スルーします!
そして今回……瑠璃の出番ZERO〜♪
主役だよね?
同じ頃、外部協力者として迎い入れられた未来を二課の本部に案内している響。自分達が通っている学校の真下にこんな基地がある事に驚いている。響もそうであった。
「学校の真下にこんなシェルターや地下基地が……」
「へへ、すごいでしょー!あ、翼さーん!輪さーん!」
響は翼と輪に手を振って声を掛けた。
輪の足は完治しており、杖や車椅子が無くても歩けている。
未来はここにトップアーティストの翼がいる事に違和感があった。そもそも翼は自分達にとっては雲の上のような存在なので、響と親しげに話している姿なんて想像も出来なかった。
そして輪もここにいる事にも驚いていた。響が装者として戦っていることは知っているが、まさか自分と同じ外部協力者であったとは微塵も思わなかった。
「立花か。そちらは確か、協力者の……」
「こんにちは。小日向未来です」
「えっへん!私の一番の親友です!」
「二課にようこそ〜。ってまあ私もここに来たのつい最近だけど。」
未来は翼にペコッと頭を下げる。響は自慢げに未来を紹介するが、それをよそに輪は手を振って歓迎する。
「風鳴翼だ。よろしく頼む。立花はこういう性格故、色々と面倒をかけると思うが支えてやってほしい。」
「いえ。響は残念な子ですので、ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。」
「えぇ何?どうゆうことぉ?」
響が理解出来ていない。未来と翼は響のポンコツぶりを知っているのである意味共感的な会話をしている。
輪は響の肩をポンと置いて頷くように響を見ていた。恐らくドンマイと言いたいのだろうが、笑いを堪えている。そこに緒川がやって来た。
「響さんを介してお二人が意気投合しているということですよ。」
「はぐらかされた気がする……」
優しく丁寧に説明してくれるが、響は頬を膨らませて不満を表現している。
「でも、未来と一緒にここにいるのは、何かこそばゆいですよ。」
「司令が手を回し、小日向を外部協力者として、出水とともに二課に登録したが、それでも、不都合を強いるかもしれないが……。」
「説明は聞きました。自分でも理解しているつもりです不都合だなんてそんな。」
「これで、お互いに隠し事はなくなったのでしょう?なら結果的には良かったんだと思いますよ。」
輪の言う通り、未来にはあの夕方の日のような悩みふけていた顔つきではなくなっている。ただその明るさが眩しく映っている。
「あら、いいわね。ガールズトーク?混ぜて混ぜて♪」
「どこから突っ込めばいいのかわかりませんが、僕を無視しないでください。」
後ろから来た了子が、興味本位で混ざる。緒川が困惑しながら苦言を呈するが無視して、話を続ける。
「了子さんもそいうの興味あるんですか?!」
「モチのロン!私の恋バナ百物語聞いたら夜眠れなくなるわよ~?」
「まるで怪談みたいですね……。」
「遠い昔の話になるわね。こう見えて呆れちゃうくらい一途なんだから」
「「「おぉ~!」」」
響と未来、輪が今時の女子高生らしく、大人の恋バナに興奮している。
「意外でした。櫻井女史は恋というより、研究一筋であると」
「命短し、恋せよ乙女って言うじゃなぁい?それに女の子の恋するパワーって凄いんだから!私が聖遺物の研究を始めたのも、そもそも……あ。」
「「「うんうん、それで?!」」」
響、未来、輪が聞くが、了子は恋バナを中断してしまう。
「ま、まぁ。私も忙しいから、ここで油を売ってられないわ!」
「えー?!全然聞いてませんよ?!少しでもいいから聞かせてくださいよ!」
「とにもかくにも、出来る女の条件はどれだけいい恋してるかに尽きる訳なのよ。ガールズたちも、いつかどこかでいい恋、なさいね。んじゃ、ばっはっはーい♪」
「櫻井さーん!おーい!」
自分から入って来て、勝手に終わらせてしまった事に納得行かず、駄々っ子のように聞こうとするも、了子は行ってしまった。響と未来も残念がる。輪は了子の事について翼に質問する。
「櫻井さんってもしかしてロマンチストですかね?」
「いや、私も知らない。だがそんな風には見えないな……。」
「うーん。何か話し方が神話みたいな感じの進み方だったから……もしかして相手は神様とか!」
「「それは無いと思います。」」
「即否定は傷付くなぁ。」
響と未来がそんな非現実的な解釈を、シンクロするように否定する。そんな彼女達をよそに、緒川は腕時計で時刻を確認する。
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同じ頃、降りしきる雨の中、弦十郎は一人、廃墟となった団地に向かっていた。そこにクリスが潜んでいると情報があり彼女を救う為にここに来た。
(瑠璃だけじゃない……彼女も過去の傷に苦しんでいる。何とかそれから解放しなければな……)
その思いを胸に、弦十郎は中に入った。
逃亡生活が続いてどれだけ経ったのだろうか覚えてない。この雨のせいもあって、室温も低い。綿が禄に詰められていない、薄い毛布では暖を取る事すらままならない。あとどれだけ逃げれば、終わるのか?そもそも終わりはあるのか?
そこに戸が開く音が聞こえた。クリスは布団を乱暴に放り出して、部屋の壁に張り付いて気配を押し殺す。すると出て来たのは餡パンと牛乳が入ったコンビニ袋を差し入れる野太い腕だった。
「ほらよ。応援は連れてきてない。君の保護を命じられたのは、もう俺一人になってしまったからな。」
それでもクリスは警戒を解かない。手を出さないという証明をする為に弦十郎は胡座をかいて座り込む。
「どうしてここが?」
「元公安の御用牙でね、慣れた仕事さ。ほら、差し入れだ。」
コンビニ袋から餡パンを出す。しかし、敵から貰った食べ物など信用出来ないと言わんばかりに拒否しようとしたが、腹の虫は正直に鳴る。
弦十郎はやれやれと思い、餡パンを一口齧って毒味したことを証明する。
毒味を確認したクリスは、渡された餡パンを強引に取り、それにかぶりつく。
そして弦十郎は響と翼に話した瑠璃とクリスの関係性や過去を話す。その内容の正確さに、クリスは不快感を示す。
「よく調べ上げてるじゃねえか。そういう詮索、反吐が出る。」
弦十郎が毒味した牛乳も、クリスはすぐに飲み干す。
「当時の俺達は適合者を探すために、音楽界のサラブレッドに注目していてね。天涯孤独となった姉妹の身元引受先として手を挙げたのさ。ところが君は帰国直後に消息不明。姉は現地で死亡報告を受けた。俺達も慌てたよ。二課からも相当数の人員が駆り出されたが、結果的に姉の方は生存が判明、何とか保護は出来たが記憶を失い、妹は見つけだせなかった。そしてこの件に関わった多くの者が死亡、または行方不明という結末で幕を引くことになった。」
「何がしたい……おっさん!」
弦十郎の回りくどい語りにうんざりし始めたクリスは悪態をつく。
「俺がやりたいことは、君と瑠璃……君達姉妹を救い出す事だ。」
クリスは自身はともかく瑠璃も含まれている事に驚く。
「引き受けた仕事をやり遂げるのは大人の務めだからな。」
クリスがこの世で一番大嫌いなもの。それを弦十郎が口にした事でクリスの怒りがこみ上げてきた。
「はっ!大人の務めと来たか!」
飲み干した牛乳パックを乱暴に投げつける。
「余計なこと以外はいつも何もしてくれない大人が偉そうにぃ!!」
窓ガラスを破り、ベランダから飛び出した。
Killter Ichaival tron……
クリスはギアを纏って逃亡した。弦十郎はただそれを見ているしか出来なかった事に悔しさを滲ませた
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「司令、まだ戻ってきませんね。」
「えぇ、メディカルチェックの結果を報告しなければならないのに……。」
「次のスケジュールが迫ってきましたね。」
「もうお仕事入れてるんですか?」
「少しづつよ。今はまだ、慣らし運転のつもり。」
翼が絶唱によって重傷を負っていた間、世間では過労という体で通っていた。今は病み上がりである為、一度に多くの仕事入れずに、今後徐々に増やしていく方針のようだ。
ここで響が確認の質問をする。
「じゃあ、以前のような過密スケジュールじゃないんですよね?」
「え、ええ。」
「だったら翼さん!デートしましょ!」
「デート?!」
響の思わぬ提案に驚く翼。輪とそう来るとは予想せずに驚いている。ただ一人、未来だけが何となくやっぱりと言わんばかりな顔をしていた。
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その日の夜……
「え、じゃあデート断ったん?」
「うん。」
輪は小夜と食事をしていた。なお、メニューは輪特製カレーである。
響の提案でデートの誘いを受けたが、輪だけは用事と称して断った。
「もったいない事するな〜。」
「自分でもこんなチャンス、フイにしたって思ってるよ。でもさ……。」
行けるわけがない。今、自分の家で客人という名の爆弾が呑気にカレーを頬張っていると考えるとゾッとする。
「ん?何だよ?」
その客人と言うのが、雪音クリスである。
一つお知らせです。
ストックが最後の一個になりそうなので、ある程度貯るまでガンガン更新が出来なくなります。
更新ペースが遅くなりますが、始めたからには最後までやり通したいと思っております。
以上、お知らせでした。
次回、クリ×リン?リン×クリ?危機一髪!