治療の間、綿貫に渡されたメモに記された物を購入しに出かけることとなった。
綿貫に治療すると告げたとき、ネコを家に招く為の必需品などをまとめてメモしそれを渡してきた。その際、夫婦揃ってお人好しだと呆れながら言ってきた。なんだかんだ面倒見のいい綿貫も十分お人好しだと思うが、それを言うと恥ずかしがって照れながらハブてる姿が安易に想像できた。ということで、茶化すように伝え、動物病院から逃げるように車に飛び乗った。
仕入れに行っている間にイロイロと調べてくれたようで、助けた子ネコは生後2ヶ月前後で、性別はメス。元々栄養が足りてないみたいで少し痩せ細っているらしい。エサを探してる時に一緒にいた親猫が車に轢かれてしまったんじゃないか。というのが、綿貫の推測だった。
一緒に親猫と歩いていたら目の前で親が車に轢かれて息絶え、そしてその後カラスの餌食とされる様を見たというのは、自分だったらと考えると想像し難い惨状であることは間違いないだろう。そして、その後自分もカラスに襲われるのだから、もしかしたらトラウマになっているかも知れないな。
メモを頼りに開店して間もないホームセンターで商品を探しながら物思いに耽る。
普段ペットコーナーというのは立ち寄りもしないので、どういった品揃えなのかはイメージしづらかったが、案外動物の種類毎に大まかに振り分けられていて、メモに記されたエサや、猫砂などはすぐに見つかった。しかし様々なメーカーから販売されて値段もそれぞれピンキリ。どれがいいかはよく分からないので、フィーリングを信じてカートに詰め込んだ。ちなみに綿貫に気をつけるように言われていたのでエサはしっかり適応年齢の表記を確認をした。
(エサや猫砂など消耗品ってどれぐらいの頻度で無くなるんだろうか)
会計を済ませたあと、この金額が今後続いていくという事実に改めて生き物を飼うことの大変さを感じつつ、綿貫の所に戻るのであった。
「とりあえずやれることはやったから。あとは家でしっかり面倒見てやるんだよ。わからないことがあれば何時でも連絡してこい」
迎えに行った子ネコはエリザベスカラーを装着されつつも静かに眠っていた。綿貫曰く少量の麻酔を使って治療を行ったので時期に目覚めるとのこと。
そして、やはりというべきか治療費に関しては人間とは比べ物にならないほど高額で、キリリと胃が痛むような感覚を覚えることとなったが、これも命を救うための大切な痛みだ。と自分自身をしっかり納得させたのであった。
自宅に戻る車の中、サービスということで綿貫が貸してくれたゲージから、目覚めたのかガサガサという物音が聞こえ、か細い声でにゃーにゃーと不安そうな声で鳴き始めた。
「もう怖いのはいないよ。今日からキミはオレの家族だ、いつでも助けてやるからな」
運転しつつも横目にその様子を見ながら、優しく声をかける。子ネコにとってこの言葉の意味はわかるはずはないのだが、先程のか細い声ではなく、どこか嬉しそうな声でにゃーと子ネコは鳴いたような気がした。
誤字修正しました。情報提供ありがとうございました!