助けたネコが「にゃー」と言う   作:ぉけいさん

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寝るときはごめん寝

 

 先程まで息子とわちゃわちゃと遊び回っていた丹愛は、突然スイッチが切れたかのようになり、コチラにやって来るなり抱っこをせがんできた。要求どうり抱っこしてあげると、モノの数秒で眠りの世界に旅立っていった。

 

 自身も早朝から動き回っていた分、睡魔が晩ごはんを食べたあたりから暴れまわっていたので、丹愛を布団で寝かしつける流れで一緒に寝ることとした。

 

 布団の中に丹愛を抱え込みながら潜る。そして丹愛をそっと布団の上に着地させて自身も楽な体制になり目を閉じる。なんだか今日は自分の人生の中でも、なかなかに濃厚な一日だったのではないだろうか? まさか子ネコがネコミミ幼女に姿を変えるなんてこれまでの人生でも、これからの人生でも体験することはもうないだろうな。

 

 そんなことを頭に巡らせつつ意識は眠りの世界に堕ちていった。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 大和くんが丹愛ちゃんと布団に行った後、私も寝支度を済ませ、まだ一人で遊んでいる琥珀の元に向かった。

 

「琥珀ぅ、もう寝る時間よぉ」

 

「ねぇママ。明日はニャーどっちかな?」

 

「? なにがどっちなの?」

 

「ネコなの? 女の子なの?」

 

 

 

 そう問いかけられたとき、頭にガツンと衝撃を感じた。

 

 

 確かに明日も丹愛が丹愛の保証なんてないのかもしれない。明日以降もずっと丹愛かもしれないし、ニャーに戻ってしまうかもしれない。

 無意識の中で丹愛がずっとあの姿だと思っていたけど、そんな絶対なんてないはずだ。だって丹愛に姿が変わった時から常識なんて吹っ飛んでいってしまってるし。

 

「ママ?」

 

「ん? あぁごめんね」

 

 少し考え事をして返答できなかった私を不安そうに見つめながら琥珀が声をかけてくれたことで、思考を巡らせてた私は意識を戻すこととなった。

 

「琥珀は丹愛とニャーどっちがいい?」

 

 何気なしに私が聞くと、琥珀は悩むことなく真っ直ぐと私を見つめて、

 

「女の子のニャー! 明日も沢山遊ぶんだ」

 

 両手を広げながら即答してくれた。

 

「ふふ、そうね。なら明日の為に今日はもう寝よう! 明日も元気いっぱいで遊ばないとね」

 

「うん!」

 

 

 

 琥珀の願いが叶いますように。

 

 そして、私の叶った願いがいつまでも続いてくれますように。

 

 

 

 

――――――――

 

 

 ピピピピ

 

 スマホのアラームで目が覚める。しまった。いつもの仕事の時間に設定したままだった為、予定よりも早くアラームを鳴らしてしまった。

 

 設定をいじり、もう一眠りしようとしたが、ふと隣にあるはずの暖かさがないことに気づいた。

 

「丹愛?」

 

 ふぁさっと布団を捲っても姿はなく、部屋を見回してみたがどこかに居るような気配はなかった。どこにいったんだろう? そう思っていると部屋の扉が開いていることに気づいた。

 

 部屋から出て、廊下を進む。電気は点いていないが住み慣れた家、感覚でリビングまで行くと何やら気配を感じた。

 

「丹ぁ·······」

 

 声を掛けようとしたが、暗闇に慣れた目が映し出した光景に固まってしまう。

 

 リビングの隅。小さな仏壇の前で立っているネコミミ幼女。その白い肌、白い髪は淡く発光しているかのように周りを薄く照らしており、神秘的な雰囲気を醸し出していた。

 そして仏壇に対しじっと見つめながら、時折頷いているのか縦に頭が動いているように見えた。

 

 その景色に暫し見惚れていたが、ふと自分が何をしにここに来たのかを思い出し、丹愛に近づいていった。

 

「おはよう丹愛。お話していたの?」

 

 こちらが話しかけると、ふっと丹愛から醸し出されていた雰囲気はなくなり、こちらに視線を移した丹愛はふにゃっとした顔をしながら、しゃがんで目線の合わせているコチラの体にムギュッと腕を回してきた。

 

「ねむむぅ」

 

「ありゃ? まだ眠いの? ならもう一眠りするか」

 

 丹愛を抱きかかえながら立ち上がり、再度布団へと丹愛を連れて行く。リビングから出るとき、チラッと仏壇に目を向けるが、いつも通り何も変わったところはないのであった。

 

 

 

 

 

 

 さっきのは何だったんだろうか? なんか丹愛光ってなかった? 

 

 布団の中に入って目を閉じるが、先程の光景が思い出されて寝付けなくなってしまっている。

 ただ、何故かあの光景は不思議には感じたが、恐ろしく感じることはなかった。

 

 

 

 

 そんなに気にすることでもないんじゃないだろうか?

 

 

 

 

 何故か自分の中でその答えが浮かび上がり、そして納得するのであった。

 

 

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