【急募】貰った悪魔召喚プログラムの使い方   作:貴司崎

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情報量の多い説明会(後編)

「さて、じゃあ次は私達の仮想敵である【メシア教】【ガイア教】【ファントムソサエティ】について話すけど……どいつも大体いつものクソです。以上」

「「オイ」」

「だって本当にそのぐらいしか語る事も無い連中だし、そもそも多少は伝手のあるヤタガラスと違って表向きの大雑把な情報しか入手出来てないしね」

 

 じゃあその大雑把な情報で良いから教えてくれよ。掲示板でも【いつものメシア(笑)】とか【ガイアヒャッハー過ぎワロタ】とか【ファントムなにやってんのか理解出来ん】とかだったから分かりにくいんだよ。

 

「じゃあまずは“メガテンにおけるクソ組織と言えばコイツ!”って真っ先に名前が上がる【メシア教】についてね。確か元はプロテスタント系の分派だったけどいつのまにか一神教の最大勢力になってたんだよね。その辺りは神父ニキの方が詳しいか」

「俺もそこまで詳細に知ってる訳じゃないが……今から200年以上前に異教徒へのやり過ぎな弾圧によって異端認定食らった過激派エクソシスト達が、当時の分派だったメシア教に合流したのが始まりだったらしい。その連中は実力()()は確かだったから瞬く間にメシア教の対悪魔戦力を充実させてしまい、その結果この悪魔が蔓延るメガテン世界におけるメシア教の発言力と過激さを一気に膨れ上がらせたと聞いている」

 

 まあ過激派エクソシストが加わったならメシア教のアレさも納得出来るのかね。ちなみに他の宗派のエクソシストはどうにかしなかったのかと思ったが、当時はエクソシスト……というか覚醒者への偏見が強くてどの宗派でも不遇な感じであり、そこにメシア教が高待遇でエクソシストを呼び込んだお陰で対悪魔戦力である彼等が次々とメシア教に流入したのだとか。

 その結果、メシア教の対悪魔戦力は更に増して他の宗派の戦力は大きく目減りしたので、一神教は悪魔への対応にメシア教の力を借りざるを得なくなって現在の一強状態になったという訳だそうだ。

 

「非覚醒者では悪魔を認識出来ないからね。覚醒者とのその辺りの意識の差は今でも問題になるぐらいだし、まだまだノウハウの蓄積が少なかった当時なら然もありなんって所かしら」

「悪魔が存在するこの世界では対悪魔の強力な戦力を持っているかどうかが発言力に直結するからなぁ。……まあとにかくその結果、勢力を拡大したメシア教は異教徒への弾圧やら財政界への進出を進めて今では世界最大のオカルト組織となったって訳さ。……その過程で異教徒への過剰過ぎる弾圧や虐殺、果ては最早特撮の悪の組織レベルの人体実験にまで手を染めてるのはホントクソだけど。救世主の到来まで頑張っていこう的な教えを語ってるのに、自分達で意図的に聖戦と終末起こして救世主も自作しようとかはどう考えてもオカシイだろう(怒)」

「スザク君は前世から敬虔なクリスチャンだったからね。この世界のメシア教の暗部を見て凄く怒ってるんだよ。……ちなみに私の【本霊】からの情報だと天使もメシア教へ協力する派と反対派に分かれていて、残念ながら協力派に四大天使が付いたからそっちが圧倒的に有利なの。反対派も殆どが見守りという名の放置だし、私の【本霊】みたいに積極的なメシア教阻止に動く天使は少ないの」

 

 つまりメシア教=世界征服を企む悪の秘密結社=大体ショ○カーって事でFA? 仮面ライダーはいないのかな? 神や悪魔は普通にいるのに。

 

「まあ自分達の栄養分である【信仰】の最大提供者であるメシア教を積極的に排除しようなんて考える天使(悪魔)は少ないわよねぇ。加えてバックには米国がいるからとりあえず殲滅でとかいう迂闊な事はし難いし、そもそもメシア教徒の大半はその手の裏に関わってない普通の人だから色々と面倒なのよ」

「あくまで表向きは世界最大宗教の最大派閥だから普通の信徒も当然いる……問題は連中の上層部と対悪魔担当エクソシスト達の大半が真っ黒って事なんだがね。こっちも日本の他の一神教の宗派……カトリックやプロテスタント、日本だと少ないがイ○ラムやユ○ヤ教の対悪魔戦力と協力関係を結んだりしてるがそれだけでは戦力差は歴然だな」

「前世の記憶だと、その宗派達ってあんまり仲が良くないイメージが超あるんですが」

「外国はともかくとして宗教観念がゆるゆるな日本だから、お互いにデリケートな部分には触れないように対悪魔・メシアに対して協力しようって話を持ちかけるぐらいは出来るよ……それに何より『メシア教と組むよりは全然マシ』っていう共通の考えがあるから(遠い目)」

 

 何でも彼等は同じ一神教だからといってメシア教と同列視される事が多々あるそうな……そのお陰で別宗派同士の結束が強まったのは皮肉かもしれないが。

 

「そんなクソなメシア教を何とか出来ないのか?」

「なんとかしたいとは思ってるけど、現状だと私達だけじゃ組織力も戦力も違い過ぎるし、何より米国のメシア教派がバックに付いてるから個人の戦力だけじゃどうしようもないわね。それに連中が世界中で霊地を管理して悪魔から人間(主に教徒)を守ってるのも事実だし、日本でも戦後のアレコレで奪い取ったモノとは言え霊能組織としての役目はこなしてるしね。……個人戦力だけでどうにか出来るならとっくに私がメシアガイアファントムを日本から駆逐してるわよ」

 

 脇巫女ネキは冗談めかしてそんな事を言ったが、他の幹部メンバーやハヤタが苦笑いしている所を見て多分冗談ではないんだろうなと思いました(小並感)

 

「じゃあメシア教は終わりで次はガイア教の説明ね。ここは()()()()()の魔女ネキから説明してもらいましょうか」

「えぇ⁉︎ ……というかその言い方だとあらぬ誤解を招くでしょ⁉︎ 私はご先祖が所属してたから引き続いてガイアに所属していただけで、そもそも名前だけ登録してるみたいなもんだったから頭ヒャッハーな事は一切してないわよ! 勘違いしないでね!」

 

 そんな魔女ネキこと【相沢梓】さんは戦後のゴタゴタに紛れて日本へと移住した魔女の末裔であり、その業をついで田舎で魔女をやっていた母親から技術を学んだらしい。その母親が死んだ後も魔女として受け継いだ工房と資産、そして保有している異界──偶にスライムが湧くぐらいの霊薬用の特殊な薬草生産に特化した極小のもの──の管理をしながらたまに起こる悪魔事件を解決しつつのんびり過ごしていたらしい。

 ちなみに戦前は全盛期ヤタガラスが外国からの霊的組織の侵入をブロックしていたが、戦後のアレコレでメシア教が日本に浸透する混乱に乗じてガイアやファントムなどの外国霊能組織が結構流入したんだとか。

 

「そんな風に異界に沸くスライムを倒しながら趣味で霊薬や使い魔を作りながらのんびりスローライフ魔女な第二の人生を送っていた私なんですが……ガイア教の木っ端派閥に『異界をよこせ! ついでにお前も俺達の情婦にしてやるよ!』とか何とかいちゃもんを付けられてね。まあ当時の私でも倒せる程度の連中だったから返り討ちにしたんだけど、その戦闘の余波で工房と異界がぶっ壊れて踏んだり蹴ったり。そこでこの転生者互助組織の事を知って、ガイア教に三行半を突きつけて転がり込んだ訳よ」

「おいたわしやマスター……」

「正直言ってこっちとしてもいい拾い物だったわね。異界の管理や高位霊薬の製作が可能な魔女とか、どの組織でも喉から手が出る程欲しい(ころしてでもうばいとる)レベルの貴重な人材だし」

 

 尚、現在の魔女ネキはその時の経験からレベリングや鍛錬にも精を出しつつ、脇巫女ネキに作ってもらった新しい薬草生産異界の管理と霊薬を始めとするマジックアイテムの生産・指導を担当しているらしい。彼女の率いる霊薬班のお陰でこの組織では【傷薬】【チャクラドロップ】【アムリタソーダ】などの消費アイテムが安定供給されてるとか。

 

「しかし、同じガイア教なのに襲撃を超受けるんですね」

「ガイアは極端な実力・個人主義だから派閥が多い上に派閥同士の争いも珍しくないから。特に下っ端同士の喧嘩なんて日常茶飯事だし、負けて死んでも『力の無い者が悪い』で終わりだし。……そもそも【ガイア教】の始まりは弾圧を始めたメシア教に対抗する為の『多神教や魔術結社などによる対メシア連合』みたいなものだったのよ。教義である【人間と悪魔の共存・自然や万物との調和】に関しても、実際どの多神教の教義を上に持ってきても連合が空中分解するのが目に見えてたから、とりあえずメシア教に相対出来るお題目として丁度いい思想を据えただけだし」

「それでメシア教の活動が過激化するに従って対抗するか身を守る為に様々な組織が加入していって今のガイア教になった訳だけど……所詮は烏合の集なので纏まった組織的な行動が出来ずに身動きが取れなくなり始めて、それを解消する為に『連合内での戦いで敗者は勝者に従う』実力主義による方針決定を採用したから、今の【人間も悪魔も含めた極端な実力主義】に至るって感じかしら。多分真ⅣFの【多神連合】の要素も入ってるわね」

 

 成る程、この世界のガイア教はそんな由来だったのか……ちなみに現在では複数の思想・宗派ごとに様々な派閥が出来上がり、それらがお互いのガイア性の違いで対立しながらも対メシア教の為に最低限の不戦協定・過度な攻撃禁止の約定を結んでいるのが現状だとか。

 

「ちなみにこの【ガイア性の思想】っていうのは『人と魔の共存こそガイア教の真なる目的』とか『人間は飽くまでも世界の構成物の一端に過ぎない』とか『人間も悪魔も討ち滅ぼして新たな宇宙を創造する』とか『地球環境を守る為に現在の人類文明は滅びねばならない』とか『メシア教は我々【黒の騎士団】が裁く!』とか『もっとお前達の輝きを見せてくれぇ!』とか……まあぶっちゃけガイア教に所属しているヤツらが言ってる事全部ね」

「そんな連中がバラバラに行動しているから組織立って何かするってのは無いし、メシアと違って小さな雑魚派閥を潰しても組織立って報復とか無いから対処はしやすいとも言えるかな。末端のチンピラとかは雑に潰してもいいよ」

「逆に協力出来そうな派閥とかとは協力する選択肢も取れるだろうね。或いは上手くこちら側に引き抜く事も出来るかもしれない」

 

 尚、そんな纏まりがカケラもないガイア教ではあるが、極端な実力主義と競争・対立が日常茶飯事故に【東京】とかと同じく蠱毒的な理論によって上澄みの者達の実力は非常に高いものとなっているらしい。

 それ故にメシア教相手でもそれなりに対抗出来ているので、現在でも世界のオカルト情勢が完全にメシア教一強になる事は避けられている理由の一つとなっているそうだ。

 

「んで最後の【ファントムソサエティ】だけど……ぶっちゃけよく分かってないです」

「えぇ……他は結構詳しかったのにか?」

「ファントムはメシアガイアと比べても秘密主義でね。加えて表向きは一般企業とかを隠れ蓑に雇ったダークサマナーを動かすのが基本だから情報がさっぱり入ってこないのよ。……原作では『太古より人間の進化や文明を管理し、裏の世界を支配してきた組織。多数のダークサマナーを擁し、大いなる存在に人類の魂を捧げることを目的としており、そのための人間の(ソウル)を回収するための機関』とか言われてるけど、この世界での具体的な目的は今の所不明なのよ」

 

 一応、この世界でファントムは世界規模で展開しているかなり古い組織ではあるという事は分かっているのだが、脇巫女ネキ達幹部メンバーでも接触した事があるのは下っ端のダークサマナーぐらいで詳しい情報は入手出来なかったそうだ。

 

「まあ最近国内でダークサマナー的なガラの悪い異能者を集めてるって情報が入っている上、財界ニキ政界ニキ達の情報網で【情報環境モデル都市・天海市】を作ろうとしている計画があるって掴んだから追跡調査中。……連中は財界・政界へのコネが強い上、メシアガイアと違って大っぴらに何かする訳じゃないから組織力がまだ少ない俺らにとっては一番やり難い相手かもね」

「後、この三つ以外にも中華系マフィアとか邪神を崇める教団だとか中小のクソなオカルト組織は結構ある。その辺りの詳しい情報は専用秘匿ホームページのまとめサイトに載せとくから後でみといて」

 

 その後はこの組織における規則や罰則(ハヤタ曰く退魔組織としてはめっちゃユルイ)などの詳しい話を聞きつつ、出されたアカガミさん自作の和菓子(主祭神なのに)に舌鼓を打ちながらロボキチニキの悪魔召喚プログラムの解析が終わるまで俺達は彼等幹部メンバーと過ごしたのだった。

 ……うむ、やはりこの転生者互助組織に所属するのが一番良いかな。ハヤタから聞いたいくつかの霊能組織の実情は殆どガンギマリな方針ばかりだったし、少なくとも前世の真っ当な倫理観で運営している此処が一番やり易いだろう。転生者っていうだけで色々と忖度してくれるみたいだし。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……という感じで、私達の今後の基本方針としては所属している転生者達のレベルアップと組織の正式な立ち上げになるかしらね。まあよくある霊能組織特有のガチガチな縛りやガンギマリ覚悟なんてウチでやったら空中分解するのは目に見えているし、レベリングや仕事とかも強制は出来ないけど。……とりあえず組織名は安価で良いかしら」

「せめて実在の組織名は取り入れない様にして下さいまし。絶対ガイアメシアとかふざけて書き込む人が出ますので(実体験済み)……とにかく依頼では報酬も出ますし、転生者は霊能の資質が非常に高く少なくとも序盤はレベルはスイスイ上がるのでレベリングはしっかりとやっておくのもおススメしますわ」

「……自主的に高レベル者を作るための餌とも言うがね。俺達はガチガチな縛りが出来ない分だけ悪魔・オカルト関係では組織的に隙が出来るだろうから、それを個人の質の高さで無理矢理補う感じにするつもりだ。君達も出来れば幹部まで登りつめてくれると(俺達の仕事量的な意味で)嬉しいけど」

「どうしても戦闘が無理なら技術班や事務班に回る選択肢もあるからね。今はどこも人手が足りてないから歓迎されると思うよ」

 

 それからかれこれ二時間程、俺達は解析作業をしている人達の近くで和菓子を食べながら和やかに談笑していた……とりあえず俺も最愛も格闘技をかじっているから戦う事自体は嫌いではないし、この先【終末】が訪れるなら最低限の戦闘能力はゲットしておいた方が良いだろうと思ったので、まずは戦闘系の異能者を目指すつもりだ。

 それにオカルト戦闘がどうしてもダメだったり、戦闘中にトラウマを追ってドロップアウトした者を後方で雇う事も出来るらしいしな。所詮中身は【俺ら】だからそうなる者がいるのも想定済みだそうだ。

 

「それに高位の異能者になれば色々と恩恵もあるわよ、アイテムや造魔の優先販売権とか各施設の利用権とか……ああ、そういえば【造魔】についての解説はまだだったか」

「造魔ってスライムニキとかそっちの二人みたいな? 掲示板でも【俺の嫁キタ────!】とかかなり話題になっていたけど」

「スライムニキは少し特殊だけど、そっちの【ナノハ】と【ライカ】は所謂【高級造魔・人造魔人】と呼ばれてるヤツね。……そもそも【造魔】は【ドリー・カドモン】という特殊なアイテムを使って作られた人工の悪魔の事なんだけど、このドリー・カドモン、実はクッソ希少な物だから量産は出来ないのよね。開発者である【ドクタースリル】とは協力関係にあるから多少は入手出来るけど、とても転生者全員に販売するとか無理」

 

 そこで作られたのがスライム・精霊・木霊などの自我が薄い低級悪魔をドリー・カドモンの代替とし、式神系の技術やフォルマを駆使して作り上げた躯体に封じ込める事によって生み出された【量産型造魔】なのだそうだ。

 制作には脇巫女ネキを始めとする幹部メンバーや熱意とやる気がある制作好き転生者達、更に脇巫女ネキが伝手のあった“造魔研究の第一人者”【ドクタースリル】や“最高位の悪魔合体師”【ヴィクトール・フォン・フランケンシュタイン】等による技術協力で完成させたとの事。

 

「この【量産型造魔】は『躯体に施された術式によって制御されているので主人に反抗する可能性がほぼゼロ』『同じく躯体側の術式によって主人との契約を行なっているのでデビルサマナーとしての技量も不要』『実体がある故に仲魔の為に主人が消費する生体マグネタイトも同レベル帯の悪魔と比べて十分の一以下』『実体があり安定しているのでスキルカードなどを使ったスキルや耐性の上乗せがしやすく汎用性が高い』といったメリットがあって、通常の仲魔と比べても遥かに扱いやすくなっているのよ」

「まあデメリットとして『それなりにコストが高い』『ある程度の自動修復が出来るとはいえ、実体があるので大規模な損傷を負った場合には専門家による修理が必要』『レベル上限も無改造では20前後と低め』などがありますが、それでも業界初心者の戦闘支援としては破格ですわね。この【量産型造魔】のお陰で少なくともレベル10程度までは異界での雑魚狩りであっさり上げられますし」

「異界へのソロアタックは特に慣れていない序盤では事故が多いんだけど、この【量産型造魔】を連れていれば危険度は大きく減るからね。勿論こっちとしてはパーティーでの攻略を推奨しているけど」

「戦闘が苦手な人でも最低限の護身が可能なのも大きいよ。覚醒さえしていれば使えるし」

 

 ちなみに非覚醒者用に戦闘能力をゼロにして敵の感知のみに特化させた簡易護衛用造魔とかもあり、オカルトには関わりたくないまだ非覚醒だけど身を守りたい人とか財界・政界ニキなど『覚醒修行してる時間は無いけど護衛は欲しい。主にメシアガイアファントム対策で……いやマジで! アイツら洗脳とか普通にしてくるし⁉︎』って人に販売されてるとか。

 

「二人も戦闘系を目指すなら一つは買っておいた方が良いわよ。人気なのは【精霊 フレイミーズ】を使った【ヒトカゲ】、【精霊 アクアンズ】を使った【ゼニガメ】、【地霊 コダマ】を使った【フシギダネ】の御三家あたりかしら。……私としては【妖魔 シキガミ】の劣化分霊を使った【イッタンモメン】が総合スペック的にはおススメなんだけど『デザインフンドシはちょっと……』とか言われて人気が無いのよ。頑張って性能盛ったのに」

「私が魔女術を持ち込んで作られた【妖魔 アガシオン】仕様の造魔もオススメだよ。ちょっとお高いけど普段は壺や指輪に隠しておけるから家族に秘密にしたいとかって人に人気だし、色々とデザインや性能も要望次第で変えやすいから」

「俺としては一神教系の術式を組み込んで【天使 ホーリーゴースト】を組み込んだ【サイバープチエンジェル】【サイバーエッグエンジェル】をオススメしたい。低コスト全体回復である【祝福】の他にもハマ系やパトラ系や【テトラジャ】や【バリア】なんかも使えて、更に耐性も破魔無効だから対天使にも有用なんだ! ……でも転生者の天使への印象が最悪だから全然売れないんだよなぁ」

 

 そんな風に色々と勧められたが中々決められないな。渡された【造魔一覧】という雑誌を見てみても種類は多種多様みたいだし……とりあえず今回の一件の報酬は造魔にした方が良いか? 

 

『しかし悪魔に分霊を使っているという事は【本霊】からの干渉はあるのですかな。私も【聖獣 ハヤタロウ】の転生者故、偶に本霊から啓示が来るのですが』

「ああ、一般の転生者ってのは【悪魔の分霊を宿した生物】だからそういう事もあるか……一応その辺りはアカガミの氏子である私が契約術式に絡めて、その加護をベースに神道・陰陽道・占星術・アルカニスト系のペルソナ技術などの複合で自我や内部の分霊への悪影響を遮断する【ファイアーウォール】を貼ってるからね。例え主神レベルの本霊であっても悪影響は及ぼせないわ」

「その悪影響遮断術式のオマケとして造魔にその強度以下の呪殺・精神系効果を遮断する追加効果もありますし。掛かっている呪術以下の呪いの効果を受けないドラ○エⅧ主人公理論ですわね」

「ナノハみたいに互いの許可さえあれば悪影響以外のやり取りは出来るからな。情報交換とか捧げ物とか加護とかね」

 

 懐かしいなド○クエⅧ。ちゃんとプレイした人には分からん例えだと思うが……とにかく造魔に関しては悪魔使役のリスクを減らす為の安全と信頼性を徹底して突き詰めてるみたいだな。

 

「それでもう一つの【高級造魔・人造魔人】についてだけど、基本的には【量産型造魔】と変わらず内部に自我が希薄な劣化分霊を入れたタイプの造魔で、更に私が有する【神造魔人】の技術やマスターである【高位の霊的資質を持つ転生者の血肉】、貴重なオカルト素材やらスリルが新開発した【擬似ドリー・カドモン】などを組み込んで、その人にのみ使い熟せるレベルでチューンナップしたオーダーメイドの超高級品って感じ」

「量産性や汎用性というメリットを捨てている分『ステータス・スキル・耐性は超高性能』『レベル上限も50以上は確実で後付け強化や成長も可能』『人間とほぼ同じレベルの自我もあり尚且つ主人に絶対服従』と圧倒的な高性能なのですわ。特に最後の絶対服従と外見も自由に選べる事が大きく、転生者達の【俺の嫁キタ────!】は美少女高位造魔ゲットの事をさしますわ」

「その分『コストは非常に高い』『消費マグや紛いなりにも【魔人】であるが故の霊格の関係上最低でもレベル30以上でないと使役不可能』という制限もあるけど。まあ費用はレベル30を超えたのなら支払えなくはないぐらいだし、何より転生者へのレベリングの餌としてはこれ以上のない代物だから一概にデメリットとも言えないね」

「ちなみに高級造魔はロボ型にする事も可能です! 人間の機能再現をオミットしている分だけ性能が上乗せされるからオススメですよ! 当然通行さんが好きなシャアザク型にも出来ますし、個人的には少々解釈違いですが後々【人化】【変身】のスキルカードで人型に変わる機能などもつけられます。例えば寺生まれニキ専用として開発された【アーゼウス】はスライムニキという例外を除けば全造魔中最高性能を誇りますよ!!!」

 

 成る程なぁ、まあ性能を重視するならロボ型でも良いかもしれんな。美少女型にしたら家族(特に最愛)からの視線がキツくなりそうだし……って。

 

「あらロボキチニキ、もう解析は終わったの? まだ二時間ぐらいだけど随分と早かったわね」

「ええ、スライムニキややる夫さん達も手伝ってくれましたし、何より()()()()()()()()()()()ですからね。……とにかく、解析できた範囲の【悪魔召喚プログラム】について説明します」

 

 ちょっと忘れそうになってたが、俺達がここに来た目的は【悪魔召喚プログラム】の事についてだったな。さてどうなる事やら。




あとがき・各種設定解説

枢木朱雀:転生者反メシア派閥筆頭
・普段は関東圏の北側、大体東北南側辺りの場所にある自分の教会で神父やエクソシストとして働きつつ、メシア教のクソ実験から保護した子供達の面倒を見たりしてる善人。
・他にも転生者互助組織も使う派出所を建てる場所を提供したり、東北から北海道に住む転生者達の顔役になりながら部下の現地人エクソシストや転生者(反メシア派閥多め)に戦闘訓練とかを行なったりしてる。
・戦闘スタイルは物理型異能者の家系であった【枢木】の体術+物理スキル+本人の超人的戦闘センスによる物理特化型だが、適正は高くないもののエクソシストとして破魔系・回復系・結界系の術も多少は使える。
・特にメシア教の天使が布教と称して多用する【洗脳】【幸福】【緊縛】【魅了】の術に対抗する為、状態異常回復系や状態異常防御の【バリア】などは集中して修練を積んでいる。
・造魔の【ナノハ】に関しては『エクソシストだし天使系の分霊が良いんだけど、メガテンのクソ天使ドローしたらアレだし出来るだけ真っ当な天使を召喚出来る術式作るか』と考え、脇巫女ネキの協力もあり見事に反主流派の“とある大天使”の分霊を引き当てた形。

相沢梓:この世界でも希少な高位の魔女
・元は北陸辺りの田舎に住んでいたのだが本編で語った通りの理由で離れて、現在は博麗神社の近くに作られた新工房と異界の管理をしつつアイテム生産の代表として頑張ってる。
・戦闘スタイルは火炎・氷結・電撃・衝撃の四属性の【マハ〜ダイン】クラスの広範囲魔法を主体で使う後衛型で、更に自作のマジックアイテムや使い魔の使役も併用する他、先代である母から護身程度の格闘術も習っている。
・造魔の【ライカ】は彼女の弱点を補う為に前衛物理型の調整をされており、組織内でも変えの効かない重要な人材である彼女の為に脇巫女ネキが持っていた“とある龍王”の素材を提供してその分霊を降ろしているので非常に高性能。


読了ありがとうございました。
遊戯王ネタが多いのは作者が最近マスターデュエルやってるからです(笑)バージェストマが面白い。……次回はようやく悪魔召喚プログラムの話になると思います。やっとタイトルが回収できそう。

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