◇讃州中学勇者部新入生の章
ごく普通の転生者である木原通行が某車椅子野郎から悪魔召喚プログラムを貰い、そこから転生者互助集団であるネオベテルに加入したりデビルサマナーになったりしてから迎えた初めての春。
そうなると当然ながら表では普通の中学生をやってる俺の学年も二年に上がり、それに従って通っている讃州中学にも後輩となる新入生が入学したので俺が所属する勇者部にも新入部員がやって来たのだった。
「はい! こちらが今日から讃州中学勇者部の新入部員となる郡千景さんです。彼女は神樹様の加護を得る『勇者システム』の適合者に選ばれる凄い人なんですよ。みんな仲良くして下さいね」
「……どうも」
そんな訳でニコニコ笑いながら新入部員を紹介する山田先生に対して、なんか露骨にテンションの低いというか人見知りしてる感じな黒髪ロング美少女が讃州中学勇者部新入部員の郡千景氏である。
ちなみに神樹館の勇者部から彼女一人だけが入部してるのは、単に他の小学校勇者部部員よりも学年が一つ上だったので先に中学校に入学したからというだけだそうだ。
「久しぶりね郡さん。ちょっと前に大社の方で会ったきりだけど元気にしてた? これからよろしくね」
「はい、久しぶりです真鈴さん。よろしくお願いします」
「初めまして郡さん、勇者部部員の平賀才人だ。これからよろしくな」
「……え、えぇ……」
「一応勇者部部員やってる木原通行だ。まあヨロシク」
「……よ、よろしく……」
……ふむ、俺と才人に対しては露骨に萎縮してるな。事前に最愛のヤツから聞いてた通り、彼女は人見知りかつ男性が苦手ってのは本当なんだな。
とりあえず今は大社繋がりで知り合いらしい先生と真鈴に任せて、俺は才人の首根っこ掴んでちょっと離れるか。
(ちょ、何すんだよ?)
(彼女は男性が苦手だと妹情報で入ってるから今は適度な距離取っておいた方がいいだろ。少なくとも此処に慣れるまではな)
(え? そうなのか?)
(態度見れば普通に分かるだろォが。……そんなんだからモテないンだよ)
(それは今関係ないだろぉ! お前だって顔怖いから避けられてるじゃん!)
(それを言ったら戦争だろうがァ!)
そんな感じで俺と才人は取っ組み合いを始めるのだが……ええいっ! レベルで上回っていてもステータス物理特化のコイツ相手じゃ互角が精々か!
「……ええと……あの二人は?」
「ああ、アレは単にじゃれあってるだけだから気にしなくていいわよ。いつもの事だし、何だかんだで仲のいい友人同士だから」
「喧嘩する程仲がいいってヤツですね」
なんか外野がうるさいがこのまま取っ組み合ってるだけでは決着が着かんな……仕方ない、ならばネオベテル本部から地方メンバー様に支給された“コイツ”を使う他ないな!
「ならばこの【花札屋】製の最新ゲーム機【ゲームキューブ】で決着を付けるぞ! ソフトは今日発売の【大乱闘スマッシュブラザーズDX】だ!」
「前に言っていたヤツだな! 本当にこんな田舎まで即日で届くのか!」
「これがネオベテルの力(スポンサーに花札屋を始めとする娯楽関係会社が複数いる)だからな! 注文すれば日本全国即日で届く!」
ちなみに前世と比べるとゲームキューブ発売がかなり早いが、これは戦前転生組の中で娯楽関係や電子機器関係の会社を起こしたり技術者になった連中が色々とテコ入れしたからである。
なので前世よりもその辺りの技術は大分進んでおり、このゲームキューブも嘘か真か悪魔相手の打撃武器として使ってもキチンと動作するとか……流石に技術班の冗談だろうけど、なんか連中COMP技術を流用してゲーム機作ってるらしいからな。目標は完全なVRゲームだとか。
「????????? …………え、なんでそこでゲームキューブが出てくるのよ。しかも最新ゲームが即日で届くなんて……」
「ああ、球子と杏とひなたと美佳から貴女がゲーム好きだって聞いてたから、今日の歓迎会用に通行に頼んで用意して貰ってたのよ。元々部室にゲーム持ち込んで遊んだりしてたし」
「学校にゲーム持ち込んでもいいの? 神樹館では持ち込み禁止だったんだけど……」
何やら唐突な最新ゲーム機の登場によって郡さんの表情が宇宙猫になってるけど、これには俺のデビルサマナーとしての役目やデビルバスターとしての仕事が深く関わっている(という事になってる)
「俺は仲魔達に『定期的に娯楽を提供する代わりに使役される』的な契約を結んであるからな。なのでこういうゲームとかもデビルサマナーとしての仕事の一環なンだよ(強弁) それにネオベテルでは悪魔関連の仕事のやり過ぎで魂が悪魔よりにならない為として、この手の娯楽を推奨しているしな」
「……と、そんな感じの事を通行が主張したので部活動の一環でゲームとかが認められた感じ。実際中学の勇者部では最近異界攻略とかのハードな仕事をさせられる事が増えてるしね」
「学校というか大社の方でも手が足りてないからと中学生にまで依頼を回してる事に引け目がありますからね。まあ学業に影響は出ず周りに迷惑をかけない範囲でならと」
「一般生徒にバレたらまずいから防音の結界とかを貼ってるからな。通行が」
「えぇ……これが中学生(愕然) 私達は勇者の力持ってるのにボランティア活動と勇者システムの訓練が殆どだったのに……」
あの旧校舎での一件以来、俺ら讃州中学勇者部は大社から『レベル20代の悪魔が起こす事件も解決出来る』勢力として見なされ、いくつかの向こうが忙しくて手が回らず比較的危険性が少ない(危険でないとは言ってない)オカルト案件の事件が回される事になったのだ。
郡さんが小学校と中学校の勇者部活動が違うのも、その煽りで表向きのボランティア活動がほぼ無くなり(ハードな仕事だから休養も必要だし)その分神樹館の小学校でボランティア活動が増えたのが原因みたいだが。流石に『まだ小学生を積極的に働かせるのはちょっと』という意見が大社内でも強かった模様。
「そういう訳で中学の勇者部では本格的に悪魔関係の事件に関わっていく事になるので千景さんも覚悟しておいて下さいね」
「分かりました山田先生。……私だって勇者だもの、ちゃんと活躍してみせる……!」
「まあ今日は郡さんの歓迎会だから仕事も無いからね。ゲームとかする?」
「ええと……どうしてもというなら(そわそわ)……ゆ、勇者部の活動だからしょうがないわよね(チラチラ)」
何やら決意を秘めた表情になってる郡さんだったが、真鈴の問いかけに合わせてスマブラDXのソフトを見せるとあからさまに視線がそっちに寄せられてるのでゲーム好きというのは本当らしい。
まあ前作の64版と比べても圧倒的にクオリティやゲームシステムが進歩してると話題になっている作品だからね! ゲーマーなら気になっても仕方ないよね!
「ほらほら、今日は郡さんが主賓なんだからアンタ達のじゃれ合いは後回し! とりあえずスマブラやる? お菓子とかも持ってきたけど」
「ええと……いいんですか?」
「まあ元よりスマブラは四人まで遊べるしな。大乱闘の名前は伊達じゃない」
「ついでに俺の仲魔も呼ンでおくか。今後は一緒に仕事をするンだから慣れておいた方がいいだろう」
「え、なになに? 前言ってたすまぶらって奴の新しいヤツ? やるよ。やるよ!」
『ヒーホー! 今日こそ俺のマリオが火を噴くホー!』
『☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆』
「⁉︎ 本当に悪魔を使役してるの……?」
流石にいきなり出て来た俺の仲魔達を見たら彼女も驚きはしたが、とりあえず『スマブラやろうぜ!』って勢いで押し切って遊んでたら普通に仲良くなれたな。流石はパーティーゲームの王者な大乱闘さんだぜ。
……え? 俺と才人の言い争い? 彼女に色々と説明してたらどうでも良くなったし、それよりも今はスマブラやろうぜ!!!
「オラァ! これがリンクの勇者パワーだ! 回転斬りぃ!!!」
「おめーは勇者じゃねェだろ才人。というかガチ勇者(郡さん)が横にいるしな……おっと、モンスターボール拾った。女子組が戦ってる所にほい」
「ぎゃー⁉︎ 出て来たフリーザーに私のピカチュウが氷漬けになって星に! 通行お前!」
「とりあえず緊急回避……やっぱりフォックスは足が速いのがいいわね。……あ、チャージショットはリフレクターで反射するわ」
「クソァ!!!」
まあ、そんな感じで一緒にスマブラするぐらいには郡さんとも仲良くなれたので、今後の勇者部としての活動もどうにかなりそうではあったとさ……後で最愛から『部活でゲームやるとか超ズルくないですか?』と言われたがスルーで(笑)後一年待つがいい。
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◇博麗神社に座す者達の章
「……ふーん、じゃあ恐山の方はとりあえず小康状態って訳ね」
『はい、メイドスキーニキと青森県民ニキ、それと恐山にいた“私達と同じ転生者”である仮称イタコネキが、現地のイタコ達とヤタガラスから派遣されて来た霊能者達と協力して、更に脇巫女ネキから届けられた結界の霊装を使う事で一時的にですが異界の拡大と悪魔の外部流出を防ぐ結界を敷けたそうです』
「それは良かった。私が昔使ってた【十握剣】に大体2週間ぐらい持つ分の結界の霊力込めて作った甲斐はあったわ。悪用されない様にネオベテル所属の人間以外が装備したら神殺しの炎が襲う呪詛も込めてあるから、そこだけは気をつける様に言っといてね」
『心配せんでもレベルが一番高い俺ですら霊格が違いすぎて装備出来ないから大丈夫だろうにゃー』
『イタコの人達やヤタガラスの人達からは“めっちゃやばい禁術が施された呪具”って思われてるから迂闊に触れる人もいねーと思うけど』
博麗神社の『奥の間』と呼ばれる脇巫女ネキの私室にて、彼女は事務方の代表である女性とメイドスキーニキ、及び青森県民ニキ達からブラックボックスを使って最近急速に拡大していった大異界『恐山』についての報告を聞いていた。
『お陰で恐山やヤタガラスからは“神話級の呪具を貸し出してでも我らを助けようとしてくれてる”とか“本気で日本の霊的異常を解決しようとしている護国精神に溢れた集団”とか思われている所もある様で』
『これも予定通りだにゃー』
『お陰で恐山との密約で異界攻略が完了しだい青森にネオベテルの支部を作るって事で成立したしな。イタコネキの口利きもあったし』
「昔異界で拾った御古に1週間ぐらい仕事の片手間で込めた術でそれだけの利益が引き出せるなら悪くないわね。……まああんまり私に頼り過ぎて貰っても困るんだけど」
脇巫女ネキとしては自分一人に依存する組織だと先細りするのでたかがレベル40程度のボスの異界ぐらい攻略して欲しかったのだが、恐山のイタコ達が普通に死にまくっている事やらイタコやってた転生者がいると青森ニキから聞いたのと、他の幹部メンバーから思ったより人を集めるのが時間かかると言われたので急遽異界の拡大をしばらく阻止する霊装でお茶を濁した感じである。
……まあ、この日本の霊能組織から見れば『日本最古の家系の霊能者が自分の門外不出級の家宝を事件解決の為に惜しみなく提供した』としか見えない状況ではあるのだが。
「それでウチからの人員の派遣状況は?」
『神父ニキ配下のエクソシスト部隊の派遣は決定しました。あちらも『メシア教とは違う』所を見せようとやる気に溢れてます。後は恐山クエストに募集したレベル20以上の転生者36名ですかね』
『欲を言えば幹部クラスが後二人、一般メンバーも二十人ぐらい欲しいにゃー。ヤタガラスからも当代【葛葉ゲイリン】を始めとする精鋭を派遣するらしいけど』
『恐山側の戦力は殆ど壊滅状態だからなぁ。俺らが来るまでイタコネキがほぼ一人で対処してたぐらいだし……何とかならねぇか? 出来ればイタコ達の治療だけでも』
「うーん、今後も仲良くするなら治療は必須かなぁ。このまま異界攻略が終わっても恐山が壊滅したら意味ないし……仕方ないから魔女ネキに派遣を要請しましょうか。治療に関しては神父ニキ達に頼む方がいいかも、なんだかんだで彼等は破魔と治癒のプロフェッショナル達だし。……もしそれでもダメな相手がいるなら私も出るわよ。【メシアライザー*1】辺りで治せる範囲でならだけど」
それから諸々の報告を受けた後に組織としての方針を大まかに決めて『細かい所は良きに計らえ』で済ませた脇巫女ネキは、通信を切った後で大きな伸びをしながら疲れた様に溜息を吐いた。
「あー……組織の長ってクッソ大変なんだけど。リムルが大まかな指示出しもやってくれないかなぁ」
「……前にも言ったがそれは無理だぞ。このネオベテルが人間の組織である以上、前世が人間とは言え今世が悪魔の俺がやるのは裏方の経理とか生産ぐらいだ」
「あらあら大変そうですわねぇ」
そんな脇巫女ネキの愚痴に答えるかの様に部屋の中に入って来たのはスライムニキと周回ネキだった……実態は単に彼女の話が終わるまで部屋の外で待機していただけだが。
「人間の組織である以上は人間が最終的な決定権を持つべき、例え元人間だろうが悪魔に近付いた時点で価値観も悪魔寄りになるから、故に組織の方針は人間よりのメンバーが主体で決める……って前に決めただろう? そもそも俺は転生してからずっと悪魔だったから、今は前世の人格をペルソナ化する事で人間らしく振る舞えてるけど実際はなぁ」
「分かってるわよ……でもやっぱり私にこういう仕事は向いてないのよ! ホント実質的にお飾りの盟主になって運営は他の転生者に任せる様になれるのはいつの日か」
「本当に大変そうですわね……まあそれでもペルソナ使い用の造魔を強請るのはやめませんが。そろそろ私単騎での認知異界攻略と各種調査はマジキツイんですわよ」
一応彼女達もネオベテルが立ち上げて数年の組織として考えるなら上手くやっている方だというのも理解はしていたが、それはそれとして上昇するGPや各地の不穏な動きに対応するには幹部メンバーがブラック労働せねばならない現状はどうにかならないかとも考えていたのだ。
……尚、周回ネキは組織立ち上げよりも前、脇巫女ネキが転生者達への呼びかけを始めた直後に接触して
「ペルソナ使い用試作一号機【ヒゴロモ】はようやく形にはなったわよ。後は貴女との契約及び人造ペルソナの運用試験を行うだけだから。というかその為に呼びつけたんだし」
「それは本当に有り難いですわね。……やはりこの
そう言った周回ネキの“影”から、彼女と同じ顔をした数名の少女達が現れたのだ……それは“この世界”のスキルとしては余りに異質なモノではあったが、脇巫女ネキもスライムニキも特に驚く事なく話を続けていく。
「相変わらず君の【因子覚醒スキル】は便利そうではあるんだけどね。俺のはペルソナを介しての高速演算と前世擬似人格ぐらいなのに」
「私から言わせればそっちの方が使い勝手が良さそうなのですが。このわたくしたち……【■の弾】は原典の“彼女”の様に自立行動出来ず遠隔操縦出来るドローンの様なモノでしかないので。ぶっちゃけMAGをめっちゃ使うのに劣化し過ぎですわ」
「前世持ち他世界原作キャラ転生者のチート能力! ……と言えば凄そうだけど、実際にはメガテン・ペルソナ世界のスキルをちょっと変えて使ってるだけみたいだからね。私の【■を■ぶ程度の■■】も【リフトマ*2】の変形だし、多分それも真Ⅴで出てきた【実像分身*3】か【虚像分身*4】辺りの類似系と捉えれば。 まあこの世界異能が沢山あるから一概には言えないけど、メガテン世界に準拠した方が負担は少ないっぽいし」
……そんな他の転生者にも理解出来ないであろう会話を当たり前の様に進めながら、より
「ではこの【因子】についての話はまだしないので?」
「そうね。下手をすれば以前の『神殺し』や『悪魔召喚プログラム』以上の反応が起きる可能性がある割に、殆ど組織や転生者にメリットないもん。【因子覚醒】なんてするより普通にこの世界のルールに則って自分を鍛えた方が百倍強くなれるし」
「【因子覚醒スキル】なんて仰々しい名前を付けたけど、実際にはコストとデメリットが重い割に効果微妙なチートコードみたいなもんだからな。【因子】に沿って発現した普通のスキルを鍛えた方が効率いい」
「まあこれは狙って出来る様ではなく、私の様に己を限界まで鍛え上げて尚『それでも』という様な状況でないと覚醒しませんしねぇ。これまでの様に『スキルを鍛えれば前世のサブカルキャラのワザも使える』という事にしておいた方がいいでしょう。ぶっちゃけそっちの方が強いですし」
「後は今これ以上仕事増やしたくない」
「「それな」」
実際の所、彼女達がこの【因子】について話さないのは『説明が面倒だし色々みんな騒ぎそうだし、その割に得られるメリットなんて殆ど無いし後で話しても問題ないから出来ればもうちょっと組織が安定してからの方がいい。というか今明らかにしたら私ら絶対にパンクするわい!!!』という切実な理由があるだけなのだが。
「まあ、
「良くも悪くも“その手の2次創作”がある事を知ってる所為で“この世界はそういうもの”って自己完結してる人が殆どだから。……それに他世界からの【因子】の流入に関しては辛うじて観測出来たけど、誰がなんの目的で【因子】を流入させているのかがまだ推測と仮説の段階だし」
「最有力仮説は『現在至高天に座す王が犯人説』なんだがな。他世界からの因子の呼び込みにそれを世界に定着させるなんて芸当が出来るのは数少ないし、この世界における【ナホビノの禁】の性質を考えた結果の仮説だが」
「
「まぁねぇ」
尚、かなり衝撃的な事実があっさり出た気もするが神造魔人である【アカガミ】の事は公開しており、そこから原作真Ⅴを知っていればナホビノとの繋がりを思いつく者は一定数いるだろうとの考えから周回ネキだけでなく幹部メンバーの一部には教えているのだ。
……最も、それ以上の情報は繰り返しの中、自力で一部の情報を掴んだ周回ネキ以外には話していないが。
「この世界の【ナホビノの禁】は『知恵を持つ人間の霊格が推定レベル50以上で融合可能』『神と人がお互いに洗脳などではない完全な合意の元でのみ融合可能』『融合後の主導権は人間側にある』の三つ。……少なくとも【
「逆に俺の“本体”からの情報を含めても現在至高天にいるのは某閣下ではない事も確定。少なくとも混沌と自由を尊ぶ某閣下ならそもそも禁則は作らないだろうしな」
「こんな余りにも人間に考慮した禁則を定める、仮称【人の王】さんが何者かはまだ推測の段階なんですわよね。そもそもナホビノであり超越者でもある脇巫女ネキでも至高天を見つけられなかった相手ですし迂闊な行動は出来ませんわ」
「うん、カグツチも封印されてたから現状の至高天については知らないみたいだし、託宣でも妨害されてるみたいで何も見えなかった。……この事から少なくとも【人の王】の力は現状の私以上っぽいから、この一件に関しては何もできないのも情報を絞ってる理由。文句言われても解決出来る方策が無い以上は言っても意味ないでしょう」
【超越者 博麗霊夢 Lv125】
実際の所、この【因子】関係の問題は現状だと仮説と推論を重ねる事しか出来ていない段階なので、公表してもそれ以上の事が出来ずどうにもならないから混乱を招くだけだ(更に仕事が増える)からこそ秘匿情報として扱っているのである。
「現在のネオベテルに仮説段階のあれこれに割くリソースはないからな。とにかく先送りと言われても現実に起こってる問題へ対処する所から始めないと」
「ですわね。……ただやはりナホビノ関係は公開した方がいい気もしますが。先の禁則だと資質の高い転生者に知恵があった場合は狙われそうですしね。まあ好き勝手したい悪魔側とすれば禁則が厳しすぎて迂闊に手を出せないかもですが」
「ああ、確かにそれはあり得るか。とりあえず悪魔との迂闊な契約を結ばない様に再喝しつつ、ヤバめな案件であればすぐ相談する様に言っておきましょう。この前の神殺しニキみたいに黙ったままにされるのがいつ爆発するか分からないんで一番困るから、掲示板の機能もロボキチニキと相談してヤバい変質してたら分かる様にしておこうかしらね」
ちなみにネオベテル転生者が使う掲示板の機能は、いつのまにかネットに上げられてた『呪術転用可能な掲示板プログラム』を改造・流用している物であり転生者以外が書き込むと識別される機能もあったりする(無駄に呪術との相性が良すぎるので後々多分車椅子製じゃないかと疑われているが、危険性は無いし今更使わないのも無理なのでセキュリティを超強化しながら使ってる)
「後はこの前報告のあった【悪魔の駒事件】と周回ネキの記憶にあった【四国ボルテクス界化事件】、後はギリメニキ達の報告にあった高知県メシア教問題を考えると……勘になるけど“メシア教に至高天や創世に関係ある研究をしてるヤツがいる”んじゃ無いかしら。私は【受胎】って擬似的な創世を行う儀式だって考えてるのよ」
「悪魔化実験にボルテクス界……成る程【人修羅】か。確か『人修羅とは擬似ナホビノである説』を提唱してたな。……大分理論が飛躍してる気もするんだが、最高位の巫女でもあるコイツの勘は凄い当たるんだよなぁ」
「……四国のボルテクス界の時は最終的に
やっぱり定期的に他者との話し合いはしておくべきね、一人で考えると色々詰まるし……とも考えつつ、脇巫女ネキ達はネオベテルという組織と転生者達を『今後襲い来る苦難』に対抗できる様にするべく行動を続けていくのだった。
あとがき・各種設定解説
【ペルソナ使い 時埼狂三 Lv55】
ペルソナ:【女帝 ザフキエル】
ステータスタイプ:魔・速型
防御相性(ペルソナ使用時):祝福・念動・精神耐性、呪怨無効、火炎弱点
特性:【時を刻む天使】
能動スキル:【夢見針】【ワンショットキル】【至高の魔弾】【マハエイガオン】【マハムドオン】【エナジードレイン】【デビルスマイル】【マハスクカジャ】【マハスクンダ】【デカジャ】【デクンダ】【トラポート】【トラフーリ】【トラエスト】【アナライズ】
自動スキル:【マハスクカオート】【トリガーハッピー】【銃撃ハイブースタ】【呪怨ハイブースタ】【火炎見切り】【アリ・ダンス】【精神耐性】【生還トリック】
汎用スキル・その他:【銃技】【ペルソナ使い(シャドウ型)】【出力調整】【範囲調整】【簡易ナビゲーション】など
因子覚醒スキル:【■々帝】【■威霊■・■番】【■喰みの■】
・様々なメガテン世界を周回している転生者でペルソナ使いメンバーの代表でもあるネオベテルナンバー2ポジションの女性で、本人の周回知識を活かして諜報も行なっているブラック労働幹部。
・人員不足から『わたくしたち』を駆使しての単独認知異界攻略や諜報活動を行なっているが、実質的に自分の形をした使い魔(遠隔操作でコスト激重で能力は自分の大幅劣化)みたいなものでしか無いのでそろそろ限界が来ている模様。
・特性の【時を刻む天使】は補助スキル効果延長とスキル発動までの時間の短縮と言った『時間』に纏わる補助効果であり、この『特性』という概念はごく一部の高位ペルソナ使いが発現する事がある能力となっている。
・【出力調整】【範囲調整】はそれぞれスキルの出力・範囲を低下させて使える事を表している汎用スキルであり、例えば周回ネキの場合は【マハエイガオン】を【エイガオン】や【マハエイガ】や【エイハ】としても使える。
・彼女の『周回』に関しては実際の所【■々帝】の【■■の弾】を使う事で■■における■■の■■を■■■の■■に……(これ以上はまだ閲覧不可)
因子覚醒スキル:転生者の他作品チート能力(尚実際の使い勝手)
・転生者を含む一部の人間にある『他の世界の因子』を使う事で、この世界の異能の効果を歪めて別世界の能力に近い現象を起こす事象……と、脇巫女ネキ達は推測しているが実際の所はまだ不明瞭な部分が多い。
・【因子】は覚えるスキルなどにも影響を及ぼしていて有する因子の能力と似通ったスキルや技術を覚えやすく、更に性格や因果にも影響がある……という仮説もあるが、特に因果や性格はそうでない事例も少なくないので仮説止まり。
・因子の影響で覚えた通常スキルと比べて、覚醒スキルの方は無理矢理世界の法則を歪めているからか燃費が異常に悪く、得られる効果も原典と比べれば大幅に劣化するので使い勝手は悪い。
・一応脇巫女ネキの様にメガテンの霊能力やスキルを磨き抜いて因子由来の能力を『この世界のスキルの改変』レベルで運用出来る様にする事も出来る……が、そこまで技術を極めたのなら因子などなくても普通にスキルの調整や改変は可能。
・周回ネキは本人の技量と作り溜めが出来る『わたくしたち』の特性をを生かして事前に時間を掛けて準備する事で上手く使っているが、一体作るのに数ヶ月かかる上に性能もお察しレベルなので認知異界内での簡易造魔代わりぐらいにしかならないのが実情。
・現状では周回ネキやが異質な能力が使える原因としてナホビノである脇巫女ネキが辛うじて観測出来た何かを【因子】と定義して、それについて仮説や推測を重ねている段階でありどの様にして対応・公開すべきかに頭を悩ませている。
読了ありがとうございました。
本当は短編2本にする予定だったんだけど、後半思ったより筆が乗って裏設定的なものを書きすぎてしまった感がある。基本的に気分で書いてるからなぁ。