そう言えばシンフォギア3が稼働されるみたいですね。
モチーフがAXZだからちょうどいい。
目覚めた輪の怪我はほとんど軽いものだった為、問題なく日常生活に戻れる……はずだった。輪は弦十郎に呼び出され、今はエルフナインのラボにいる。そこで輪が持っていたネックレスについて、エルフナインから告げられる。
「らぴす……何それ?」
「ラピス・フィロソフィカス。分かりやすく言えば賢者の石です。」
「何その眼鏡かけた魔法使い少年が出てきそうな石。」
それ以上言ってはいけない。
「それは、今回我々が対峙するパヴァリア光明結社が持つファウストローブだ。君も見ただろう?」
「あ……ミラー先せ……アルベルトって奴が纏ってた……。」
病室でアルベルトが纏ったファウストローブ、そしてその力に為す術なく敗北したあの時を、瑠璃を守れなかった悔しさと共に思い出した。
「君が病室の窓から落とされた時、それが一時的であるが、君が起動したのを確認した。」
「はぁっ?!」
そう言われた輪は声を挙げて戸惑った。全くとは言えないが、戦いとは関係ない自分がファウストローブなど纏うなどあり得ないからだ。それを弦十郎の口から一時的に纏ったと告げられたのだから戸惑うの派仕方のない事だ。
だがファウストローブを一時的とはいえ纏えば、そのエネルギー反応を本部のオペレーター陣が見逃すわけがない。その反応は、4人の錬金術師が纏ったラピスのファウストローブのエネルギー反応の形状が一致しており、病院で2箇所の反応をキャッチしている。サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティはその時は戦艦の甲板におり、もう一つの反応はアルベルトが纏った事によるものである。これらの事実を踏まえると、もう一つの反応こそが、輪がファウストローブを纏った事によるエネルギー反応であると結論が出された。だがその時、輪は意識を失っていた為、覚えていないのだが。
「何故輪さんが一時的に纏う事が出来たのか、それすらも不明です。ラピスの解析をしましたが、敵に解析されないよう仕組まれていて、解明する事は出来ませんでした。ごめんなさい……。」
「いや、敵が態々全てを明かす愚行は犯さないだろう。だが、奴が何故これを輪君にプレゼントしたのか、不可解な事だらけだが、意味もなくそんな事をするとは思えん。」
弦十郎は腕を組んで、悩ましげな表情で考える。
「もし……それを私がコントロールすれば、瑠璃を救えるんですよね?」
「輪君……」
「可能性としては、0ではありません。」
輪はライブの惨劇被害者狩りの悪意から身を守る為に力をつけた。喧嘩は強いが、命懸けの戦いの経験など皆無だ。そんな彼女を出来れば輪を戦わせたくない。弦十郎が言葉を投げかけようとした時、エルフナインが割って入るように告げた。
「エルフナイン君?!」
「しかし、このラピスのファウストローブは先程も言った通り、殆ど解析出来ていません。その為、常に不測の事態と隣り合わせです。もしかしたら、命を落とす事だってあるかもしれません。それでもやりますか?」
ノイズに襲われた時、F.I.S.と対峙した時、一時S.O.N.G.を裏切った時など挙げればキリがないが、輪の行動力は並外れている。それはエルフナインも評価しているが、裏を返せば常に死の危険がつきまとう。故にエルフナインは輪の覚悟を問う。
「だよね……。そりゃあ……アルカ・ノイズもいるし、ゲームじゃないのは分かってる……。」
脅しのような問に、一瞬俯く。それでも、輪は強く拳を握り
「けど、それは瑠璃だって同じだったはず。瑠璃だって、本当は争いとか、戦う事を嫌っていたはずなのに……それでも瑠璃は、私達を……皆を守りたいから戦う事を選んだんだ。ならせめて、私は瑠璃を隣で支えたい。ずっとそう思ってた。だけど、結局瑠璃は……」
支えるだけでは意味がない。結局何も出来ないまま忌まわしき過去が蘇り、心が壊れてしまった。そんな状態になっても、助ける事ができないままアルベルトに攫われてしまった。自分の不甲斐なさに打ちのめされていた、そんな時に見えた一筋の光明。それを手放したくない。輪は顔を上げて、エルフナインに向き直る。
「私、戦う。瑠璃を支えるだけじゃなくて、瑠璃が抱える苦しみや痛みを、少しでも肩代わりしたい……!瑠璃が好きな日常を、一緒に守りたい!だから……お願いします!」
輪が二人に頭を下げた。それを見たエルフナインは弦十郎の方を向き
「弦十郎さん。瑠璃さんを助けたい気持ちは、ボクも同じです。ボクも出来る限りの事をします。お願いします、輪さんに力を貸してあげてください!」
エルフナインも弦十郎に頭を下げた。二人の覚悟を前に、弦十郎は呆れるが
「ったく……そこまで言われちゃあ、手を貸さないわけにはいかないな……。輪君。すぐにトレーニングルームに来い。」
「え?」
「俺が直々に、短期間で鍛えてやる!」
弦十郎に認められた。それを理解した輪は大いに喜んだ。
「はい!」
弦十郎の後ろに付いて行った。一人残ったエルフナインは、その前に弦十郎に集めてもらった異端技術に関する資料の山の一つを手に取る。ラピスのファウストローブを手に入れたとはいえ、現時点で解析がほとんど不可能な状態では、それを使う事は出来ない。故に他の手段を用いるしかない。しかし、この資料の山を一人で相手どるのは骨が折れるというも。
「あっ……!」
資料の山が崩れ、部屋中に散らばってしまう。不運に見舞われ、溜息をつくエルフナイン。しかし、目の前に開いた資料を目にした時だった。
「これは……!」
その資料のページの左上に響の写真が写されており、ページの中央にはかつて響の身体から抽出されたガーベッジの写真が貼られていた。
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「確かに言ったはずだよ、僕は。シンフォギアの破壊をね。」
ホテルのジャグジーに浸かっているアダム。片手にはシャンパンが入ったグラス。すぐ傍にはティキがいる。サンジェルマン達4人はすぐ近くで立っている。サンジェルマンは従順の態度を示すが、カリオストロ、プレラーティは違う。
「申し訳ありません。」
「前は良い所で邪魔したくせに。」
「いけ好かないワケダ。」
二人は局長であるアダムに対して文句を言う。アルベルトは目も合わさなければ口すら開かない。
「聞こえているわよ!三級錬金術師ども!アダムの悪口なんて許さないんだから!」
愛するアダムの悪口が許せないティキが文句を言い返す。しかし当のアダムは気にする素振りはなく、グラスに入ったシャンパンを飲み干すと、その脇に置いておく。
「アスペクトは遂に示された。ティキが描いたホロスコープにね。」
「ならば、祭壇設置の儀式を……。」
「この手で掴もうか、神の力を。」
すると、アダムはティキを高く持ち上げた。愛するアダムに触れられ、高く持ち上げられたその様子は、まるで無邪気な子供のように喜ぶようだった。アダムはそのままティキを自身の肩に乗せて、ジャグジーから出た。その後ろ姿に、カリオストロは悪態をつく。
「嫌味な奴。あんなのが結社を統べる局長ってんだから、やり切れないわね。」
「そうだね。だけど私達が付いて行くのは、アイツでも結社でもないワケダ。」
カリオストロ、プレラーティ、アルベルトはサンジェルマンの方へと向き、サンジェルマンも3人に微笑む。アルベルトは何も告げないが、サンジェルマンの理想に賛同し、今日までついて来た。サンジェルマンも理想の為について来てくれたアルベルトを信頼している。故にアルベルトは何も告げずとも、サンジェルマンと共に理想を果たす。
「これ以上、アダムにデカい顔をさせない為にも、本気出さなくっちゃね。」
「しかし、私は祭壇設置の儀式に取り掛からなければならないわ。」
「ならば、シンフォギアの破壊は私達が……」
「アルベルトはあの子の子守をしてたら?」
セリフを遮られたアルベルトはカリオストロの方を向く。
「あーしとプレラーティでやるわ。」
元詐欺師だからこそ分かる。アルベルトは元々自分の顔に仮面を着け、己を見せない。しかし、先日の装者との戦いで見せたほんの僅かな人間への怒りと青色のバリア。それ故に、カリオストロはアルベルトは何か隠していると察知した。サンジェルマンに害を及ぼすような何かを。
カリオストロとアルベルト、互いに表情は変えずとも、心の奥底では疑いの眼差しを向けていた。
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エルフナインの要請で、装者と弦十郎と緒川、オペレーターである友里と藤尭といったS.O.N.G.の主たるメンバーがエルフナインのラボに集まっていた。だが装者達には、一つ気になる事があった。
「ってか……何でお前がここにいんだ?!」
先にクリスが声を荒げて問いただす。その相手とは外部協力者である輪だ。
「あれ、言ってなかったっけ?私も戦う事になったの。」
ギアを持たない輪が、装者達と並び立って戦うという意味に、装者達は大声を挙げて驚愕した。
「待て待て!話の飛躍がすぎるぞ?!」
「そもそも、出水にはギアも適合率も……」
「あー……これです。」
首に掛けてあるハートの結晶のネックレスを見せた。
「それってまさか?!」
マリアがいの一番に反応した。
「お察しの通り、これ賢者の石のファウストローブです。」
錬金術師が持つファウストローブを、何故輪が持っているのか。驚愕するのも無理はない。
「輪君は、賢者の石のファウストローブを纏える唯一の人間。万全の状態で戦えるよう、今日から俺が指導している。」
「つまり私は響の妹弟子になるわけだね。というわけでよろしくね。」
「はい!一緒に戦いましょう!」
響は輪の手を握って大いに喜ぶ。翼とマリアはそれが輪が選んだ道であれば止める理由はない。切歌と調も喜んで歓迎したが、クリスだけは違った。
「良いのかよ?!お前が戦う必要は……」
「私も瑠璃を助けたい。その気持ちはみんなと同じ。」
心配するクリスの手を取る輪。その手には微かに力が込められているのが分かる。
「いつも瑠璃に助けられてばかりだけど、今度は私が助ける番。絶対に取り返す。だから力を貸して、クリス。」
輪の顔を見ると、いつものような天真爛漫な姿は見られない、真剣なものだ。その意思を理解したクリスはその手を握り返す。
「ああ。分かった。絶対に姉ちゃんを助けるぞ!」
言葉を発さず、輪は頷いた。そこにマリアが咳払いをする。
「そろそろ、私達を呼び出した理由について、教えてくれないかしら?」
「はい。では、本題に入ります。」
エルフナインがカーソルを操作すると、モニターには鉱石が映し出されていた。
「これは……?」
「以前ガングニールと融合し、いわば生体核融合炉と化していた響さんより錬成された、ガーベッジです。」
かつて響の心臓に埋め込まれたガングニールの欠片。それがシンフォギア起動をトリガーとして、響の体組織に融合、侵食したことによって響の身体からその欠片としてこの石が出てきたのだ。エルフナインはこれが賢者の石の特性に対抗する鍵として希望を見出している。
「あぁー!あの時のカサブター!」
「とは言え、これにさしたる力は無かったと聞いているが……?」
「世界を一つの大きな命に見立てて作られた賢者の石に対して、このガーベッジは、響さんという小さな命より生み出されています。つまり、その成り立ちは正反対といえます。今回立案するシンフォギア強化計画では、ガーベッジが備える真逆の特性をぶつけることで、賢者の石の力を相殺する狙いがあります。」
「つまりは、対消滅バリアコーティング!」
藤尭がその強化システムの答えを言う。
「そうです。錬金思想の基本である、マクロコスモスとミクロコスモスの照応によって導き出された回答です。」
「誰か説明してほしいけれど……」
「その解説すら分からない気がするデース……。」
賢者の石に対抗するのは分かったが、ここまでのエルフナインの説明に理解が追いついていない調と切歌は脳内はクエスチョンマークで満たされている。
「その物質、どこぞのバカの中から出たってんだから、さしずめ『愚者の石』ってとこだな。」
「愚者はひどいよクリスちゃぁん……。」
「うむ、なるほど。賢者の石に対抗する、愚者の石。」
「はぁぅっ?!まさかの師匠までぇ?!」
賢者の対となる愚者。その命名に皆が納得するが、それを生み出した本人は納得がいっていない。切歌に関しては笑いをこらえている。
「それで、その石は何処に?」
「一通りの調査を終えた後……無用不要のサンプルとして、深淵の竜宮に保管されていたのですが……」
マリアの問いに、友里が答えたが、その反応は良いものではなった。
深淵の竜宮は異端技術を保管する為に海底に設置された施設なのだが、魔法少女事変にてキャロルがワールドデストラクター 『チフォージュ・シャトー』起動の為にそこに侵入した際にクリス、切歌、調が交戦、イグナイトの一撃でレイアを撃破した時の大技によって、深淵の竜宮は文字通り海の藻屑となった。その残骸は、今もなお海底に沈んでいる。故に大掛かりな回収作業を要する。
だがその作業に、輪が加わる事はなかった。何故なら……
「今度は私かよおおぉぉぉーーー!!」
とある山道で走り込み、格闘術のトレーニングに絶叫する輪がいた。
まさか輪が戦う事になるとは……
自分で描いておきながらビックリしてます。
最初はそんな予定なかったからなぁ……