6人目の仙衆夜叉   作:貮式

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皆さま、あけましておめでとうございます(今更)

そして、お久しぶりです(半年ぶり)


久劫の誕生日(九月五日)にも、甘雨の誕生日(十二月二日)にも、クリスマスにも大晦日にも元旦にも投稿せずに大変申し訳ありませんでした……。

筆自体は執っていたのですが、マジで創作意欲がわかなくて、推しなのに書けないのか? と自分自身を攻めた結果更に意欲がなくなって、と悪循環に陥り……。

約束していた番外編もかけておらず、X指定版は構想時点で頓挫してしまい白紙に戻り、日常も投稿の一つすらあらず、と本当にさんざんな結果ですね。


今年こそはちまちまと書けたらいいなと思っているので、どうぞ応援の程宜しくお願いします……。


それでは本編の方どうぞ。


挨拶

 

 

 スメールでの波乱に満ちた冒険を終えて、年明け。

 

 教令院の陰謀や長きに渡る信仰宗教の対立、新たに作られようとした神との戦い……そして、新たに増えた旅の仲間たち。

 

 

 そんなスメールを一旦離れて俺たちがやってきているのは璃月。理由は言わずもがな、この時期に毎年行われる海灯祭に参加するためだ。

 

 

 璃月港は既にお祭り一色で、祭りの期間中に飾り付けるための小道具や畳んだ屋台などが至る所に散見される。

 

 香菱に挨拶をしに万民堂へ赴いた時も、国内外から沢山やってくるお客さんの為に普段は倉庫の中に仕舞ってあるという机や椅子が外に出され、埃を落とすために水洗いでもしたのか濡れてピカピカになったものが干されてあった。

 

 逆に、白朮や七七がいる不卜廬では祭りの熱気に浮かされて酒を浴びるように飲んだり、食べ過ぎで気分が悪くなったりする人のための薬などの準備に奔走していた。

 

 

 客が増える、と言う意味では同じだけれど、店舗の種類によってその意味がまるで変ってしまうのも海灯祭ならではなのだろう。

 

 

 

「――――……なるほど、スメールでそんなことがあったのか。

 七神で遊戯を……か。ははっ、実に彼女らしい提案だ」

 

 

「うん。鍾離先生は表向きの事とかあるから、また塵歌壺の中でみんなで集まるのはどうかなって」

 

「みんなで集まれば、きっとナヒーダも喜んでくれるぞ!」

 

 

 そして今は、いつものように三杯酔でお茶を嗜みながら講談を聞いていた鍾離先生と、スメールでの出来事を話していた。

 

 ウェンティは基本どこにいるか分からないし、影は立場上そう簡単に会えないし、やっぱりこういう旅の話をするときは鍾離先生が一番落ち着くというか。なんというか、聞き上手なのだ。

 

 

「願わくば、フォンテーヌやナタ、スネージナヤの神とももう一度酒席を共にしたいが……彼女たちは自国の情勢的に厳しいだろう」

 

「うっ、全部これから行こうとしている国……!!」

 

 

「ははっ、きっとお前なら乗り越えられるさ。本来お前がいなければ、モンドも、璃月も、稲妻も、スメールも、こんな話をしている場合ではなかったのだからな」

 

 

「うぇへへ、そうだよなぁ?」

 

「なんでパイモンが嬉しそうなの」

 

 

 そうだ、俺たちならきっと大丈夫。旅の終点に辿り着かなければ、()との再会は望めないのだから。

 

 

「ふむ、すまない旅人。そろそろ時間のようだ。まだ挨拶に行く人はいるのか?」

 

「あ、はい。あと久劫と甘雨のところに」

 

「そうか。では、俺はこれで失礼する」

 

 

 懐から取り出した財布からモラを置いてその場を立ち去っていく鍾離先生。……えっ、財布!? 鍾離先生いつの間に財布持ち歩くようになったの!? っていうか全然足りないし!!

 

 

「鍾離のヤツ、やっと財布を持ち歩くようになったかと思えば……相変わらずモラに無頓着すぎるぞ!」

 

 

 結局俺のポケットマネーでお会計を済ませて、パイモンの鍾離先生への愚痴を聞き流しながらあいさつ回りの最後の目的地である久劫と甘雨の家へ向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「空ー! 早く来いよー!」

 

「はいはい、焦らない焦らない」

 

 

 群玉閣にいた凝光曰く、今日は甘雨は珍しいことに休みをもらっているらしく自宅にいるらしい。そして胡桃曰く、久劫も今日は非番で仕事は休みだという事なので、折角の夫婦水入らず日にお邪魔してしまう事へ多少の罪悪感を覚えつつ、急かすパイモンの後を付いていく。

 

 璃月港にある他の住宅と何ら変わらない一軒家。そこが久劫と甘雨の住む家。

 

 

 玄関前でこちらへ向かって手を振るパイモンに追いつき、玄関の戸を三回ほどノックする。

 

 

―――コン、コン、コン。

 

 

 木製の扉にノックの音が響き、中から「はーい」と二人分の声が重なって聞こえてくる。うん、相変わらず仲がいいようだ。

 

 やがてスタスタとこちらへ歩いてくる足音が聞こえてきて、玄関の扉が開かれる。

 

 

「どちら様―――……っと、空とパイモンか」

 

 

 出てきたのはエプロン姿の長身イケメンこと久劫。「主夫だ、主夫」とパイモンと耳打ちし合っていれば、「聞こえてるよ」と久劫が笑顔で返す。以前はスルーしていたが、やはり目の前で言うのとそうでないのとでは違うのだろう。

 

 

「あ、あけましておめでとう。久劫」

 

「あぁ、あけましておめでとう。さぁ、中に入って」

 

 

 新年のあいさつを済ませて、家の中に入る。パイモンが「ふぅ~、やっぱり家の中は温かいぞ~」ととっとと家の中に入っていき、そして空中で急ブレーキをかけて両目をまん丸に見開いた。

 

 ……? いったい何があったのか。家の中にいるとすれば久劫の妻である甘雨だが……。

 

 

「空さん、パイモンさん、あけましておめでとうございます。ようこそいらしてくれましたね。ゆっくりとくつろいでいってください」

 

「あ~、う~」

 

 

 久劫の後ろの方から聞こえて来た甘雨の声。そして、明らかに俺でもパイモンでも久劫でも甘雨でもない赤ん坊の声。

 

 一瞬思考が停止し、そしてほぼほぼ反射で家の中へ上がってパイモンとほぼ同じ位置で立ち止まって目を見開く。

 

 

「う~?」

 

 

 私服姿の甘雨の腕の中に居たのは、まだ1歳になっていないのではないかというほどの赤ん坊。

 

 さらさらの髪の毛、大きな目、ぷにぷにの頬、ずんぐりとした体格。その全てが目の前の生物を人の赤ん坊だと物語っている。

 

 

 久劫と? 甘雨の?? 赤ん坊??? 一体いつ???

 

 

 

「えぇっと、オイラたちが最後に久劫たちと会ったのが去年の三月くらいだったから……ええっと、うわああ!! オイラもう分からないぞ!」

 

 

「せ、仙人の赤ちゃんって生まれるのが滅茶苦茶早いのか??? いや、去年のあの時点で甘雨が妊娠してた??? いや、それだと時期とか合わないし……ぐわああ!! 俺も分からない!!」

 

 

 

 互いに互いの肩をぐわんぐわんと揺らして熟考する俺たちを他所に、久劫と甘雨は若干の苦笑いを浮かべている。

 

 

「あー、どうやら結構な思い違いをしてるようだな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――……っていう訳で、僕の同僚から一時的に預かってるんだ」

 

 

「なんだぁ―――……そう言う事なら早く言ってくれてよな!」

 

「まぁ取り敢えず、妊娠報告も出産報告もされない程嫌われてるわけじゃなくてよかったというべきか……」

 

 

 新年早々騒がしい二人組に訳を説明して落ち着かせる。

 ちなみにこの子は肩を揺さぶり合う二人を見て大爆笑してたので、まぁ止めなくてもよかったわけだが、これ以上変な憶測がエスカレートしたらどんな爆弾発言をされるか分かった者じゃないからやっぱり止めて正解だったな。

 

 

「オイラてっきり、お前らに子供ができたのかと本気で思ったんだからな!」

 

 

 パイモンが空中で地団駄を踏みながらそう訴えるも、そりゃアポなしで突然来るなんて思わないから、むしろ事前に報告しておけと言う方が無理があるだろう。という言葉は飲み込んだ。

 

 

「もうじき海灯祭ですからね。空さんたちがそろそろ璃月に訪れる頃合いだという事をすっかり失念してました」

 

 

 僕が説明している間にぐっすりと眠ってしまった赤ん坊を、暖かい毛布やらタオルケットやらを敷いたソファの上に寝かせて甘雨が少し申し訳なさそうな表情で二人を見る。

 

 以前に何度も知り合いの赤ん坊を世話してきたこともあってかその動きは手慣れており、普通に「この子の母親です」と言っても信じてもらえそうなほどに動作が身に沁みついていた。

 

 

「? ……ふふっ」

 

「……久劫、本当に久劫たちの子じゃないんだよね……?」

 

「ああ……そうなんだが……いや、何か僕も不安になってくるな……」

 

 

 僕の視線に気づいた甘雨が聖母の如く慈愛に満ちた笑みをこちらに送ってきたことにより、解けたはずの誤解がまた生みだされそうになっている。

 

 かくいう僕も、本当に甘雨が一児の母ではない、という事に確信を持てなくなりつつある。本当に自分の子供を持ったことないんだよな、甘雨。

 

 

 

 

 

 

 とまぁ、そんなこんなあって、「長居すると悪いから」「今日はあくまでも挨拶に来ただけ」と足早に退散してしまった二人を玄関先で姿が見えなくなるまで見送り、家の中に入った後にソファの上でまだすやすやと寝ている赤ん坊と、それを優しく見守る甘雨を見つめる。

 

 

 ……いつか、あそこに眠る赤ん坊が他人の子供ではなく、自分たちの子供になる時は来るのだろうか。

 

 

 僕たち半仙は、半分仙人の血を引いているため寿命が長い。

 それに、神の目による魔力だけでなく、仙力や呪術、陰陽術といった多種多様な術を使いこなすことができるため生存戦略にも優れている。

 

 

 まぁ、端的に言ってしまえば繁殖の必要性がなく、僕と甘雨との間に子供ができる可能性はかなり低いのだ。

 

 

 共に半分人間の血が流れているとはいえ、僕も甘雨も共に5000年以上生きていることからも『半分人間』という言葉が僕らの外見にしかほとんど作用していないことは明白だろう。

 

 

 

 そうして、じぃっと二人を見つめていた僕の感情を読み取ったのか、甘雨は顔を破顔させてにへらと笑った。

 

 

「私も、気持ちは同じです。まだまだ時間はいっぱいありますから、一緒に()()()()()()()()()()()、兄さま……いや、旦那様♡」

 

 

 ぐっ、その顔にその台詞は色々と不味い……!

 

 預かった赤ん坊がいなければ今すぐにでも襲い掛かってしまうところだった。

 

 

 

「……まぁ、その通りだな。焦る必要はない……か」

 

 

「はい―――……もしかしたら、案外もうすぐかもしれませんしね……?」

 

 

「――――っ、どのタイミングでも、僕は全力で喜ぶよ」

 

 

「ふふっ」

 

 

 

 

 

 ―――今年も一年、良いめぐり逢いがありますように。




久々に書いたからどこか違和感とかあったら教えていただけるとありがたいです……。
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