それはそうと武器ガチャ60連しても神楽の真意が出ないので割とキレそう。
甘雨曰く、空の助力もあり群玉閣の再建は今日か明日中には終わる。らしい。
跋掣は自身の夫が何によって再度封印されてしまったのか知っている。既に璃月周辺に陣取って機を窺っているヤツは、空に浮かぶという目立つ群玉閣を見ればたちまち怒り狂い攻撃を仕掛けるだろう。
そしてそうなれば必然的に戦争がはじまり――――甘雨たちは真正面から立ち向かわなくてはならなくなる。
僕や絶雲の間にいる仙人、そして魈は凝光殿たっての希望でこの戦いには参加しない。璃月が人間の時代になったというのに、荒事は仙人にまかせっきりというのは示しがつかない。という凝光殿……否、七星及び璃月中枢のプライド的な問題だ。
だが、長きに渡って璃月七星の秘書として勤めてきた甘雨は、仙人として参加しないのではなく、共に璃月港を支える人間として戦いに参加する。
凝光殿には申し訳ないが、はっきり言って勝算があるようには思えない。
魔神と人間との力の差は決して埋まることはない。
どれだけ人が束になっても、魔神は息をするように手足を動かせばそれらを全て虐殺することができる。
人類が魔神に抵抗する力を持っていたとしたら、歴史に語られる『魔神戦争』はただの『戦争』になっていただろう。
何のために魔神たちが民を率いて代表として戦い、血を流し、民を守ってきたというのか。
全ては守るべき民が力を持たなかったからだ。
しかし、いつだって例外は存在する。
十中八九僕たち仙人が跋掣の討伐に赴くことになるだろうが、本当に極限の危機に陥るまでは家でおとなしくしていよう。
「気を付けて。いってらっしゃい」
「行ってきます。必ず……帰ってきます」
二人で共にした夜はとてもじゃないが世間一般で言う『甘い雰囲気』にはならず、起きた後も、朝食をとっている最中も、常にどこか張り詰めたような空気が流れていた。
魔神の圧倒的な能力というのは僕と甘雨はよく知っている。
人智を超越した自然災害そのものと言っても差し支えない魔神の攻撃は、僕だろうが真正面から食らえば死ぬだろう。
それが、渦……水の力ともなれば威力は計り知れない。
水は元より、不規則に揺らめく質量の塊のようなもので、それを意図して操る奴らは大抵攻撃の度に凄まじい被害を出す。
水の力は、魔神の力が伴わなくてもいとも容易く生物の命を刈り取る。
人間側からの攻撃を受けた跋掣が反撃をしないわけがない。恐らく、津波の一つや二つ、簡単に発生させるだろう。そして、前線に出ている人たちでそれを対処しなければならない。
甘雨の弓の一撃程度で止められるほど魔神の発生させる津波は軟ではない。
それらを対処できなければ、十中八九……否、確実に璃月は津波に飲み込まれて再起不能の廃都となるだろう。
――――パタン。
甘雨が出ていった玄関の扉が閉まる。
だけど僕は、先ほども言った通りこの家で待つしかない。
不安は残る。というより元から不安しかない。
僕の知らない1000年の間で人類が凄まじい進歩を遂げて人間の力のみで魔神に対抗できるようになっているかもしれない。いや、そうでなくては困る。
キッチンの戸棚から茶葉を取り出し、急須へ三回摘んで入れる。
フォンテーヌ製の『元素機器』と呼ばれるポットからお湯を出し、急須の中へ注いでいく。
少しもしないうちにお茶のいい香りが部屋の中を包み込み、僕は湯飲みを取り出してその中へお茶を注いでいく。
と、そこへ玄関の外へ急に気配が現れた。
それは明らかに人の気配ではなく、雰囲気だけでも強い人物だと推測できた。
そして、この気配の持ち主を僕は一人しか知らなかった。
「……兄上、朝早くからすまない」
「魈……とにかく、朝は寒い。家へ上がれ」
戸を叩かれるより先に僕が戸を開けると、若干驚いた表情の魈がそこに立っており、申し訳なさそうな表情で朝から訪ねて来た非礼を詫びた。
僕としては朝だろうが夜だろうが、友人が訪ねてくることに負の感情はない。
立ち話もなんだからと魈を家へ招き、僕は玄関の戸を閉じる。
立ちっぱなしの魈へ椅子へ座るように促し、茶は飲むかと尋ねれば、「構わん」と一言。
先ほど僕が座っていた、魈とテーブルを挟んで反対側の椅子に腰かけ、魈が訪ねて来た理由を問う。
「今日はなぜ僕の所へ? この時期に、ただの雑談をしに来たって訳じゃないだろう?」
「ああ……。跋掣の事だ。兄上は、凡人たちだけで跋掣を迎撃することについて、どう思う?」
やはりというべきか、魈が訪ねてきた理由はヤツの事だった。
同じ璃月を守ってきた仙人として、夜叉として、そして師弟として、僕にその質問を投げかけるのは至極当然と言える。
「僕は、恐らく失敗すると思ってる。
魔神の力を甘く見てはいけない。前回……オセルを封印できた時だって、恐らくは仙人の助力があったのだろう?
いくら人類が帰終機を扱えたところで、その力関係が逆転することはないと思う。きっと今回も、成功したとしてもそのどこかには仙人は必ず絡んでくるだろう」
それが、僕の出した結論。
きっと、この先もこの結果が覆ることはない。どれだけ人間があがこうとも、人智を超えた存在への勝利には必ず人智を超えた何かが勝因に絡んでくるのだ。素の実力での勝負なら確実に魔神側に軍配が上がる。
「そうか……我も今しがた、同じ結論を出したところだ。
仙人の力を借りない……それは直接的なことであって、間接的なものであれば悉く利用していくだろう。
凡人共を悪く言うつもりはないが、結局のところ璃月には仙人の力は必要不可欠ということだ」
『人間の時代』が『完全に人間の力のみで璃月を統治する』事ではないのは理解している。
しかし、だからと言ってその理屈で自身の力を使われる仙人たちは決して納得しないだろう。
仮に今回無事に勝利を収めることが出来ても、最高点は及第点どまりで、満点を取ることなど決してできない。
大見えを張って『人間の時代』と宣言したからには、満点を取るには『人類の力のみで、跋掣を完封する』以外にない。だが、そんなことは天地がひっくり返ってもあり得ることはない。むしろ天地をひっくり返す方が簡単だろう。
「あぁ、そうだ。既に空から渡されているとは思うが、岩お……鍾離先生からこれを預かっている」
「すまない。後で礼を言っておいてくれ」
以前帝く……鍾離先生に会ったときに「渡してくれるか」と頼まれた粉末状の霊薬を魈に手渡す。
空にも手渡していため、既に同じものを持っているか、既に飲んだかはしているだろうが、だからと言って渡さないわけにはいかない。
「そういえば……兄上は、その、業障は平気なのか……?」
「いや、今でも時々魘されることはある。それもまぁ、魈のに比べたら大したものじゃないがな。
それでも、しょ……いや合ってるか。鍾離先生がくれた薬があるから、昔と比べたら断然楽だな」
「そうか。ならばよかった」
「すまないな。魈ばかりに厄介ごとを押し付ける形になってしまって。
僕が居たら、救えただろうか」
それは、一種の現実逃避だ。
いくらたらればを言ったところで、既に歴史に刻まれてしまったものは戻ってはこない。
僕が不覚を取って1000年も眠っていたことによる罪悪感を、僕は魈へそのたらればを向けることで払拭しようとしているのだ。……なんとも、情けない話である。
「土台無理な話だな。馬鹿げている。例えあの場に兄上がいたとしても、奴らは救えなかった。
兄上は強いが、それに自惚れてしまえば我より弱くなる。
ありもしない「もしも」を話すくらい落ちぶれたのであれば、我は兄上の弟子を名乗ることは金輪際なくなる。
……だから兄上。兄上は、今守れる存在を守ればいい。決して過去拘ることなく、目の前の守るべきものを全力で守る兄上の姿に、我は魅入られたのだ」
魈は、どこまでも強い夜叉だった。
そして僕は、弟子に気付かされるという師匠失格の恥を晒した。
……だが、卑屈になるのは今日までだ。
僕が今守ることができる存在を、全身全霊を以て守り抜く。
そして、魈と共に雑談に花を咲かせること数時間。
――――ザアアアアアアアアッッ!!!
凄まじい雨が璃月を襲い、海が荒れ狂い、そしてその存在は己の伴侶を封印した忌まわしい空中要塞を木端微塵にすべく、雄たけびを上げた。
”渦の余威 跋掣”
ここ一年で三度目となる、璃月の対魔神防衛戦が幕を上げた。
多分ほぼダイジェストになるから次回かその次くらいで終わると思うで(鼻ほじ)
アンケートは日曜日の昼くらいに締め切らせてもらいます。
まだ未投票の人は是非自分の見たいルートを選択して投票ボタンをポチー
誰とのif編が一番見たい?
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魈
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鍾離&始帰
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申鶴
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胡桃
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刻晴
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凝光
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七七
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タルタリヤ
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香菱
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孤独の旅