助けたネコが「にゃー」と言う   作:ぉけいさん

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YOFUKASHI

 朝早くに叩き起こされた形とはなったが、急患の対応など普段から良くあるので多少の睡眠不足感はあったものの一日の診療はつつがなく終えることが出来た。

 

 

――――――――――――――――

 

 

 幼稚園からの腐れ縁で親友の大和(ヤマト)がこの家兼診療所の建物に遊びに来るのではなく、患者を連れてくるのは、なんだかんだ長い付き合いの中で初めてのことだったので、内心ではとても驚きが大きかった。

 

 大和に抱え込まれてやってきた小さな子ネコは、明らかに衰弱していて、ガリガリに痩せ細った体に何箇所も深いキズが見受けられる。

 

(なかなか治すのが難儀をしそうだ)

 

 正直な感想を頭の中に浮かべる。

 

 大和はネコなんて飼って無かったはずだ。だがこうしてボロボロの子ネコを連れてきたということは大方野良を助けたんだろう。大和の優しさは親友だからか痛いほどわかるが、彼はその優しさで何度も痛い目を見ているということも知っている。

 

 目下、心配なのは治療費など金銭面だ。大和自身、親の店を借金とともに引き継いで、毎月の返済分と家族で生活出来るほどの利益が出せほど立て直すまで、凛ちゃんとすごい苦労をしているのを知っている。

 もっと言うならここ数年、多分琥珀くんが凛ちゃんのお腹に宿った頃から、コチラが心配になって何度も止めようしたほど、毎日朝から夜までいろんな所を駆け回り、小さい仕事でも我武者羅に拾い上げていった。

 

 本人曰く、今頑張らないと後悔する。頑張ってダメなら仕方ないけど、頑張らないでダメになるのは勿体ないじゃん。

 とのこと。

 

 その甲斐あってか、今は無理な仕事をせずとも普通に生活出来るまでの経営状況まで回復できている。

 

 

 

 だが、生き物を新たに飼うとすると話は変わってくる。親友だから何となくわかるが、普通に生活出来るお金はあるだろうが、動物を飼うほどの余裕はないのではないか?

 毎日のエサなどの消耗品はもちろん、急病やケガをしたときの治療費は保険が効く人間と違って頭を悩ますほどである。ペット保険などもあるにはあるが、そもそもペットを飼わなければこんな問題は起きないのである。獣医としてそう思うのはどうか、とも思うが、実際に治療費が払えず、命を諦める飼い主などをそれなりに見ている身としては、イロイロ考えてしまう部分もある。

 

 

 

 

 ため息ひとつついてから、子ネコを治療室に連れていき応急処置的に消毒を行い、塗り薬をキズにつける。

 

(案外大人しいな)

 

 消毒などがキズに沁みるだろうが暴れる事なく治療を受けている子ネコを見て、相当衰弱してるのだと感じられた。もはやされるがままの状態だったので、ついでにとスポイトに経口栄養剤を入れて子ネコの口元に持っていく。

 ゆっくりとだが、確実にスポイトの中身が減っていき、全部飲ませたのを確認し、清潔なタオルを敷いたゲージの中に子ネコを寝かせた。

 

 

 待ち合いで待っている大和の元に行き、厳しい口調になりつつも心配していると大和に伝え、一旦大和を仕事に行かせる。その際こちらの思いを素直に聞き、どうしようかと悩む姿が見えた。

 

 

(まぁでも助ける道を選ぶんだろうな)

 

 

 親友だから、大和のことがわかるからそう思えた。

 

 

 

(ならやることはやってあげないとな)

 

 

 そう、考えながら子ネコの治療を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

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 〜♪!!〜♪!!

 

 

 夜中、規則正しく寝息をたてて意識は完全に夢の世界に持っていっていたのだが、それはけたたましいスマートフォンの音で現実世界に戻された。

 

 今日も急患かと思いながら、寝ぼけ眼で画面を見ると昨日と同様の名前が画面に映し出されている。

 

 昨日の子ネコに何かあったのかと思い、寝ぼけた頭を必死に起こし通話を開始する。

 

「どうした? こんな夜中に?」

 

『ニャーが···、ニャーがさ』

 

「ニャー?昨日のネコがどうした? 様子がおかしいのか!?」

 

 電話越しの声は、動揺なのかすごく焦っているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『人間の女の子になった』

 

 

 

 

 いくら親友といえど意味がわからなかったので、

 

 

「あ、おかしいのはお前の頭か。電話する病院間違っているぞ」

 

 

 ひとまず、そう言い返すのであった。

 

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