「ヒビキさん行きますわよ! ザフキエェェェル!!!」
「分かりました狂三さん! ルキフグス!!!」
【マハタルカオート*3】
テレビから天使というには異様すぎる異界ボス【天使/正義 ドミニオン Lv55】が現れた時、真っ先に行動したのは周回ネキとその造魔である【ヒゴロモ・ヒビキ】であった。彼女達は瞬時にペルソナを呼び出して戦闘開始時に発動する自動効果スキルによって味方の力と速度を引き上げたのだ。
……その後に直ぐに動いたのは周回ネキであり、なんと彼女は背後の巨大な時計──ペルソナ【女帝 ザフキエル】の『Ⅰ』が書かれている文字盤から出て来た影の様なエネルギーを手に持った銃へと弾丸として装填し、そのまま自分のコメカミに突き付ける。
『Exeえ医メぇxeン!!!』
「さて、ボス相手なので出し惜しみは無しですわ。起点を制したいですし……【
そして周回ネキは何か行動を起こそうとする【ドミニオン】に構わず引き金を引いて己のこめかみを撃ち抜いた……すると彼女の視点では目の前のドミニオンの動きが
これは彼女の固有スキルの一つであり、保有する別世界の因子を触媒として『この世界でない“彼女”の能力』を
「どの道ボス相手に即死は効かないでしょう。なのでデバフとダメージを稼ぎますわ!」
【スクンダ*5】【延長強化・大】【銃撃ハイブースタ*6】【トリガーハッピー*7】【ワンショットキル*8】【呪怨ハイブースタ*9】【エイガオン*10】【時喰みの城*11】
『Gあァ愚A亜アァx a亞ぁ!!!?』
自分以外の全てがスローとなった空間で周回ネキはドミニオンに対して速度低下のデバフをかけ、そこにすかさず眉間を狙った必殺の銃撃を放って吹き飛ばし、更に相手が仰け反るよりも早く呪怨属性の暗黒のオーラ攻撃を撃ち込み、そこから発生した連動効果によって足元から影の槍が相手を突き刺しながら生命力と体力をドレインする事でスキル連続使用で消耗したHPとSPを回復させた。
そんな文字通りの三回攻撃でドミニオンに痛打を与えた周回ネキであったが、この【一の弾】は使用にはSPだけでなく自身のMAGも消費する上に眼光系と同じく1ターンしか保たないので効果が切れた時点で距離を取って次のスキルを使用する為のインターバル*12を待つ事とした。
「……とは言え異界のボスである以上はHPも潤沢ですか。しかし結構効いてますわね」
「防御相性解析終了! 弱点は銃撃・疾風・衝撃・呪殺! 無効が火炎・氷結・電撃・破魔・核熱! 後状態異常は全耐性です!」
「あら、やはり私の攻撃は結構刺さる相手ですわね。天使に良くある耐性の様ですが……」
レベル差から戦闘への参加が難しいと判断して後方でCOMPを使った解析を行っていた最愛の報告から、メンバーは即座に自分の手札から有効な手段を算出して実行に移そうとする……前に異界からのバックアップを受けてダメージから瞬時に回復した【ドミニオン】が只人には理解出来ない奇声を上げながら動いたのだ。
『Kアx亞位ふxu苦! ショx尾ぉ過Aン』
『『大天使様の為にィィ!!!』』
【天使 パワー Lv35】×2
「ちょ! ボスのお約束である“二回行動”と“なかまをよぶ”ならともかく、ボスがHP全回復は超反則でしょう⁉︎」
そう、ドミニオンはボスとしての異界からのバックアップによるスキルの連続使用によって自らの傷を治しつつ、天使が召喚される異界の特性を応用して配下となる赤い鎧を着た通常個体の配下【天使 パワー】を呼び出して敵との数の差を埋めようとした。
ボスが使う能力としてはまあ良くある配下悪魔の召喚だがネオベテル側の数の優位性を埋める手段としては有効であり、その前の全回復も含めてドミニオンが単に理性なく暴れているのではなくキチンとした戦術と判断力を持っている事が窺われた。
「ヒビキさん!」
「了解です! 喰らえぇ!!!」
「……ハヤタ、パワー、前に出ろ。お前らの耐性は天使には有効だから向こうのパワーを抑えろ。念の為に【テトラジャ*17】は使うが」
『承知しました。……斬り裂く!』
「私が使っていた天使召喚の術を利用されたか。……これ以上天香の魂で好き勝手にはさせん!」
【牙折り*20】
『『グワァァッ⁉︎』』
だが、召喚された天使が行動に移すよりも早く周回ネキと通行の指示の元、まずヒビキは片手の銃を敵全体に乱射して牽制し、怯んだ敵のパワーの一体に悪魔変身で【聖獣 ハヤタロウ】の姿となったハヤタが喰らい付き、もう一体には通行の仲魔となった【変異パワー】が振るった剣が腕部を斬り裂いてダメージを与えた。
……そのまま彼ら二人はヒビキ・ハヤタ・変異パワーを前に出す様に指示を出すが、その直後に敵側のパワー二体が攻撃態勢へと入った。
『『我らが主の敵対者達よ! シネェ!!!』』
【怪力乱神*21】×2
「あ痛ァ! 物理耐性あるけど!」
「レベルが多少上回っていようが耐性のある攻撃なら問題ない!」
二体の敵パワーはスキルによって増大させた筋力に任せてヒビキと味方パワーを打ち据えるが、二人とも物理攻撃には耐性があったのでダメージは最低限で済んだ。
……そしてそれを見た通行と周回ネキはハヤタも含む物理・電撃・破魔に耐性のあるメンバーを前衛として立たせる様に指示を出し、それ以外のメンバーには後方から支援する様に命じたのだ。
「とりあえずダメージ少ないし回復後回しにして防御バフ行くよー! キクリヒメ!!!」
【マハラクカジャ*22】
「アマノザコとシャアザクは後方から攻撃。連続破魔の可能性もあるから注意しろよ」
「ほいほーい!」
【ザンマ*23】
『了解した、落ちろ!』
『『グワァァッ』』
更に前衛組が敵パワーを抑えている隙に後方からゆかりの防御バフとアマノザコ が放った衝撃波に刃、そしてシャアザクが持つザクマシンガンからの銃撃が二体を襲って弱点を突きダメージを負わせる。
……この様に敵の弱点が都合よく噛み合ってくれたお陰でネオベテル組が有利に戦いを運んでいるが、そんな状況判断を瞬時に下せる辺り周回ネキの経験と香川組の戦闘センスは確かなものだと言えるだろう。
「さて、属性の相性はこちらが有利ですが……あの異質なボスがこの程度で終わるとは思えませんわね」
『Gイxiぃ……Kァ身のSA歯キぃヲxo!!!』
「ぐわっ⁉︎」「ぎゃっ!」「万能かよ!」
だが、そこで終わるほどレベル50越えの異界ボスは甘くなく、【ドミニオン】は正気が削れる様な奇声を上げながら万物を粉砕する大爆発を起こして最後方にいた最愛以外のメンバーを吹き飛ばし、更にその隙に物理攻撃を反射する結界を展開しながら敵パワー二体の傷を癒す“三回行動”にて戦局を一瞬で切り返したのだ。
更に物理反射の障壁が掛かっている事を利用して敵パワー二体が距離を詰めて、万能攻撃を諸に食らった前衛組に近接戦による追撃を仕掛けようとする。
「……ああ、まあボスならそのぐらいしてきますわよね。事前に皆【マッスルドリンコ】を飲んでおいて正解でしたわ」
【呪怨ハイブースタ】【マハエイガオン*29】【時喰みの城】
『『グォォッ! 舐めるな! この様な呪いなど浄化してくれる!!!』』
【白龍撃*30】×2
だが、上昇していた回避率の恩恵もあって直撃は避けていた周回ネキがそこに割り込んで強力な呪いのオーラを二体のパワーとドミニオンに見舞い、更に追撃として下から影の触手を展開して敵に絡み付かせて動きを封じながら魔力と生命力を吸い取っていく。
それでも二体の敵パワーは相反する破魔属性を宿した武器の一閃で呪いの圧力と【時喰みの城】を相殺して見せた辺り、異界のボスとその配下の思考能力は今までの異界に出てきた天使達とは違う事を伺わせた。
『当たらなければどうという事は無い! 実際無かった!』
【マハムド*31】
「回避回避ってね。ね! そーれ吹っ飛べ〜!」
【ザンマ】
『『ぬおぉッ!!?』』
「私は無事だったので避けきれなかったゆかりさんに【牛王丹*32】をシュー!」
「超エキサイティン! そんでもってキクリヒメ回復!」
【神々の加護*33】【メディラマ】
しかし、そこに同じく攻撃を回避していたアマノザコの衝撃波とシャアザクの呪殺魔法が放たれ、更に最愛に回復させられたゆかりがペルソナを呼び出して全体回復魔法を行使する事で万能魔法をモロに食らった前衛組のダメージを癒す。
……そして、呪殺による即死は回避したものの怯んだ二体の隙をついてやはりメギドをギリギリで避けて致命傷を避けていた通行が迫っていた。
「万能相手だとマカラテトラ使ってもな……だから【サバトマ】でバグス召喚。テトラあるから即死狙いで」
『がんばるぞ! ٩( 'ω' )وおー!』
【マハムド】
『グアッ⁉︎ コイツ……がヘァ!!?』
接近した通行がスキルによって即座に召喚した【バグス】は、そのままサマナーの命に従って敵パワー達へと呪殺魔法を打ち込みその内一体を呪い殺す事に成功したのだ。
あくまで即死が効かないのはボスである異界のバックアップを受けている【ドミニオン】のみであり、呼び出された天使達は普通に呪殺弱点だったのだ。そしてその間にダメージから回復した前衛組が残った敵パワーへと襲い掛かる!
『物理攻撃を反射されると某の有効な攻撃手段は限られていますな……なので援護に回りましょう』
【マハタルカジャ*34】
「よし治りました! 銃は反射されるからお返しに万能ブッパです!」
【メギド】
「天香の魂を解放するまでは倒れんぞ! この天使の恥晒し共めが! 消え失せろ!!!」
【メギド】
『グ、グワァァァァァァッ!!!?』
そうしてハヤタから追加の攻撃力強化バフを受けたヒビキと味方のパワーによる物理反射の障壁が意味を成さない万魔の光を受けて敵パワーのHPは尽きて肉体はMAGへと霧散したのであった。
……しかし、それでもメギドの余波で少しダメージを負ったぐらいで未だにボスであるドミニオンは健在であり、敵パワー二体をスキルを駆使して倒した事によってどうしても生まれてしまう間隙に相手は動いてきたのだ。
『目ェTう武Sィ! 召Kァx Aん! ショ優へxe鬼ィ!!!』
【闇夜の閃光*35】【サバトマ】【テトラジャ】
『『おおぉ! 全ては主の為にィ!!!』』
【天使 プリンシパリティ Lv30】
まず、敵の目を眩ませて精神状態を不安定にさせる光を発しながら牽制しつつ、更に再び召喚スキルを使って今度は【プリンシパリティ】を二体召喚した上で即死しない様に障壁まで張ってネオベテルメンバーに嗾けて来た。
ドミニオンの異様な見た目と雰囲気から繰り出される搦め手も含む最適解を選んでいる戦術に対して、特に戦闘経験の多い周回ネキは警戒の度合いを一段階上げつつ味方の被害を確認する。
「ふむ、これは【目眩】の状態異常ですわね。被害は?」
「私は超防ぎました!」
「アマノザコとバグスがやられた! 一旦下がれ!」
「回復はお任せを! 【メパトラ*36】!」
『大天使様ァ! 回復ヲぉ!』
【メディラマ】
咄嗟に光を見ない様に防御したり精神耐性のスキルや装備で防いだお陰で状態異常の被害は少なかったが、その隙にプリンシパリティの一体が回復魔法を使ってドミニオンが負ったダメージを癒してしまったのだ。
先の様に物理攻撃が得意なパワーでは無く多少格は落ちるが回復魔法が使えるプリンシパリティを召喚したのはこの為であり、異様な雰囲気と上げる奇声などとは裏腹に自分がやられなければ充分に戦闘を続けられるという冷徹な判断力をドミニオンは備えている様だ。
『天罰を喰らうが良いィ!!!』
【ヒートウェイブ*37】
「お前らが主を語るな!」
【ギロチンカット*38】
加えてもう一体のプリンシパリティが手に持った杖を振り回して衝撃波を放って来るが、そこに閃光は防御していた味方パワーが割り込んで剣で受け止め、そのまま他の前衛も再び先程と同じ様に天使との戦いを始めた。
……天使が得意な物理……電撃・破魔に対する耐性が高い前衛達は今回も問題なく敵の相手が出来ていたが、今度の相手は回復を中心に持久戦の構えを見せ始めたので戦いは一進一退といった感じになっていた。
「……これは長引きそうですわね」
「周回ネキなら一気にボスを倒せないのか?」
「難しいですわね、私幹部の中でもそこまで火力がある方じゃないですから。おそらく【一の弾】を使った連続攻撃でもあのボスのHPは削り切れないでしょうし……」
「総攻撃するには他の天使が邪魔か。……しかも【テトラジャ】使うとか向こうもこっちの手札を見て対応を変えるぐらいの判断力がある」
そんな戦いの最中、周回ネキと通行は隙を見てどうにかしてボスを倒す手段が無いかを話し合っていたが、相手が全回復魔法を持っている以上は異界ボスの膨大なHPを一気に削らなければならない事がネックとなって現状では状況を変える術が思いつかなかった。
実際、異界自体と繋がって悪魔としての存在を維持するMAGが強固に補填される事でステータス、特にHPが跳ね上がる異界ボスの特性はこの異様なドミニオンにも適応されており、それを一気に削りきるのは周回ネキを持ってしても不可能であった。
「幸い防御相性はこちらが有利なのでこのまま戦い続ける事は出来そうですが、MPもアイテムも限度がありますし」
「とは言え下手に無理攻めして至近距離から【メギド】連発とかされたら周回ネキ以外は死ぬしなァ。……今は勝機を待ちながら戦い続けるしかないか」
「そうですわね。まあボス戦では良くある事ですわ。……それにこの状況から相手を崩す方法は無い訳でもないですし、まだまだ十分に勝算はあります」
「オッケー、ンじゃやりますか」
この世界の戦闘ではどちらかが一方的な有利を押し付けて圧倒するか、それともお互いに最善手を打ち続けてどちらかが崩れるまでの長期戦になる事が多く、それを知っている二人は迷わず自分達が崩れる前に敵を崩す為に戦い続ける選択肢を選んで長い戦いに身を投じるのであった。
あとがき・各種設定解説
【
・大元は彼女の因子覚醒スキルである【刻々■】の能力の一つであり、元は特殊な銃弾を撃ち込んだ対象の時間を加速させる力だったそれを女神転生世界の『眼光系スキル』に近い形になる様に調整して固有スキルとしたもの。
・眼光系スキルを参考にしたせいで自分自身にしか使えなくなっており、更にSPだけで無くMAGも消費するので燃費は良くなくて連続使用も出来無い模様。
・他の【刻々■】の能力のいくつかも固有スキルとして調整を終えており彼女の切り札として扱われているが、元と違って他者の寿命を使う必要は無くなったものの同じ様に自身MAGを消費する仕様なので使い所は難しい。
異界ボス:通常の個体より強い
・ボスは異界自体を維持する楔になっているので異界内部で戦う限り異界のマグネタイトをある程度自身のものとして共有する形で使えて、それによりステータスや耐性が大きく上昇する。
・特に悪魔の肉体を構成するMAGが多い関係でHPは非常に高くなっており、また多量のMAGで存在が強固に固定されているので即死は効かず、更にスキル使用後の負担を無視してスキルの連続使用が出来る場合もある。
・ただしスキル使用の負担が無くなる訳ではないので2〜3回使えばインターバルが発生するのが殆どであり、またあくまでバックアップを受けているだけなので元となる悪魔のスペックによってステータスの上昇にも限度がある。
・ただし、今回の【ドミニオン】は明らかに異質な個体であるが故にか同規模の異界ボスよりも遥かに強くなっている。
読了ありがとうございました。
いつも感想・評価・誤字報告ありがとうございます。特に誤字報告、素人作家だから見直しも適当だし誤字が多い多い(笑)