戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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今回のおまけは翼さんのお誕生日記念になってます。

なので本編100%シリアスが一気にぶち壊しになるかも……?



心が壊れて……

 最悪な事態が起きてしまった。忌まわしき記憶が蘇り、それに耐えられなかった瑠璃の心は砕かれ、悲鳴をあげながら膝から崩れ落ちた。さらに低下した適合率がついに限界を迎えギアが強制解除されてしまう。

 

「君を救う為とはいえ、あの地獄を思い出させなくてはならないのは心苦しいな。」

「て、テメェ……!」

 

 クリスの声に反応してアルベルトは振り返った。痛みを押し殺して立ち上がろうとするが、ダメージは深刻なものであり、立ち上がる事が出来ず、地を這う事しか出来ない。

 

「やめておきたまえ。ラピスの輝きによってイグナイトの呪いを焼き払われたその痛み、とても耐え難いものだ。」

「何しやがった……姉ちゃんに何しやがった?!」

「怒らない怒らない。私は預かっていた記憶……思い出を返しただけさ。」

 

 憤怒するクリスに、アルベルトは落ち着かせようと訳を説明するが、余裕の笑みがクリスを余計に怒らせている。

 

「キャロルの特技を真似ても、やってる事はえげつないわよねぇ〜。」

「3年越しに思い出を返した結果がこれなワケダ。」

 

 カリオストロとプレラーティは、アルベルトのやり方に呆れながらも頭を垂れた状態で髪を掻きむしり、膝をついてその場に座り込んでいる瑠璃を見下ろして嘲笑う。

 

「そっちはアルベルトに任せて、私達は……っ?!」

 

 装者達を始末しようとした時、何かに気付いたサンジェルマン達は空を見上げる。すると空には人が浮いており、その右手から輝きを発している。

 サンジェルマン達はその男の正体を知っている。

 

「統制局長アダム・ヴァイスハウプト!どうしてここに?!」

 

 彼こそがサンジェルマン達の上司であり、パヴァリア光明結社の首領、アダム・ヴァイスハウプト。つまり錬金術師達のトップとも言える存在である。

 彼は帽子を投げ捨てると、その右手に出した黄金の球体を膨張させる。大きくなるにつれてエネルギーと熱によって、彼が身に纏う衣服は全て塵と化し、一糸纏わぬ姿がさらけ出す。

 

「何を見せてくれるワケダ?!」

「金を錬成するんだ!決まってるだろう?錬金術師だからね!僕達は!」

 

 天に掲げた黄金の球体は錬金術の陣によってさらに巨大化。仮設本部のモニターでもその反応はキャッチされている。

 

「まさか……錬金術を用いて、常温下での核融合を?!」

 

 解析していたエルフナインが驚愕を露わにする。というのもこの黄金錬成はキャロルが形成した碧の獅子機が爆発する際に放った小型の太陽と同等のものであるが、キャロルはそれを最後の悪足掻きとして膨大な思い出を焼却させてようやく放つ事が出来た。対してアダムの場合はそれを容易く、しかもキャロルの時を上回る膨大なエネルギーだ。これが爆発すればここなどあっという間に吹き飛ぶ。

 

「三人とも!局長の黄金錬成に巻き込まれる前に!」

「くっ……!余計な事を……っ!」

 

 撤退する前に瑠璃を抱えてこの場を去ろうと手を伸ばした時、飛来物に気付いたアルベルトは後ろへと跳躍する。アルベルトがいた場所に碧刃が刺さる。

 

「まさか……!」

「アルベルト!早くなさい!」

 

 振り返るとカリオストロ、プレラーティは既に撤退している。サンジェルマンに撤退を促されたアルベルトは一瞬苛立ったような表情をするが、すぐにテレポートジェムで撤退、その後サンジェルマンも撤退した。 

 

 マリア、切歌、調がLiNKER無しでギアを纏い、さらにイグナイトを起動して、残りのアルカ・ノイズを殲滅させた。マリアが翼と瑠璃、切歌がクリス、調が響を担いで離脱を図るが、ギアのバックファイアが襲い掛かる。しかしここで立ち止まるわけにはいかない。

 

「膨張し続けるエネルギーの推定破壊力、約10メガトン超!」

「ツンクースカ級だとおぉぉ?!」 

 

 アダムの黄金錬成はまさに小型の太陽そのものである。巻き込まれれば何もかも吹き飛ばされてしまう。三人はダメージを押し殺して全速力で走る。だがアダムが球体を投下した。このままでは巻き込まれてしまう。

 

「たとえこの身が……砕けてもおおおおぉぉぉ!!」

 

 諦めないマリアの叫び。その瞬間マリアの身体を白い燐光が包まれた。同時に黄金錬成が着弾し、大規模な爆発が発生した。

 

 地面が抉れ、蒸発した大地をアダムは愉快に見下ろしていた。その右手には黄金に輝くガラス玉が握られている。

 

「ハハハハハハ!ビタイチか!安いものだなぁ、命の価値は!」 

 

 アダムの高笑いが夜空に響く。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 アダムの姿が消えた後でも、抉れた地面は赤く熱を発しており、蒸気が消えていない。しかもたった一人で、出鱈目な威力をいとも容易く放ち、風鳴機関を吹き飛ばしたのだから、それだけアダムの力がどれ程凄まじいのかを物語っている。 

 

「何がどうなって……」

「風鳴機関本部が跡形もなく……」

「マリアさん達は……!」

 

 目覚めた翼は風鳴機関が一瞬にして消失した事に驚愕し、響はマリア達の安否を心配していたが、切歌が瓦礫の中から姿を現した。イガリマのアンカーを使い、ギリギリの所で落ちてきた瓦礫から身を守る事が出来た。故に誰も怪我を負わずに生き延びているが、マリアだけ体力の消耗が激しい。

 

「マリア……」

「私よりも……瑠璃を……」

「そうだ……姉ちゃん!」

 

 必死になって探すとすぐに発見できた。クリスは痛みを押し殺して膝をついて、頭を抱えている瑠璃の所へ駆け寄る。

 

「姉ちゃん……?なあ……」

「じゃ……なかった……」

 

 いくらクリスが呼び掛けても、返事らしい返事は返って来ない。瑠璃は涙を流しながら自分の頭を掻きむしって、呟いている。

 

「夢じゃなかった……あれは……私の記憶……パパとママが亡くなってから……私は……銃を持った人からクリスを逃して……」

 

 あの日、起きた出来事を呪文のように繰り返し呟いていた。その声も恐怖で震えている。

 

「しっかりしろ瑠璃!何があったと言うんだ?!」

 

 そこに事情を知らない翼が駆け寄り、瑠璃の身を案じて何が起きたのかを問う。だがそれが悪手であった事は、瑠璃の反応で痛感することになる。

 翼の声に反応した瑠璃は腰を抜かしており、翼を怯えた目で見ている。翼にだけではない、響にマリア、調と切歌に対しても同じような目で見ている。

 

「嫌だ……嫌だ……!来ないで……!来ないでください!こっちに来ないでください!!」

 

 ヒステリックに泣き叫びながら後退ってしまう。それは仲間に、家族に対して言い放つセリフではない。普段の瑠璃ならそんな事は言わないだろう。その豹変ぶりに響達はともかく翼とクリスは言葉を失う。

 

「瑠璃?!落ち着け!」

「ごめんなさい!ごめんなさい!もう二度と逆らいません!口応えもしません!何でも言う事聞きます!だから痛めつけないでください……!やめてください……!お願いします……!」

 

 翼に対しても、まるで他人に懇願するかのような物言いになっており、その身は自分を守るように縮こまってしまっている。

 

「どうしちまったんだよ姉ちゃん?!しっかりしろ!」

「待ちなさいクリス。今の瑠璃、明らかに様子がおかしいわ。下手に呼び掛けても逆に……」

「クリ……ス……?」

 

 今度はクリスが呼び掛けるが、マリアに制止される。だが、垂れていた瑠璃の頭は上がり、クリスの方を見つめていた。

 

「姉ちゃん……えっ?!」

 

 クリスのお腹に顔を埋めて強く抱きしめたのだ。何がどうなっているのか、何故こうなったのか、クリスは理解出来ず、壊れてしまった姉を前に戸惑いを隠せない。

 

 本部から風鳴機関の破棄が決まったのは、明け方になる頃だった。

 

 

 




おまけ 翼さん誕生日記念

瑠璃「誕生日おめでとうお姉ちゃん!これプレゼント!」

翼「これは、炎山タケシのニューシングルか。」

瑠璃「お姉ちゃん、ロンドンじゃ買えないでしょう?前に欲しいって言ってたから。」

翼「ああ。ありがとう瑠璃。大事にしよう!」

翌朝

翼「ない!ない!何処にいってしまったのだ?!まさか貰った初日に紛失してしまうなど……ん?電話か?なっ……瑠璃!もしもし?!」

瑠璃「あ、お姉ちゃん?あのCD聴いた?」

翼「(マズい……ここで買ってもらったばかりのものを紛失したと知ったら……)あ、ああ聴いたぞ!や、やはり素晴らしい方だ!あのビブラートがまた……」

瑠璃「そっか。所でさ、お姉ちゃんのお部屋ってどうなってるの?」

翼「へ?あ、ああ!我ながらよく綺麗にしているぞ!」

瑠璃「じゃあ写メ送って。」

翼「な、なん……だと?!」

退くに退けなくなった翼は写メを送った後、すぐにCDを失くしたのがバレてしまい、しばらく瑠璃は口を聞いてくなくなったのだとか。


翼さんお誕生日おめでとうございます!!
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