本編第一話の時点で負けヒロイン誰にしようかずっと考えてて、一目惚れ胡桃とかいいなぁって、作者の性癖に従って書いたらちょっととんでもねぇことになりましたと言い訳しておきます。
ifではどろっどろのでれっでれにしますので、お慈悲を……
「よっと……よし、これだけあれば暫くは困らないか」
璃月中の崖を巡って瑠璃袋を調達すること1時間。時刻は4時を回り、すぐに璃月港の埠頭で買い物をしなければ甘雨の帰宅時間に合わせて料理を完成させるのが難しくなる時間帯となってきた。
30本ほどの瑠璃袋を袋に詰め、崖から飛び降りて着地したら素早く璃月港へ帰る。
……自慢ではないが、今のを凡人がやろうとしたらまず間違いなく落下死するだろうな。強い体に生んでくれた父と母に感謝である。
――――モラクス、我が息子を頼んだ。
――――帰終様、どうか私の子を頼みます……。
両親がなぜ突然僕の目の前から姿を消したのかは分からない。
両親は最後まで僕の事を愛してくれていた……と思う。何せ、別れ際に泣きながら僕の事を二人で抱き締めてくれたから。
いや。もう考えても分からないことだ。
昔の事で頭を悩ませるより、今の事で悩もう。
モラ、ある。バッグの空き、ある。家の鍵、ある。よし、璃月港へ突撃。
「安いよー! 仕入れたての魚が安いよー!」
「見てらっしゃい! モンド産の上手いお酒はここでしか買えないよ!」
「スメール直送! 野菜がお得だぜー!」
璃月中の主婦たちが買い物に集まる時間帯の埠頭。
様々な露店から多種多様な掛け声が響き、それにつられて客も右往左往する。
あの獣肉が上手そうだ、いやあっちが安そうだ、こっちの魚肉も捨てがたい、やはり豪華にワインを買うべきか。
大方、ここに集まっている客たちの脳内はそんな思考で埋め尽くされているのだろう。だが、僕は違う。偶にはワインもいいかもしれないが、……恐らく今日
一直線に向かっていくのはここ最近世話になり始めた野菜の販売店。
モンドの風に当たって育ったみずみずしい野菜に、スメールの肥えた土地で育ったデカい野菜、スネージナヤの厳しい環境下で育った甘い野菜と、実に多くの種類を
「お、兄ちゃん、今日も来てくれたのか! 今日はどれにする?」
「そうだな……じゃあ、今日はスネージナヤのキャベツとニンジン、スメールの大根とモンドのミントを頂こうか」
「毎度あり! いつもと同じ全部2袋ずつで860モラだ!」
「……はい、助かった」
「おう! また来てくれよ!」
顎鬚の生えた男性に指定されたモラを渡し、商品を受け取る。やはりいつ来ても鮮度が抜群だ。彼は一体何者なんだろうか。どうやら他の店にはこれらと同一の商品は売られていないようだし、余程人望がある人物なのだろうか。民の生活は分かっても商人の生活は分からないことが多いな。今度勉強してみるのもいいかもしれない。
買い物袋を片手に、ふと海を見る。
さざ波が璃月の港へぶつかり、音を立てる。カモメがクァー、クァー、と鳴き、人々の喧騒がそれを上書きする。
潮風が埠頭へ吹き抜け、「
風というものは全てを運ぶ。
風神がそういうものに敏感だったからなのだろうかは分からないが、いいモノも悪いモノも全部運ぶ。
潮風に乗ってやってくるのは、テイワット大陸に存在する全てを恨む悪意。
魔神戦争終結時に外海へ逃げた魔神共の残穢。
特に今強く感じるのは夫を奪われた恨みと憎しみ。そして並々ならぬ害意と敵意。
今はまだ潜んでいるようだが、
だが、手は出さないと決めた。
これは甘雨と二人で決めたことで、璃月の将来の為でもある。
止めていた足を再び動かして、家へと向かおうとした時、ふと見覚えのある小さな背中が璃月の埠頭を歩いていた。
「おーい、七七!」
「……? あっ、くー兄!」
僕の存在に気が付いた七七は無表情ながらもトコトコと近づいてきて、僕の胸へ飛び込んできた。
1000年前とは違いその小さな体に温もりは感じられないが、久方ぶりに会ったときに記憶を失いながらも僕の名前を呼んでくれた時は涙が出そうになった。
かつて凡人の少女であった七七がなぜ仙人の気配を纏い、死体となりながらも生きているのかはその間ダンタリオンと共に封印されていた僕にはわからない。
だが、かつて笑いあった人物がこうして一人でも多くいることがとにかく嬉しかった。
「七七はなぜここに?」
「海辺は、危険。凝光が言ってた。だから人を避難させるため、七七に頼んだ」
不卜廬で白朮殿が言っていた「凝光殿が七七を借りた」というのはこのことだったのか。
うーむ、だとしたら相当な人選ミスとしか言いようがない。どうして見た目幼い少女である七七をわざわざ指名して避難誘導をさせようとしたのだろうか。
「でも、誰も七七のいう事を聞いてくれない……。七七、ここを守ることしかできない……」
無表情でも、雰囲気ですごく落ち込んでいるのが伝わってくる。
小さな子供に仕事を押し付けるとは、凝光殿もなかなかいい腕を持っているようで……!
「もし、危なくなったら、七七が前に出て、みんなを守る」
健気だ。
不思議と父性が擽られ、庇護欲がかき立たされる。きっと僕と甘雨に子供が出来たら、僕はこんな風に猫かわいがりしてしま――――っ!!
「……? くー兄、顔赤い。熱?」
「いや、何でもない。七七、お仕事お疲れ様。後でココナッツミルクを買ってあげよう」
「……! 本当?」
「ああ。だから今は、凝光殿から与えられた仕事をしっかりこなすんだ」
「分かった!」
珍しく抑揚のある声で七七が言うと、僕の元からトコトコと離れて埠頭にいる人々に警告をしに行った。
……七七には悪いが、僕にはその様子を見届けることはできない。
とにかく今は、このリンゴ顔負けなほどに赤くなっているであろう顔を人に見せないように家に帰ることが最優先だ。
――――バタン
「……っ、ふぅー……」
できる限り人と目が合わないように、速足で俯いて帰宅すると、僕は扉を閉めてすぐに深く息を吐いた。
……僕は、あの時何を考えた?
甘雨との子供? 馬鹿か。僕と甘雨は夫婦でもなければ恋人ですらない。今の僕はただの居候で、まだ互いの思いすら告げていない、仲のいい友人程度の関係だ。
それなのに、いろんな過程を飛躍して子供? 僕の頭はついにおかしくなってしまったのだろうか。
ともかく、甘雨に好意を抱いているとはいえ、こんな下劣な感情は抱くべきではない。……はずだ。
しっかりと互いの思いを告げ、晴れてそ、そういう関係になったときに、そういうことを考える……べき……な、気がする……。
凡人たちは、何千年もこんなことをしてきていたのか。
色恋に関しては、やはり仙人より凡人の方が優れていると言っていいだろう。
「……作るか」
夕飯を。
扉の前からキッチンへ向かい、先ほど買ってきたばかりの野菜を取り出し、必要な分だけ取り出して残りは床下の収納へ保管しておく。
バッグから取り出した瑠璃袋も同様にして使う分だけ残しておき、残りはしまっておく。
『祓魔彝照』を使ったわけでもないのに、心臓が音を立てて跳ねているのが分かる。どうしてだろうか、どれだけ落ち着こうとしても落ち着いてくれる気配がない。
……こんな情けない姿を、帰ってきた甘雨に見せるわけにはいかない。
僕は何度も深呼吸を繰り返しながら、疲れて帰ってくるであろう甘雨を癒すための料理を作っていく。
ニンジンの皮を剥いて千切りにし、キャベツをちぎり、瑠璃袋を細かく砕いてまぶす。
僕が冷静になれないのは、もうじき訪れる渦の余威のせいで、決して僕や甘雨のせいではない。
決して、そう、決して……!!!
久劫、自滅――――!!
久劫くんは璃月最強の仙人ではありますが、恋愛面はその辺の童貞と同レベルです。
そりゃあ数千年も初恋拗らせたらそうなりますわなって。
むしろ結ばれた後の反動が書いてる自分ですら怖くなるほどにヤバそう。3年で3人くらい拵えそうですね(殴)
えっ、胡桃?
本筋ルートでも不幸にはなってないので許して。
誰とのif編が一番見たい?
-
魈
-
鍾離&始帰
-
申鶴
-
胡桃
-
刻晴
-
凝光
-
七七
-
タルタリヤ
-
香菱
-
孤独の旅