戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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こんなに遅くなり申し訳ありません。

プライベートもありますが、今後の展開に悩み描くのが遅れてしまいました。

また気分転換に描きました、「バカとアクマと召喚獣」の方も並行して描いています。
今後はこちらを優先して描いていきますので、何卒ご愛読よろしくお願いします。

今回は輪とアルベルトの戦いがメインとなります。


守る為に

 瑠無・カノン・ミラーの正体。それはパヴァリア光明結社の錬金術師、アルベルトだった。親しくしていた分、裏切られたその悲しみと怒りは計り知れない。

 

「君のお陰で、警戒されずにルリを眠らせる事が出来た。このままここに来ていたら、目的を成し得なかっただろう。」

「目的……?」

「ああ……この子をいただく。」

 

 アルベルトの左手から光弾が表出し、それを輪に向けてそれを放つ。輪はすぐに身を翻して避けるが、光弾に当たった壁は陥没した。輪はそれを見て、自分を殺してでも瑠璃を手に入れるつもりだと悟った。

 

(何やってんだ私……!敵に騙されて、態々瑠璃の居所を教えちゃうなんて……!)

 

 アルベルトの嘲笑うような冷たい笑みを前に、歯を強く食いしばる程に愚かな自分を悔いるが、同時に怒りがこみ上げていた。

 

「許せない……!」

「気に障ったかな?怒らせる事は言ってないはずだが……」

「怒ってるよ……無茶苦茶に!瑠璃を騙して傷つけたあんたにもそうだけど……あんたみたいなペテン師に騙された自分も許せないんだよ!」

 

 怒りを宿した拳を振るうが、アルベルトはヒラリと避ける。それでる輪は何度も殴りかかり、蹴り込む。しかしことごとく避けられ、蹴りも壁に当たっただけでアルベルトには届いてない。さらにアルベルトは一切反撃してこない為、それが余計に輪を怒らせている。

 

「人を馬鹿にして……!」

「馬鹿にはしていないさ。」

 

 一発だけ、輪の拳がアルベルトの腹に入る寸前に杖で防いだ。だが拳を受け止めている杖は僅かに痙攣でもしているかのように震えている。アルベルトの言う通り、馬鹿にはしていないのは本心だ。生身で錬金術師に挑む姿勢はともかく、輪の拳はそこらの男よりも強いものであると避け続ける事でそれを知ったのだ。下手に攻撃すれば思わぬ一撃を貰う可能性が高いと判断したアルベルトは、輪の拳を受け流した。そのまま杖は隙だらけになった輪の脇腹を突いた。

 

「がぁっ!」

 

 そこから何度も胴体に容赦なく杖の打撃が入り、輪は膝をついて蹲ってしまう。喧嘩慣れしているとはいえ、相手は錬金術師。ただの元不良少女が勝てる相手ではない。だがアルベルトの目的が瑠璃である以上、ここで逃げるわけにはいかない。痛みを押し殺して立ち上がる。

 

「おや、意外としぶといな。」

「ナメないで……。あんたなんかに、瑠璃は渡さない!」

 

 啖呵を切ると輪は拳を握りしめ、構えた。先程の怒りに任せた時とは違う事をすぐに察したアルベルトも、杖をレイピアのように構える。

 すると、輪がアルベルトに向けて突然走り出した。だが隙だらけになった輪の胴体を杖の先端が襲うはずだった。

 

(今だ……!)

 

 なんと左手で杖を掴み、そのままアルベルトを力いっぱい引き寄せた。無防備となったアルベルトの胴体は輪の掌底打ちが入った。

 

「ぐぁっ!」

  

 アルベルトは杖ごと壁まで吹き飛ばされた。さらに、輪はそのまま壁にもたれ掛かるアルベルトを追撃するべく蹴り出すが、アルベルトが身を翻して避けた為、壁に当たるだけに終わる。

 しかし、杖を拾って立ち上がったアルベルトがすぐさま杖を振り下ろした。頭部に直撃する寸前、左手の甲で受け流し、アルベルトの腹部に肘打ちを入れた。

 

「うおおおおりゃああぁぁ!!」

 

 そして、怯んだ所を胸ぐらと腕を掴んで背負い投げた。アルベルトはそのまま背中を強打した。 

 何故輪がこれだけ戦えるのか。それは、瑠璃が訓練を受けているのを間近で見ており、時には訓練に付き合っていた事もある。さらに元から喧嘩は強い方であり、何しろあの弦十郎の特訓を護身術程度であるが受けていたのだ。その結果、近接戦闘に限るが輪は戦えるようになった。

 

「くっ……今のは効いたぞ。だが……ただの人間がこれ程まで……」

「ご生憎様。こっちは付け焼き刃だけど、超人レベルの達人から教わった拳法なんだから!」

 

 そのまま輪は懐へ潜り込むべく接近しようとした時、近接戦闘では叶わないと判断したアルベルトは床に杖をコツンと軽く小突いた。杖に象られたハートの結晶が光り輝くと、輪はすぐに距離を取った。すると、アルベルトはエメラルドグリーンを基調としたアーマーをを身に纏う。それがファウストローブである事を輪はすぐに理解した。

 

「まさか……ファウストローブ……?!」

「察しがいいな。だが……その勘の良さが命を落とす事になる。」

 

 杖の先端を輪に向けると、そこから光弾が銃のように発射する。

 

「ヤバっ!」

 

 それは輪に直撃しそうになる寸前、輪は咄嗟に右手を前に出した。その掌から紫色のバリアが展開された。

 

「やはり……。」

 

 光弾に押されつつもなんとか踏みとどまると、バリアと衝突した光弾は消滅した。しかし、バリアを解除すると輪は、その場にへたり込んでしまった。

 

「身体が……重い……。」

「フィーネの力を、ただの人間が使用すると……体力の消耗は激しいのか……。」

「フィーネ……櫻井さんの事を知ってんの?!」

 

 フィーネの名前が出た事に驚愕する輪。

 

「ああ。彼女とはバイデントの事でね。」

「バイデント……?」 

「まあ今はどうでもいい事だ。これ以上遊びに興じる暇はなくてね。我が悲願の為に、君には死んでもらう。」

 

 再び杖の先端から光弾を放つ。避けるだけの体力が残されていない今、再び掌からバリアを展開させようとしたが、先程の大きさを下回る小さなバリアしか展開されなかった。

 

「うっ……ぐぅぅっ……!」

 

 故に先程の時とは違い、踏ん張ったものの押し切られてしまい、バリアは破壊され、その余波で背中を窓に打ち付けてしまった。

 

「ぅ……っ?!嘘……?!何で……なっ?!」

 

 さらに打ち付けた窓に磔にされて動けなくなっていたのが理解出来ず、腕を見ると、そこには錬金術で作った鎖が巻き付いており、輪を拘束していた。さらに窓ガラスにはヒビが入っている。ここから落とされたら間違いなく命はない。

 

「この……!」

「君は十分、役に立ってくれた。心から感謝している。せめてもの礼だ。肉体を残したまま、苦しまずに殺してやる。」

 

 アルベルトは輪に別れを告げると、杖から光弾を放れ、それが眼前で爆発した。

 

「ぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 うわああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「マリア……しっかり……しっかり!」

 

 誰かが自分を呼んでいる。目を見開いたマリアは目の前にいる人間に驚愕した。しかもよく考えてみれば、先程の声も聞き覚えある、不快な者の声。

 

「あなたはまさか……」

「そうとも、僕は行きすりの英雄……」

「Dr.ウェル?!死んだはずでは?!」

「それでもこうして、君の胸の中で生き続けている……死んだ人間ってのは大体そうみたいだねぇ!」

 

 先程の紳士的な雰囲気から一転、マリア達がよく知る下卑た笑みと笑い声を高らかに叫んでいる。

 

「これもあれも、多分きっとアレですよアレ!マリアの中心で叫ぶなんて……超最高おおぉぉ〜!!」

「あんな言動……私の記憶にないはずよ。」

「だとすると、ウェル博士に対する印象や別の記憶をもとに投影されたイメージ、ということになるのでしょうか。」

 

 ここはマリアの記憶領域、であるならマリア本人のイメージによって、現実世界では言わなくてもその人が言いそうと思った事をここでは言う事になる。マリアはウェルに対してそんなイメージを持っていたのかと頭を悩ませる。さらにLiNKERの完成の為にヒントを得ようとしているこの状況で、真っ先にウェルを想起してしまった事についても、自分を殴りたくなる。

 

「自分の記憶を叱りたい……!」 

「もしかしたら、マリアさんの深層意識が、シンフォギアと繋がる脳領域を指し示しているのかもしれません。」

 

 それでもエルフナインは、今この状況を冷静に分析する。マリアもウェルの事は快く思ってはいないが、それでも彼が負荷のないLiNKERを作り上げたという事に関しては認めている節はある。でなければ大嫌いな人間が精神世界に現れるはずがない。

 

「かつてのアガートラームの装者であるセレナさんやナスターシャ教授ではなく、ウェル博士がいるということは、彼から直接想起されるもの……。だとするならば……」

「生化学者にして英雄!定食屋のチャレンジメニューもかくやと言う盛りすぎ設定!そうとも!いつだって僕ははっきりと伝えてきた!はぐらかしなんてするものか!」

「だったら……!」

「忘れているのなら手を伸ばし、自分の力で拾い上げなきゃあ!記憶の底の、底の底!そこには確かに転がっている!」

 

 そこにマリアが知るウェルの嫌がらせや悪意はない。しかし、1から10まで全てしゃべる彼ではない。さり気なくヒントを与えると、まるで答えを探して来いと言わんばかりに、マリアとエルフナインの周囲を黒い霧が覆う。

 

「離れないで、エルフナイン!」

 

 離れ離れにならないようエルフナインの手を取った。自らの脳領域とはいえ何が起こるか分からない。今までどんな修羅を乗り越えたとはいえ、この未知の領域精神的を前に不安になる。一人より二人、故にこうして不安を和らげる。

 霧が晴れると、次に現れたのは

 

「あれは……私?!」

 

 マリアの影が目の前に現れた。




フィーネの力

瑠璃を救う為に、瑠璃の精神世界に入った時に受け継がれたフィーネの力。

無意識ではあるがそれを命の危機に瀕した際に覚醒した。

フィーネの魂が宿っているわけではなく、また残ったフィーネの意識も消えてしまった故に、もはやこの力は輪のものとなった。

しかしまだ制御しきれていない為、体力の消耗が激しく、一度使っただけで動きが鈍くなってしまう。
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