Rhソイル式の全血清剤を手に入れる為に、ミラアルクは病院の屋上から侵入を試みようとしていた。だがそのミラアルクの身体に異変が起こる。
(こっちもそろそろ限界かもだぜ……)
口元を抑えている。手早く済ませて撤退しようと侵入しようとした時、エレベーターが到着した音が鳴る。扉が開くと切歌と調が姿を現す。
「待つのデス!事と次第によっては、荒事上等なアタシ達デスが……」
「その前に、貴女の所属と目的を聞かせてください!」
「そんな悠長……これっぽっちもないんだぜ!」
ミラアルクがアルカ・ノイズの召喚石をばら撒くと、そこから展開される召喚陣からアルカ・ノイズが出現する。
Various shul shagana tron……
詠唱を唄い、シュルシャガナのギアを纏った調は、足部のローラーを巨大な鋸へと変えて飛び蹴りを放つ。その餌食となったバナナ型のアルカ・ノイズは真っ二つになって赤い霧となって散る。さらにスカートを鋸へと変えて、スケートのアクセルのように自身を軸に高速回転して周囲のアルカ・ノイズを切り刻む。
切歌の方も駒のように自身を軸に大鎌を高速回転して振り回してアルカ・ノイズの群れを切り刻む。
【災輪・TぃN渦ぁBェル】
さらにそのままミラアルクへと突っ込むが、跳躍する事で避けられる。停止した先でバナナ型のアルカ・ノイズ2体に周囲を高速で周られて逃げ場を失う。だがそこに投擲されたヨーヨーの糸がバナナ型アルカ・ノイズの身体を纏めて拘束する。
「あなたの行動は、護国何とか法に抵触する違法行為デス!これ以上の抵抗はやめるのデス!」
投稿勧告を呼びかけながらバナナ型アルカ・ノイズを纏めて切り刻む。がミラアルクがそんな素直に受け入れるわけがない。
「馴れない御託が耳に障るぜ!」
バナナ型アルカ・ノイズが倒された事で撒き散らしたプリマ・マテリアから姿を現したミラアルクが、不意討ちを仕掛ける。だがそこに到着した瑠璃が待ってましたと言わんばかりに連結させた二叉槍を突き出す。咄嗟に羽を腕に纏って、剛腕へと変えた事で防ぐ事が出来たが、その槍の穂先には集約させたエネルギーを纏わせており、剛腕と接触した事で爆発する。
【Raging Hydra】
吹き飛ばしても、手応えの無さを感じている。
「雑魚は私が!」
「了解デス!調!ザババの刃を重ねるデス!」
残ったアルカ・ノイズの始末は瑠璃が受け持ち、切歌と調はミラアルクに専念する。
切歌の大鎌を二本に分離、それらを地面に突き刺す。調のツインテールのバインダーがヘッドギアから分離、2つのヨーヨー同士を連結させて、刃を形成させて鋸へと変える。分離したバインダーが鋸と連結させるとウィングとなって、チェーンソーの刃が形成、さらにそのウィングの後部に、切歌の肩アーマーと連結させる。それを発射させると、突き刺した二本の大鎌の柄が滑走路となって空へと飛ぶ。アーマーがジェットエンジンのように点火、鋸は回転しながらミラアルクへと向かう。
辛うじてミラアルクは上体を反らす事で避けたが、避けたと思っていたそれは再びミラアルクへと向かった。まさか追尾するとは想定しなかったミラアルクは避けることが出来ずに直撃。空に爆発が発生する。その煙からミラアルクが墜落するように病院の屋上へ落ちた。
「やったの?」
「むしろ、やりすぎてしまったかもデス……。」
「油断しないで。まだ生きてる。」
床に叩きつけられた事で砂煙が巻き起こり、視界が利かないが、アルカ・ノイズを片付けた、瑠璃のバイデントのヘッドギアと接続しているバイザーは、その姿を捉えている。
砂煙が晴れると、肉眼でもミラアルクの姿形が見えるようになる。どうやら左腕を損傷しており、右手で押さえている所から出血している。さらにその風貌には、僅かだがどす黒い血管が浮かび上がっている。しかし、手負いだからという理由で彼女は諦めていない。
「負けないぜ……負けられないぜ!ウチは守る……2人を……家族をおおおおぉぉぉーーー!!」
「家族……?」
涙を流しながら叫ぶミラアルクに、瑠璃がオウム返しに問う。そこにエレベーターの到着を知らせるベルが鳴る。
「何や?!何の騒ぎやねん?!って……え?」
扉から現れたのは切歌と調を追いかけてエレベーターに乗って来た小夜だった。ここに無関係な小夜が現れた事に装者3人が驚愕する。だが小夜は3人が纏うシンフォギアの姿、屋上の床が所々陥没している戦闘の痕、目の前に映る光景を理解出来ずにいる。
「どうなっとんの?それに3人とも……病院で何のコスプレしとるん?」
「小夜さん?!」
「どうしてここに来ちゃったんデスか?!」
「家族だなんて、ちょっとくすぐったいけれど、悪くはないわね。ありがと。」
「っ?!」
空を飛ぶヴァネッサが膝からミサイルが放たれた。瑠璃がそれに気付いたが既に遅く、その弾頭から高圧電流が発生、周囲一帯の電力をショートさせた事で照明が落ちてしまう。
「照明が?!何も見えないデス!」
「切ちゃん!落ち着いて……」
「危ない!!」
ブースターが点火する音と共に何かが飛来して来た。照明を落とされ、真っ暗で視界が利かない二人は気づくのが遅れたが、瑠璃が咄嗟に二人を押し退けた。
飛来して来たのはヴァネッサの2つの拳だった。ロケットパンチを2発とも、鳩尾と頬を殴られた瑠璃は倒されてしまう。
「瑠璃先輩!」
「大丈夫デスか?!」
倒れた音を頼りに咳き込む瑠璃に駆け寄る。放ったロケットパンチが、ヴァネッサの腕に戻り、繋がる。
「付近一帯のシステムをダウンさせました。早くしないと、病院には命に関わる人も少なくないでしょうね?」
「何やて?!んな事なったら患者さんの命が!」
その意味を一般人の小夜でも理解出来た。ここの病院の患者の命が人質となってしまったのだ。さらにヴァネッサは声を出して驚愕した小夜の方を見る。
「あらぁ、ごめんなさいね。」
その一言と同時に、指先からマシンガンの弾丸が連射された。その先にいたのは……
「小夜さん!!」
瑠璃が叫んだが、銃弾の雨は小夜の身体を貫いた。撃たれた小夜の身体はそのまま崩れ落ちた。
「小夜さん!!しっかりしてください!!小夜さん!!」
駆け寄った瑠璃が、小夜の身体を揺するが、返答はなく、貫かれた身体から流れる血はコートを滲ませてしまっており、血溜まりが出来てしまっている。切歌と調も、姉のように慕っていた小夜が撃たれた事にショックを受けている。本部でもその光景がモニタリングされており、小夜を知る者、関わりない者問わず、驚愕する。
「助かったぜ、ヴァネッサ!」
「駆け付けたのは、ヴァネッサだけではありません……。それに、お目当ての物も、騒動の隙に獲得済みであります。」
さらにエルザも現れた。エルザも頬にどす黒い血管が浮かんでいる。だが彼女が乗っているキャリーケースを踵で突くように蹴る。
「うおおおぉぉ!!ヴァネッサ、エルザ!ダイダロスエンドだぜ!3人揃った今、最大出力で……」
「……っ?!ミラアルクちゃん!」
ヴァネッサが叫んだ事で、瑠璃が振り下ろした二叉槍を避ける事が出来たミラアルク。だがあまりにも速すぎる接近に気付かなかった事に狼狽えている。
「どうなってやがんだ?!」
「あれは……!」
エルザが瑠璃の目を見て唖然とする。瑠璃が流す涙。その瞳は怒りを滲ませているのが分かる。
「許さない……小夜さんを……!小夜さんをよくもおおおおぉぉぉーーーーー!!」
怒りを滲ませたラピスラズリの瞳が、冷たい闇へと変わった。
瑠璃XV楽曲
【Burning!Black Night!】
過去を乗り越え、強くなった歌を信じ、運命を打ち砕く信念を描いた楽曲。