戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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原作主人公VSうちの小説主人公!

遂に瑠璃がシンフォギアを纏う時が来た!

ちなみに読者の皆様が瑠璃と輪の声を一体どの声優さんに当ててるかが気になる所です。

私はもう決めてますがそれを言うのは野暮というもの。


冥魂の槍

 まさに青天の霹靂だった。

 バイザーを解除して素顔が露わになったバイデントの装者、その正体は風鳴瑠璃だった。

 その瞳に光は灯っておらず、表情の変化など一切見られない。

 未だに信じ難い事態に響と翼は動揺する。敵である筈のクリスですら、驚いている。

 

「瑠璃さん……その格好は……」

「何で……何でだよ?!何で……姉ちゃんが装者になってんだよ?!」

 

 姉ちゃんという単語に引っ掛かった響はクリスを見る。

 

「姉……ちゃん?」

「立花、それは後回しだ。今は瑠璃を……」

 

するとどこからか女性の声が聞こえてきた。

 

「命じられた事も出来ないなんて、あなたは何処まで私を失望させるの?」

 

 クリスが振り返ると対岸に杖を持ち黒い衣服を纏ったフィーネがいた。

 

「フィーネ!」

(フィーネ?!終わりの名を持つ……)

「こんなやつがいなくたって、姉ちゃんが戦わなくたって、戦争の火種ぐらいあたし一人で消してやる!そうすれば、あんたの言うように人は呪いから解放され、バラバラになった世界は元に戻るんだろ?!」

 

フィーネはため息をつく。

 

「もうあなたに用はないわ。」

「何だよそれ?!」

 

 フィーネはバラバラになったネフシュタンの鎧を一箇所に集めるとそれを再生させ回収した。

 

「ルリ、その子達の始末は任せたわ。」

 

 そう言い残し、フィーネは姿を消した。

 瑠璃は先程解除したバイザーを閉じ、戦闘態勢に入る。

 

「姉ちゃん……フィーネ……待てよフィーネ!!」

 

 クリスは一瞬、瑠璃とフィーネを交互に見ていたが、瑠璃と戦う事を恐れて、背を向けてフィーネを追った。

 

「待ってクリスちゃ……」

「立花!今は瑠璃が先決だ!」

 

 少なくとも瑠璃は二人を生かして返すつもりはないようだ。

 投擲した槍が瑠璃の手元に戻ると、それを右手に持ち、響に槍を突き出す。

 右に反らすことで避けたが、今度は柄の部分で響の鳩尾に直撃させて倒す。

 ダメージを減らしてくれるとはいえ、息苦しいのは変わらない為、咳き込んでいる所を槍を振り降ろされる。

 翼が奇襲をかけて刀を振り振り上げて相殺、瑠璃は翼を蹴り出そうとするが、刀で受け止めた事で互いに距離が開いた。

 

「瑠璃さん!やめてください!私達は仲間です!」

 

 響の呼びかけには応じる様子はなく黒い槍からエネルギーを集結させ、それを翼がいる方向に突き出すと、穂先から槍状のエネルギー波を放った。

 

【Shooting Comet】

 

 それは生き物の様な動きで翼に襲い掛かった。翼は刀を斬馬刀の様に形を変えて、振り下ろすと刃状のエネルギーを放った。

 

【蒼ノ一閃】

 

 激突した瞬間、蒼ノ一閃が押し切られそれに焦った翼は刀で受け止めようとする。

 

「何だ……この強大な力は……?!」

 

 徐々に後ろへ押し込まれていきこのままではやられてしまう。すると響が翼の背中を押すように支える。

 

「やらせない、家族同士で……傷つけさせない!」

 

 雄叫びを挙げると腰のブースターが点火、その勢いとパワーが上乗せされ、Shooting Cometを弾き飛ばした。

 

 

 本部では従姉妹同士が殺し合いを繰り広げる所を黙って見ているしか出来なかった。

 その歯痒さに弦十郎は拳を司令台に叩き付ける。苛立ちに似た焦燥感、瑠璃を守り切れなかった悔しさを隠しきれずにいた。

 

「すまない瑠璃……すまない翼!このような事になるとは……畜生!!」

 

 そこに新たなシンフォギアの適合者が現れたと聞きつけた了子が慌てて入って来た。

 

「何なに〜?!未確認のシンフォギア……ってあれバイデントじゃない!!いつの間にバイデントの適合者が出た……えっ?!嘘でしょぉ?!瑠璃ちゃんがバイデントの適合者なの?!」

「了子君、あのギアを知っているのか?!」

「ええ。あのギアは天羽々斬と同じ時期にドイツで櫻井理論を用いて、密かに誕生したシンフォギアよ。だけど何故か、適合者候補は全員亡くなったか廃人になった事が理由で使用しないよう厳重に封印されたって聞いて、それっきりだったけど……。でもそんな曰く付きのギアをどうやって持ち出して、何故あの子が……」

 

 謎は深まるばかりだが、今はそんな事は問題ではなかった。本部にいる者達は、戦いを静観するしかない。今の弦十郎に、瑠璃が正気に戻ることを願う事しか出来なかった。

 

 

 何とか攻撃を跳ね返した響と翼だったが、翼はまだ万全ではない為、長くは戦えない。片や響は優しさが裏目に出て攻撃を躊躇っている。

 一方ルリは命令を遂行するまで戦う気でいる。

 瑠璃は槍を連続で突くが、響は弦十郎の修行と映画で会得した武術を用いて、掌底と裏拳で捌いている。しかし、それだけでは終わらず、前腕のプロテクトを展開させると、それが白い槍となって可変した。

 それを左手で持ち、二槍流となる。

 

「もう一本?!」

 

 黒い槍だけでも精一杯だったのに二本目は流石に捌ききれない。白い槍で串刺しにされる……

 

「瑠璃!」

 

【天ノ逆鱗】

 

巨大な剣が槍の連続突きから守った。

 

(瑠璃の為にも、誰も死なせはしない!)

 

 万が一ここで死人を出してしまえば、瑠璃が元に戻った時に自らの責任に苛まれてしまう。

 その為にも早く決着をつけなくてはならなかった。

 

「瑠璃さん!もうやめてください!家族と戦うなんて間違ってます!師匠もそれを望んでません!」

 

切り捨てるように再びShooting Cometを放つ体勢に入る。

 

「何で……瑠璃さん、師匠の事をカッコいいお父さんだって、翼さんの事、頼りがいがあって強いお姉さんだって言ってたじゃないですか!瑠璃さん、そんな風鳴の家を守りたいって!!」

 

 響は腹の底から声を出して叫んだ。

 するとそれが届いたのか突然動きが止まった。

 よく見ると手が震えていた。

 

「止まった?どうしたと……」

「お……姉……ちゃん……?」

 

目の輝きが戻っているが、明らかに様子がおかしい。

 

「響ちゃん……なんでそんな痛そうに……っ!」

 

 手に持つアームドギアを認識すると、今自分がシンフォギアを纏っている事に動揺する。

 

「何なのこの格好……?!お姉ちゃんたちと同じ……それに……これは……槍なの?じ、じゃあ今……お姉ちゃんと響ちゃんを……私が……」

 

 頭を抱えて、膝をつく。意図してやったわけではないとはいえ、自分がしている事が恐ろしくなる余り、気が動転してしまっている。

 

「落ち着け瑠璃!これは瑠璃がした事ではない!今からでもまだ取り返しはつく!帰ろう!」

 

 翼が呼び掛けるが、気が動転してしまっている瑠璃に届いていない。

 

(どうしよう……私が……お姉ちゃんを……響ちゃんを……)

『帰ってらっしゃい……。』 

 

 頭に直接響く声が聞こえた事で瑠璃はさらに苦しんでいる。

 これは瑠璃にしか聞こえていないので、響と翼は何が起こったのか理解出来なかった。

 

「ぁ……ぁぁ……あ…………ぁ……」

「瑠璃……?」

「瑠璃さ……」

 

 

 

 

ああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 

 

 

 

 突然甲高い悲鳴を叫び出し、その影響で鳥達が一斉に飛び立った。

 すると周囲を飛び回っては槍を無作為に振り回し、それに巻き込まれた木々が倒れた。

 

「一体どうしたんだ?!ルリ!!」

「あああああああぁぁぁぁーーーーー!!」

 

 翼の呼び掛けに応えることなく、叫びながら暴走して、何処かへと消えてしまった。

 遠く離れてしまった事で悲鳴も聞こえなくなっていた。

 一般大衆への被害者は出なかったが後味の悪い結果となってしまった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

司令室ではイチイバル、バイデントの反応が消え追跡が困難になった。

だが収穫はあった。

少女の正体は、雪音クリス。音楽会のサラブレッドであり、そして……

 

「瑠璃の……双子の妹。」

 

弦十郎が重苦しそうに呟く。

 2年前、バルベルデの地獄の日々から日本に移送されたはずが、行方不明となっていた少女。

 

「そうか……生きていたか。喜ばしい事なのだが……」

 

 クリスはフィーネと呼ばれる謎の女性に見限られ、瑠璃は操り人形に仕立て上げられた。これ以上、子供が苦しむ姿を黙って見過ごすわけにはいかない。弦十郎の拳は決意を表すように強く握った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 本部に帰還した二人はメディカルチェックを受け翼は先に司令室に入った。響は遅れて終了し結果が出た。

 

「外傷は多かったけど、深刻なものがなくて助かったわぁ〜。まあでも、常軌を逸したエネルギー消費による、いわゆる過労ね。少し休めば、またいつも通り回復するわよ。」

 

 診断結果を了子が発表していた。だが心はここに非ずの状態だった。

 未来に秘密にしていた事がバレてしまい、その罪悪感が降りかかった。

 その事を了子が知る由もなく事務的な連絡を話していた。司令室に入る前、無理矢理に笑顔を作ってから入っていった。

 

 司令室では今後の対策について話し合われていた。クリスの捜索、フィーネの存在と目的、そして瑠璃の救出についてだった。

 特に瑠璃に関してはバイデントの装者となった今、もはや戦いは避けられない。

 そこに響、了子、先程合流した翼が司令室に入った。

 

「翼、まったく無茶しやがって……」

 

 翼はまだ完治していない状態で独断行動に出た。いつもの翼らしくないものであるが、悔いてはいない。むしろ己の信念を持って出た行動に堂々としていた。

 

「独断については謝ります。ですが、仲間の危機に臥せっているなどできませんでした。」

「へ?」

 

 翼から意外な言葉が出た事に驚き、素っ頓狂な顔で翼を見る響。

 

「立花は未熟な戦士です。半人前ではありますが、戦士に相違ないと確信しています」

「翼さん……」

 

 翼を見ると、彼女は目線で応えた。つまり、戦士としても仲間としても響を認めたという事である。

 

「立花の援護ぐらいなら、戦場に立てるかもな」

「私、頑張ります!」

 

 仲間として認められた事に喜んでいる響だったが、もう一つ瑠璃についてモヤモヤしていた。

 

「あの、師匠!瑠璃さんについてなんですけど。クリスちゃん、瑠璃さんの事を姉ちゃんって呼んでましたよね。あれって一体どういう事ですか?」

「私からもお願いします。瑠璃が養子として入った時、何の疑問も懐きませんでしたが、姉としてあの子の過去を知らなければと思います。」

 

 翼も瑠璃の過去について殆ど知らなかった。だが今では家族として従妹の過去を知りたがっている。

 弦十郎は腕を組みながら一瞬悩んだが……

 

「そうだな……。いずれ知らなくてはならない事だったからな。」

 

 そう言うと、弦十郎は包み隠さず全て話す。瑠璃の過去を。

 




楽曲

【冥槍・バイデント】
 平和を愛する彼女が戦う事、手を汚す事へ対する彼女の戸惑い、恐怖を歌として具現化したもの。


バイデントの記録

 かつてギリシャに残った数少ない聖遺物であったが、第二次世界大戦時代、ドイツに奪われヴリル協会に保管された。

 ドイツの聖遺物研究の起死回生のプロジェクトとして、櫻井了子の協力の下に作られ、完成したシンフォギア。
 だが適合者 及び 適合者候補が全員不幸な事故に巻き込まれ死亡、廃人化、その関係者も巻き添えを食らう形で負傷する者が多かった。
 その恐ろしさから辞退する者が後を絶たず、結果プロジェクトは全面凍結、使用も持ち出しも禁じられ、全ての記録も闇に葬られた。

 しかし、フィーネによって掠め取られ、適合係数が高い瑠璃を手駒として使わせた。


解説は以上になります。

次回、瑠璃の真実が明らかになります。

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