テストで時間が取れなくて……もし誤字等ございましたら是非とも教えていただけると幸いです。
あ、お気に入り登録者1100人突破ありがとうございます!!!
兄さまと二人で顔を赤くして俯きます。
年齢と場所を考えずに、兄さまが刻晴さんに目移りしていたのを見て嫉妬してしまった私の責任ではあるのですが、な、何もこんな場所で頭を撫でなくても……
でも、兄さまの大きな手で撫でられるのはとても落ち着いて、気分が穏やかになるのは本当です。
さっきも、撫でられた途端に周りに人がいることを忘れてしまったのですから。
「こほん……ところで、先ほど甘雨が削月築陽真君と理水畳山真君に会いたがっていたな。
ただ残念なことに、時期が合わなかったようだ」
留雲真君がわざとらしく咳払いをして話題を変えました。いつもであれば根掘り葉掘り聞かれそうな雰囲気でしたが、難は逃れたようです。
「ん? いないのか? オイラたちもその仙人たちを訪ねに来たんだけど……」
「あの二人の老い耄れは……ふんっ」
留雲真君は、絶雲の間に住まう仙人の中でも最年少です。悠久の時を生きる仙人たちに年下も年上もあってないようなものですが……。
そこから、留雲真君は二人が今ここにいない経緯を話し始めました。
削月築陽真君は璃月港の事が心配だからと観察しようとしたそうなのですが、留雲真君が説得した結果、今は散策に行くと言ってどこかへ行ってしまったそうです。
理水畳山真君は山門の守護の為に目新しい何かを探しに行くと言い残して絶雲の間を発ったそうです。
……先ほどから隣の兄さまが肩を若干震わせているのですが、何かあったのでしょうか?
「そういう訳で、あやつらは外出しており、未だ知らせの一つも寄越さない……いや待てよ? よもやあの二人、それらを言い訳にして遊びに行ったのではないか!?」
「ぷふっ……」
兄さまが小さく吹き出しました。確実に何かを知っていそうです。
普段なら聞き出すところですが、いつも留雲真君に人の前で辱めを受けさせられている意趣返しとして、ここは黙っておいてあげましょう。
「うむ……? こんなに賑やかだとは」
そこへ、空さんたちとはまた違う来客の声が聞こえてきました。少なくとも、私は聞いたことのない声です。
声のした方向へ目線を向けると、そこには背筋をしっかりと伸ばした白髪の美しい女性が食べ物の沢山入ったバスケットをいっぱい持って私たちのいる洞府へと歩いてきていました。
容姿、佇まい、口調……恐らく、この方は以前留雲真君が仰っていた申鶴さんなのでしょう。
「その声……申鶴? 申鶴なのか?」
「あれ、申鶴も留雲借風真君を訪ねに来たのか?」
「申鶴……最後に会ったのは確か、一週間前か」
「皆もいたのか」
やはり、私の予想は間違っていなかったようです。……しかし、兄さま? 申鶴さんに会ったことがあるとはどういうことなのでしょうか。私は会ったことないのに、兄さまがあったことある? むぅ。
「久劫、また主は……まぁよい。申鶴、こやつは甘雨だ。聞いたことあるだろう」
「こんにちは。甘雨と申します。今は玉京台に務めております。近頃申鶴さんが璃月港へと移り住んだとお聞きしました。
何か困ったことがあれば、いつでも
「承知した。感謝する」
申鶴さんはどうやら、私みたいな邪な感情は持ち合わせてはいないようです。今の私の言葉を素直に受け取れたという事は、そういうことなのでしょう。
私は兄さまに対して色々な感情を抱いていますが、申鶴さんはどこまでも真っすぐで、不純なものが何一つ混じっていない瞳をしていました。……兄さまは、申鶴さんのような人が好みなのでしょうか。二人で逢引きするほど仲が良いのでしょうか。
「口にできるものを城内より持参した。聞けば、璃月人は海灯祭の時は食べ物を知り合いに贈るらしい。だから、我もここまで来た」
それに、気遣いもしっかりできています。
私はただ留雲真君に顔を見せに来ただけだというのに、申鶴さんはちゃんと留雲真君に贈り物を持ってきていました。
どんどんと、兄さまの意識が私ではなく申鶴さんに寄って行ってしまっているような錯覚に陥ります。
「ふむ。璃月港に行ってたった数日でここまで気配りができるようになったとは。感謝するぞ申鶴。この菓子は妾が責任をもって食べよう」
後ろの刻晴さんが何故かため息を吐いていますが、今の私には気に掛ける余裕もありません。
思えば、今日ここへ来る途中も私は兄さまの後ろをついていって、危ない場所を教えてもらって、時には手も貸してもらって、兄さまに頼りっぱなしでした。
兄さまは、たった数日で璃月港に溶け込めるような逞しく美しい女性の方が好みに決まっています。私なんかでは、到底釣り合わない……。
「ところで、魈がどこにいるか知ってる?」
空さんが話題を変えました。
それにつられて全員の顔がそちらに向きますが、私の顔は未だに俯いたままです。
不意に、私の右手が何か暖かいものに握られました。ぽかぽかしてて、暖かくて、包まれるようなその温もりを、私はよく知っています。
この繋いだ手を皆さんから見えないように立ち位置を調節した兄さまが、私の手を握り締めながら空さんの質問に答えます。
「魈なら恐らく、いつもの旅館にいるはずだ。
そこにいなければ、祭りで殺気立っている魔物の退治に行っているはずだ。その時は帰還するまで待つか、旅館のロビーに荷物を渡しておけばいい」
「はぁ……つまり、この祭りの日に、妾だけが絶雲の間に残っておったという事か」
留雲真君がため息を吐きながら他二人の仙人に対して愚痴を吐くようにそう零しました。
兄さまの顔を見上げてみれば、穏やかな笑みを浮かべて私を見ていました……その笑顔は、少しばかりずるいです。
「甘雨と久劫が来ていなければ、今頃仕掛けの術について黙々と研究していただろう」
「お邪魔してしまい、申し訳ありません……」
留雲真君たちの意識がこちらへ向いた以上、これ以上兄さまと手をつないでいてはまたあの視線を向けられてしまいます。名残惜しいですが手を離し、真君の研究の邪魔をしてしまったことを詫びます。
「ははっ、急によそよそしくするでない。
妾の邪魔をするのも、これが初めてという訳ではなかろうに」
……なんだか、雲行きが怪しくなってきました。
「お前は小さい時から、妾が仕掛けを作っていると、部屋で走り回るのが好きだった。
それに、妾の作ったあれを久劫の元へ持っていき、一緒に遊ぶのが好きだったな。思えばその頃から……」
わああ!! 事実ですけど、事実ですけど! その話を皆さんにされるのはとても困ります! 私も兄さまも!!
「あ、あっ! りゅ、留雲真君! 私、まだ仕事の用事がありましたので、お先に失礼します!」
「ぼ、僕は素早く甘雨を璃月港に送り届ける。ではな留雲!」
私は兄さまと結託して絶雲の間を去ろうとしますが、ただただ昔話をしたいだけの留雲真君にとっては、目の前に刻晴さんがいるのに璃月港へ帰る私たちが不思議に映ったのでしょう。仕事があるなら直接言えば良いと言って足止めをしてきます。こ、このままでは私と兄さまが皆さんの前で辱めを受けてしまいますっ……!!
「わっ、私と凝光で受け持つ仕事が違うので、私に伝えても意味がないんです!
甘雨は七星の秘書ですから、普段より玉京台に舞い込んできた仕事をそれぞれ違った責任者に報告しているんです。
た、大変ですよね……」
刻晴さんが、わ、私たちをかばっている……!
「はい! ですので、申し訳ございませんが、その……皆さん、お先に失礼いたします!
兄さま、お願いできますか?」
「ああ。任せとけ。飛ばすぞ」
「え……にっ、兄さま! これでは話をされるのとさほど変わりが――――ぴゃっ!」
兄さまも兄さまで、留雲真君に昔話をされるのが嫌で早いところこの場を抜け出そうと必死だったのでしょう。
私を連れてこの場を素早く去るという選択肢しか残らなかった兄さまは、突如私を皆さんの前で横抱きにし、普通の人では目に見えないような速度かつ、私に負担がかからないように走り始めました。
「ここまで来れば大丈夫か」
「……あっ、はい……そうですね」
横抱きにされつつ兄さまの横顔をぼーっと眺めていた私は、兄さまに声を掛けられて漸く我に返りました。
まだ絶雲の間は抜けきっていないですが、ここまで離れればもう大丈夫でしょう。
岩山の上に兄さまと一緒に降り立ち、私たちは倒れてしまった木の幹に腰を下ろします。
璃月の海からやってきた潮風が途中の山々で勢いを弱められここまで届き、私たちの体を涼しく包み込んでくれます。
手を握られ、横抱きにされ、それだけで先ほどまでの申鶴さんに対する劣等感は全て吹き飛び、再び兄さまの全てが愛おしく感じるようになりました。
――――やはり、この人を好きになってよかった。
あわよくば、まだただの同居人である彼が、私の伴侶として生涯一緒にいてくれるように、私も彼にとって相応しい人物にならなければなりません。
「甘雨……?」
「えへへ……もう少しだけ、このままでいさせてください」
少しくらい甘えても、いいですよね?
兄さまの肩はとっても逞しく、安心感がありました。
そして、兄さまは寄りかかる私をさらに抱き寄せるように左手を私の肩へと回します。
今までこんなことをされたらうるさい位に心臓が悲鳴をあげましたが、なぜか今だけはやけに落ち着いていて、ずっとこの時間を堪能していたいと思うように、私はさらに兄さまに体を寄せました。
――――ずっと二人で
……私も、ずっとそう思い続けますよ。兄さま。
ガチで21:00ピッタリに仕上がった……
誰とのif編が一番見たい?
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魈
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鍾離&始帰
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申鶴
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胡桃
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刻晴
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凝光
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七七
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タルタリヤ
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香菱
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孤独の旅