戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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サンジェルマン戦は軽くにして、アルベルト戦がメインになります。

とは言ってもそんなに掛かりません。


必愛デュオシャウト

 サンジェルマンの生贄によって、祭壇設置に必要なエネルギーが満たされ、神出づる門が開こうとしている。鏡写しのオリオン座を中心に、レイラインと思われる緑の光が、道のようにそこへ流れ、収束しようとしている。

 

「レイラインより抽出された星の命に、従順にして盲目なる恋乙女の概念を付与させる……!」

 

 遂に、神出づる門が開いた。サンジェルマンが手を伸ばし、ティキが光柱にその身を包まれると天高く昇る。

 

 S.O.N.G.のヘリには活動可能な装者である響、クリス、切歌、そしてファウストローブを纏える輪が搭乗している。上空からでも鏡写しのオリオン座と、そこへ収束するレイラインが見える。

 

「本当にとんでもない事になってる……!」

「あれが……!」

「鏡写しのオリオン座デス!」

 

 クリスも無言で自体の重さを受け止めている。同時に、輪の息遣いも荒いことに気づいた。これが初陣であり、世界の命運が掛かっていると考えると、輪に掛かるプレッシャーは凄まじいものだろう。クリスは震える輪の手を掴んでやる。

 

「クリス……。」

「心配すんな。あたしらがついてる!」

 

 クリスに鼓舞され、自分に向けた頼もしい目。双子である為、当然なのだがそれが瑠璃に見えた。

 

「ありがと、クリス。」

 

 ニッと笑うと、クリスは柄にもない事をしていると、つい顔を赤らめていた。だがそこに弦十郎から通信が入った。

 

『アルカ・ノイズの反応が確認された!位置はヘリの真下!そこに錬金術師もいる!』

「あいつだ……!」

 

 それを聞いた輪は、その錬金術師がアルベルトであると確信した。狙いも恐らく挑発である。

 

「私が行く。あいつには用がある。」

 

 そう言うと、ヘリの出口の扉を開けた。

 

「だったらあたしも行く。お前一人には行かせられねえよ。」

「クリス……。」

 

 輪は短く頷いた。

 

「あっちは任せたぞ!」

「うん、気を付けて二人とも!」

「了解デース!」

 

 そして輪とクリスはヘリから飛び降りた。輪はラピスを握りしめて、そのファウストローブを身に纏う。クリスもそれに続くようにイチイバルのギアを纏った。輪は急降下を利用して、そのまま飛び蹴りでアルカ・ノイズを踏み抜いた。

 

 本部でも鏡写しのオリオン座が確認されている。

 

「レイラインを通じて、観測地点にエネルギーが収束中!」

「このままでは、門を超えて、神の力が顕現します!」

 

 だが無策のまま、手をこまねいていたわけではない。モニター、八紘の姿が映し出され、その手には鍵が握られている。

 

『合わせろ弦!』

「応とも兄貴!!」

 

 弦十郎も同じ鍵を持っている。すると二人は鍵穴にその鍵を差し込んだ。

 

「決議!」

「「執行!」」

 

 差し込まれた二つの鍵が同時に回された。

 

 各地の残った要石に掛けられた注連縄が、斬り落とされた。要石が赤く光を発した。地上からでは分かりづらいが、上空から観測すると、鏡写しのオリオン座を囲うように赤い光が円上に繋がって光を発している。その光によって、レイラインの動脈が遮断されている。

 

「各地のレイポイント上に配置された要石の一斉軌道を確認!」

「レイライン遮断作戦、成功です!」

「手の内を見せすぎたな、錬金術師。お役所仕事も馬鹿に出来まい!」

 

 作戦成功に八紘は、モニターに映る鏡写しのオリオン座に笑っている。この作戦は八紘の政治的手腕によって認可されたと言っても過言ではない。役所の人間も何も出来ないわけではない事が証明されている。

 

 レイラインが遮断された事で、光が失われた。高く舞い上がっていたティキは落下、サンジェルマンも地に伏せていた。さらに、ヘリのローターによって砂塵が舞い上がり、それに乗っている響と切歌が飛び降りた。

 

 Balwisyall nescell gungnir tron……

 

 起動詠唱を唄い、響と切歌はそれぞれのギアを纏う。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 アルカ・ノイズの相手をしているクリスと輪。ガントレットに備えられている二つのチャクラムを展開すると、それを目の前のアルカ・ノイズに投擲する。

 

【雷翼・サンダーウロボロス】

 

 投擲されたチャクラムはアルカ・ノイズをまとめて貫き、輪の手元に戻る際にも数体のアルカ・ノイズが両断される。チャクラムが手元に戻り、接近するアルカ・ノイズを斬り捨てる。

 クリスの両手に持つガトリング砲から放たれる弾丸の嵐が、アルカ・ノイズを蜂の巣にする。

 輪の特訓は個別でのシュミレーションは行っていたのだが、ユニゾンの特訓までは間に合わなかった。故に即席かつ、即興。当然まともな連携など取れるわけがなく、連携のコンタクトも出来ていない。だが試した事もない連携をいきなりやろうとしても失敗するのが関の山。ならば各個アルカ・ノイズを撃破した方がまだ効率良い。輪の戦闘センスは瑠璃よりも高かった為、単独でも戦えるようには仕込まれている。

 

「これで……最後!」

 

 そうこうしている内に、出現したアルカ・ノイズを全て葬った。周囲に敵影がいないか、確認しつつ響達の所へと向かおうとした時、目の前に人が降り立った。

 

「あいつ……!」

 

 二人にとっては許し難い相手、アルベルトがファウストローブを纏って現れた。

 

「待っていたよ、二人とも。」

「いけしゃあしゃあと出てきやがって!」

 

 瑠璃を攫った張本人というだけで、二人は憤りを隠せない。

 

「そうカリカリしないでおくれ。私は今しがた、パヴァリアとは手を切ってね。」

「「はあぁっ?!」」

 

 アルベルトの口から思わぬセリフに驚愕を隠せない二人。敵とはいえ、自分(アルベルト)が尽くしてきた組織を裏切ったと言われても、信じられるわけがない。彼女が浮かべている余裕の笑みからも、そのようには見えない。

 

「だが、君達の敵である事に変わりはない……!」

 

 途端に杖の先端を向け、そこから炎の錬金術を放った。二人は左右に別れて避け、クリスはガトリング砲でアルベルトに防御させて、輪が懐まで接近してチャクラムを振り下ろした。

 しかし、アルベルトは左手で青色のバリアを展開して弾幕を防いで、杖でチャクラムを弾いた。弾かれた輪は、着地して体勢を整えた。

 アルベルトが出したバリア、二人はそれを見た事がある。クリスはフィーネと関わり、刃を交えた為、輪は自身も同じバリアを使えるから、アルベルトがそれをやった事に驚いている。

 

「テメエ……やっぱそれは……」

「ああ。フィーネと同じ力だ。」

「やっぱり、櫻井さんとは何か関係あるんだね。」

 

 輪の問いに、アルベルトはただ鼻で笑うだけだった。

 

 

 響と切歌の方もファウストローブを纏ったサンジェルマンと交戦開始した。二人は初っ端からイグナイトを抜剣して立ち向かうが、他の3人を統率する錬金術師だけあってユニゾンにも引けを取らない。

 

「信念の重さ無き者に……!」

 

 ブレードを展開させた銃を振り下ろし、切歌が大鎌の柄でそれを防ぐが、攻撃の速さから反撃出来ない。

 

「神の力を持ってして、月遺跡の管理者権限を掌握する!これにより、バラルの呪詛より人類を解放し、支配の歴史に終止符を打つ!」

 

 秘めたる信念を共に、弾丸を放つ。その弾丸は龍の姿をしたエネルギー波となり切歌を吹き飛ばす。

 

「だとしてもぉ!」

 

 響の右腕のバンカーアームをドリルのように高速回転させた拳が、龍のエネルギー波とぶつけて、相殺させる。

 

「誰かを犠牲にするやり方はぁ!!」

「そう32831の生贄と40977犠牲、背負った罪とその重さ、心変わりなど……許されないわぁ!!」

 

 サンジェルマンの放った弾丸が、響の目前で展開された魔法陣によって姿を消したが、同時に右側面から別の魔法陣が展開、そこから弾丸を受け吹き飛ばされてしまう。

 

「はあぁっ!」

「響さん!!」

 

 倒れた響の頭上からサンジェルマンがブレードを立てて降下、起き上がろうとした響だが間に合わない。だが、身体には刺さらず、脇と胴体の間に挟んでやり過ごした。さらに腰部のブースターが最大火力で点火、左の拳がサンジェルマンの鳩尾に入り、さらに響と切歌の足底部のアーマーが連結、切歌の肩のアーマーのブースターを上乗せした一撃が、サンジェルマンに直撃した。

 

【必愛デュオシャウト】

 

 石畳と鳥居ごと吹き飛ばされたサンジェルマンは倒れた。

 

 

  

 2つのチャクラムを片手でメリケンサックのように持ち替えて、それを地面に叩きつけると、そこから巨大な火柱が放たれる。

 

【暴拳・ヴォルガニッククラッシャー】

 

 跳躍して回避したが、着地地点に合わせてクリスの小型ミサイルが放たれる。

 

 

「貰ったぁっ!」

 

【MEGA DETH PARTY】

 

 全弾掃射されてはアルベルトも回避も防御も間に合わない。だが杖の柄から発せられた一筋の光。その瞬間、全てのミサイルが真っ二つに両断され、ミサイルはアルベルトを通り過ぎて爆ぜた。

 

「杖じゃない……剣!」

 

 アルベルトが持っていた杖は仕込み刀だった。左手に持つ柄だった鞘を錬金術で消した。だがまだ他に隠しているのではないのかと、疑念を抱いた輪は構えながらアルベルトに問いただす。

 

「念の為に聞くけど、何で自分の組織を裏切ったの?あんたは神の力を……」

「あれはサンジェルマンの理想を叶える為に欲していただけの事。私はその理想の為に使うつもりはない。」

「だったら何で姉ちゃんを攫いやがった?!姉ちゃんは関係ねえだろ?!」

 

 それだけなら瑠璃は関係ない。解放させろと怒りをぶつける。だがアルベルトは、仕込み刀を握る手の力が強くなる。

 

「関係ない……だと?私は……ルリの為に神の力を手に入れる。神の力で……ルリがこれ以上苦しまない世界を作る。」

「は……?」 

 

 予想外の回答に、輪とクリスは困惑する。

 

「君達は知らないだろう?ルリが一人ぼっちとなった時、耐え難い苦痛を受けた事を……。彼女は一人、ただ耐えるしかなく、数多の暴力と凌辱で絶望し、心を崩壊させたか。」

 

 二人に向けられるアルベルトの視線、それは怒りを思わせる。

 

「妹には断片的にではあるが、見せてやる。ルリに起きた忌まわしき記憶の全貌を!」

 

 剣先から眩い光が発し、視界が利かない二人は腕を交差させて視界を覆った。

 




輪の必殺技

輪の必殺技の名前は
【〇〇 〇〇〇〇】

漢字2文字+カタカナとなる。
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