同じような話が続いて飽きてしまうのは承知してますが、ルート分岐だったり伏線だったりを張るのに必要だったのです。お慈悲ィお慈悲ィ……
しかしご安心を。今回から完結に向けて動いていきますので。
いややっぱつれぇわ……
少なくとも0評価食らいまくって評価が緑くらいまで落ちる悪夢を見るくらいには精神的にキツかったです……何気に今まで小説書いてて0評価食らったの初めてだったので……。
そして気づいたら日刊11位とかにいましたわこれ(今はランク外)。
もう作者大混乱ですよ。
評価バーが赤色になっただけで荒らぶっていたのに、ランキング上位に載ってるなんて、ほんとにもう、ありがとうございます。ほんとに。
「かつて、降魔大聖がとある魔神に操られていた話は、既に彼から聞いていますか?」
璃月港に到着し、普段は七星が会議に使っている広い部屋に通された後、眠っていた甘雨が目を覚まし、凝光との約束通り久劫について話し始めた。
なぜそこで魈の話が出てくるのは分からなかったが、これから甘雨が話す内容に直結するものなのだろうと考え、少し前に魈から聞いたと素直に答える。
「彼を操っていたのは、『夢の魔神 ダンタリオン』。人の潜在意識の中に入り込み、仙人でさえもその支配下に置いてしまう恐ろしい魔神です」
甘雨の口から放たれたのは、また新たな魔神の名前だった。
これまで岩や暴風、渦に塩といった自然現象の名を冠する魔神の名は聞いたことはあったり実際見たりもしてきたが、『夢』という自然現象ではない、明らかに対人の能力を司る魔神の名に少しばかり戦慄する。
「夢の魔神の能力はあくまでも精神的なもので、本人の攻撃力自体については殆どありません。
言ってしまえば、逃げることを選んだ塩の魔神よりも弱いと言って差支えはないと思います」
塩の魔神 へウリア。
かつて鍾離と共に遺跡を巡った思い出がある。心優しい魔神で、故に戦いの知恵も何も持っていなかったために最後は自らの民の計らいによって死を受け入れた魔神。
そんな魔神より弱いと断言できる魔神が、どうして今話題になっているのかは話の流れ的に理解できる。
「つまり、そいつが支配下に置いた仙人たちが強かった、ってことか?」
「えぇ。夢の魔神の支配下に置かれた人たちは、その秘めたる潜在能力を極限まで引き出させられて戦わされます。ただの子供が、大岩を片手で持ち上げ大空へ投げ飛ばすことができるようになるくらいには、夢の魔神の権能の効果は凄まじいものでした」
そしてそのような人々が何百人、何千人と夢の魔神の元に居り、中には降魔大聖のように力を無理やり出させられて戦わされる仙人もいた。
と甘雨は続けて語る。
魔神そのものが強いのではなく、魔神の影響を受けた人たちが強くなり、主を守る。
支配下に置かれた人々は決して主には逆らえないから、その力を無理やり使わされる外ない。よくできた能力だ。
しかし、魈は岩王帝君によって解放され、今その夢の魔神の名前を聞かないということは……
「はい。空さんが考えている通り、夢の魔神は岩王帝君によって封印され、夢の魔神の支配下に置かれていた人々も解放され岩王帝君の庇護を受けるために帝君の元へ下りました」
「おう、それは良かった……けど、今その話をする意味ってなんだ?」
パイモンが甘雨の話の本質を問う。
鍾離から聞いた話からだいたいの推察はできる。恐らく……
「夢の魔神は封印された……当時、誰もがそう思っていました。帝君も、帰終様も、龍王も、仙人も、私も、そして久劫兄さまも……」
『久劫兄さま、その、帰って来たら、す、少しお話が……』
任務の出立に向けて準備を進めていた兄さまに、私はそう言いました。
幼い頃よりずっと私と一緒にいてくれた兄さまに、私は兄妹愛とはまた少し違った感情を抱き始めていたのです。
兄さまと共に暮らしたい、兄さまと共にありたい。それは、小さい頃からの私の夢でした。
『そうか。なら、僕も早めに帰らなければな』
兄さまはきっと私の気持ちには気付いていないのでしょう。事もなげにその大きな手で私の頭を撫でると、以前私が持とうとしたときは重すぎて持ち上がらなかった水色の大剣を片手で軽々と持ちあげて、『行ってくる』と残してあっという間に去って行ってしまいました。
『行ってらっしゃい』という私の言葉は、果たして彼に聞こえていたのでしょうか。
璃月港が出来た、魔神を封印して降魔大聖含めた数多くの仙人を味方にできた、この地で戦争を続けていた魔神は全て封印したか外海へ追いやった、久劫兄さまは妖魔などすぐに払って帰還する。
それは、当時の仙人たちが『当たり前の事』だと認識していたことです。
降魔大聖だけは少しばかり危惧していたようでしたが、彼もそれを殆ど信じていました。
……ですがその日、いつになっても久劫兄さまが帰ってくることはありませんでした。
仙人たちが何事だと焦り始めた夕刻、真っ青な顔をした一人の仙人が私たちが暮らしていた場所へ飛び込んできたのです。
曰く、『人知れず復活していた魔神が、蓄えた力を全て一人の夜叉へ向け、それに反撃した夜叉と相打ちになって死んだ』と。
そして、同時に帝君が玉座から急に立ち上がり、少しばかり震えている声で小さく、
『……消え、始めている』
「復活を遂げていたのは封印したと思い込んでいた夢の魔神で、夢の魔神は帝君に悟られないように蓄えた力を少しずつ璃月にばらまき、我々仙人ですら激しい戦いに気付けないほどに感覚を鈍らせていたのです」
「そんな……」
パイモンが小さく声を上げる。
璃月を統治していた最強の魔神をも欺き、その魔神の元から最高戦力を一人奪っていった夢の魔神の実力は、相当高いとみて間違いはなさそうだ。
「でも、彼は生きてると分かったわ」
話を聞いていた凝光がそう言うと、甘雨は何故か顔の向きを少し下げた。
「ええ。そうですね。なのでまず、久劫兄さまに会ったら我々仙人は兄さまに謝罪をしなければなりません。
龍王が仰っていました。『ヤツを殺したのは、ヤツの強さに胡坐をかき、ヤツを死地へと追いやった我々仙人の傲慢である』と。私たちは、彼の言葉に何も反論できなかったのを覚えています。だから兄さまに会ったら、まずは謝らなければなりません」
甘雨はそう言って唇を噛み締めるが、
「いいえ、それは違うわ」
刻晴が、その甘雨の言葉を否定した。
「あなたがその久劫にかけてあげる言葉は謝罪なんかではないわ。きっと彼も、可愛がっていたあなたに久々に会って謝られたくなんかないはずよ。私だって、そんなのは嫌。
だから、甘雨。あなたが彼にかけてあげる言葉は
『行ってらっしゃい』と送り出されたのであれば、きっと彼が待ち望んでいる言葉は『おかえりなさい』。出立の時、あなたに見送られたのならなおさらよ」
刻晴はそう言って、甘雨に笑いかける。
甘雨も最初は驚いた顔をしていたが、刻晴の言葉に「はい」と笑顔で答えた。
「彼を見つけて、この話がひと段落ついたら、璃月の民に彼の事について公表しましょう」
そう提案したのは凝光だ。
「かつて帝君は、民を不安にさせないために強力な妖魔を退治する彼の存在を公にしなかった。そうだったわよね、甘雨?」
「ええ」
「なら、もうその脅威は璃月にはない。古の璃月を陰から守ってくれた仙人を、いい加減労ってあげるべきよ」
凝光の言葉に、俺とパイモンは賛同するように頷く。凝光と視線を合わせた刻晴も頷き、遅れて甘雨もゆっくりと頷いた。
「旅人、あなたには悪いのだけれど、このまま彼の捜索に力を貸してくれないかしら」
その問いに無論だと答えようとしたところで、何やら廊下が騒がしいことに気付いた。
部屋にいたみんなもそれに気づいたようで、扉の方へ視線を向ける。
直後、すごい勢いで開かれた扉と共に部屋に入ってきたのは、切羽詰まった様子の胡桃だった。
「旅人!! すぐに来てほしいの! 鍾離先生が急に倒れて、今医者に診てもらってるけど、とても苦しそうで……!!」
「おい! 七星の建物に許可なく入るとは、いくら往生堂の堂主だとしても許されないぞ! すぐに連行して―――」
「いいわ。そんなことしなくて」
千岩軍に連れていかれそうになっている胡桃を凝光が止める。
「しかし」と困惑する千岩軍に凝光は睨みを利かせると、千岩軍はとたんに大人しくなる。
「旅人、すぐに行ってあげなさい。堂主さん、報告感謝するわ」
「天権さん、ありがとう!」
付いてきてと先行する胡桃の後を、パイモンと共に駆けていく。
鍾離先生は岩神である。その実力は神の心を渡してもなお健在であり、それが嘘ではないことは彼の高い戦闘技術と、神の心なしに稲妻を統治していた雷電将軍の存在が肯定している。
だから、
アンケートに答えてくださった方々、本当にありがとうございました!
結果、50%以上の方が『甘雨とほのぼの√』を選んだので、本編のエンドはその方向で行かせていただきたいと思います!
そう、あくまで『本編の』エンドは。
てことで、まだ本編も完結してない段階ですが、選択肢にあったものは全てif番外としてお送りする予定ですので、甘雨√以外を選んだ方も安心して気長に待ってもらえると嬉しいです。