戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

100 / 190
輪の過去編 最終回になります。

遂に運命の出会いとなります。

ちょっといつもより長めになります。



夜空との出会い、生まれゆく絆

 受験当日、リディアン音楽高等学院の校門前に、私は立っている。私だけじゃない。私と同じ受験生がリディアンに入るべくその試験に臨んでるはず。

 っていうか多くない?!多すぎでしょう?!やばい、緊張してきた……。ドラマとは全然違うこの臨場感……プレッシャー……吐きそう。いやいや!ここまで頑張ったんだから、絶対に受かってやる!オジサンの娘さんを蹴落としてでも……ってそう言えば結局この日まで見なかったな。まあでも、多分どっかで会うでしょう。さあ、試験会場まで行こう。

 

 うん。筆記試験は問題ない。あとは面接か。何か聞くところによると面接で歌唱力も採点されるらしくて、面接官の前で唄わされる……。最初聞いた時は……それ公開処刑?!って思わずツッコんだけど、とにかくハキハキと、真っ直ぐに、胸を張って、堂々と行けばなんとか……なる……。

 え?隣の子めっちゃ綺麗……。小柄で、何か外人っぽい感じの雰囲気で可愛い。そして胸デカっ!ちょっと育ち過ぎじゃない?!一体何を食べたらそんなに大きくなるの?!ちょっと神様、何かズルくないですか?明らかにあんな美人に勝てるわけないんですけど。

 

 

「受験番号1467 風鳴瑠璃さん、こちらへどうぞ。」

「は、はい!」

 

 ふーんあの子の名字、風鳴なんだ……ん?風鳴?ちょっと待って!まさかあの子が?!いやいやいや!全然似てない!どうやったらあの厳ついオッサンからあんな可愛い娘が生まれるの?!

 

 ちなみにその頃……

 

「ハックション!」

「司令、風邪でも引きましたか?」

「いや、誰かが噂をしているようだ。」

 

 

 これは夢か?!幻か?!あんな可愛い子があの厳ついオッサンの娘なんて……そうだ!これは夢なんだ!きっとそうだ!もしくはいつの間にかパラレルワールドに来ていたっていうオチなんだ!でなきゃこんなの……

 あの子の歌が聞こえてきた。歌っているのはあの子の学校の校歌なのかな……?とても綺麗な歌声……何だろう……心が洗われるような……まるで星空のように広くて優しい歌……。思わず、私は聴き惚れてしまった。

 

 勝てない、私は真っ先にそう思った。可愛くて、スタイル良くて、おっぱいも大きくて、その上あの歌声。結論から言おう。ハッキリ言って、100%私はあの子に勝てない。嗚呼神よ、私に何故こんな厳しい試練を与えるのです?どう上がったってあの子の上に立てる気がしないし、もう絶望しかない。ケッチョンケッチョンだよ。あの子が女神なら私はそこら辺に落ちている石ころだよ。それくらい大差が……

 

「あ、あの……!」

「へ?な、何?」

「つ、次ですよね……?呼ばれてますよ……?」

「受験番号1468 出水輪さん!いませんか?」

「あっ!あの!います!ここにいます!」

 

 しまった!私とした事があの子に気を取られすぎて次だって事忘れてた!ヤバいヤバい!あああぁぁもう最悪だああぁぁ!!と、とにかく何とかここで挽回しなければ!

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 戦いが終わった。これから私は家に帰る所なんだけど……終わった……完全敗北だ……。天は二物を与えないなんて言葉が出鱈目である事を思い知らされた……。あーあ……最初のあれは最悪だった……。順番忘れてしまうなんて……私はあの子の足元にも及ばない、雑魚だよ雑魚。しょせん売り物にならない小魚だよ私は。

 

「あの……」

「ふぇ?あ、あんた……あの時の……」

「は、はい……。か、風鳴瑠璃って言います……出水輪さん……ですよね……?お父さんから聞いてます。」

「あ、うん。そうだよ。私がその出水輪。よ、よろしく。」

 

 ヤバい、あの子に話し掛けられた。近くで見ると……こんなに可愛いなんて……おっと、危うく薄い本みたいな感じのノリになるところだった。

 

「それで……どうしたの?」

「は、はい!出水さんの歌、聞きました。とても真っ直ぐで、何だか唄うのが楽しそう、そんな感じがしたんです。」

「そ、そっか……ありがとう。あ、あんたの歌声、綺麗だった。濁りがないっていうか……」

「あ、ありがとうございます……。私、緊張しちゃって、筆記試験で失敗しちゃったんです……。だから、面接で挽回しなきゃって……!」

「そうなの?でもあんた……私なんて、さっきの見たでしょう?」

「あ、はい……。」

「最悪だよ呼ばれたのにすぐに入らないなんて……印象は最悪だ……。死にます……。」

「え?!そ、そんな簡単に死ぬなんて事言わないでください!」

 

 いや、最後のやつは冗談なのに真に受けちゃったよ……。けど本当に落ちた気がする。

 

「ほら、まだ分かりませんよ!じ、人生何が起こるか分からないんですから!きっと受かりますって!」

 

 それについては完全に同意する。この一年、波乱万丈だったし。

 

「まあ、一応希望は持っておくか。ありがと。」

「い、いえ!そんな……。」

 

 可愛いなこいつ。

 

「それとさ、敬語はやめて名前で呼んでよ。同級生なんだから堅苦しいのはなしで。」

「は、はい!」

「それいらない。」

「あ、ご、ごめんなさ……。ごめん。」

「ほら、名前で呼んで?」

「う、うん。輪……さん……。」

「さん付けいらない。」

「り、輪……。」

 

 何か申し訳なくなってきた反面、私はとんでもない怪物を生み出してしまった気がしてならない。それからメアドと電話番号も交換して、私達は別れて再会を約束した。合格している事を夢見て。

 

 3週間後、合格発表日。私達は再びリディアンで落ち合い、掲示板に貼られている合格発表者の番号を確認する。

 瑠璃が1467で私が1468……なんだけど私落ちてる気がする。ヤバいここに来て自身なくなってきた。

 

「やっぱり帰る。」

「え?!まだ確認してないのに……」

「だって自信ないんだもん。受かってるわけないよ私がぁー。」

「じゃあ勝手に読み上げるね。」

「そんなぁ殺生な!」

「1461……1463、1464……」

「あー!聞こえなーい!何も聞こえなーい!」

「1467……1468!」

「ぎゃーわーぎゃーにゃー!何も……え?今なんて……?」

「1467と1468!両方あったよ!」

 

 私は掲示板の数字を確認した。1464……1466……1467……1468……あった……本当にあった……!受かったんだ!!やったあああぁぁーーー!!やったよ!!受かったああぁぁーーー!!

 

「やったよ瑠璃!私受かった!」

「ちょ……ちょっと……輪!」

「え?」

 

 あ、抱きついてた。しかも瑠璃のおっぱい大きいか、私のも当たってる……///

 

「あわわ!ごめん!つ、つい……」

「う、うん……」

 

 いやぁ……大きいって凄い……ゲフンゲフン。とにかく受かって良かった!小夜姉にも報告しなきゃ!ってちょうどよく小夜姉から電話が来た。

 

「もしもし小夜姉?私受かったよ!」

「おぉー!良かったやん!おめでとうなぁ!」

「ありがとう小夜姉!」

「うちもやっと就職先から内定貰ったんや!」

「本当に?!おめでとう小夜姉!」

「姉妹揃って今日は良い事ずくめや!今日は合格祝いにごご馳走や!」

 

 努力が報われた。良かった……本当に……

 

「輪?」

「え?泣いてないからね!泣いてないんだから!」

「何も言ってないよ。さっきお父さんに電話したらね、今日はお祝いだから一緒にご飯どうかって。」

「本当に?!あ、ならもう一人連れてきたい人が……私のお姉ちゃんなんだけど良いかな?」

「うん。大丈夫だよ。」

 

 瑠璃に夕食を招待された私は、小夜姉と一緒に瑠璃の家に来た……

 え?これ家?!武家屋敷の間違いじゃなくて?!

 

「デカい……」

「これ家やなくて屋敷や……。」

「どうぞ、上がってください。」

 

 居間まで案内され、そこで私達はすき焼きをご馳走になった。本当に何年ぶりだろう?こんなに美味しいご飯初めて……いや、もしかしたら忘れてたのかもしれない。みんなで食べるご飯は美味しいって本当だね。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 いやぁ〜たらふく食ったわ〜。こんな上手いもんいつぶりやろ?ホンマに感動したわ〜!ホンマに弦さんと瑠璃ちゃんには感謝しかないわ〜。あっ、ちなみに今、輪は瑠璃ちゃんの部屋で仲良くやっとるから、こっちは大人の酒盛りタイムや。

 

「弦さん、色々とありがとうございました。ホンマに頭が上がりまへんで。」 

「あそこは仕事上でよく世話になっている所で、丁度一人空きが出たので紹介しただけですよ。」

「それでも、感謝してもしきれまへん。ウチが応募した所はどこも断られてまうし、正直参ってはりましたわ。」

「ハハハ!小夜さん程の快活な方が、そのように悩む事とあるのですな!」

「ウチも人間ですわ!悩み事の一つや二つ、あるに決まってますわな!」

 

 そう、ウチの内定先の病院は弦さんの職場と繋がりのある所や。弦さんがそこに一人、空きがある事を教えてくれはったお陰でウチは入職出来たんや。これでようやく一安心や。輪も入学前から同い年のお友達が出来て、万々歳や!しっかし……どうにも似てないのが気になるけんど……まあこの際ええわ!禍福は糾える縄の如しや!盛大に飲んだるでぇ!

 

 

 瑠璃の部屋にお邪魔してます輪さんです。部屋は本当に普通の女の子の部屋なんだよね。本がいっぱい並べられているのと、所々風鳴翼のポスターやグッズがあるのは気になるけど……まあ今は恨みだの何だの言ってたって仕方ないからね。

 

「うわぁ……翼さんのグッズいっぱいあるんだね。」

「もしかして、輪もファンなの?」

「え?う、うん!まあ趣味のカメラにお金使ってるからあまりグッズが買えないんだけどね。」

「カメラ?写真撮るの?」

「うん。まあこの一年は全然撮ってないんだけどね。何か撮る気になれなかったっていうか……。」

 

 嘘は言っていない。本当にこの一年色々ありすぎてカメラなんて殆ど触ってなかったもん。

 

「今度は私の家に招待してあげる……って言ってももう引っ越すんだけどさ。その時に私が撮った写真を見せてあげる。」

「ありがとう。」

 

 実は実家を売り払ってマンションに住むことになった。とは言ってもそんなに大きくない、格安物件だから今の家と比べると狭くなっちゃうけど……まあこの家に二人きりっていうのも何だか広すぎるからなぁ……。それにリディアンに通うには家からじゃ遠すぎるもん。ん?学生寮はどうしたかって?申請しなかった。まあ細かい所は置いといて、新居は学校からも病院からも近いし、それに瑠璃の家からも近くなる良い事しかない!

 

「そういえば、翼さんとは従姉妹なんだよね?話す機会とかあるの?」

「あ、ううん……あんまり……」

 

 あれ?何か落ち込んでる?もしかして地雷踏んだ?

 

「え?!あ、ごめん……聞かれたくなかった?」

「ううん。そうじゃないの……あまり上手く話せてないの……。さっき、合格した事を電話したんだけど……あまり褒めてくれなくて……。」

 

 何それ?!そんな風鳴翼なんて想像できないんだけど……。でもこんなかわいい妹に冷たく当たるなんて……許せない。

 

「よし瑠璃。翼さんをぶん殴ってしまえ!拳をぶつかりあわせて……」

「そ、そんな、暴力は駄目だよ!」

「ま、まあ拳をぶつかり合わせるは言いすぎたかな?でもさ、血の繋がった姉妹なんだから、喧嘩はした事あるでしょう?」

「ううん……ない……。」

「え?一度も?」

「うん。」

 

 それっておかしくない?15年間一度も喧嘩したことないって聞いたことがない。双子でも喧嘩するのに、そんな事ってあるのかな?私ですら小夜姉や旭と喧嘩した事あるし……。もしかして……何か訳あり?

 

「でもさ、一度くらい喧嘩しても良いと思うよ?何事も経験だよ。」

「う、うん……。でもなるべく喧嘩はしたくないかな……」

「うーんこの平和主義者。」

 

 まあ翼さんと話す機会はいくらでもあるだろうし、瑠璃なら大丈夫でしょう。こんなに出来て、着飾らない妹がいるなら、姉も誇らしいだろうし。それよりも、入学した後の事も考えなきゃ!

 

「リディアンに入学したらさ、翼さんのクラスにお邪魔しようよ!それで3人で何か買い食いして、カラオケも行って、ついでにサインも貰って……」

「それが目的じゃないの?」

「あ、バレた?」

「ふっ……ふふふ……!」

「あはははは!」

 

 冗談のつもりが、こっちまでおかしくなっちゃった。でも、叶うならやってみたいし、他にもやりたい事をやりたい。瑠璃となら、高校生活も楽しくなりそう。入学日が待ち遠しいなぁ。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 その出会い、その出来事は数多の偶然によって引き起こされたものかもしれない。幸福も、不幸も、この先の未来にどのように訪れるか、それは誰にも分からない。

 出水輪も、その一人。突然多くの不幸が彼女を襲い、その心を失いかけた。だが彼女は何度でも立ち上がる勇気を知り、生きる事を選んだ。たとえどんなに残酷な運命が待っていようとも、

 

 迎えた4月、たくさんに並び立つ桜の花が、新入生達の門出を祝う様に満開に咲き誇る。今年、リディアンに入学する風鳴瑠璃と出水輪。新しい制服にその身を包まれた彼女達の運命的な出会いが、たとえどんなに大きな荒波に飲まれようが、どんな困難をも乗り越えられる。

 

「撮影代わってくれてありがとう小夜姉。」

「ありがとうございます、小夜さん。」

「ええんやええんや。二人の晴れ舞台、この瞬間は逃したくないわ。じゃあ、撮るで〜!はい、チーズ!」

 

 瑠璃と輪、桜の下で撮った二人の写真。この一枚の写真から、輪の写真(ものがたり)は大きく彩るようになった。

 

 




これにて輪の過去編、完結になります。

番外編のつもりが、かなり長くなってしまいました……。

一応GX編の番外編を書いた後にAXZ編をやります。
ここの所シリアスが長く続いたので番外編はしない風にコメディカルに行きたいんですけど、輪が裏切った理由なども書かなくては……。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。