「「「「「…………」」」」」
東北地方青森にある日本有数の霊峰である恐山、現在は発生した【恐山大異界】の影響で禍々しい瘴気と極寒の冷気が渦巻く場所となってしまっているそこに二十人近くの一神教系聖職者の様な格好をして銃を装備した人間と、それに倍する数の天使達が異界を目指して山を登っていた。
尤もそんな彼らの表情は一般的な(転生者及びオカルト業界人などを除く)一神教聖職者や天使のイメージとはまるで異なり、異常な程の狂気と狂信を目に宿しながら黙々と行軍を続ける様は余りにも異質に映ったのだが。
「……この先にある異界だな」
「ああ、そこで【天使 パワー】様が降臨する反応を捉えた。不幸にもその後の反応は途絶えてしまったが、ここに残された封印術と霊脈の力を持ってすれば大天使様達の召喚も……」
「この地方のメシア教徒は役に立たない
「愚かなる異教徒達が攻略しようとしているという話ですので、ついでに“改修”と“浄化”を進めなければ……行くぞ、信徒達」
「「「「「エイメン」」」」」
そんな彼らの正体は言うまでもなく所謂【メシア教・過激派】と呼ばれる者達であり、恐山に掛けられた封印が解かれた事で現れた【パワー】の反応を察知、この場所の霊脈を奪取する価値があると判断されて派遣された者達である。
……だが、狂気に侵された表情をしているだけでそれ以外の感情が感じられない人間達と違い、天使達の方は狂気を抱いているのは同じでも話が出来る程度に知性と理性を持ったままであるという所が疑問点ではあったが。
「……そこで止まって貰おうか」
「む?」
そんな狂信者の群れを呼び止めたのは聖職者風の装備を身に纏い腰には日本刀を配した男性……【万神連合ネオベテル・ウルトラスープレックスホールド】の幹部であり日本の非メシア系一神教勢力の代表格を務める神父ニキこと【枢木朱雀】であった。
彼は横に自身の造魔である【ナノハ】と、量産型天使系造魔【
「……うわぁー、盛大に目がいっちゃってるね。メシア教過激派ってあんなんなの? 見た限り大分
「……まああの手の連中はよく見ますね。本当に忌々しい……!」
更にその後ろには彼の配下であるエクソシスト部隊が、彼らが契約している造魔である【
そして、最後方にはネオベテルの幹部である魔女ネキこと【相澤梓】とその造魔である【ライカ】の姿もあり、魔女ネキは怪訝な表情でメシア教過激派を装備した【万里の眼鏡*1】で見ながら近くのエクソシストに小声で確認を取っていた。
「……はぁ、どうせ意味はないだろうが一応聞いておく、ここに一体何の様だ? 現在ここでは大規模な異界攻略作戦が行われているので、邪魔をするなら帰って欲しいんだが」
「おやおや、我らはこの地に正しき主の教えを齎して主の為の聖地とし、そして蔓延る異教徒を浄化しに来ただけですよ。貴方も主に使える者であれば我々に協力するべきでは?」
「……貴様等と一緒にするなコロスぞ」
ぶっちゃけ神父ニキは内心『どうせ話は通じないだろうし速攻でぶっ殺したいな』と思いつつも、一応警告したという事実作りと可能な限り相手から情報を引き出す為に怒りを抑えながら会話を引き延ばす事にした。
「……この恐山はあくまでこの地に住むイタコ達のモノであり、我々エクソシストはあくまでこの国の霊的な秩序を守る為に助成しているに過ぎん。彼女達の許可なき霊地への侵入と侵略は、イタコ達及び協力関係にある我々ネオベテルやヤタガラスへの敵対行為とみなすが?」
「ネオベテル? ……ああ成る程、貴方達が最近我々の崇高なる使命を邪魔している背教者達ですか」
「思い出しましたよ、あの男の名は枢木朱雀。戦後に日本の霊能組織から我らの教えに降ったにも関わらず、異端者達を集めて我々天使達と敵対している男です」
「“ベテル”という主の家の名を騙りながらも、この国の異教徒と協力関係を結ぶなどというメシアと主への侮辱は赦しがたい」
「仕方ありません、彼らに真なる主の教えを授けるのも我ら天使の使命。……それに彼らなら良い『聖戦士』となってくれるでしょう……」
(はいはいいつものメシアメシアっと。それよりも喋るのは天使達だけで後ろの人間達は無反応……やっぱり
毎回毎回似た様な事しか言わない天使達を見て怒りを通り越して呆れの感情まで出てきた神父ニキではあったが、耳障りな天使達の囀りを半ばスルーしつつこっそり部下達に指示を出して敵のアナライズを実行させて能力・耐性を丸裸にしていく。
……ちなみに天使達がふざけた言葉を宣う度、特に神父ニキへの侮辱がなされる毎にエクソシスト達の怒りゲージがギュンギュン上がっているのだが、それはそれとして彼等もしっかり黙って解析と戦闘準備を進めている辺りキチンと実戦向きに鍛えられている。
(天使達の平均レベルは15〜25強、人間の方のレベルは少し低いが改造強化されているなら同レベル帯のエクソシストよりは上のステータスをしてそうだな。……まあ
「……相変わらず聞くに耐えん戯言だが最後に言っておく、この場におけるメシア教の不当な侵略行為は認められない。さっさと失せろ」
「おやおやこれは異な事を。我々が行うのは主の為の“布教”と“浄化”であり決して侵略では無いのですがねぇ?」
「……じゃあ、そこにいる肉体をいじくり回された人間達を『主の為』だとでも言うつもりなの?」
そろそろ苛立っていた神父ニキの最後通告もうざったい言動で返す天使達に対し、その隣にいたナノハが抑えていた『大天使としての気配』を発しながら一歩前に出た。
「なっ⁉︎ この気配は……!」
「その子達、気配からして敬虔な信徒だった筈だけど随分身体と心を弄られてるよね? 自我の剥奪と洗脳、後は肉体の“天使化”……【天使の羽】でも植え付けたのかな? ……人の子を正しく守り導き、主の残した秩序を維持する為に存在する天使が何をやっているの?」
「お言葉ですが彼等は主の秩序を守る為にその身を捧げて殉教したので……」
「『殉教』とは信仰の為に命を落とした者を忘れぬ様にする為のもので、決して他者に強制するでもそちらに誘導する様なものじゃねぇの。……というか、主が生み出された人の子の身体と心を好き勝手に弄くり回して、まともに人としての営みを成せない様にする事が主の御心に叶う事だと本気で思ってるの?」
尚、魔女ネキだけは『え? メガテンの四文字って大体そんな感じじゃない?』と思っていたが、他のエクソシスト達及び機械天使達が頷きながら肯定してたので空気を読んで黙っていた。
まあメガテンの四文字は作品によってかなり在り方が変わるし、そもそも神父ニキ自身『メガテンの四文字=前世から信仰している主』とは
「こ、これは主が齎された秩序を異教徒達から守る為に必要な措置で……」
「その異教徒に積極的に喧嘩売ってむやみに敵を増やして秩序を乱してる連中が何を言っているのか。……確かに一神教はその教義上他宗教との共存は難しくはあるが、それでも“共存”は無理でも“住み分け”ぐらいは出来る。そもそも現在の表の宗教家の大半はそうやって他に寛容さを示すかちゃんと割り切って活動してるのに、貴様等の様な連中が人道も道徳も無視して好き勝手してるから一神教や主の教えが悪だと言われるんだよ」
「主の教えは混沌の中ですり潰される弱き人の子を守り世に秩序を齎す為、世界と人に“人道”と“道徳”を与えるものであった筈なのだけどね。そんな教えを盾に無辜の人々をすり潰すなんて許されるはずが無いでしょう。……私の“本体”の言葉を借りるけど我々天使は『正しくあろう』と務めるべきだけど『正しい行動の先に常に正しい答えがあるわけではない』とも考えるべきだよ。天使が人を守り導く立場である以上は己が正しいかどうかを常に見定めなければならないの……それで、その“彼等”を見て貴様等は自分が“正しい”と思えるのか?」
【造魔 ナノハ/大天使 アブディエル(劣化分霊) Lv50】
怒りと共に大天使としての圧倒的な気配を発しながら問い掛けるナノハに怯む天使達であったが、リーダー格であった【天使 プリンシパリティ Lv32】が逆ギレした様に怒声を上げながら戦闘指示を出した。
「ええいっ! あの様な異端者と裏切り者の天使の言う事に騙されてはなりません! こうなれば我らの手で異端達を浄化してこの地に正しき信仰を取り戻すのです!!!」
「……まだあっちの視点でも反論のやり方は幾らでもあるでしょうに。もう実力行使とかホントこの連中はレスバに弱いね」
「所詮は聖書エアプ勢か。それに力尽くで来てくれる方が楽で良い、単に返り討ちにすれば良いだけだからな。搦め手想定した準備は無駄になったが」
今回の一件で『天使が召喚された』情報を聞いた時点で神父ニキはメシア教過激派が動く可能性を考え、対応が面倒な『こちらに味方ヅラして協力を申し出てくる』『封印の対応権を主張してくる』などの搦め手対策に伝手のあるメシア教穏健派に根回しなどをしていたのだ。
まあ結果はこんな単純極まりない実力行使だった訳だが、当然その辺りも想定して恐山周辺に監視網を敷いていたし、こうして即座に戦闘準備に移れる様に準備をしており……今回も神父ニキが無駄な会話で敵の注意を引きつけて、味方が準備を整えて確実に先手を取れるだけの時間を稼ぐという戦術を取れる程度には余裕があった。
「さて、それじゃあお仕事しましょうかねー。アガシオン達とライカもお願い」
「承知しました……スゥゥ……ガァァァァァァァッ!!!」
【雄叫び*4】
『『『オッケー!』』』
【マハタルカジャ*5】【マハラクカジャ*6】【マハスクカジャ*7】
「なっ⁉︎ これは……!」
まず手始めに神父ニキとの事前の打ち合わせに従って魔女ネキとライカの全体デバフが未だに狼狽えている天使達とまともな精神状態でない故に行動が一手遅れた改造人間達に降りかかり、逆に味方のエクソシスト達には彼女が呼び出した【造魔 アガシオン Lv30前後】によるバフが掛けられる。
ちなみに魔女ネキがCOMPによる制御最大数を上回る数の造魔を使役しているが、これは自分が作った使い魔を魔女術の中にある召喚術を駆使してマニュアルで使役しているからである。機械式に劣ると思われる古典召喚術であるが、ごく一部の例外級の技術があるならばそれ以上の結果を出す事も出来るのだ。
「やっぱり今の私のレベルだと【ランダマイザ】クラスのスキルは完璧には扱えないか。あの数を対象にすると余計にMPが掛かるし、タメ時間も必要になるのはいただけない」
「だが初手としては十分だ。……エクソシスト総員、正面は俺達で抑えるので今の内に連中を左右から包囲殲滅せよ。改造人間と天使には決して一人で掛かるなよ」
「「「了解!!!」」」
その神父ニキの指示に即応したエクソシスト達は、洗練された動きで左右に部隊を分けてデバフで動きが鈍った天使達を包囲殲滅しようと動いていった。
「ええいっ! 舐めるなこの程度解除出来るわ!!!」
【デクンダ*8】
「天使達はバフとデバフを掛けよ! そして異端者達を迎え撃つのだターミネーター達よ!!!」
「「「「「エェイメン!!!」」」」」
【毒針*9】【夢見針*10】【狂乱針*11】【石化針*12】【マヒ針*13】
だが、過激派達もいつまでも怯んでいる訳ではなくリーダー格のプリンシパリティが直ぐに味方に掛かっていたデバフを解除、更に他の天使達がターミネーターへバフを掛ける事でステータス差を縮め、そしてターミネーター達は洗脳されているが故の一糸乱れぬ動きで各々の状態異常を伴う銃撃スキルをエクソシスト達へと撃ち放ったのだ。
そこは腐っても世界最大の異能者組織であるメシア教の一派、バフとデバフ要員で前衛を強化した上で複数種の状態異常攻撃によって敵に耐性が無い状態異常を掛けて嵌め殺すという悪魔と異能者どちらにも有効な集団戦術を即座に実行出来る程度には優秀であった。
「甘い! さっきの会話中、既に宣告者達の【バリア*14】は使用済みだ!!!」
「引き続き宣告者達は前衛のバリア状態は切らさない様に!」
『『『『『了解、対状態異常防御を続行します』』』』』
「アルデク、ついでに【物理ブロック*15】を」
『イエッサーマスター、物理防御展開』
尤もそのメシア教の戦い方は神父ニキ達も熟知しており、事前に張っていた造魔【宣告者シリーズ】が展開した対状態異常・物理耐性障壁によって攻撃の大部分が無効化されたのだが。
この【宣告者シリーズ】は球体に羽や手足が生えた外見通り直接戦闘能力は低いが、内蔵した天使系悪魔の高い回復・補助スキルへの適性を活かしたサポート特化の造魔であり、今の様に集団戦や状態異常攻撃を得意とするメシア教への対策としての運用が前提の造魔となっている。
……そしてこれにより過激派が一手番消費して隙を見せたタイミングで、敢えて意図的に行動を遅らせていた神父ニキとナノハが動いたのだ。
「行くよ【レイジングハート】」
『OK. Boost up magic power』
【魔のドナム*16】
「薙ぎ払う!」
まず、ナノハが手に持っていた
「グゥ⁉︎ 何という火力! これが大天使の……!」
「……戦場で気を散らしたな? じゃあ死ね」
【武道の素養*19】【物理サバイバ*20】【物理ギガプレロマ*21】【モータルジハード*22】
そして電撃に目が眩んだプリンシパリティを一瞬で距離を詰めた神父ニキがあっさりと一刀両断にしてマガツヒとマグネタイトへと変換せしめたのだ。デバフを解除しようがバフ付きでレベル差20近い達人級の腕を持つ相手の攻撃を貰えば普通に死ぬのだ。
「なっ⁉︎ プリンシパリティ様……!」
「余所見をするなよ! くたばれ天使の面汚しが!!!」
「貴様らの様な連中の所為で天使への風当たりが強いんだよ!」
リーダー格を失って動揺を見せる過激派天使達へ向けて、造魔【ジムシリーズ】達が怒声を上げながら飛翔して容赦なく銃撃や剣戟を見舞って襲いかかる。
この【ジムシリーズ】は前衛用天使型造魔を作る際に某ロボキチが『やっぱり天使系には連邦量産機のジムが合いますね。こう神の尖兵的イメージが強いですし』と言ってデザイン決めたりしたヤツなのだが、そこは原典通りというか高い直接戦闘能力と改造がしやすい汎用性を兼ね備えた名機に仕上がっている。
「異教の悪魔の加護を得ている裏切り者が何を……!」
「これはこの器を借り受けるレンタル料と契約みたいなもんだからセーフ!」
「そもそも敬虔な人の子を生贄に召喚されてるテメェらよりはマシじゃボケェ!!!」
「善き人を食ったマガツヒが漏れてんだよ! このゴミ共がぁ!!!」
また、“機械的な天使の在り方”をベースとしている【宣告者シリーズ】と違い、この【ジムシリーズ】は近年の“人間を守る守護天使の在り方”を擬似人格ベースにしているので真っ当な善性の人格を持った造魔となっている。
更に非力な穏健派天使が過激派を打ち倒す為に敢えて自分が造魔のコアとなって戦う力を得るというパターンで作られた個体もいるので、この様に総じて過激派の“天使を騙る悪魔”へのヘイトは非常に強いのだ。
「「「エェイメェン!!!」」」
「チッ、リーダーが死んでも動きは一切変わらないか。まるでロボットだな……総員、必ず複数人で当たれ!」
「あ、デクンダ役が消えたならデバフ追加ね。【ランダマイザ】……ライカ、貴女も前線に出てくれる? こっちに来れそうな敵はもういないし」
「分かりました。早急に敵を殲滅してマスターの安全を確保しましょう」
【造魔 ライカ/龍王 ヤマタノオロチ Lv40】【物理プレロマ*23】【ミナゴロシの愉悦*24】【ハードヒット*25】
未だに与えられた命令通りに戦闘を続けるターミネーター達も神父ニキの副官の女性の指揮を受けたエクソシスト達に抑え込まれ、そこに魔女ネキの2回目のデバフと彼女の指示を受けたライカの参戦によって一人、また一人と数を減らしていった。
そしてそこに神父ニキが加わった事で完全に勝敗は決し、また空に飛んだ天使達も義憤に燃えるジム軍団とナノハによって容赦なく殲滅された事によってメシア教過激派の襲撃は終わりを迎えたのだった。
「枢木神父、全天使及びターミネーターの殲滅を確認しました。蘇生・食い縛りの兆候も無し、周囲に他の敵影も確認出来ません」
「ご苦労。……まったく、大異界の攻略前だと言うのに余計な手間を取ったな。周辺の警戒は一応続行、それと二亜君を呼んでくれ」
そうして戦闘終了後も油断なく部下に指示を出していた神父ニキの元へシスターっぽい服を着た女性──『名無しの漫画家天使人間』こと【本条二亜】がやって来た。彼女は少数の護衛と共にある目的の為に戦闘範囲外に待機していたのだ。
「はいはーい、呼ばれたけど何をすれば?
「済まないがコイツらの情報を読んでくれないか? ここに来た目的や他に侵入している連中が居ないか知りたい。囮の可能性もあるし」
「オッケー……それじゃあ検索を始めるよ。キーワードは『襲撃の目的』『襲撃して来た者達の数』……目覚めて【ラジエルの書】」
そう言った二亜は何処からか取り出した本を広げて意識を集中させると、その本に今回襲撃して来たメシア教過激派の情報が次々と記載されていった。
彼女、二亜はかつてとあるメシア教派閥の実験で【大天使 ラジエル】の力を得た
尤もあくまで人間が使う能力なので流石にあらゆる情報を知る全知の力とは行かず周辺の情報をある程度の過去に遡って本に記載する程度に止まるのだが、大天使由来の固有スキルであるが故に天使や一神教徒の情報に関してだけは非常に高い精度で読み取れる特徴がある。
「……はい、検索完了。読み取れた情報の範囲では襲撃に来たのはコイツらだけみたいだよ。封印を監視してた過激派が天使降臨の情報を入手してここに送り込んだみたい」
「まあ想定内か。……いつも本当にありがとう。詳しい情報はこっちでまとめて今後の対メシア戦略に活かす事にする」
「どういたしまして。……まあ私もメシア教過激派のやり方には思う所ありまくりだし、もっと遠慮せずに頼っていいんだよ〜」
申し訳なさそうな表情で礼を言う神父ニキに対し、二亜は気さくな様子で情報が載せられた【ラジエルの書】を彼に手渡した。そして神父ニキは戦闘結果と調査内容を報告する為に拠点にいるメンバーへと連絡を取るのであった。
──────◇◇◇──────
「…………おー流石は神父ニキだにゃー。こうもあっさりメシア教過激派を撃破するとか。こっちでも映像越しに大活躍は見れたぜい。…………別に大活躍というレベルの戦いはしてない? まあ神父ニキ一行だけでも釣りが来るレベルの連中ではあったが。…………イタコ達やヤタガラスからの評判も悪くないぜい。態々メシア教との戦闘を中継した甲斐はあったな」
恐山大異界の直ぐ側に設営した拠点、そこのエクソシスト達とメシア教過激派との戦闘後を映し出したモニターの前で神父ニキと連絡を取っている青年はメイドスキーニキこと【超人 土御門元春 Lv45】であった。
ちなみにこの映像中継に関しては異界探索用の試作型造魔によるもので、脇巫女ネキの提案でまだイマイチ距離を取られてるエクソシスト達の信用度を上げる為にメシア教過激派との戦闘を公開したのだ(実は掲示板にも動画中継されている)
「それでそっちの損耗はどんな感じ…………死者も出てないし少し休めば問題ないか。わかったにゃー、じゃあそういう感じで今後の作戦を決めるぜい。……見ての通りメシア教過激派は退けた、エクソシスト達も作戦続行は可能だぜい【イタチ】」
「今は【葛葉ゲイリン】だ元春。……しかし、情報は手に入れていたが非メシア教系エクソシスト達がこれほどの戦力を持っていたとはな。特に枢木神父の実力は【ライドウ】にも匹敵しよう」
そう言ったのは今回の作戦におけるヤタガラス側の代表【超人 葛葉ゲイリン/団扇イタチ Lv39】である。彼はゲイリンの名を継ぐ前にメイドスキーニキと知り合って友誼を結んでいた過去もあったので、こうしてネオベテル側とヤタガラス側の協力関係を円滑に進められる要因となっているのだ。
(というか、それ以上に【万神連合ネオベテル・ウルトラスープレックスホールド】が抱えている人材は一体どうなっているのだ? レベル20越えの覚醒者数十名に数人の超人、更には異様な質と量の霊装の数々……これだけの量を作るには相当な人数の高位覚醒者が必要な筈なのだが。この恐山にこれだけの戦力を派遣した事と言いどう考えても新興組織の陣容ではないぞ)
自分達ヤタガラスでも今回の異界攻略には自分以外だとレベル10〜20前後の霊能者しか派遣出来なかったのに、明らかに覚醒者の質と量がおかしい。あのCOMPや造魔などの技術もそうだが人材の豊富さが一番不自然なんだよな……と内心考えていたゲイリンだったが、とにかく今は異界攻略に集中するべき時だと頭を切り替えた。
「……あら、邪魔な連中は倒せたのね」
「おおお帰りイタコネキに青森代表ニキ。……どうだ? その【十握剣】は使えそうか?」
「……それよりオイラは青森代表で確定なのか」
そこに現れたのは濃密な神気を漂わせる剣を手にした少女──イタコネキこと【達人 恐山アンナ Lv43】と、その横にいるヘッドホンを付けた少年──青森代表ニキこと【覚醒者 麻倉葉 Lv31】だった。
「脇巫女ネキから貰った【超・占事略決】を読んで使い方は大体分かったから、これを触媒に恐山の霊脈を鎮める結界を敷くぐらいならなんとかなるわね。ネキからも許可を得たし」
「そいつは有り難いにゃー。霊脈を鎮められるなら大分攻略のしようが変わるぜい」
「……それはそうなんだが、その【十握剣】はどう見ても国宝級の代物なんだがよく持ち出しを許可されたな。葛葉でも同レベルの物は厳重に保管して二度と世に出さないレベルなんだが」
「ウチの盟主曰く『別に神話に出て来た本物じゃなくて、昔異界で拾ったそれと同じ名前と性能をしてるレプリカだから別にいいよ。倉庫で埃を被るよりは使ってやった方がいいでしょ』だってにゃー。……まあとにかく、これで準備も整ったし【恐山大異界】の本格的な攻略を始められるな」
……そうして彼等は眼前にある【恐山大異界】を攻略する為、その場に集まった者達と共に動き出すのであった。
あとがき・各種設定解説
【造魔 ナノハ/大天使 アブディエル Lv50】
ステータスタイプ:魔・速中心のバランス型
防御相性:物理・火炎・電撃・衝撃耐性、呪殺・精神・精神・神経・魔力無効、破魔反射
能動スキル:【刹那五月雨撃ち】【マハラギダイン】【マハザンダイン】【妖花烈風】【マハジオダイン】【ナルカミ】【落光】【マカラカーン】
自動スキル:【破魔ギガプレロマ】【火炎プレロマ】【電撃プレロマ】【衝撃プレロマ】【大魔脈】【セーフティ】【ハイリストア】【不屈の闘志】
汎用スキル・その他:【人造魔人】【飛行】【射撃】【出力制御】【範囲制御】【擬似魂魄保護術式:カグツチの加護】【大天使アブディエルの加護】など
・神父ニキの造魔である魔砲少女で魔法攻撃担当、前衛の神父ニキとバフ要員の【レイジングハート】とサポート・回復要員の【アルティメット・デクレアラー】によるセット運用を想定したカスタム。
・【人造魔人】は擬似ドリーカドモンによって高位悪魔の分霊を宿す事が出来る造魔の証で、転生者とほぼ同等の成長限界・成長速度を持っていて高位のスキル取得・ハイレベルアップによる分霊の進化なども可能。
・だが運用には【高位契約】によるマスターとの深い霊的同調が必要であり、それはマスターに相応の負荷が掛かるので出来ればレベル30以上、COMPによる契約込みでも最低レベル25以上の霊格が必要。
・尚、本体のアブディエル様は“穏健派”ではなく“神の秩序を乱している過激派天使を潰す派”であり、ナノハの作成時に交信・交渉した結果『人の世の秩序を維持する』目的の元で協力関係になった。
・その後も分霊であるナノハを通してメシア教の人造救世主計画(主がいずれ使わす救世主を自分で作ってどうすんだバカ)や、千年王国計画(だから千年王国は蘇った救世主が齎すものだろアホ)などの情報を知ったので過激派を完全に見限り、ナノハと神父ニキに加護を与えるなど協力関係を強めている。
・ちなみに【大天使アブディエルの加護】はナノハ及び高位契約で繋がっている神父ニキに対し、逸話に基づいた『精神防護』と『天使と一神教徒に対するカリスマ・指揮能力ボーナス』を与える効果。
【造魔 ライカ/龍王 ヤマタノオロチ Lv40】
ステータスタイプ:力・体型
防御相性:物理・電撃耐性、氷結・呪殺・精神・神経・魔力無効、火炎吸収
能動スキル:【ハードヒット】【ティタノマキア】【ファイアブレス】【火龍撃】【雄叫び】【咆哮】【バリア】【リカームドラ】【デカジャ】【毒ガスブレス】
自動スキル:【電撃耐性】【物理プレロマ】【火炎プレロマ】【大活脈】【龍眼】【龍の反応】【猛反撃】【ミナゴロシの愉悦】【食いしばり】
汎用スキル・その他:【人造魔人】【高位契約】【擬似魂魄保護術式:カグツチの加護】【格闘術】【護衛の心得】【料理】【掃除】【洗濯】など
・魔女ネキの造魔であるメイドドラゴン娘であり、内臓されてるヤマタノオロチの分霊は昔脇巫女ネキが倒したヤツの【写せ身】を触媒に呼び出したもの。
・戦闘スタイルはゴリゴリの前衛型であるHPと体に特化した壁役で、龍王らしく基本好戦的になりやすい人格を【護衛の心得】や各種メイド用の汎用スキル(【料理】【掃除】など)によって主人優先になるように調整された魔女ネキの護衛役。
・【カグツチの加護】による耐性は本体やマスター以外からの呪いを防ぐ機能の副産物であり、基本的にマスター以外からの呪殺・精神系と魂や精神や呪いに纏わる幾つかの状態異常を無効にする形式。
・また、加護故にこれがある全ての造魔及び契約しているマスターは僅かではあるがカグツチにマグネタイトとマガツヒを徴収されている仕様となっている(加護の強度からすると少なすぎるが、脇巫女ネキに手を貸す形式と造魔の数・転生者の質もあって収支はプラスな模様)
読了ありがとうございました。
メガテンでは悪役扱いされる事が多い一神教と秩序勢力だけど、故にこそ色々と考察しがいがあると思う。確かに歴史上色々やらかしてるけど大多数の弱者を救って人類史に大きく貢献してるのも事実なんだよね。そもそも現代の価値観に照らし合わせて過去にやらかしてない宗教なんて無いし……と一神教批判コメ見て思った作者。功罪あるのに罪だけ責めて功を見ないのは違う気がする。勿論現在の罪を責めないのはダメだけどってスタンス。