助けたネコが「にゃー」と言う   作:ぉけいさん

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あの日見た綿貫の顔を僕はまだ知らない

「あぁ、ついに幼なじみが犯罪に手を染めてしまった······」

 

 病院に到着し、待ち受けていた綿貫はこちらの姿を確認した瞬間愕然とし、膝から崩れ落ちていった。

 

「まてまて、この子が電話で言ってた女の子だよ!」

 

「お前、幼女にネコミミとネコシッポつけて友人に紹介ってどういうことだよ。凛ちゃんと琥珀がそんな姿みたら泣くぞ。悪いことは言わないから、俺と一緒に自首しような? なっ?」

 

 完全に犯罪者を諭すような物言いに、どう言い返してやろうかと頭を抱える。確かに30歳近い男が夜中にネコミミ、シッポをつけた幼女を友達に紹介するのは、仮に逆の立場になったとしたら間違いなく通報ものだ。スマホ片手に既のところで通話ボタンを押さずにいてくれてる友人には感謝するべきなのだろうか。

 

「確かに状況的には犯罪臭しかしないけど、断じてオレはそんなもんに手を出してない。ホントに昨日の子ネコなんだよ。耳とシッポを触ってみてくれよ」

 

「いやいや、夜中に幼女連れてきて触れってお前ヤバいこと口走ってない!?」

 

 確かに。いや、でもここで問答してても仕方ない。グイッとネコミミ幼女を綿貫に近づける。ここまで抱きかかえられていたネコミミ幼女は綿貫に近づけられた途端、ピョンと腕から飛び退きテトテトと綿貫の方に歩いていき足に抱きつき頭を擦りつけた。

 

 その一連の流れに30歳近い男二人はただただ固まって見ている。

 

「え? なんでこんなこの子懐いてるん?」

 

 綿貫が動揺を隠しきれず聞いてくる。確かに何故だろうと考えて、これまでの仮説をもとに思ったことを口にする。

 

「多分、お前が治療してあげたから?」

 

「いやいや、俺子どもなんて治療したことないし······」

 

「お前の動揺はよくわかるし、現実的じゃないのはすげぇ分かってる。でもその子のネコミミやシッポ、真っ白な体と髪の毛は明らかに普通じゃないだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 綿貫自身も、この不思議なネコミミ幼女が普通の人間ではないのはわかっていた。ピクピクと動くネコミミ、ふらんふらんと振られるシッポ、明らかに人工物ではなく、そこにそれらがあるのが当然というように体、頭にある。こんなことがあり得ていいのか。

 

 目の前の友人が言うように昨日治療した子ネコが次の日には幼女になっていましたなんて、そんなのファンタジーの世界だ。しかし目の前には自分にスリスリと頭をこするネコミミとシッポが生えた幼女がいる。さらに治療した子ネコの毛並みと同じ真っ白な幼女だ。冷静に考えても有り得ない不思議な事だが目の前の現実に目を背けることはできない。

 

 

「······どういう状況でこの子に成ったんだ?」

 

 一旦頭を整理したいがため、目の前の押しかけ友人に質問をするが、

 

 

 

「しらん。目が覚めたらこの子に成ってた」

 

 全く使えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりこのミミとシッポは直接体から生えてるみたいだな。それに俺らみたいな耳がこの子にはないな」

 

 しばらく経ち、混乱が落ち着いてきた頃綿貫が、ネコミミ幼女の体を調べ始めた。ネコミミ幼女は触診される度にくすぐったそうにキャッキャと声をだしている。

 

 綿貫の診察でわかったのは、ネコミミとシッポ意外は普通のヒトと見た目は変わらないということ、そして診察の副産物として、にゃーという言葉以外、幼児特有の言葉になってない言葉も発することが出来るということだ。

 

「さすがにウチじゃ人間の細かい診察は出来ないから、これ以上のことは分からないな。普通の病院、例えば小児科とかで診てもらったほうがいいとは思うんだが······」

 

 そこまで言うと、チラッとこちらの方を見て、そしてその視線を膝の上にいるネコミミ幼女に移した。

 

「どうした?」

 

「この子って検査費とかどうなるんだろうかと思ってね」

 

「そんなもん、子どもだから市から助成金でるんじゃないの?」

 

「いや、戸籍ないだろ?そもそもその子は元々ネコなんだから。てかその子戸籍取れるのかすらよくわからないぞ。見た目はほとんどヒトだけど、ネコミミとシッポついてるし」

 

「え? どうしたらいいの?」

 

「知らぇよ。明らかに専門外だよ。市役所とか児童相談所とかに聞いてくれ」 

 

 確かにこれ以上のことはここで話し合っていても明確な答えが出ないと思われる。一息ついた後に、綿貫にそうするよと伝え帰る支度を始めた。

 

 

 

 

「夜中にありがとな」

 

「ああ、刺激的な夜になったぞ。まぁなんかあったら頼ってくれ。出来ることならやってやるから」

 

 

 

 病院から帰るとき、名残惜しそうにするネコミミ幼女の頭を撫でで、またねと声をかける綿貫の顔はとても穏やかで、コイツもヒトの親になったらこんな顔するんだろうなっと勝手なことを思いながら車に乗り込むのであった。

 

 

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