ここまで読んでくださりありがとうございました!
遂に瑠璃は過去を乗り越え、新たな未来へと歩き出します!
それではどうぞ!
パヴァリア光明結社の統制局長、アダム・ヴァイスハウプトとサンジェルマン達幹部を失った事で、結社は呆気なく瓦解、各国に潜む残党も諜報機関と連携を結んで、摘発も進んでいる。
だが喜んでばかりではいられないものもある。アダムが言っていたカストディアン、アヌンナキという存在。サンジェルマン曰く、それは神というがその全てが謎に包まれている。
そして、アメリカ政府が独断で発射させた反応兵器。それがきっかけで米国政府は避難を受けているが、そこまで強い追求はされていない。それについて、鎌倉の風鳴訃堂の屋敷で、主である訃堂と八紘が対談している。
「米国は、安全保障の観点からミサイル発射の正当性を主張して来たか。」
「国連決議を蔑ろにする独断に対し、各国は非難を表明しつつ……それでも、強く対応できないのは……」
「神を冠する、あまりにも強大すぎる力を目の当たりにしてしまったが故……。」
神の力が自分達に向けられてはたまったものではない。故に強く出れないのも無理はない。夕日に向いていた訃堂は、八紘の方に向き直す。
「八紘……。あの力が我らにあれば、夷狄による国土蹂躙も、特異災害による被害も、防げるとは思わぬか?」
「なっ?!」
護国の為ならば手段を選ばない訃堂を知る八紘は息を呑む。
「夷狄の娘め……何故神の力を手放すか……。」
「まさか……。」
訃堂が見せたのは、身内の心配ではなく神の力を失った事による失望。あの時、神の力を自在に使役出来たのは瑠璃ただ一人。まさか身内すら生贄にするのではと、戦慄する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
絶唱を唄い、意識不明となっていた輪も回復した。そして輪の退院に合わせて、響の誕生日パーティも、響と未来の寮室で無事に催された。未来がパーティ開始の音頭を取る。
「それでは改めて……」
ハッピーバースデー(デース)!!
クラッカーが鳴り、紙吹雪やテープが舞う。本日の主役である響が盛大に喜び、テープや紙吹雪がその頭に乗る。
「17歳おめでとう。響。」
「ありがとう!とんだ誕生日だったよ!でも、みんなのお陰でこうしてお祝いできたことが、本当にうれしい!」
「ホント、最後まで人騒がせなんだからねぇ。」
「え?!いやぁ〜そんなつもりはなかったんですけど〜。」
輪が入れた茶々に皆が笑う。そこに切歌が仕切り直す。
「さあさあ!前置きはここまでデスよ!主役はこちらにデス!」
切歌が響をテーブルまで案内する。そこには多くの料理が所狭しと並ばれている。当然ご飯に目がない響の目は燦然と輝いている。
「凄ーい!どうしたの?!」
「はい。調が頑張ってくれました。」
調の背をマリアが押す。
「これ、調ちゃんがぁ?!」
「違う違う!みんなで一緒に……」
「調。」
「だって、松代で出会ったおばあちゃんから、夏野菜を沢山頂いて……瑠璃先輩にも手伝ってもらって……」
「それでも、調ちゃんが一番頑張ってたじゃない。」
照れる調を瑠璃が笑顔を見せて頭を撫でる。ただ今の瑠璃の笑顔は、今までお淑やかなものではなく無邪気な笑顔だった。その変わりように皆が驚く。
「瑠璃って……こんなに笑うの?」
「バーカ。姉ちゃんは元々結構笑うんだぞ。」
輪の疑問に、クリスが当然のように答える。元々の瑠璃の性格を知るクリスだけ、何処か安心感を感じている。過去の記憶から吹っ切れた事で、本来の自分を取り戻せたのだ。クリスにとってと嬉しい事だ。しかし、クリス以外は今までの瑠璃のイメージが強すぎる分、そのギャップの違いに違和感を感じている。
「瑠璃先輩……」
「変わりすぎて仰天が止まらないデース……。」
「とにかく、私は少し手伝っただけ。殆どは調ちゃんのお手柄だよ。」
しかし、頼りがいのあるお姉さんである事に変わりはない。そこに翼が胸を張って宣言するように言う。
「月読が作り、立花が平らげるのなら……後片付けは私が受け持つとしよう!」
「いやぁ先輩。出来もしない事を胸張って言うと、後で泣きを見ますって。」
「後片付けは私がやるから……ね?」
後片付けは翼が最も不得意な分野。それを胸を張ってやろうとするその威勢と自信にクリスと瑠璃が息ピッタリに呆れてツッコむ。
「なっ!姉妹揃って私を見くびってもらっては……」
「はいはい、喧嘩しないの。ほら。」
そこにマリアが翼の口に料理を運んだ。するとそれを咀嚼して飲み込んだ翼は
「何これ?!まさか、トマトなの?!こんなに甘いの初めて食べたわ!」
「驚きに、我を失う美味しさです。」
翼が防人ではなく、素が露わになってここでもそのギャップの違いに驚く皆々。それからそれぞれバイキングのように、料理を取っていき、それを堪能する。さらにゲーム大会、トランプといったイベントも開かれる。
そして瑠璃とクリス宛に届けられたソーニャとステファンの手紙、リハビリは順調に行われている事に二人は喜ぶ。だが目を離した隙に翼が皿洗いをしていた。どうやったらそんな積み上がり方をするんだとツッコみたくなる光景に輪は大爆笑している。結局翼に代わって瑠璃がやる事になった。そこにクリスも手伝う。
「なあ姉ちゃん。」
「何?」
「もう……平気なんだよな?」
クリスが不安そうに聞く。大好きな姉がせっかく戻って来たのに、また何処か遠くへ行ってしまうのではないのかと不安が過ぎっている。そんなクリスの手を、瑠璃はそっと重ねる。
「もう平気だよ。クリスを置いて、もう何処にも行かない。」
「姉ちゃん……。」
「ごめんね。私の為に……傷つけてしまって……。ありがとう……私を助けてくれて。」
良いんだ、と言わんばかりに首を横に振る。その両目には涙が零れそうになる。
パシャッ。
突然後ろからシャッターを押す音が聞こえた。振り返ると、輪が写真を撮っていた。
「麗しい姉妹の絆……。このベストショット……絶唱を唄った甲斐が……ぐふぇっ!」
顔を真っ赤にしたクリスの拳骨が脳天に振り下ろされた。
「性懲りもなく撮りやがって!」
「まあまあ。今日くらいはね?」
怒るクリスに、瑠璃が諌める。
「輪。」
「痛たた……ふぇ?」
「ありがとう。」
微笑んでお礼を言われた輪も顔を真っ赤にして照れる。
「い、いやぁ……それほどでも……。ほ、ほら!ゲームやるよ!」
照れ隠しのつもりなのか、二人をゲームに誘った。
「行こう、クリス。」
「ああ!」
瑠璃とクリスの手、姉妹の繋ぎ合った手はもう離さない。過去を乗り越えた姉妹の絆は、その先に待ち受けるどんな困難も、どんな壁も越えていける。そんな気がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
はい……統制局長、アダム・ヴァイスハウプト……並びにサンジェルマン幹部達は全員死亡しました。
はい……。
それにより、パヴァリア光明結社も瓦解……残党も摘発されています。
神出ずる門より顕現した神の力も、跡形もなく消え去りました。
はい……。ルリも無事に……ただ、あなたから貸与させていただいたバイデントの欠片から作ったファウストローブは……破壊されました。
申し訳ございません……。
はい……。
ただ……鎌倉で不審な動きがあります。
彼を燻り出す為に……結社の残党で、役に立つモノ達がいます。
それを利用すれば……いずれ再び……。
はい……このままここに残り、調査を続けます。
それでは……
また……。
私は……もうどれ程の別れを告げれば良いのだろうか……?敵ながらも……私はサンジェルマン達の事を……。
いや……今は忘れよう……。
ようやく、あの方が蘇る好機が来たのだから……。
ティキの残骸も、
この南極に……。
だが……もしあの方が蘇れば……ルリは……。
辛いものだな……
悲願を果たす為に……私は数多くの命と時を犠牲にしてきた……。
しかし、全てはあの方の望みを叶える為……。
アーネンエルベを利用したのも……フィーネにバイデントのシンフォギアを作らせたのも……。
今しばらくお待ちください……。
あなた様とまた……再会出来るその日を……
私が必ず……!
アルベルトの真実。
パヴァリア光明結社の幹部であるアルベルト。
その正体はアーネンエルベに寝返った二重スパイ。
アダムの神の力の入手を阻止する為にアーネンエルベを利用しようと企み、アーネンエルベに潜り込む。
バイデントをギアとして使うよう提案し、フィーネと共に暗躍した。
この事実はカリオストロにのみ話したが、そのカリオストロも亡くなった為、真実を知る者は誰もいない。
アーネンエルベすらも踏み台として、己の悲願を果たす為に暗躍する。
というわけでAXZ編、これにて完結になります!
今回はXV編に繋がる鍵を残す為に輪視点は無しです!
番外編を何個か描いたら、いよいよ最終章XV編となります!
お楽しみに!