瑠璃、またしても出番なし!(4度目!)
輪は瑠璃のいない学校生活に退屈していた。
瑠璃は現在、交通事故で入院中という事で欠席している体で通っているが、あまり長引くと隠し通せなくなる。
輪が色々説明して上手くあしらってるが、その言い分も日が経つにつれてどんどん苦しくなっている。
(瑠璃……早く見つからないかな……。瑠璃が来ないと退屈で死にそうだよ〜!)
そう思いながら机に伏し、脚をバタバタする。
きゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!
突如悲鳴が聞こえ、起き上がる輪。
クラスの皆も突然の悲鳴に驚いている。
だが窓を見るとその意味が理解できた。
「ノイズ……!」
外に多数のノイズが襲来した事で、全ての教室からも悲鳴で溢れかえった。
だがこの時、輪だけは冷静だった。
誰かが先頭に立って、パニックになった者達を落ち着かせなくては、あの地獄が待ち構えてる。
そうならないよう二課の外部協力者として避難誘導に当たる為に、まず教台に立って、大きな声で全員に通達する。
「皆、落ち着いて!!良い?急いでシェルターに避難するよ!」
輪がクラスの皆をシェルターまで誘導し、近くのクラスの生徒も落ち着いて避難するよう指示を送る。
「押さないで!落ち着いて避難すれば助かるから!」
そのお陰もあって、手早く避難が済んだ。
「君!大丈夫か?!」
急遽駆け付けた自衛隊の兵隊に声を掛けられる。
「はい、何とかこっちは皆避難しました!」
「そうか!では君も早く避難しなさい!」
「分かりました!」
そういうと最後に残った輪が避難を開始しようとした時、聞き覚えのある声が聞こえた。
「他に残ってる人はいませんかー?!」
同じく二課の協力者、未来が避難誘導に当たってくれていた。
「おーい!」
輪は大きく手を振って、自分の存在を知らせて未来と合流した。
「そっちはどう?!」
「皆避難しました!そっちはどうですか?!」
「こっちももう誰もいない!後は私達だけ……」
たがノイズが三体、天井を突き破っきて来た。
次のターゲットは自身達であることを悟った輪と未来。
「逃げるよ!……未来?未来!」
だが未来はノイズを目の当たりにした途端、恐怖で脚が震えてしまって走れずにいる。
その隙をノイズが見逃してくれるわけもなく、ノイズは未来の身体を貫かんと襲って来るが、間一髪、緒川が飛び込んで未来を助けた。
「「緒川さん?!」」
「ギリギリでした。次、うまくやれる自信はないですよ。走ります!」
ノイズの第二撃が始まる前に、緒川は未来の手を取って、輪と共に走り出す。
ノイズに対抗出来るシンフォギアが無いなら、方法は一つ、三十六計逃げるに如かず。
三人は二課へ通じるエレベーターへ飛び込むが、扉が閉じる寸前、ノイズの腕が輪の眼前まで迫った。
だが、エレベーターが動き出した事で事なきを得た。
「助かった……。」
エレベーターの壁にもたれかかって、脱力する輪。
九死に一生を得た今、あの時暇すぎて死にそうだと思っていた自分をぶん殴りたくなった。
未来も緊張の糸が解れたのか、エレベーターの壁にもたれかかる。
緒川が弦十郎に通信していると、未来に声を掛けられる。
「ごめんなさい輪さん……。あの時……足が……」
「あんな目に遭ったら誰だってそうなるよ。」
だが輪がギアを持っていないというのに平静を保って動く事ができた事に未来は驚いていた。
「まあ……前に三回もノイズに襲われてるからね。何か……慣れちゃったのかな。でも今回は流石に危なかった……。」
ノイズが出る確率は通り魔に襲われる確率より低いとされているが、輪の場合こればっかりは不幸だとしか言いようがないが、それでも生き延びているというのは不幸中の幸いというものだった。
「そういえば、響はどうしたの?」
「スカイタワーの周りに出たノイズを倒しに行ってます。だからここには……。」
「なるほど……。じゃあ……ハメられたわけか。」
輪はこのノイズ出現について推測を立てるが、未来はそれにオウム返しで聞き返す。
「ハメられたって……?」
「多分、スカイタワーのはブラフだよ。敵はノイズを意図的に操れる道具を持ってる。多分敵の狙いはここ。わざとスカイタワーの方に響や翼さんを呼び寄せて、ガラ空きになったここを攻めて来たんだよ。二課は、世間じゃ口外できない事が沢山あるからね。」
そんな事があり得るのかと否定しようとしたが、響のシンフォギアを目の当たりにしている以上、その推測が否定しきれない。
「でも……気になるのは黒幕。ノイズを操れる人がここを襲うなんて、多分ここを……」
推測を立てている途中でエレベーターが大きく揺れたが、この尋常ではない揺れ具合は外部からの攻撃に他ならない。
すると見覚えのある鞭が輪の首を締め上げる。
「輪さん!」
しかも輪だけでなく緒川の首も右手で締め付けられている。
犯人は黄金に変化したネフシュタンの鎧を纏ったフィーネだった。
「こうも早く悟られるとは……おまけに勘の良い小娘だ。」
「そ……こえ……さく……ら……い……さ……」
身体を持ち上げられ、さらに首を締められている事で息ができなくなってしまっている。
エレベーターのドアが開くと緒川は拘束から解き放たれ、その直後に拳銃を発砲するが、急所を狙ったにも拘らず、弾丸は貫く事なく潰れてしまう。
「ネフシュタ……ぐああぁっ!」
「緒川さん!輪さ……っ!」
緒川も輪と同様に鞭で首を締め上げられ、身体を持ち上げられている。
しかも輪は四肢がぶら下がっている事から意識を失ってしまった事が分かる。
二人を助けようと体当たりをするが、吹き飛ばすどころかフィーネに目をつけられ、顎に手を当てられる。
「麗しいなぁ。お前たちを利用してきた者を守ろうというのか。」
「利用……?!」
「何故、二課本部がリディアンの地下にあるのか。聖遺物に関する歌や音楽のデータを、お前達被験者から集めていたのだ。その点、風鳴翼という偶像は生徒を集めるのによく役立ったよ。」
リディアンの裏で行われている事を知り、心が動揺する未来だが……
「嘘をついても、本当のことが言えなくても、誰かの命を守るために、自分の命を危険にさらしている人がいます!私は、そんな人を……そんな人たちを信じてる!」
未来が響や二課の人達を信じる、という答えに苛立ったのかフィーネは未来の頬を叩く。
そして不要と言わんばかりに輪と緒川を壁に叩きつける。
「まるで興が冷める……!」
だが本来の目的を果たす為に奥の部屋に向かう。そこには二課が管理している完全聖遺物「デュランダル」が保管されている。
フィーネは端末を出してロックを解除しようとするが、弾丸によって破壊される。
「デュランダルのもとへは、行かせません!この命に代えてもです!」
緒川は拳銃を捨てて構えを取る。
フィーネも緒川が煩わしくなったようで今度こそ息の根を止めようと鞭しならせる。
「待ちな、了子。」
突然天井が破られ誰かが降りてきた。
砂煙が立ち込めているが、声色からして弦十郎しかなった。
「私をまだ、その名で呼ぶか……。」
「女に手を上げるのは気が引けるが、二人に手を出せば、お前をぶっ倒す!」
弦十郎は構えに入りながら話している、同じタイミングで輪の意識が戻った。
「オジサン……!」
「調査部だって無能じゃあない。米国政府のご丁寧な道案内で、お前の行動にはとっくに行きついていた。あとは燻り出す為、敢えてお前の策に乗り、シンフォギア装者を全員動かして見せたのさ!」
「陽動に陽動をぶつけたか……食えない男だ。だが、このワタシを止められるとでも?!」
「おおとも!ひと汗かいた後で、話を聞かせてもらおうかぁ!!」
弦十郎はフィーネに接近すると、フィーネは鞭で串刺しにしようと放つが、容易く避け、二本目も天井の梁を掴んで避ける。
そのままフィーネを殴り掛かるが、フィーネが避けた事で地面に穴が開くも、拳圧だけで鎧に亀裂が入っていた。
「肉を削いでくれる!!」
ヒビは既に修復されたが、勘に障ったのか二本同時に振り下ろすが、弦十郎はそれを手で掴み取り、強引に引き寄せる。
力で引き寄せられたフィーネはそのまま鳩尾に拳を叩き込まれ、倒される。
「完全聖遺物を退ける……。どういうことだ?!」
「知らいでか!飯食って映画見て寝る!男の鍛錬は、そいつで十分よぉ!」
「なれど人の身である限りはぁ!」
ノイズを操る杖を出すも、そうはさせるかと地面を踏みぬいた衝撃で杖が天井に刺さった。
打つ手を失わせた弦十郎はこの好機を逃さない。
「ノイズさえ出てこないのならぁ!!」
「弦十郎君!」
了子の声は、情に甘い弦十郎に決定打となったかのように怯んでしまった。
その隙を突かれる形で、腹部を貫かれた。
「いやああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
輪の悲鳴が響き渡る。
フィーネは弦十郎の端末を強奪してドアのロックを解除した。
未来と緒川、輪が弦十郎に駆け寄るが、これまで冷静に現状を対処してきた輪がここで恐怖に染まった。
「オジサン!!しっかりしてよオジサン!!」
「司令!司令!」
デュランダルの前に到達したフィーネはコンピュータのキーボードを操作する。
「目覚めよ天を突く魔刀。彼方から此方まで現れ出よ!」
フィーネの野望を映し出すように、デュランダルはその輝きを増した。
もう一周まわって輪が主役で良いんじゃないかと……
あ、ノイズせんぱ……(崩れる音)
それと調ちゃんハッピーバースデー!