私、
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電話口で通話相手から、子ネコが幼女になった、こういう時はどうしたらいいのか? という意味のわからない質問を受け新手のイタズラ電話かと思ったのだが、ひとまず今から連れていきます。という食い気味な電話相手に、お待ちしておりますと反射的に答えてしまった。
しばらくすると受付が私を呼びに来たのだがその様子がおかしい。怪訝に思いながら待合室まで行くと同世代くらいだろう男性と、その膝の上になにやら白く小さい塊が乗っているのが目に入った。
「お待たせいたしました。新谷田様でお間違えないでしょうか? お電話で対応させて頂きました河野です」
挨拶をするためお辞儀をし顔を戻した時、男性の膝に乗っていた白い塊は男性の後ろにスッと隠れていた。そして恐る恐るといった風にコチラを覗きこんでくる際になにやら2つピョコッとしたものが見えた。それを見た私は自分の目を疑い反射的に声を上げる。
「ネコミミ!?」
私の驚きの声で再度白い小さな塊は男性の後ろに引っ込んでいった。
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「で、ではそちらの席にお座り下さい」
動揺を隠せずにはいるが相談室の席へと促す。男性はネコミミの生えた白い幼女を椅子に座らせようとしたが、がっしりと服にしがみついて離れようとしない。しばらく悪戦苦闘していたが、諦めたようで自身の膝の上に座らせるのであった。座ってからなおも、白い幼女は男性をギュッとして離す様子はなかった。
「えぇっと、本日はそちらのお子様の件でのご相談でよろしいのでしょうか?」
どう切り出そうかと思ったが、ひとまずは牽制の意味をもってそう質問した。自分から聞いていてなんだが、それ以外の要件があるはずないのはわかっている。寧ろそれ以外の要件だったらカオスすぎてツッコミを入れざるを得ない。
「はい、そのですね······なんというか、信じがたいことだとは重々承知ではあるんですが······昨日ですね――――」
男性は歯切れの悪い言葉を重ねながらも昨日から今に至るまでの経緯を語りだした。
昨日の朝カラスに襲われた子ネコを助けて治療して、家に連れて帰って行ってなんやかんや夜になって、一緒に寝てたら白い幼女になってた。治療してもらった動物病院の先生にとりあえず相談出来るとこに行けと言われて、ここ―児童相談所―に来たということだ。
「この子がどういった存在なのかを知りたいのですが、保険証などもあるはずがないので検査費用の不安もあります。そもそも戸籍すらないですし」
そう言うと膝に乗った白い幼女の頭を撫でながら男性は困ったような表情を浮かべた。
「私はまだにわかに信じられてはいないので、仮にもし本当にネコから人間の女の子になったとしたらと思いながら話します」
一旦頭の中で整理された内容を困り顔の男性に伝える。
「親ネコを亡くしたネコが女の子の姿に変わった段階で女の子は孤児と同じと考えていいと思われます。ネコの時ではありますが新谷田様が保護し、家族に迎え入れられていますので、この女の子も新谷田様の養子という形で受け入れられれば戸籍もどうにかなると思いますし、児童手当等の制度もご利用できると思います。ただこれは私の解釈になるので間違っているかもしれませんのでその際はご容赦下さい」
ひとまずの意見を伝え、一呼吸おいて更に言葉を続ける。
「しかし、これは本来にネコが人間に変化したという確証が前提ですし、もちろんそんな前例はありません。戸籍を取られる前にDNA鑑定など検査が必要だと思われます。こちらは児童養護施設措置を使い公費で対応させていただけると思います」
遺伝子レベルで人間とは程遠ければ、動物と変わり無い為戸籍を与えることは無理な話で、そこはまずは検査が前提で話を進めないといけない。幸い、我が街では児童養護施設の子どもの治療費を守る制度があるのでそれを適用することができそうだと踏んでいる。
「ひとまず今から対応して貰える病院を確認いたしますので、待合室の方でお待ちいただけますか?」
「ありがとうございます。ではよろしくおねがいします」
男性は白い幼女を抱えながら立ち上がり深々と頭を下げた。そして退室するため背を向けた際、しがみついていた幼女がチラッとコチラのほうを向いてきた。私はにこやかに手を振ってみると、目が合った幼女はニパァッと笑顔になり手を振り返してくれた。
その時初めて顔をしっかり見て私は見惚れてしまった。
エメラルドとコハクのようなキレイなオッドアイの瞳に―――。
作者より
行政とか児童相談所とかの設定がゆるゆるですみません。
そのあたりは温かい目で見てもらえると嬉しいです。
少しこのページは難産でした。