助けたネコが「にゃー」と言う   作:ぉけいさん

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ネコの名を言ってみろ!!

 

「ありがとうございました!」

 

 本日最後のお客様をお見送りし閉店準備を行う。ひとまずシャッターを閉め、レジ精算。基本的に閉店後の店の管理は自分で行い、妻に家の事をやってもらう。これが我が家の役割分担。

 と言っても、実際はお互いがお互いにサポートしあっているので、手が回らないときは補い合っている。

 

 いつもどおりに処理を行い帳簿を付ける。今日は昼からの営業のため、いつもよりかは店頭販売の売上は低いが、配達での売上がメインなので許容出来る範囲だ。店を引き継いだ当初は毎日赤字との戦いだったが、妻と二人でイロイロとアイデアを出し合い、徐々にその創意工夫の成果が出てきて家族三人で問題なく暮らせる程度には軌道に乗ることができた。

 

 過去の苦労を思い出しながら閉店作業も終わる頃には、晩ごはんの調理が終盤に差し掛かっているみたいで、空腹を誘う美味そうな香りが鼻孔をくすぐった。

 

 

 

 

 

 

「「「いただきます!」」」

 

 テーブルの上にはハンバーグやサラダが乗せられ、三人一緒に食事前の挨拶を行う。テーブルから少し離れたゲージの前にもエサと水を置いて子ネコも食事が出来るようにした。夕方頃の食べっぷりが良かったので今回からはパウチから出したままの状態にし、ネットで調べた分量にした。

 

「ママ、美味しい」

 

 ハンバーグを頬張り笑顔で息子が感想を言う。妻の得意料理で、自身の胃袋を掴まれたそのハンバーグは、やはり我が子というところか、今となっては息子の好物のひとつとなり、口の周りにソースを塗りたくりながらガツガツと勢いよく食べている。

 

 そんな息子の姿を見ている妻と目が合い二人して微笑みながら、食卓に漂う温かい雰囲気を満喫していた。

 

「あ、ニャーが出てきたよ」

 

 ふと息子がそう言ったので、ゲージの方を見てみると、子ネコがゆっくりとゲージから出てきて周囲を見渡していた。その様子を見ていると、ふと子ネコと目が合った。そう思った瞬間トテトテとこちらにやって来て、足に頭をスリスリと擦りつけてきた。

 

「子ネコちゃん、だいぶパパに懐いたね」

 

「お、おう。正直ビックリだよ。人に馴れるのに時間かかると思ってたよ」

 

 エリザベスカラーのせいで擦りつけにくそうだか、暫くの間堪能すると満足したのか離れていった。と、思ったら次に妻の足元に歩いていき、先程と同様足に頭を擦りつけ始めた。

 

「私にもやってくれるの? ありがとぉー!」

 

 初めて触れ合う子ネコに声のトーンが少し高くなりながら、足に来る感触に妻は身悶えている。すごく嬉しそうだ。

 

「ニャー! こっちにもおいで! おいで!」

 

 両親と子ネコの触れ合いにジェラシーを感じたのか、息子が椅子から降りて手招きをする。食事中にそうやって席から外れるのは、マナーがよろしくないので注意しようとも考えたが、両親が二人して食事中に子ネコと触れ合いを楽しんでいる時点で同じ穴の狢、今回は多目に見ておこう。

 

 手招きする息子をジッと子ネコは見つめ、ニャーと一鳴きした後、

 

「わぁ、ニャーちっちゃいねぇー。柔らかいねぇ。可愛いねぇ」

 

 息子の元に擦り寄り、触れさせることを許した。

 

「琥珀と子ネコちゃんが触れ合ってる姿かわいい!!」

 

 そんな息子と子ネコの触れ合いに、気付けばスマホ片手にカシャカシャとカメラを連射し感嘆の声を上げる妻がいた。

 

 食卓には先程とはまた違う、心地よく温かく楽しい空間を子ネコ一匹が中心となって作り上げるのであった。

 

 

 

 

 

 

「そういえば、この子名前はどうしよっか?」

 

 食事が終わり食器を洗っていると、リビングのソファーに座り膝の上に子ネコを乗せていた妻がこちらを向いて聞いてきた。

 

 名前か、これから一緒に暮らす家族になるからいいの付けてあげないとな。

 

 イロイロな名前を頭の中で思い描いていると、

 

「ニャーはニャーだよ!」

 

 息子がなにか言い出した。

 

「どういうこと?」

 

「ニャーはニャーって名前なの! ね、ニャー?」

 

 息子が子ネコに向かって同意するよう話しかけると、子ネコもニャーと鳴いて返事をした(ただ、そう見えただけだろうが)。

 

「さすがにニャーって名前は辞めたほうがいいと思うけど」

 

「いや! ニャーはニャーなの!!」

 

 確固たる意志があるようで、息子は全く引く気にはなってないようだ。

 

「いいんじゃない?この子なりに考えた名前なんだし、なんだかんだ呼びやすいと思うよ?」

 

 最終的に妻がアシストした形となり、子ネコの名前は『ニャー』となった。

 

 

「これからよろしくね。ニャー」

 

「にゃー」

 

 息子がそうやって名前を呼ぶと、一鳴きして返事をしたように見えるのであった。

 

 

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