そしていよいよ始まる無印ラスボス戦!
と言っても今回は短めです。
スカイタワー周辺で発生したノイズを片付けた響、翼、そして助っ人として協力したクリスの三人だったが、その直後、未来からリディアンがノイズに襲われていると聞きつけ、急いで戻って来た。
だが戻った時には既に校舎は見る影も形もなく、破壊され尽くされていた。
「未来ー!みんなぁぁーー!!」
響が呼びかけるが誰も帰って来なかった。
だが翼が壊れた校舎の上に人の気配がして見上げると、そこに立つ者がいた。
「櫻井女史!」
「フィーネ!お前の仕業かぁ!」
クリスが声を荒げると、了子……もといフィーネは高笑いを奏でる。
「そうなのか?!その笑いが答えなのか?!櫻井女史!」
「アイツこそ、あたしが決着をつけなきゃいけないくそったれ!フィーネだ!」
もう正体を偽る必要がないと、眼鏡を外し、結んでいた髪を解くと、身体中に光が包み込み、ネフシュタンの鎧を纏ったフィーネとなった。
「嘘……。嘘ですよね?そんなの嘘ですよね?!だって了子さん、私を守ってくれました」
「あれはデュランダルを守っただけの事。希少な完全状態の聖遺物だからね。」
だが響だけが未だに信じられずにいる。
「嘘ですよ~。了子さんがフィーネというのなら……じゃあ、本当の了子さんは?」
「櫻井了子の肉体は、先だって食い尽くされた。いや、意識は12年前に死んだと言っていい。超先史文明期の巫女、フィーネは遺伝子におのが意識を刻印し、自身の血を引くものがアウフヴァッヘン波形と接触した際、その身にフィーネとしての記憶、能力を再起動する仕組みを施していたのだ。」
それは偶然の代物なのかもしれないが、天羽々斬のギアの起動が、櫻井了子の全てを消し去り、フィーネ覚醒の引金となっていたということだった。
「まるで、過去から蘇る亡霊!」
「フィーネとして覚醒したのは私一人ではない。歴史に記される偉人、英雄、世界中に散った私たちは、パラダイムシフトと呼ばれる、技術の大きな転換期にいつも立ち会ってきた。」
「シンフォギアシステム!」
翼が思い当たるものを口に出すが、それは否定されてしまう。
「そのような玩具、為政者からコストをねん出するための副次品に過ぎない。」
その物言いに、翼とクリスは憤りを隠せなかった。
「お前の戯れに、奏は命を散らせ、瑠璃を巻き込んだというのか?!」
「あたしを拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのも、そいつが理由かよ!」
「そう!すべてはカ・ディンギルのため!」
フィーネが両手を広げると、地響きが発生し、大地から巨大な塔が天の果てまで貫かんとするかのように顕現する。
しかもその位置はエレベーターシャフトと一致しており、その証拠に、見覚えのある色彩、刻まれている文字で彩られている。
「これこそが!地より屹立し、天へと届く一撃を放つ過電粒子砲……カ・ディンギル!」
カ・ディンギルの正体はただの塔ではなく、大砲だった。
「こいつで、バラバラになった世界が一つになると?!」
「ああ……。今宵の月を穿つことによってな!」
何故月を破壊しようとするのか、理解出来ない三人はフィーネに問う。
「私はただ、あのお方と並びたかった。その為に、あのお方へと届く塔を建てようとした。だがあのお方は、人の身が同じ高みにあることを許しはしなかった……。あのお方の怒りを買い、雷霆に塔が砕かれたばかりか、人類はかわす言葉まで砕かれ、果てしなき罰。バラルの呪詛をかけられてしまったのだ……。何故月が不和の象徴と伝えられてきたか、それは!月こそがバラルの呪詛の源だからだ!人類の相互理解を妨げるこの呪いを!月を破棄することで解いてくれる!!そして再び、世界を一つに束ねる!!」
フィーネは月を握りつぶすように、拳を握る。
フィーネの想いと共鳴するかのように、カ・ディンギルが始動する。
「呪いを解く?それは、お前が世界を支配するってことなのか?!安い!安さが爆発しすぎてる!」
その為に自分を捨て駒のように使い捨てたフィーネに怒りを向ける。
「ふっ……。今まで逃げ出して来たお前に、一体何が出来るというのだ?」
「んだとぉ?!」
Tearlight Bident Tron……
その詠唱でもう一人、戦うべき相手が現れた。
「姉ちゃん……!」
クリスは最愛の姉を前に、脚が震える。
初めて瑠璃がバイデントの装者として現れた時、フィーネの方を追いかけてしまったが、本当はルリと戦う事が怖かった。
今脚が震えているのも、戦う事を躊躇う自分がいるという何よりの証拠だった。
(姉ちゃん……)
でもずっと逃げ続けても何も変わらない、向き合わなきゃ取り戻せない。
もう逃げない、今度こそ取り戻すと決めた。
響と翼も、覚悟の上でここにいる。
だからクリスも家族を取り戻す為に、姉と戦う。
三人はそれぞれ詠唱を唄い、ギアを纏う。
「行くぞ、姉ちゃん!」
フィーネの野望を阻止する為、瑠璃を取り戻す為に、最後の戦いの幕が開いた。