戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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おまけの2本立て!


神の力

 響と切歌によるイグナイトを用いたユニゾンによりサンジェルマンを倒した。二人のギアはイグナイトが解除して、通常形態に戻っている。だがサンジェルマンはそれでも立ち上がろうとしている。革命の為に死んでいった者達の為にも倒れるわけにはいかない。だからこそ、あれだけの一撃を貰ったにも関わらず、戦意は挫かれない。

 

「この星の明日の為に……誰の胸にももう二度と……あのような辱めを刻まない為に……私は支配を……革命する……!」

 

 再びサンジェルマンが立ち上がる姿に、二人は畏怖する。だがそれだけの執念があっても、身体は正直である。サンジェルマンは倒れた。響は立ち上がって

 

「私もずっと正義を信じて、握り締めて来た。だけど……拳だけでは変えられない事がある事も知っている……。だから……」

 

 倒れたサンジェルマンに歩み寄った響はその手を差し伸べた。顔を上げたサンジェルマンに映る、響の見せる笑顔と、伸ばした手に他意など無い。心から手を取り合いたい、話し合いたいだけだ。

 

「握った拳を開くのを恐れない。神様が仕掛けた呪いを解くのに、神様みたいな力を使うのは間違ってます。人は人のまま変わっていかなきゃいけないんです。」

 

 響らしい事であると、切歌は鼻を指で擦っていた。響の真意をを聞いたサンジェルマンの険しかった表情はなく、口角がつり上がっている。敵意らしい敵意は感じられない。

 

「だとしても……」

 

 サンジェルマンが呟いた。それは、響がサンジェルマンによく使っていた言葉だ。それを聞いた響は首を傾げる。

 

「いつだって、何かを変えていく力は……『だとしても』という不撓不屈の想いなのかもしれない……。」

 

 シンフォギアと錬金術師、相容れないはずと思っていたサンジェルマンが、響の事を認めた。響が伸ばした手をサンジェルマンが取ろうとした

 

「そこまでにしてもらうよ、茶番は。」

 

 そこにアダムの声が割って入るように聞こえた。三人は声がした方を見ると、アダムは宙に立っている。しかもその頭上にはオリオン座の刻印が印されている。さらにそこに赤い光の粒子が、集まっている。

 

「これは……天を巡るレイライン?!アダムはこの星からではなく、天の星々から命を集める為……オリオン座そのものをを神出づる門に見立てて……!」

 

 本部のラボで反動汚染の除去作業をしていたエルフナインとモニターでその光景を見ていた。アダムは地上のレイラインが阻まれる事を読んで、別の対応策を用意していた。それを見落としたエルフナインは自分を責める。

 

「マクロコスモスとミクロコスモスも照応は、錬金思想基礎中の基礎だというのに……僕は……!」

 

 レイラインは地上だけではない。レイラインは宇宙からでも巡っている。地上のレイラインの動脈が、が要石によって阻まれているなら、阻まれない星々から使ったという事だ。 

 

「アダム……アダムが来てくれた……。」

 

 地に仰向けで倒れていたティキが浮遊した。その真上に集められた生命のエネルギーがその躯体を包んだ。

 

「遮断出来まいよ、彼方には。」

「止めて見せる!」

 

 響が阻止する為に飛び上がったが、アダムが帽子を投擲して来た。ただの帽子であるはずが、その威力は響を吹き飛ばすのに十分だった。返り討ちにあい、倒れた響にサンジェルマンが駆け寄る。

 

「おいお前!教えて下さい統制局長!この力で本当に、人類は支配の軛より解き放たれるのですか?!」

 

 投擲した帽子を被り直しながら、サンジェルマンに返答する。

 

「出来る……じゃないかな?ただ……僕にはそうするつもりはないのさ。最初からね。」

「くっ……謀ったのか?!カリオストロを……プレラーティを……革命の礎となった全ての命を……!」

 

 これまで築き上げてきた屍を踏みにじられたサンジェルマンが憤怒した。だがアダムは死んだ命の事など省みる事などするはずがない。サンジェルマンにも同様だ。

 

「用済みだね……君も。」

 

 指をパチンと鳴らすと、宙に浮いていたティキが起き上がり、ぎこち無ない動きで3人の方を向く。開いた口から微細な光線を放つが、その威力は辺り一体を吹き飛ばす超火力だった。

 

「この威力……!」

 

 その大爆発を眺め笑うアダム。爆炎と煙が立ち込める。だがその中で聞こえてきた滅びの歌。

 

 Emustolronzen fine el zizzl……!

 

 巨大化させた大鎌の刃が高速回転、さらに柄からブースターを最大まで点火させる事で対抗させていた。その上に絶唱を唄った切歌が響とサンジェルマンを守っている。

 

 

「確かにアタシはお気楽デス!だけど、一人くらい何も背負っていないお気楽者がいないと、もしもの時に重荷を肩代わり出来ないじゃないデスかぁ!!」

 

 血涙を流す切歌が抱える思いを叫んだ。だが相殺しきれず大鎌は破壊され、切歌も倒れた。響が切歌に駆け寄った。

 

「切歌ちゃん!!絶唱で受け止めるなんて無茶を……!」

「響さんはもうすぐお誕生日デス……。誕生日は……重ねていくことが大事なのデス……。」

 

 絶唱による負荷により意識が朦朧とする切歌が弱々しくも、必死に伝えようとしている。

 

「こんな時にそんなことは……」

「アタシは、本当の誕生日を知らないから……誰かの誕生日だけは……大切にしたいのデス……。」 

 

 切歌にも誕生日は存在する。だがそれは本当の誕生日ではなく、切歌が白い孤児院に連れてこられた時の日付。レセプターチルドレンである切歌は、本当の誕生日知らないからこそ、誰かの誕生日だけは大事にしていたのだ。それがあの時、響の誕生日に拘る切歌の真意。

 それを知った響は涙を流す。すると、瓶が転がり落ちる音が聞こえた。切歌の足元には殻になった瓶が3本あるのを響は見つけた。

 

「LiNKER……?」

 

 ラボのエルフナインはそれを食い入るようにモニターを見ていた。

 

「過剰投与で絶唱の負荷を最小限に?!だけど体への薬害が!」

「直ちに切歌君を回収するんだ!救護班の手配を急げ!体内洗浄の準備もだ!!」 

「はい!」

 

 調の悲痛な叫びがブリッジに響く中、弦十郎は急いで緒川に指示を出した。

 

 サンジェルマンはアダムを睨みつけ、響と切歌を背に立つ。

 

「二人には手を出させない!」

「ほう……それが答えかね?君が選択した。」

「神の力、その占有を求めるのであれば、貴様こそが私の前に立ちはだかる支配者だ。」

「実に頑なだね……君は。忌々しいのはだからこそ……しかし間もなく完成する、神の力は。そうなると叶わないよ?君に止める事など。」 

 

 アダムの言う通り、神の力が完成すれば、サンジェルマンであろうとも止める事は出来ない。だがサンジェルマンは一人ではない。共に並び立つ響が共に敵であるアダムを見据えている。

 

「私達は互いに正義を握り合い、終生分かり合えぬ敵同士だ。」

「だけど今は、同じ方向を見て、同じ相手を見ています!」 

「敵は強大、圧倒的。ならばどうする、立花響?!」

「何時だって、貫き抗う言葉は一つ!」

 

 二人は強く、共通の敵に言い放った。

 

「「だとしても!!」」

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 響達がいる神社の方から爆発したのを確認した輪とクリス。クリスはギアをイグナイトから通常形態に戻して、急いで響達と合流しようと走る。

 

「一体何が起きてやがるんだ?!」

「分かんないよ!とにかく響達の所へ……クリス……?クリス?!」

 

 突然クリスの走る足音がしなくなり、異変に気付いた輪が振り返ると、クリスがが膝をついていた。輪がクリスに駆け寄ると、クリスのギアインナーが灰色になっている。

 

「どうなってるの?!さっきまで……これって……!」

 

 輪はすぐに気付いた。それは愚者の石によるギアの反動汚染。ここに来てそれがギアに襲いかかり、クリスを苦しめている。この状態ではもう戦えないとクリスは判断すると、輪の方を向く。

 

「悪い……あたしはここまでだ。」

「そんな……!」

「だけど……タダじゃ離脱しねえよ……。」

 

 背中のアーマーから巨大なミサイルを一本展開させた。

 

「ミサイルなんか出して何しようって……まさか!」

「こいつに乗れ。」

「いやいやいや!ミサイルを乗り物感覚で言わないでよ!そんなの聞いたことないから!」

 

 装者達はさも当たり前の認識になっているが、輪は装者ではない為、そんな荒唐無稽な感覚が受け入れられるわけがない。だがそこに

 

『出水!それに乗れ!』

「翼さん?!」

 

 翼から通信が入った。しかもそれに乗れというのだ。

 

『説明は後だ!それに乗れ!』

 

 無茶とも言えるこの現状、しかしここから響達がいる神社までかなり距離がある。輪に選択肢はない。

 

「あー!もう分かりましたよ!乗りますよ!クリス!乗るよ!」

 

 もうどうにでもなれの精神で輪はミサイルの上に乗った。いざ乗るとややシュールな光景である。

 

「良いか振り落とされるなよ?」

「え?振り落とされるなって……それって……」

「舌噛むぞ。」

 

 発射直前に不穏なセリフが聞こえて、一気に不安になるが、お構いなしにクリスはミサイルを発射させた。

 

「後は頼んだぞ……。」

 

 放たれたミサイルを見届けたクリスはギアを解除して大の字で倒れた。この後、クリスも切歌と同じように救護班に運ばれた。

 

 そして輪はというと……

 

「イイイイィィィヤアアアアアアアァァァァァァーーーーーー!!」

 

 ジェットコースターのスピードを軽く超えるその速度に、汚い叫び声を挙げながら必死にミサイルにしがみつく輪。その顔は他人には見せられないくらい酷い形相である。ちなみに輪が叫んでいる間、ブリッジにはその絶叫があまりにも煩すぎるせいでハウリングを起こし、その場にいた全員が耳をふさいでいた。

 

 




シリアスな描写を一気にブチ壊してくれた輪でした。
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