な人。あまり年は離れてなさそうだけど…その佇まいはまるで成人した美しい女性のよう。

 

 

 

「驚かせてごめんなさい。とても、綺麗だったから。話してみたくなって。」

 

 

 

「え、えっと。あの…だれ、ですか?」

 

 

 

「あ、ごめんなさい。そうね、まずは名乗らないといけないのにわたしったら…。」

 

 

 

申し訳無さそうに少し俯く綺麗な人。

 

 

 

「私の名前は 白鳥ひめ。覚えてくれたら、嬉しいな。」

 

 

 

「…いろはです。」

 

 

 

「…いろはちゃん。いろはちゃん。かわいい名前ね」

 

 

 

この世界のシステムにもらった名前を、ひめさんはなぜが嬉しそうに連呼した。

 

 

なんか、恥ずかしいな。

 

 

あれ?なんで私…警戒してないんだろう。

 

 

 

初対面なはずなのに…。

 

 

 

「いろはちゃん。いろはちゃん♪」

 

 

 

まだ連呼してる。ふふ。かわいい人だ。

 

 

 

そんなに嬉しそうにされると、こっちまで嬉しくなっちゃうよ。

 

多分、もうすでに喜色満面になっている気がする。

 

 

 

「……かわいい。」

 

 

 

「ふぇ?」

 

 

 

「いろはちゃん。かわいいなぁって。」

 

 

 

「そ、そうですか?えっと…ありがとうございます///」

 

 

 

「…、かわいい。」

 

 

 

今度はかわいいと連呼された。

 

 

 

流石に恥ずかしい…////。

 

 

こんなに綺麗な人にかわいいと言われて、浮かれない人はいないだろう。

 

 

それ以前に、他人と関わる事がほとんどないいろはに赤面を阻止する知恵はなかった。

 

 

「ふふ、真っ赤ね。かわいいと言われなれていないの?」

 

 

「…は、い。」

 

 

「誰にも?」

 

 

「…はい。誰にも。」

 

 

「そう。…なら、」

 

 

「…?」

 

 

「私がいっ…ぱい、カワイイって言ってあげる。」

 

 

「ええ、そ、そんな…困ります。は、恥ずかしい」

 

 

「…だめ?迷惑?」

 

 

「う、そ、そんな事は…」

 

 

「なら決定ね♪」

 

 

「え、えぇ…。」

 

 

 

なんか、決まってしまった。

 

 

いや、別に迷惑ってわけでもないのだが…。

んーー…、えぇ…?

 

 

 

「ん、んん?……んんん?」

 

 

「ふふ。」

 

 

 

頭を抱えて、混乱する私。

 

 

そんな私を見て少し笑っていたひめさんが、突然立ち上がった。

 

 

「ん……。?、ひめさん??」

 

 

「…ねぇ、いろはちゃん。このあと用事ある?もう帰らなきゃかな?」

 

 

 

「いえ、今日は…ここで野宿してみようかなって…。」

 

 

「の、野宿…。??。えっと、ここでじゃないと今日は寝泊まりしないとかある?」

 

 

「いえ、それはないですが…どうしました?」

 

 

「あのね。もし良かったら私とお泊りしましょう?

ていうか……強制ね。」

 

 

「え?」

 

 

 

 

そして私は、初めて街に入るのでした。

 

 

 

 

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

「わぁぁ。」

 

 

 

「うふふ。さぁ、ここが私の部屋よ。」

 

 

 

「すごい。とても広いですねぇ。」

 

 

 

さて、来ました。ひめさんの部屋。

 

 

いろはにはわからないが、ホテルらしいデザインの部屋みたいだ。

 

 

その中でも豪華な方みたい。ピアノまで付いてるから。

 

 

どれくらいの広さかというと、教室が2つ3つくらい合わさった感じの広さらしい。

 

 

学校の教室って広いんだ?知らなかった。

 

 

そんな私にどんどん顔を曇らせるひめさん。シワできちゃいますよー。

 

 

「先にお風呂はいる?」

 

 

「えっと。もしよければ。」

 

 

「もう、遠慮しないで?ほら、一人で行けるかしら。一緒に入る?」

 

 

心配そうに顔を覗き込んでくる。

 

これでも一人で体を洗ってきたから、そこは大丈夫なんだよね。サイカも付いてるし。

 

お湯は使わないつもりだしね。

 

 

「いえ、大丈夫です。シャワーですみますから。

では、お風呂お借りします。」

 

 

「…ええ。いってらっしゃい。」

 

 

なぜかホッとしたような、少し残念そうな、色々な感情が混ざった複雑な表情で私を見つめるひめさん。

 

少し不思議に思いながら、特に疑問を口に出すことはしないで、お風呂へ向かった。

 

 

 

☆☆☆☆

 

 

ひめSide

 

「はぁ…危なかった。」

 

 

 

…………そう、危なかった。

 

 

 

【一緒に入る?】

 

 

 

なんて言ったけれど、内心はドッキドキだった。

 

ただでさえ可愛い可愛いあの子の、

上目遣いだけでも胸の高鳴りが収まらないのに…。

 

 

は…は、…裸なんてみたら……。

 

 

 

「うぅ…むりぃ…っ///」

 

 

 

その場で膝を付き、顔を両手で覆う。

 

 

っ…顔が熱い。

 

 

バレてないわよね?

 

 

ちゃんとポーカーフェイスだったわよね??

 

 

あぁ…耳までは隠せないから気付かれているかも?

 

 

でも不思議そうにしてはいたけれど、気付いた様子はなかった…はず。

 

 

なら、安心?

 

 

大丈夫?

 

 

隠せた?

 

 

 

「……あぁ、なぜかしら。あの子のことを思うと、冷静でいられない。」

 

 

 

あの子と出会ってからだ。

 

 

私がおかしくなったのは…。

 

 

普段は物事を冷静に判断出来ていたのに、あの子という存在を知ってから、頭の半分はあの子のことばかり考えている。

 

 

いつもならレッスンをしている時間。

 

 

今日は少し仮眠をとって基礎トレーニングをする予定だった。

 

 

何か特別なことがない限り、それを怠ったことはなかったのに。

 

 

今はそんなことよりあの子と沢山お話したい。

 

 

沢山ふれたい。

 

 

その髪に…。

 

 

その瞳に…。

 

 

その頬に…。

 

 

その…唇に。

 

 

 

いろはちゃん…。

 

 

はあ…、大好きすぎて…どうにかなってしまいそう。

 

 

冗談抜きで、このままだと心臓が破裂しそうだ。

 

 

 

「なんとか、しないとよね。」

 

 

「なにがですか?」

 

 

「ふぇっ!?」

 

 

 

あまりにも急だったため、変な声が漏れてしまった。

 

 

もう終わったの?はやくない??

 

 

そんな疑問が顔に出ていたのか、髪をタオルで拭きながら応えるいろはちゃん。

 

 

 

「さっきも言いましたけど、シャワーで十分でしたので、少し早めに終わらせました。8分くらいですかね?とてもサッパリしました!!」

 

 

 

悶ている間にそんなに経っていたの!?

 

 

 

「そ、そう、良かったわね。それじゃ、私も入ろうかしら。」

 

 

「はいっ。行ってらっしゃい。」

 

 

「ええ。行ってきます。」

 

 

 

逃げるような形になってしまったけれど、今の私にお風呂上がりで頬の染まったいろはちゃんを正面から見つめられる自信はない。

 

 

今はとにかく気持ちを落ち着かせなければならない。少し時間がかかるかもね。

 

 

それでもなんとか気持ちを落ち着かせてくるから。

 

 

まっててね、いろはちゃん。

 

 

 

☆☆☆☆

 

いろはSide

 

 

 

 

 

「私、やっぱり何かしちゃったかな?」

 

 

 

思うのはさっきまでここにいた人物。

 

 

私の方を見ないようにしながらお風呂へ入りに行った。

 

 

なぜか顔を赤くさせて…。

 

 

 

??

 

 

 

出会ってから今に至るまでのことを振り返っても、ひめさんが赤面するようなことはしてないはずだけど。

 

 

 

「……熱、とか?んー……」

 

 

 

ソファに座りながら目をつむり、再度振り返ってみる。

 

 

だが、何度思い返しても…ひめさんがはずかしがる会話の要素はなかった。

 

 

 

 

ーー Insensitivity

 

 

 

 

「へぇ?ちょっとサイカ?鈍感ってちょっとひどいよ?」

 

 

 

 

ーー Please be aware

 

 

 

 

「なにを?」

 

 

 

 

 

気付け?なにに??

 

 

 

 

 

ーー Super insensitive

 

 

 

 

今度は超がついてしまった。

 

 

 

「ええ!なんでぇ??ねぇ、サイ………ふぁ」

 

 

 

 

答えを知ってそうなサイカに質問しようとすると、急に眠気が襲ってきた。

 

そういえばまだ昨日から寝てなかったな。

 

 

 

 

ーー I forgot to say that it's usually

            time to go to bed

 

 

 

 

 

「ん、そ…だね。……許可なくべットを使うわけにもいかないし、ソファを使わせてもらおう。」

 

 

 

 

 

ーー... I don't think you need permission.

 

 

 

 

 

「?なんて?…まぁいいや。おやすみ」

 

 

 

 

 

ーー… Well, good night.

 

 

 

 

 

「……すぴーーー。」

 

 

 

 

ーー I'm sorry for that person who loved me so much.

 

 

 

ーーDid you make a mistake in your education?

 

 

 

ー ーHmm ...

 

 

 

 

☆☆☆☆

 

「…………」すぅ

 

 

 

可愛らしい少女がソファで眠っていた。

 

今朝私が使っていたひざ掛け布団を使って。

 

 

 

「いろはちゃん。」

 

 

「……」

 

 

 

起きる気配はなかった。

 

元々あった小さな枕に顔を埋めて、とても気持ちよさそうに静かな寝息を立てている。

 

 

 

「…っ。」

 

 

 

静かに眠る少女に、むねが痛む。

 

興奮して心を乱しに乱してた自分がどうしょうもなく恥ずかしく思った。

 

年上の…それも今日会ったばかりの私を信じてここまで来てくれたのに…。

 

 

わたしは…。

 

 

 

「…、むぅ……ふふ……ひめ、さ…」

 

 

「…っ!」

 

 

 

後悔でいっぱいになっていた私の目の前には…

私の名前を寝言で囁きながら微笑む少女。

 

 

あぁ…。この子は私を純粋に信じてくれている。

 

 

この愛しい少女のこころに、私はなにを返せるだろうか。

 

 

沢山の愛を囁きたい。

 

たくさんの温もりをあげたい。

 

ずっと…そばで。

 

 

今までなにか物足りなく感じていた心が、今どうしようもなく満たされている。

 

 

迷いなくそっとその頬に触れてみる。

 

 

少女はくすぐったそうに身をよじるだけだった。

 

 

そんな少女の愛らしい姿を見て、また心が甘く疼く。

 

 

まるで、ずっと一人ぼっちだった私の世界に降り立って、抱きしめてくれているかのように…優しく。

 

 

「…むゅぅ…、」

 

 

 

頬や目元を優しく撫でると、今度は気持ちよさそうに少女の口が緩む。

 

 

あまりにも可愛らしいその仕草は、私の中を幸せで満たすには十分すぎた。

 

 

「…べットに運んで、一緒に寝てもいいかしら?」

 

 

 

心が幸せで満たされすぎて、欲望が口をついて出てしまった。

 

 

このままにしてもいいけれど、確実に体を痛めてしまうだろう。

 

 

…このぶんだと筋肉痛くらい、にはなるわね。

 

 

「……」

 

 

明日はいろんなお店に連れて行くつもりだし…。

 

 

いっぱい楽しんでもらうためにも、体を痛めてほしくない。

 

 

 

……なにより、一緒に寝たいっ!

 

 

 

それに、この子がソファで寝ることを決めたのは、私に遠慮してのことだろう。

 

 

 

遠慮しなくてもいいのに…。

 

 

 

この少女は甘えることを覚えたほうがいい。

 

絶対に。

 

 

 

そう思った私には、もう迷いはなかった。

 

 

 

「こ、この子のためこの子のためこの子のため」

 

 

 

はずだった。

 

 

まだ持ち上げてもいないのに既にこの女の心臓は爆発するのではないかと錯覚するほど高鳴っていた。

 

 

 

「…、っしょ。…」

 

 

 

心の中で叫び声を上げながらもなんとかいろはを持ち上げる。

 

 

そのまま起こさないようにゆっくりとべットへ運ぶ。

 

 

ゆっくりと動く足は若干震えていたが、なんとか運び終えることができた。

 

 

少女をそっとベットへ寝かせる。

 

 

目を覚まさないこと確認して、その隣へ寄り添うようにベットに入る。

 

 

ふわぁ…っと優しくていい花の香がした。

 

 

 

 

あっ…やっぱり、いい香り。

 

 

 

お風呂で同じ物を使って洗っているはずなのになぜこんなにも違うのか。

 

 

 

体臭?

 

 

 

「むにゅ……ぅ?…」

 

 

ビクッと私の体がその声に反応する。いろはちゃんは虚ろに開いた目を私に向ける。

 

まだ寝ぼけているようだ。

 

 

…なんだか近づいてきているような…。

 

 

 

「ごめんなさい。…お起し、」

 

 

 

ギュッ…

 

 

 

「?!」

 

 

 

え、ええええええ!!??

 

 

 

だ、だき、抱きし、められ?!?!?!?

 

 

 

「…むゅ、ふふ…ひ、め…さん」

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

私を抱きしめる腕の力が強くなった。

 

 

いろはちゃんはニコニコしている。

 

 

 

「えへへ…。ひめ…さん、だいしゅ…きゅ…」すぅ…

 

 

 

 

「っ〜〜〜〜〜〜〜?!っ………」かくっ…

 

 

 

 

………

 

 

………

 

 

………

 

 

………

そして私はあまりに幸せすぎて意識を失ったのであった。

 

 

ーー Master.Please wake up .It's morning.

 

 

 

 

「…っ…んぅ」

 

 

 

……まだ眠いよサイカ。

 

 

 

ーー But in the morning .I have to get into the habit.

 

 

 

…わかっ、たよ。

 

 

 

ムクリと上半身を起こす。そのまま両腕を真上に伸ばした。

 

 

小さく骨が軋む音がする。

 

 

ついでに両足も伸ばす。

 

 

また軋む音。

 

 

トンッ

 

 

相当凝ってるなぁと思っていると、右足がなにかに当たる。

 

 

 

なんだろうと視線を向けると、…知らない人がっ。

 

 

 

 

「あっ、ひめさん」

 

 

 

全然知ってる人でした。

 

 

 

「……」

 

 

 

スヤスヤと気持ちよさそうに眠る綺麗な人。

 

 

陽の光を浴びて輝く髪と白い肌。

 

 

私とそんなに歳が変わらない筈なのに、あまりにも大人びて美しい人。

 

 

その姿は、この世のものではないのではないかと疑うほど。

 

 

私はしばらく、その姿を眺めた。

 

 

 

きれい…、ほんとうに、ただただ綺麗な人。

 

 

 

好き。

 

 

 

「!!」

 

 

 

私はいまなにを…。

 

 

 

 

好き?…この人が?

 

 

 

………え?、嘘でしょ。

 

 

 

本気でこの人を好きになってしまいそうな自分に気付いた。

 

 

 

 

『あぁ…いろはちゃん。可愛い♡』

 

 

 

『///……あの…どうしてそんなに好意を向けてくれるのですか?』

 

 

 

『?どうしてって…いろはちゃんが大好きだからよ♪』

 

 

『!』

 

 

『ずっと一緒にいたいぐらい…。ふふ。(ちょっと積極的過ぎたかしら…)』

 

 

『…ひめ、さん。』

 

 

 

いや、多分…既に恋に落ちている。

 

 

ずっと一緒にいたいと言ってくれた初めての人。

 

 

私と出会ってまだ時間は経っていないけれど、家のない子供だとわかっているはずなのに。

 

 

こうして抱き締めて、朝まで寄り添ってくれた人。

ーー(いえあなたが抱きしめてました。

その女は耐えきれず気絶してしまっだけです。)

 

 

 

…どうしよう。好きになってしまった。

 

 

 

さっきよりも強くそう確信した。

 

 

 

だって、そうでないとこの甘く高鳴る鼓動に説明がつかない。

 

 

 

昨日出会ったばかりなのに…、もうすでにこの人のすべてを愛しいと感じている。

 

 

 

「……」

 

 

 

離れたほうがいいかもしれない。

 

 

 

これ以上愛してしまう前に…。

 

 

 

このホテルに来る道のりで、この人がどれだけ有名な人なのかを知った。

 

 

 

大きなビルに流れるCM

 

 

複数の場所に貼られたポスター。

 

 

すれ違う人々の噂話。

 

 

 

これだけで分かってしまった。

 

 

 

あなたは……みんなのものだ。

 

 

 

なのにどこから来たかもわからない赤の他人である私が独占してはならない人。

 

 

 

しかも私は、この世界の住人ではない。

 

 

 

家族もいなければ、信頼できる人(ひめさんは例外)、私の身を保証してくれる人もいない。

 

 

生涯孤独。…普通の人間でもない…。

 

 

 

きっと迷惑を掛ける。

 

 

 

離れないと……。

 

 

 

でも……。

 

 

 

「……」

 

 

 

 

せめて、置き手紙は残そう。

 

 

 

 

 

「サイカ…。」

 

 

 

 

ーーIs that really okay?

 

 

 

 

 

「…、いいんだ。…早く。」

 

 

 

 

 

 

ーー…… “あなたの好きなように”

 

 

 

 

念話でサイカに、言葉を伝える。

 

 

 

最後の文には、自分の思いも綴ってもらった。

 

 

 

最後の文も含め、ついつい長くしてしまったが、これくらいなら許されるだろう。

 

 

 

「…イトゥース」

 

 

 

ーーReady

 

 

 

私の身体が消えていく。

 

 

 

最後にひめさんを見つめる。

 

 

自然と頬が緩んだ。

 

 

 

あぁ…、もう取り返しがつかないほど好きになっているみたいだ。

 

 

 

 

「さようなら…愛しい人。」

 

 

 

 

 

いつか…また会えたらその時は……。

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

「…んぅ、…ぅ?……」

 

 

 

窓は開けていなかったはずなのに、風を感じて目を覚ます。

 

 

 

 

まだ重い瞼を指で擦りながら、空いた手で添い寝した相手を探す。

 

 

 

……ほんのり温かいシーツの感触しかしなかった。

 

 

 

 

 

「…いろは、ちゃん……………」

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

「…ありがとうございました。」

 

 

 

 

 

 

あの人がいるビルに向かって礼をする。

 

 

 

 

 

そして、その場から静かに離れた。

 

 

 

 

 

 

 

−−end.

 

 

 




やっぱり下手でした。知ってた。
一日で書いたモノだし。まだ日本に来て間もない頃に書いたものを引っ張ってきただけだし。すいません。
後半…きっと力尽きたのでしょうね。昔の私。
無理矢理終わらせすぎ。急展開でした。もうちょっとがんばってほしかったですね。

たしかこの後いろはちゃんはまたいつもどおりの日常に戻って、野宿をしているところをあの諸星学園長の姉に拾われるって設定だった気がします。薔薇に興味を持った主人公がほたるさんに仕事のお手伝いをお願いして、居候させてもらうことになります。数年後しばらくして、学園長がS4になったひめを連れてきて、そして……。って感じでしたかね?
まぁ、気が向いたらまた書こうと思ってます。

最後まで読んでくれた方…言葉を絶するほどの感謝を。

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