お気に入りも前回の投稿から一気に100名も増えまして……。本当にモチベーションが下がるどころか上がりっぱなしでございます!
「む……? どうやら奴も復活仕立てで力の制御が出来ていないらしいな……
僕としても、あまり生物を甚振る趣味もない……殺すか」
棍棒を掴まれたヒルチャールが抵抗すると、それを掴んでいた久劫の腕も大きく揺れた。
そのことが少し以外だったのか、久劫は地面に突き刺していた大剣を
血が飛び散る――――かと思われたが、両断された傷口は凍り付いて霜を放っており、そこから血が噴き出ることはなかった。
「女性に血を付けるわけにはいかぬしな……少しばかり配慮させて貰った。
さてとお嬢さん、立てるかい?」
「ああ。心配はいらぬ。それと助かった。感謝する」
「何、魔物に襲われている人間がいれば助ける。僕のような仙人でなくとも当たり前の行動だ」
『僕のような仙人』の言葉に、申鶴はやはりそうだったかと一人納得する。
しかし、このような姿の仙人の話をあのお喋りな師匠から聞いたことがあったかと申鶴は考える。
数々の仙人の話を聞いてきたが、久劫のような容姿の仙人の話は一度も聞いたことがなかったような……とそこまで考えたところで、かつて一度だけ、本当に僅かだが留雲借風真君がそれっぽい容姿の人物について語ったことがあったことを思い出した。
夜叉の中でも高い実力を持ち、帝君直々に特殊な役職を与えられた『隠されし仙衆夜叉』の話。
「……もしや汝、名は久劫というのか?」
「僕はお嬢さんに名前を教えた覚えはないが……そうだな。僕の名は確かに久劫という」
「そうか、であれば――――」
「それより、ヤツを仕留めなければ不味い。僕とヤツが眠りについてから何年経ったかは分からぬが、どちらにせよヤツは生かしておけば大きな災いを引き起こす。
厄介ごとを起こされる前に、ヤツを仕留めに行く」
『生きていれば、帰終と共に茶でも飲みながら穏やかに話したいものだ』という留雲借風真君の話を思い出した申鶴がそれを伝えようとするが、久劫に被せられてしまう。
揺らめく謎の黒い人影はどうやら早く処理しなければならない程の大物であるらしく、先ほどのヒルチャールの件もあり、申鶴もそちらに意識を切り替えた。
「ヤツ自身はそこまで強くはない。せいぜいそこらの魔物よりかは強い程度だろう。
だが、問題なのはヤツの異常な精神力と眷属の強さにある。
……ともかく、ヤツに眷属を増やさせてはいけない。ヤツが一人でふらふらとそこを歩いている今が好機だ」
その言葉には、暗に『お前も手伝ってくれ』と伺えるニュアンスが含まれており、そのことに気が付いた申鶴は「承知した」と一言返して人影に向かっていった久劫に続く形で人影へ近づいていく。
『チィッ!! 忌々しい夜叉がぁぁっっ!! 行けぇ! お前らっ!』
その言葉は酷く歪で、憔悴しきっていて、まるで
謎の人影――――夢の魔神 ダンタリオン――――の声に反応して、集落ごとダンタリオンに乗っ取られたヒルチャールたちが久劫と申鶴に一斉に襲い掛かる。
「既に手は打ってあったか……こうなると厄介だ……!」
久劫の動きは
「加勢する……! 『煉気化神』!」
少し遅れて来た申鶴が氷で作られた札を取り出して術を唱える。
自身にかけられた術が何なのかを直感的に判断した久劫は、武器と神の目を共鳴させて大剣に氷を纏わせる。
「――――閃」
横薙ぎ一閃。
水色の閃光が横一文字に空間を穿ち、久劫を取り囲んでいたヒルチャールを蹴散らす。
10体近くいたヒルチャールのうち、4体ほどはその攻撃で屍となったが、一部の上位個体や盾を持って戦うことを覚えた個体は吹っ飛ばされたり、後退りしたりしたものの、殆ど傷を負うことなく再び久劫の元へ迫ってきていた。
「やはり、少しばかり力を奪われているな……」
かつての久劫であれば、この場にいるヒルチャールを全てとは言わずとも、少なくとも上位個体以外は全て蹴散らせた。
しかし、申鶴の助力を受けたうえで盾持ちの下位個体を生かしてしまう状況を見れば、久劫自身から見れば
元より久劫は魔神と人間の混血である。
半分は魔物ですら倒すのがやっとな凡人ではあるが、裏を返せば半分は世界を支配しうる力を持つ魔神の血を引いている人物なのだ。
幼い頃に行方不明となった両親に帰終と鍾離の下へ託された久劫。その時から岩王帝君に仕えてきたが、久劫自身、自分が魔神の血を引いていることは理解している。
だからこそ、久劫は若干の焦りを見せ始めていた。
「僅かとはいえ、ヤツ自身が力を手にしてしまえばもはや誰にも止められなくなる。
まだヤツが力の制御が出来ていないうちに止めなければ……!」
盾を持って突進してきたヒルチャール暴徒を横に飛んで回避すれば、今度は回避した方から別のヒルチャール暴徒の斧の一撃が飛んでくる。
その一撃を大剣で受け止めている隙に、盾を持ったヒルチャールが隙をついて棍棒で殴りかかろうしたところを、申鶴の氷像が割って入って受け止める。
ダンタリオンの配下の魔物の数が多くなったために、個々のヒルチャールの強化度合いが少し下がり、申鶴の氷像が壊れることはなくなったようだった。
「氷像が壊されない……?」
「恐らく、配下が増えているのだろうな」
そのことに気付いた久劫は、この場にいるヒルチャールを殲滅するべく攻勢に出る。
ヒルチャールがその膂力に任せて斧を振り上げた一瞬の隙をついて、久劫は大剣をバットのように振りかぶってヒルチャールの胴体を両断する。
そしてその回転の勢いを殺さずに、真後ろで盾を構えていた暴徒へ大剣を投げつけると、久劫は高く跳躍して暴徒の真上をとった。
大剣をガードしたことによって視界が狭まったヒルチャール暴徒は真上にいる久劫に気付かない。
「! 命ずる!」
久劫が空中で氷柱を生み出していたのを見て、申鶴は再び氷の札を取り出して久劫をアシストする。
「『霜零突針』」
生み出された氷柱は未だに久劫を見つけられていないヒルチャール暴徒の脳天に突き刺さり、そしてヒルチャール暴徒は絶命した。
盾から引き抜いた大剣で、棍棒で殴りかかろうとしていたヒルチャールの腕を切り落とし、そのままの勢いで地面に刺して、刺した大剣を軸に久劫自身が飛びあがり腕を切り落としたヒルチャールを空高く蹴り上げる。
そして着地したと同時に、今度はその勢いそのままに大剣を引き抜き、後ろから迫っていたヒルチャールを縦に切り裂く。
最後に空から落ちてきたヒルチャールを今度は地を裂くようにして振り上げた大剣で真っ二つにする。
久劫が申鶴の方を見れば、多少苦戦こそしているものの、氷像と二人三脚で残った二体を処理していた。
「…………さて」
「これは……厄介だな」
ヒルチャールを処理し終えた久劫と申鶴が周りを見渡せば、そこには増援と思しきスライム、アビス、ヒルチャールが大量に二人を囲んでいた。
「くははははっ!! 夜叉よっ! 貴様は手強い相手だったが、直に全てが終わる……!!」
ただの揺らめく人影であったダンタリオンは、だんだんとはっきりとした輪郭を取り戻しつつあった。
そして、戻りつつある表情を不気味に歪ませながら、この地にある全てを嘲笑うかの如くニタリと笑う。
「何せ、璃月などという忌々しい都市が、
「貴様……まさか!」
「くはは……! 全ては、我の『夢』の為……」
久劫は歯をギリと噛み締めながら、大剣の柄を強く握りしめた。
ダンタリオンさんの小物臭がすっごい……
そして戦闘描写は苦手侍でござる……
作品Q&A
Q.オリキャラ多くね?
A.実は作者、『オリキャラ』の基準がよくわかってないんですよね。『帰終』も『夢の魔神(魈を操っていた魔神)』も設定上は存在しているので、作者はオリキャラ扱いしてなかったのですが……。
夢の魔神はともかく、帰終は『浮世の錠』のストーリーで実際喋っていたりするし……。
作者の基準だと『オリキャラ』は創作者が設定を一から考えたキャラクターで、『原作キャラ』は原作に設定が一つ以上出ているキャラクターとなっているので、今回のこの質問に関しては完全に私と質問者の価値観の違いとしか言いようがないですね……。申し訳ない。
Q.主人公持ち上げられすぎ。主人公の過去話や苦労話が読者視点ないので俺TUEEE感が否めないです。
A.それについては本当に申し訳ないです。作者の実力不足です。
主人公の設定って、物語で誰かが語ったりする方が良いのでしょうか? それともあとがきで一気に出したり、設定集を作ってゲームのように『キャラクターストーリー』みたいな感じでダインに説明してもらう方が良いのでしょうか? 絶賛迷ってます。
Q.申鶴のイメージが違う。
A.この質問を頂きまして、魔神任務間章を見返してきました。
……全然違いましたね。本当にすみません。『キャラ崩壊』タグ入れときます。