せっかくなので季節イベントを取り入れました。
「とーほく、ハッピーバレンタイン!」
学校から帰宅して、東北家に遊びに来た音街がきりたんに小さな箱を渡してきた。
「ん?音街これは…」
「チョコだよ、もちろん手作り!」
「ああはいはい、ありがとうございます」
小箱を受け取り、テーブルの上に置く。
「んっ!」
音街はニコニコしながら両手を差し出す。
「音街、何してるんです?」
「とーほくから私へのチョコは?」
「ありませんよ」
「えっ?」
さらっと言うきりたんに唖然とする音街。
「いやぁ、今日がバレンタインだということを忘れてまして、音街からチョコを受け取ってようやく思い出しました。どおりでクラスの男子達がソワソワしていた訳ですね、はははようやく納得しました」
「とーほく?」
威圧感のある笑顔で首を傾げる音街。
「はい…作ってません」
申し訳ないと両手を合わせるきりたん。
「はぁー、しょうがないなぁとーほくは、じゃあホワイトデーに3倍返しでウナ様は勘弁してあげよう!」
「じゃあ音街がくれたチョコの個数の3倍のずんだ餅をあげます」
「それは勘弁してー」
しばらくの後、ゲームをするきりたんを見ながら何か閃いた音街はニヤリと笑う。
(とーほくめ…ちょっとだけウナが揶揄ってやろう)
「なぁとーほく、別にチョコやずんだ餅じゃなくても今すぐに用意できるお返しがあるぞ」
「ほぅ…それは何ですか」
興味があるのかゲームの手を止めるきりたん。
「それはねー」
音街はきりたんの目の前までやってくると、そっと耳元に口を近づける。
「とーほくをチョコの代わりに食べちゃえばいいんだよ」
普段は出さないとても甘い声を出しながらきりたんを押し倒す音街。
(へっへー、どうだウナの演技力は!ウブなとーほくは慌てるだろうな〜)
「いいですよ」
「へっ?」
悪戯心全開の音街。しかしきりたんは慌てたり、顔も赤らめたりせず、むしろ受け入れてきた。
「音街が…ウナちゃんが食べたいって言うなら…どうぞ」
きりたんは音街の背に両手を回す。
押し倒していたはずなのに自分が段々ときりたんに引き寄せられていく。
(まっまままま待って、これは予想してない!)
脳内で慌てる音街、咄嗟の判断できりたんから離れる。
「な…なーんちゃって!じょ冗談、冗談!」
しどろもどろになる音街を見て起き上がったきりたんはクスリと笑う。
「音街、私を騙そうだなんてまだまだですね、いやぁ随分とウブなリアクションでしたよ」
「なっなぁ!?」
「でもいいのを見れましたし、ホワイトデーのお返しは本当に私をあげましょうか?」
きりたんの台詞にむしろ自分が揶揄われていた事に気づく。
「ぬ…ぬがー!もういらんわー!」
恥ずかしさで顔を真っ赤にしている音街を口に手を当てニヤニヤしながら見るきりたんであった。
(あっぶなっい!アイドルの誘惑と演技力恐るべし、あのまま音街が離れなかったら本当に手を出すところでした、いやぁウブで助かりました…)
実は冷静でも何でもなく、内心バクバクのきりたんである。