炎導に惹かれて   作:ねをんゆう

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09.白炎の根源

怪物祭、モンスターフィリアと呼ばれる祭りがオラリオにはある。

ダンジョンからモンスターを持ち込み、闘技場を使用して調教を行う。企画はギルドであるが、主に動いているのはガネーシャ・ファミリアだ。しかし一方で、彼等から要請を受けて手伝いを行なっているファミリアも多くある。

当然だが、ディアンケヒト・ファミリアもまたその一つだった。何か問題が起きて怪我人が出ることもある。モンスターが脱走するなんてことは早々ないが、調教中にテイマーが怪我をすることは多々あるからだ。そうでなくとも祭り、オラリオの祭り、喧嘩や騒ぎなんてしょっちゅうある。

治療師達が各施設に配置されるというのは当然として、見回りと称した半観光的なことも眷属達には許されていた。緊急時に仕事をしてくれるのならばと、その辺りを甘くしてあるのは純粋に眷属達のためを思って。

 

「……それなのに、いいんですか?こんな人気のない場所に居て」

 

「それはむしろ私がアミッドに聞きたいくらいです。私に着いてきても祭りは楽しめませんよ?良いんですか、それでも」

 

「構いません、私は貴女を連れ出せと言われているだけですから」

 

「連れ出しているのは私の様なものですが」

 

「……というか、私が側に居たいんです。祭を楽しみたい訳ではありません」

 

「……そうですか」

 

「あの、恥ずかしいのでこんなこと言わせないでくれませんか。少しは察して下さい」

 

「すみません」

 

顔を赤くしてそっぽを向くアミッドを、横を歩くノルアが慰める。

歩いているのは街の大通りから2本ほど外れた通り道。普段から人気は少ないが、この祭りの日ともなれば人など殆ど見当たらない。何故こんな怪我人すら出そうにない様な場所を2人が歩いているのか、それはこんな時くらいにしか出来ないことがあるからだった。

 

「……それにしても、害虫・害獣用の薬品を撒きながら待機だなんて。一体今度は何が起きるんですか」

 

「心配しなくとも大丈夫ですよ、アミッドに危険は及ぼしませんから。ちゃんと私が守ります」

 

「……そういうことではなくてですね」

 

「端的に言えばモンスターが脱走するんですよ、この辺りもその通り道です」

 

「!?」

 

「正直に言えば対処するのは私でなくともいいんですが、下手に他の冒険者に頼むとまた妙な噂が立ってしまいますので」

 

「それは、まあ……」

 

「それにこの辺りは貧民街、家屋一つの損害が明日の生活にも関わります。気休め程度でしかありませんが、廃屋が増えると伝染病の温床にもなりますからね」

 

この会話だけを聞けば、その脱走に彼女が関わっているのではないかと思われてしまいそうだが、決してそういう訳ではない。

それに彼女がここまで自分の悟った物事についてしっかりと語るのも、アミッド相手にくらい。

 

「そもそもの脱走を止めたらいいのでは?」

 

「相手が女神様となると私には無理です」

 

「あぁ、そういう……」

 

「元を止める方法が思い付かなかったので、そっちは諦めました。……それに、多分もう一波乱あると思うんです」

 

「?」

 

「そっちは私達には関係ありませんが、その後に少し首を突っ込もうと思っています」

 

「……あの、なぜわざわざ?」

 

「ステータスが上げられるので」

 

「……ああ、もう」

 

こうなるともう止められない。それはもうアミッドも嫌というほど分かっていて、色々言いたいこの気持ちも飲み込むしかないと理解している。

しかしそれをただ我慢するのも出来ないから、薬を撒いている彼女の腹を後ろから突く、突く、突く。これもせめてもの抵抗だ。危険なことばかりして、心配することすら無駄だということも分かっているけど。

思わずアミッドは、何やらグローブを付けてしゃがみ込みながら作業をし始めた彼女の背に抱き付いて、自分の頭を押し付けた。

 

「っ……そんなに怒ってるんですか?アミッド」

 

「怒ってますよ、いつも。分かっているでしょう」

 

「すみません」

 

「謝れば済むと思っているのも不満です。許さざるを得ないのを分かって言ってるところも」

 

「……ごめんなさい」

 

「許して欲しいなら?」

 

「……ええと、抱き締める?」

 

「なんでそうなるんですか!?」

 

「危ないからです」

 

「っ!?」

 

突然、ノルアはアミッドを抱き寄せ果てその場から横に飛ぶ。そうしてみれば丁度それまで居た地点に降りて来た3匹のモンスター。アルマジロ型のハードアーマードが2体に、シルバーバックが1体。

 

(……完全に私狙いですね、これ)

 

事前に調べた限り、シルバーバックもハードアーマードも確かに調教メニューの中に居た覚えがあるが、ハードアーマードが2体も居たという覚えはない。つまりこれは調教されていたモンスターとは別物、そもそも種類の異なるモンスターがこうまで揃って敵意を向けて来ることもそうない。それもアミッドが居るにも関わらず、こうしてノルアだけを見て、威嚇して……

 

「アミッド、下がっていて下さい。手を出さない限りは攻撃して来ないはずです」

 

「手伝った方が被害は少なくて済みますよ?」

 

「いえ、あれは私に対して仕向けられた刺客です。その可能性も考えてこうして人目の離れた場所に待機していたんです。……女神様の思惑は分かりませんが、アミッドまで"見"られたくはないので。取り敢えずは待機でお願いします」

 

「……?わ、分かりました、お任せします」

 

何を言われているのかはあまり理解出来ていないが、彼女がそこまで言うのなら、そこまでの理由があるのだと、それだけは理解してアミッドは建物の陰に隠れる。

それに反してノルアは手足の柔軟をし始め、着ていた外出用の治療服の袖を捲る。剣はない、槍もない。

 

「『地理焼却(Fomalhaut)』」

 

彼女の武器は、少し変わっている。

 

「……相変わらず、綺麗な炎」

 

両手両足から白い炎が発火した。

衣服も焦がさず、肉体すら焼かない。

アミッドがずっとずっと側で見て来た、人の心を優しく包む神々しくも美しい煌めき。アミッドはそれが好きだった、それを見た時だけは他の誰もが安らぎを得ることが出来た。……しかし、モンスターだけは違う。モンスターだけは、それを悟っている。

 

「さて………やりましょうか」

 

『『『オオォォォォァァアアアアア!!!!』』』

 

最初に仕掛けて来たのはシルバーバック。銀色の長い髪が特徴的な大猿は、その見た目通り特徴は巨躯と豪腕。仮に高位の冒険者であっても、その一撃が直撃すればただでは済まない。もちろん、そんなことはノルアとて分かっている。

そして挟み込む様にして左右から突進を仕掛けて来るハードアーマード。彼等はその凄まじい甲殻の硬さと重量を武器に、平凡な武器や防具程度ならば簡単に破壊してそのまま押し潰しに来る。そして何より、彼等はシルバーバックの攻撃についても巻き込まれて死ぬようなことは決してない。むしろシルバーバックの拳に当たり、更に威力を増して突進を仕掛けて来るくらいのことは容易にしてくる。

 

「まあ私には特に関係ありませんが……」

 

シルバーバックの拳による攻撃を背後に飛んで避け、直後に左右から挟み込む様にして丸まりながら迫って来たハードアーマード達の突進に、両手を横に大きく開くことで軌道を変えた。

 

『『キッ!?』』

 

「鋼線です、さっき床に仕掛けて置いたんです。専用のグローブとLv.4の腕力があれば、飛んでいる球体の軌道変更くらい出来ます」

 

『グガァァアア!!!』

 

床と手を繋ぐ左右2本ずつの鋼線で、ハードアーマード達の軌道を変えると、そのまま走り飛んでシルバーバックの頭を越える。そうして今度はシルバーバックの肩に掛かった鋼線達。首に向けてまとわり付いたそれを彼が引き千切ろうとするその前に……

 

「『地理焼却(Fomalhaut)』」

 

『オッ……ゴァッ……!?」

 

白い炎が鋼線を伝うと、シルバーバックの身体は容易く縦に引き裂かれた。

 

『キィィイイイイッ!!!』

 

「ステータスの累積はあまり無いとは言え、これでもLv.4ですから」

 

『ピギィッ!?』

 

あまりの出来事に呆然とする一体を他所に、こちらに突っ込んで来たもう一体のハードアーマード。ノルアはそれを軽く避けると、炎の伴った蹴りを横から叩き込む。軽い小爆発と共に弾け飛ぶ甲殻、剥き出しになる肉身。そこに更に追撃を仕掛ける様に回し蹴りを叩き込む。そうすれば当然の如く肉体の大部分は弾け飛び、ハードアーマードの片割れは即死した。

 

「鋼線は大型や多数相手に使うだけで、基本はこっち(素手格闘)が主体です」

 

『ギィ"ィ"ィ"ィ"イ"イ"イ"!!!』

 

「……言葉は通じていなくとも、意味は通じていそうなんですよね。モンスターって」

 

炎を消した鉄線で再び突進を仕掛け来たハードアーマードの軌道を上に逸らし、そのまま神々が言うところのオーバーヘッドキックを叩きこんだ。

白い炎が爆発し、凄まじい速度で人の居ない通路を吹き飛んでいくハードアーマード。身体が灰になりながら、まるで削り取られていく様に地面を滑っていき、通路の壁にたどり着く頃には既に原型は殆ど消失していた。

洗練された素手格闘に特殊な付与魔法による防御力を完全に無視した爆破の一撃。例え最低限のステータスで恩恵の昇華を行なって来た眷属であっても、精々14階層程度のモンスターがこれに耐える余地など何処にもなかった。

 

「……あっけないものですね、Lv.4の眷属相手となると」

 

「少し床を壊してしまいました、これは謝罪をしないといけませんね」

 

「むしろ被害が小さ過ぎるくらいではないですか?本当にモンスターと戦ったのか疑われるくらいに」

 

「それはそれで不都合ですね、まあアミッドが見ていてくれたので問題はないでしょう」

 

「怪我はありませんか?」

 

「ええ、擦り傷程度です」

 

「見せて下さい」

 

それほど苦のある戦闘でもなく、足の一部が若干赤くなっている程度の話。それでも甲斐甲斐しく傷を治そうとするアミッドは、言うまでもなく過保護である。

 

「貴女は自分の魔法で自分のことは治せないんですから、これは私が治します」

 

「なんだかこんなことにアミッドの魔法を使わせるのは勿体ない気がしますね」

 

「所詮は個人の魔法ですから、どう使おうと私の勝手です」

 

その魔法一つで多くの重傷者を治療することが出来るアミッドの魔法。呪詛だろうと毒だろうと、彼女の魔法はそれを何の関係もなく、しかも広範囲に渡って同時に万能薬を超える効力で治療することが出来る。

反してノルアの魔法は広範囲の治療は効果減衰が酷く、何より自分自身を癒すことが出来ない。個人に対する効果で言えばアミッドと同等の効力を出すことは出来るが、彼女の様に効力の選択や集中を行うことが出来る訳でもなく、やはり治療師としてはアミッドの方が数段格上である。

彼女の描く魔法陣は美しく、神聖な雰囲気が漂っていて、それは彼女が"神秘"のアビリティで作成するアイテム等からも感じられた。彼女が聖女と呼ばれている理由の一つがそこにあり、ノルアもまたそれを美しいと評している。

 

「それで、これからどこに首を突っ込みに行くんですか?この様子では街中にモンスターが散らばっているのでしのう?」

 

「ええ、ですがそちらは問題ありません。仮にもオラリオ、冒険者達が既に対処してくれているでしょうから」

 

「……?それなら女神の方ですか?」

 

「いえ、まだここでの事は終わっていませんよ」

 

「え?」

 

「アミッド、少し手伝って貰ってもいいですか?」

 

「え、ええ、それは構いませんが……」

 

そう言って手渡された幾つものピンと鋼線、そして専用の作業用グローブ。ノルアに言われた通りの場所にそれ等を設置し始め、この狭い通路にまるで蜘蛛の巣の様に張り付けられる。

 

「あの、まだモンスターが来るのですか?」

 

「正直どんなモンスターが来るのかまでは分からないんですよね、私もそこまで詳細に分かる訳ではないので。ただ次に来るのはさっきのモンスターとは別件です」

 

「……勘、ですか」

 

「自分の知らない情報も見えるので、予知という方が正しいかもしれませんが」

 

「……その話、誰にもしないで下さいね」

 

「分かってます、余計な非難の的になることくらい。これ以上気味悪がられたり、無関係な疑いを掛けられるのも嫌ですから。アミッドくらいにしか話しませんし、自分のためにしか使いません」

 

「ステータスを上げるためと言えば何でも許されそうな理論ですね」

 

「つまり気を付けます」

 

「ええ、本当に……って、もう」

 

作業が終わると直ぐにアミッドを抱き上げ、そのまま屋根の上に飛び上がって彼女を自分の背後に立たせるノルア。右手に握っているのは鋼線の片端、準備はもう出来ている。

 

「っ、地震……!?」

 

「あ〜……これは失敗だったかもしれないです」

 

 

ーーーーーッッ!!!!!

 

「これはっ!?」

 

地鳴りと共に地下から突き破る様にして現れたのは、2本の巨大な蔓の様なモンスター。予め仕掛けて置いた鋼線に引っ掛かり、動き難そうに現れたそれは、屋根に立つ2人を認識した途端に口を開けた。

 

「……口というより、花開いた、と言うべきかもしれませんね」

 

「ノ、ノルア!!」

 

「大丈夫ですよ、この為に張り巡らせたんですから。……『地理焼却(Fomalhaut)』」

 

ッ!?!?

 

ーーーっッ!?!?!?!?

 

白い炎が伝った鋼線が、ノルアが端を引っ張ったことを下輪切りに、蔓のモンスターの身体を先程のシルバーバックを思い出させる様な形で縦に引き裂かれていく。1体はそれで絶命したが、もう一体はあまり鋼線に上手く絡まっていなかったのか、花弁を引き裂かれただけでノルア達に突っ込んで来た。

 

「アミッド」

 

「ひゃっ!?」

 

アミッドを抱き上げて再び跳ぶ。家屋に直撃するモンスター、当然ながら家屋は倒壊した。

 

「少し揺らしますよ」

 

「も、もう好きにして下さい!」

 

アミッドを抱えたまま、蹴りを1発、2発、3発4発5発6発7発……!地面に着地するまでの間に、彼女をぎゅっと胸の中に抱き締めながら白炎を纏った両足で蹴り続ける。吹き飛ぶ肉体、恐らくかなり硬い部類であろう身体も爆破によって削られていく。

 

「最後です」

 

「ひぃっ!?」

 

……なお、アミッドはそんなとにかく彼女の胸の中で目を回していた。というかもう必死にしがみ付いていた。

着地した直後、最高威力の蹴りを叩き付ければ、蔓のモンスターは完全に半ばでへし折られ沈黙する。ピクリピクリと動き、未だ致死には至っていなかったが、ここまで来たらもう負けは確定した様なものだった。

 

「『地理焼却(Fomalhaut)』」

 

『ィィィィイイイッッ!?!?』

 

ぶった切られた切口から白炎を流し込む。

肉体を内部から焼きながら頭の方へと昇っていくそれに、モンスターは最後の力を振り絞って暴れ始めた。……とは言え、もう全てが手遅れ。外皮ならともかく、剥き出しになった内側から焼かれ始めれば、それを消す事はもう出来ない。

 

「あー……通路が滅茶苦茶になってしまいました。アミッド、これどうしましょう」

 

「ノルアぁぁ……」

 

「……ええと、大丈夫ですか?」

 

「こ、これが大丈夫だと……?」

 

「いえ、すみません」

 

「……あの、私は子供ではないのですが」

 

腕の中で縮こまっているアミッドの頭を撫でるが、明らかに不満気な顔をして彼女は頬を膨らませる。背後ではようやく力尽きたモンスターが灰へと変わり始め、付近の被害が着実に見えて来た。家屋が2つ、通路も大破。

まあここまで行けば、むしろさっきよりもモンスターに襲撃されたという言い訳が立つだろう。それに……

 

「えっと、大丈夫……ですか?」

 

「っ、アイズさん……!?」

 

こうして2人目の目撃者も来てくれた。目撃者としては、良かったと言える部類だろう。

巻き込まれたアミッドとしては、それなりに仲の良い彼女に、こんな風に誰かに抱き抱えられ撫でられている光景を見られるのは、あまりにも恥ずかしい事であったが。

 

「お久しぶりですね、剣姫」

 

「っ、貴女は……!」

 

「モンスター3体と未確認の蔓型モンスター2体からの襲撃を受けました。全て討伐済みです」

 

「……っ」

 

「あ、降りない方がいいです。鋼線を引いていますから、今取ります」

 

「の、ノルア!?なんで降ろさないんですか!?なんで抱えたまま!?知り合いの前で恥ずかしいのですが!?」

 

「……あまり無い機会ですから、この期に楽しんでおこうかなぁと」

 

「勝手に人の身体を楽しまないで下さい!?」

 

「………」

 

中央のピンを引き抜き、全体の鋼線を緩めながらも、ポカポカと拳を打ち付けられるのを受け入れるノルア。そんな2人の姿を見て、アイズはただただ呆然としていた。

 

(この人、こんな風に……それにアミッドも、楽しそう)

 

記憶の中にある彼女の像と被らない。

こんな風に(歪だけど)笑う人だったろうか?

こんな風に冗談を言う人だったろうか?

こんな風に個人を大切にする人だったろうか?

相変わらず見ていると凄く嫌な感じがして、明らかに自分にとっての敵で、倒さなければいけないという確信だけは揺るがないけれど。今だってアミッドを助ける為に剣に手を添えて降りかけたのに、彼女はむしろ忠告をして来た。前に叱りを受けた時もこんな感じだったのを思い出す。

それにアミッドだって、あまり自分達には見せてくれない様な顔をしている。顔を真っ赤にして、見るからに慌てて。……いつもと違う。

 

「アミッド、このまま剣姫と共にギルドに報告をお願い出来ますか?先程の蔓のモンスターの魔石を見せれば、手掛かりになる筈です」

 

「それはいいですけど早く降ろして下さい!いつまで友人の前で姫抱きされてないといけないんですか!!」

 

「……あと5分くらいいいですか?」

 

「あと5分もこの光景を見せ付ける気ですか!?」

 

「冗談です、残念ですが」

 

「味占めたら許しませんからね!?」

 

ここに来て漸く降ろされたアミッドが、もう半分涙目になりながら自分の身体を抱く。アイズはそんな2人の様子を目で見ながら言われた通りに魔石を探していたが、見つけた物を見て目を細める。……彼女も少し前まで、それと戦っていた。そしてこの緑色の魔石、確かに彼女の言う通りこれを見せれば手掛かりにはなるだろう。

 

「……あの、あの人は」

 

「あ……ええと、彼女のことは気にしないで下さい。それより今はギルドに行きましょう」

 

「……うん」

 

アミッドはアイズの手を取り、一度ノルアの方に顔を向けてからギルドに向けて歩き出す。彼女をここから引き離すためだ。

 

(……何に首を突っ込もうとしているのかは分かりませんが、絶対に無茶はしないで下さいね)

 

(分かってますよ)

 

視線だけで互いに意思を交わす。

ノルアがこれから何をどうするかは知る由もないが、アイズが側に居ると不都合になるということだけは知っている。アイズもまた彼女に良い感情を抱いていないのだから、現れた瞬間に剣に手を触れたのがその証拠だ。これから何か怪しいことをしようとしている彼女の姿を、そんな相手に見せる事は出来ない。……アミッドはアイズを友人と思ってはいるが、これに関しては別の話。彼女に関してだけは、例外として扱わなければならない。




言動の矛盾は心の矛盾だそうです
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