この素晴らしい世界に呪術を!   作:不落八十八

43 / 44
修正助かります。
プロット無しで場当たりで書いてるからこうなるんだよと言う一例(一敗
一万文字以上縛りがこうも仇名すとは……(遅れた良い訳



43話

 ――路地裏に誘い込んだエリス教徒のシスターにちょめちょめする話。

 ――地下室に監禁したエリス教徒の少女に逆転きゃははうふふされる話。

 ――未亡人のエリス教徒の女性と恋仲になっていく話。

 ――エリス教徒の(ry

 

「……エリス教徒がらみ多過ぎるだろう。試作品の六割がエリス教徒がらみの官能小説じゃないか」

 

 ゼスタに連れられたのはアクシズ教の総本山たる大教会の一室。

 プレートには最高司祭室と書かれていたのでゼスタの仕事部屋に当たる場所なのだが、本来ゼスタが座るべき席に私が座って、積み上げられた小冊子を手に取って修正箇所を指摘している。

 どれもこれもアクシズ教徒では無く無辜のエリス教徒ばかりがエロの餌食になっており、十冊を越える頃には食傷気味に読み進める羽目になっていた。

 因みに四割は私を題材にした物で、聖母様に死ぬ程甘やかされていちゃこらする系と私にお仕置きされるM系の官能小説だった。

 

「教えは、教えはどうなってるんだこれは。エリス教徒に迷惑を掛けない様にとあれ程口酸っぱく言っただろうが。エリス教の名指しは全て修正案件、周知徹底させておけ」

「はっ、因みに具体的にはどう言う風に?」

「青を基調とした衣服を纏った修道女あたりにぼやかしておけ。直接実在する団体の名前を使うなと言う事だ。まさかと思うが私以外の実在するモデルの名前を流用してたりしないだろうな、やけに特定の人物っぽい描写が散見されるんだが。流石に風評被害で訴えられたら此方から声明を出して謝りに行く案件だぞこれは」

「ううむ……、実のところどれもこれも素人の作った作品ですからな。もう少しモラルとデリカシー、そして配慮のある表現にすべきと注意事項に書き足すべきでしょう」

「……お前の口からまともな言葉が出たのは吃驚したが、間違ってはいないな。禍根を残さない様に、オマージュだ、オマージュしろ。パクリと盗用だけは厳禁だ。素人作品と言えど最低限の秩序はあるべきだ」

 

 指先を机に突きながら同人小説の束を見遣る。

 ううむ、流石に先進的過ぎたか。

 せめて模範になるような大ヒットベストセラー作品が生まれるまでは止めておくべきだっただろうか。

 いや、逆に考えるのだ。

 ハリポタや指輪物語の様な作品が何かしらの土台無くして生まれた存在かと言われれば、んな訳あるかで一択。

 何かしらの土台となる作品を書き連ねた結果生まれた傑作であると言えよう。

 

「……はぁ。あくまで文化的教養への先行投資だしな。作品を積み重ねれば後半には良い品が作られ始める事だろう」

「そうですなぁ。……にしても、聖母様。御自身を題材にした作品に対して何か反応は無いのですかな? 例えばこの【聖母様と一緒に慈愛トレーニング】とか」

 

 そう言ってニチャァと笑みを作ったゼスタが一冊の官能小説を持ち上げる。

 表紙には割と上手いアニメ寄りな絵で、アクシズ教徒らしい少年の逸物を後ろから慈愛の表情でシゴく聖母っぽい格好をした私が書かれていた。

 内容は聖母な私が自慰の仕方を優しく教えてあげると言う感じのバブみ系だ。

 

「……描写が下手くそ過ぎて台本形式の方がまだ読めるぞ。一人称視点だからといって地の文でも延々と自身の喘ぎを入れるのはなぁ……。喘ぎ声って口から漏れてこそだろ。台詞で良いだろ。内心でやるなら……、いや、M系男性目線で書くなら正解なのか? 自己投影しやすいように……? んー、私的にはイマイチだな」

「……そ、そうでしたか」

 

 心の逸物が勃起しないんだよなぁ。

 食指が動かないと言うか何というか。

 ひぎぃらめぇは身動きと口元を押さえ込まれた女性がすべきで野郎がしても勃つもんも勃たんわ。

 むしろ、表紙の姉ショタっぽいイメージが強いせいで中身がバブみM男だと感覚がバグる気分だ。

 多分、内容の擦り合わせをしなかったんだろうな。

 表紙がショタなのに中身は歳食ったおっさんが主人公だし。

 

「いや、いやいやいや。何を平然と評論してるんですかおんおん!? あ、貴女が題材に! しかも、こ、こんな内容で!」

「どしたのめぐみん、そんなに慌てて。こんなん童貞の書いた恥ずかしい小説じゃん。あんま否定するのは可哀想だぞ」

「童貞に優しい近所のお姉さんかなんかですかおんおんは!?」

 

 沸騰したヤカンの如く真っ赤な顔で、聖母な私が教徒に懺悔室プレイをする【嗚呼、聖母様】を机にバンバンとチンパンジー宜しく叩き付けていた。

 それは割と良い線行っていた作品なので丁重に扱ってあげて欲しいが、めぐみん的にはアウトらしい。

 

「それにもしもこれを鵜呑みにしておんおんに手を出す輩が出て来たらどうするんですか! この薄い本みたいに!」

「殺すけど?」

「「ひぇっ」」

 

 見せしめに惨たらしく拷問してから広場で公開処刑コースに決まってるだろうに。

 性犯罪者だし、尻穴から鉄杭を貫通させてからポーションを掛けて延命し、鳥葬が如く磔にして自然死させてやろうじゃないか。

 まぁ、その前に敬虔な聖母信仰者たちが良い笑顔でその不埒者を取り囲んで私刑に処すかもしれないが。

 そもそもの話、呪術は魔法とは体系が違うので口や腕を封じられようが意識がある限り徹底抗戦が可能だ。

 近寄って来たところを【大発火】してやれば相手は瀕死の重傷を負う事だろう。

 因みに直撃した場合、先ず爆発の衝撃で圧迫され重傷の打撲が加わり、その後炎が身体に纏わりついて皮膚などの呼吸器官を焼き、辛うじて生きてても窒息か内出血多量で死に至る。

 死体の検査なんて素人なので見た目判断だが、盗賊たちの様子を確認していた限りは以上のそれが当て嵌まる。

 大体が苦しいとか息がとかか細く呟いていたし、痛みで身体が動かせないのかのたうち回る事も無く息絶えていたしな。

 

「にしても……どれもこれもぬるいな」

「と、言いますと?」

「何で凌辱物なのにキスして前戯して了解取ってからシてんだよ。変な所で常識出してくるんじゃねぇよ。だったらもう和姦じゃねぇーか、純愛だろジャンル違いだわ」

「う、うぅむ……。大分攻めてる内容だと思うのですが……」

 

 そう言ってゼスタが【危険が危ないお年頃】と言う強姦物の皮を被ったノーマルな内容の小説を手に取って首を傾げていた。

 王都と比べてアルカンレティアの官能小説は程度が低い、と言うよりかは内容がノーマル気味なのだ。

 一例を出せば、貴族の男性が屋敷のメイドに手を出すと言う内容で、欲望任せに少女を押し倒し手籠めにするものの実はメイドは貴族男性に一目惚れしていて両想いだった、みたいな温いビールの様な物が乱立しているのだ。

 悪徳貴族が欲望のまま嫌がるメイドに手を出せよ、陰謀の果てに落ちぶれた少女を陥落させるとか、どれもこれもラブコメのスピンオフみたいなノリが多過ぎる。

 なんだろう、変なところで常識人ぶるの止めてくれます?

 アクシズ教に自ら入ってる時点でお前も今日から教徒だとファミパンされた側なんだからはっちゃけろっての。

 アルカンレティアは綺麗な心を持つ者が多過ぎるのだろう。

 ……アクシズ教の総本山だろ、って?

 どいつもこいつも実際に暗がりで女性を拉致って複数人で嬲るような暗い性癖を持っておらず、にじり寄りながら手をわきわきと動かして相手の反応を見るぐらいが関の山。

 間違って胸に当ててしまえばお互いに気まずそうな雰囲気を醸し、自然と無言で解散するようなヘタレしかいない。

 良くも悪くも根が真面目と言うか、性根が子供のまんまなのだ。

 だから悪戯のカースト上位がスカート捲りなのだ、昭和の悪ガキか何かかお前らは。

 そんな奴らが書いた官能小説は所詮、度の少し過ぎたラブコメに過ぎず、抜ける作品かと問われれば息子が萎える事間違いなしな訳だ。

 

「……淫習が存在する村を題材に私もアケットで限定販売するか。鉱山町にでもして閉鎖的空間かつ隠蔽がしやすい暗がりのある設定で。題名は……カナリアが鳴く頃に、とでもするか。主人公を男性の旅人あたりにして、気になった少女を見かけて仲良くなるものの、実は裏で村人たちに共有されていたみたいな感じで……。タイムリープ、いや、伝記物っぽくなんかそれっぽい設定を付与して巻数を増やそう。最終的には主人公も外道に堕ちて村人に加わるみたいなオチにして救いも無い感じに仕上げるか……。いや、最後はハッピーエンドの方が受けが良いか? 後味が悪いとすっきり抜けた気分になれないもんな……」

 

 さらさらと羊皮紙の空いた箇所に箇条書きでメモして、暗黒微笑を垂れ流しながらプロットを書き綴る。

 ゼスタは私の口から漏れ出た単語から想像してしまったのか、前屈みにビクンビクンと跳ね始めて俎板の上でのた打ち回る魚めいた奇行を開始。

 めぐみんは心底呆れた様子で溜息を吐き、近くにあった小説を手に取って読み始めた。

 私が官能小説を執筆している事は既にめぐみんにバレているし、何なら添削と誤字脱字のチェックを兼ねて試し読みもさせていたりする。

 なので、時折うわぁと口にしながらもむっつりに育っためぐみんは読み進めてしまう訳だ。

 そして、何処か物足りなさを感じながらそっと置くまでがセットであった。

 

「取り合えず、創作規定の更新だな。先程も言ったが実在する団体及び地名、そして実在する登場人物は却下だ。風評被害に発展したら事が事だからな。一線越えてエリス教と殴り合いなんて嫌だろ」

「そうですな。不倶戴天のエリス教ではありますが、今では隣人として接する事もできましょう」

「不倶戴天てお前……。んなこと思ってるのアクシズ教の一部ぐらいだろう」

「……ふふふ、今は、ですがね」

 

 そうゼスタは珍しく神妙な顔で遠い目をして呟いた。

 ……え、昔何かあったのか、エリス教と。

 一昔前の学生運動が盛んだった頃の思い出を語る前世の爺ちゃんを彷彿とさせる雰囲気に困惑する。

 

「あぁ、若い人は知らないと思うのですが、アクシズ教が作られた当時は色々と凄かったんですよ。実際、私も本当に幼い頃に片鱗を見たくらいでしたが、今の光景が微笑ましくなるようなくらいに過激だったのですよ」

「と、言うと?」

「女神エリスを信仰するエリス教徒と、後進、いや、内部分裂して作り上げられた女神アクア様を讃え敬愛し崇めるアクシズ教はその成り立ちが異なるのですよ。初代最高司祭となった方のお言葉が残っていましてね。――汝、迷える子羊を囲い、癒し、育てなさい。肌の色を、言葉の違いを、文化の差異を、性別の垣根を越えて、隣人と手を取りなさい。それこそが慈愛の精神である。と、女神アクア様のお言葉を聞いた元エリス教徒であった女性は孤児院を基に、この言葉を掲げて新たな信教を作り上げたのです。慈愛あれ。当時、魔王の脅威によって荒れ狂った世論と社会にその言葉だけで光を射し込んだのです。……ふふ、本当に懐かしいものです。悪魔討伐を頑なに強硬するエリス教とは物資の取り合いや教徒同士の睨み合いなどで殺伐としていた時代があったのですよ。あぁ、本当に……懐かしい」

「……ふーん」

 

 あのあの、クリスもといエリス様(本体)があんな風になってるのそれが理由じゃねぇ?

 悪魔討伐を強硬してた理由って死人が増えに増えてストレスマッハだったから原因を潰すためだろ。

 バニルに聞いたが上級未満の悪魔は残虐な方法でストレスを与えて無理矢理食事をしている者も多いって話だし。

 んで、アクシズ教の誕生のせいで世論が天秤し始めて社会が悪化、内ゲバみたいな形で進行が滞った、と。

 良かれと思った計画が上手くいかずにずるずると長年悪魔問題を抱える事になったエリス様は……。

 ……有り得る、有り得る話だなぁ。

 当時の学生運動って相当過激だったって話だし、その雰囲気に似ているこの話からして……なぁ。

 

「その時に物騒な事件もあったんじゃないか? それアケットで書いてみたら良いんじゃないか。別にエロい話じゃないと出店しちゃいけないってルールでもないしな」

「ふむ……、今再び筆を執るのも良いかもしれませんね。歴史物になるのでしょうか」

「そうなるな。年表形式で書いても良いし、順を追って推移を書いてもいいかもしれんな。今のアクシズ教はフリー信仰だし、エリス教徒の手にも渡るかも知れんぞ」

「それはそれは……、くっそ堅苦しい文章が途中で官能小説になっていたら面白くないですか?」

「良いなそれ、見てみたい」

「承知しました、少し頭を捻って文章を絞り出してみます」

 

 とんでもない事を聞いてしまった、と言う感じのめぐみんがそっと視線を反らしていた。

 まぁ、うん、うちのパーティに居るもんな女神が。しかもこいつらの信仰対象が。

 今じゃ特典としてお持ち帰りした男の子と良い感じの仲になって日々を謳歌してるぞ。

 にしても、どれくらい関係が進んだのだろうか。

 そこそこ良いお酒を差し入れておいたし、あの雰囲気でヤってないとは思わないが……。

 ううむ、純愛物は苦手だからな、想像が付かない。

 あんなピュアピュアな初々しいカップルのあれこれだし、キスぐらいが精々なのかもしれん。

 

「取り敢えず、一般教徒からの投稿物はこんなもんか。残るは……」

「ええ、そちらの木箱に入れてあります。アケット用の試作品として送られていながらも、計三種の文字形態に加え、別言語っぽい記号みたいな文字も加わって構成される複雑過ぎる怪文小説ですな。けれどまぁ、表紙からして大分男受けする格好良さなどはありますが、もしかして読めたりします?」

「無論、こいつは日本語。私たち勇者候補の故郷と言える場所の言語で書かれたやつだな」

 

 ――装甲悪〇村正。

 ――機神咆哮デモン〇イン。

 ――〇iesirae。

 ――マ〇ラヴ。

 ――F〇te/staynight。

 ――うたわ〇るもの。

 ――CL〇NNAD。

 ――リトルバ〇ターズ!

 等々、特級呪物級のやべーラインナップで構成されているエロゲー作品ばかりであった。

 貴様、やり込んでるな! と突き付けられるであろう作品の再現度にガチめに戦慄が走る。

 あのあの、明らかにこれ原文ママなんですが。

 よくもまぁ人力で書いたものだなと冷や汗を浮かべざるを得ない血と汗と汚い汁の結晶に大困惑だ。

 どれもこれも、著者名が〇〇(メーカー)の回し者と言う感じで、統一されているあたりサークルか何かかな?

 一章に当たる部分くらいの執筆量であるものの、どれも続巻を書きます、書かせてくださいと言う感じの後書きばっかりで相当にこの手の娯楽に飢えていたんだろうなぁと合掌ものであった。

 んー……、この世界の共通言語で書かなかったあたり、流石に万人受けしないだろうから身内(勇者候補)で消化したいって感じなのだろうか。

 日本島みたいな感じでジャンル分けしといた方が良いのだろうか?

 いや、アケット四日目を作ってその日をオフ会もとい同人誌即売会みたいなノリで勇者候補デーにすればいいか。

 

「流石にこの世界の人間だと理解が追いつかないだろうからと日本語で書いたっぽいな。アケット四日目を勇者候補オフ会にして、そっちで売買するから受け取って合格サイン書いといてくれ」

「承知致しました。……うぅむ、実に内容が気になりますなぁ、特にこれとか」

 

 そう言ってゼスタは恋姫†〇双を手に取って名残惜しそうな表情を浮かべていた。

 絶対お前パケ買い、もとい表紙で選んだろ女の子多いって理由で。

 此処に送られている事もあって官能小説であろうと目星を付けての事だろうが、異世界の過去の歴史改変物とか絶対理解できないだろう。

 ……にしても、明らかにこれコピー用紙レベルのくっそレベルの高い紙に印刷されている感じなんだが?

 なんだ、印刷系のニッチな特典でも貰った奴が居るのか?

 ……いや、合作か?

 紙用紙作れる特典と印字に関する特典を組み合わせて、いや、もしや記憶を出力するタイプの特典とか、完全記憶能力みたいなのも組み合わさった作品かこれ。

 昔やった事のあるエロゲーの開幕の文章書いてみろって言われても普通書けないだろうしな。

 …………異世界ファンタジーの世界に持っていく特典それで良かったのか???

 絶対に無人島に何を持っていきますかのノリで特典貰っただろこいつら。

 いやまぁ、どうせ誰かがやるでしょ理論で最初からリタイア組だったのかもしれないしなぁ……。

 死因が電波な台詞吐きながらしてたブリッジオナニーを家族に見られて憤死とかだったら最高に面白いけども。

 絶対アクアさんが拾ってきそうな死因だよなぁ。

 なんだかんだアクアさんメスガキ要素と言うか資質あるし、プークスクスと笑って煽りそうだしなぁ。

 カズマくんの愚痴を言う時大概あのヒキニートがぁって悪態吐いてるしなぁ。

 過去に送った勇者候補たちの面白死因で打線組んでた時もあったし、ダーウィン賞ばりの内容で酒の肴にはなった。

 

「とまぁ、こんなもんだろう。送り返すなり取りに来させるなりして修正させておいてくれ」

「承知致しました。修正内容については応募規約に盛り込み、周知徹底の上で女性教徒に修正場所を指摘させます」

「しれっとセクハラしてんじゃねぇよ、変な性癖付いちゃうだろうが」

「それもまた一興かなぁと。……普段物怖じしない強気な姉御系にこういうのさせたら良くないですか?」

「それに関しては同意してやるが、現実でやるな現実で。それも小説にして書かせとけ」

「それもそうですな。そう言えば服装等はどうしましょう? フリー信仰とは言えどもアクシズ教の信徒服を指定しておきますかな?」

「えっちな恰好で売り子したい奴も出てくるだろうから自由にしておけ。売買品のカタログを通行手形みたいにしておいて出入り可能にしておけば良いだろう」

「ほほぅ、アクシズ教徒であれば割引も考えものですな?」

「1500エリスのところを1000エリスに割引しておけ。無論、原価は100エリス以下に抑えて儲けを出すように」

「かしこまりました」

 

 非常にわっるい笑みを浮かべながらお主も悪よのぉとゼスタと共謀する。

 アクシズ教徒になってもならなくてもカタログ代だけで儲けになるのだから笑顔になるのも無理も無いだろう。

 ついでに割引目的であっても教徒が増えるのであれば尚更に良しと言う感じで。

 うわぁと言う表情でめぐみんがドン引きしているが、儲けが出なければ飯は食えないのだ、是非も無し。

 まぁ、教会本部の大聖堂を解放して設営場所にする予定なので運営側の費用はほぼほぼ無いのだが。

 人件費? そこらの暇してる教徒を動員すれば問題無しだな、あっはっは。

 

「なんか質の悪いカルトを見ている気分になってきました……」

「失敬な、何処がカルトだ。年々溜め込んだ悶々とした思いを性癖全開で解放してすっきりできる場所を提供してやってるんだ。それなりのお代を貰わねばやってられんだろう。もっとも、こんな粗末な物を見せられては鼻で笑ってしまうけどな」

「ふぅーん……、野生の紅魔先生ですもんね。ところで最新刊の内容が何処となく見知った人物に酷似している件について弁明を聞きましょうか」

「オーケィ、私のやっている事は質の悪いカルトの様なものだ。肉欲に溺れる様を邪神に奉納するような邪悪なカルトだったな、何も間違ってはいなかった。……ところで、我が教団の秘密を知ってしまったな?」

 

 すすすとソファに座るめぐみんの隣へと移り、むにむにほっぺに手を置いて視線を合わせる。

 ぎょっとした様子で困惑しためぐみんに近付いて、ガチ恋距離の吐息を感じる近さでルビーの様な瞳を覗き込む。

 途端に初心さを見せ始めたのを可愛らしいと思いながら、全力で話題の誤魔化しを図る。

 ……いやぁ、うん、結局実体験を書いた方が筆が進むんだよ、仕方ないね。

 だからと言ってねっちょりとした堕落模様を詳細に描写してエロティシズムを演出したのはまずかったなぁ。

 そのモデル完全にクリスだったし、何ならあの時指摘したように清楚な修道女っぽい言い回しにさせた内容だった。

 淫らで迷える私に神の導きをお与えください、みたいな内容だったしね。

 メイドスキー伯爵の外伝シリーズ、通称お出かけシリーズの教会編である。

 表向きは善意と言う名の札束ビンタで経営が傾きかけていた貧困した教会を支え、慈善の見返りとして色々とそのシスターに要求していくセクハラ調教系だ。

 そのシスターが慎ましい生活を送っていたが故に低身長の幼児体型かつ痩せ気味と言う一部の性癖特攻を持たせた作品として送り出したんだったな。

 最終的にその教会はおふせっせ(意味深)できる場所になると言うオチである、実にすこ。

 ……はい、モデルはクリス、と言うよりも真なる姿(NOパッド)のエリス様である。

 いやー、アケットの規約にうんぬんかんぬん言ってたけれども問題しかないな!

 

「……いや、待てよ? 女神なら人権は適用されないから実質合法なのでは……?」

 

 その台詞にゼスタが「ェンッ!!!」と奇声めいた断末魔を上げて床に沈んだが、まぁいいかゼスタだし。

 小首を傾げためぐみんを誤魔化すべくほっぺすりすりを敢行した。

 

「そ、そんにゃ事でぇ、わ、わたしが屈するにゃんて事はぁ……」

 

 だなんてとろっとろな声色で目を回すようにして陥落しためぐみんを抱き潰してソファに寝かせる。

 官能小説は読めるようになったのにこうして物理的な接触だとこの様子なんだよなぁ。

 少しは耐性が付いたと思ったのだがまだまだ初々しいと言うか初心なままなめぐみん。

 ……もういっそ百合路線で行くか?

 所構わず物陰でちゅっちゅして、妖しい雰囲気のまま優しい愛撫だけで終わらせて。

 悶々と滾る情欲を孕ませて身も心も委ねたくなるぐらいに陶酔させて、爆竹を入れたガラス瓶を鑑賞するかの如く愛で続ければ嫌でも耐性が付く事だろう。

 辛抱堪らずに襲い掛かって来てくれれば万々歳と言ったところか。

 ……いやしかし、貞操帯を付けて射精管理ならぬ絶頂管理をして悶え喘ぐ可愛い姿を見続けるのもあり、だな。

 またはララやクリスとの情事を目撃させてかつてのクリス宜しく肉欲に悶える展開にするか?

 ……いや、それは止めよう。

 ただでさえこうしてクリスに対する疑念を突っついて来ている訳だし、ヤンデレめぐみんと化す可能性も有り得る。

 いやまぁ、二十八カ所の刺し傷を作って死に追いやられようが生き返るんだけどね私。

 それでも心に残りそうな事は極力して欲しくないしさせたくないんだよなぁ。

 

「うーむ、こういうのを読み続けてたから少し頭が茹だったかもしれんな。今日はもうお開きにするか」

 

 手に持っていた沙耶〇唄の小説を木箱に入れ戻し、封印するかのように蓋を閉じた。

 取り敢えずやるべき事は終えたし、旅館に戻るか。

 くったりしためぐみんの膝と背に手を回し、ひょいっと持ち上げて姫抱きして部屋から退室する。

 なーんか忘れているような気がするが、すっと思い出せないと言う事はそれほど大事な事では無いのだろう。

 後ろ脚で部屋の扉を蹴り閉じて、旅館へ戻る最中に喉元に引っ掛かった小骨の様に脳裏でもやつくそれに首を捻る。

 旅館に戻る間に姫抱きめぐみんの姿を四方八方からじっと見つめられていたが、まぁ、魅せ付けておくとしよう。

 ふふん、うちのめぐみんはこんなにも可愛いのだ、無意識に首裏に腕を回してぎゅっとする姿は実に愛い。

 部屋へ戻り、くったりめぐみんを布団に転がして額の汗を拭う。

 

「……あっ、ゆんゆん回収するの忘れてたな。まぁ、夕食までには帰ってくるだろう、多分」

 

 喉に刺さった小骨が抜けた瞬間であったが、喉元過ぎれば何とやらと言う感じですっと消えていった。

 窓から覗いた夕暮れの空にゆんゆんの驚愕した顔が浮かんだような気がしたが、まぁ気のせいだろう。

 次期族長になるための試練の一つだと思って頑張って欲しい物だ。

 二日後には魔王軍幹部が破壊工作に来るだろうからそれもゆんゆんに……、ぁー、これかぁ……。

 そういやゼスタに伝えたっけ、これ。

 うーん、まぁ、明日でいいか。

 ぶっちゃけ、今のアルカンレティアに破壊工作を仕掛けるだなんて墓穴を掘るようなものだしな。

 毒、だっけか。うーむ、しまったな、アクセルにベルディアを置いていったのは間違いだったか。

 流石にこうも離れていてはパスを通じての念話は圏外だ。

 バニルは契約と言う形で、何処にでも居るし何処にも居ない、みたいな感じで繋がっているからできるだけだ。

 ぶっちゃけあいつの本体は地獄に居るので何処に居ようが念波が通じれば会話は可能である。

 蟲の報せめいた感じでミュンミュンと念波を発信する事は出来るだろうが間に合わないだろうしなぁ。

 毒を使うモンスターなんて腐る程居るしなぁ、流石に特定は難しいだろう。

 取り敢えずアクアさんに毒を治療するための薬品でも作って貰うか。

 作り方は簡単で、聖水を作ってから『デトフィケーション』を付与して貰えば特効薬の完成だ。

 元と付くが水の女神であるアクアさんは水に対する親和性は非常に高く、素手で触れてしまうだけでワインを水に変えてしまうくらいの変換効率を持っている。

 そのため、水に付与する魔法や水を対象にした魔法は非常に効果が高い傾向にある事はベルディア戦で証明されている。

 おかげでバヨネットを溶かして作って貰った、この首元に掛けている十字架ネックレスは水に浸すだけで浄化できる魔道具と化している程だ。

 可愛い信者を守るためだ、アクアさんもしっかり働いてくれるに違いなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。