戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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12月28日まで待っていた甲斐があったぜぇー!

その代わりクリスマスネタは没になりましたが……

本年度最後の投稿になります。

2月から始めたこの小説も大詰めになってきました。

今回はあとがきの雪音姉妹の誕生日シナリオがメインとなるので、本編は短めですが、よろしくお願いします。


来年も、是非最後までお付き合いいただければ幸いです!


護るという事

 マリアとアルベルトの力でアルカ・ノイズを殲滅させていくが、瑠璃が訃堂の凶刃によって倒れたという報せがある以上、急いで瑠璃の所へ向かわなくてはならなかった。

 

「これで最後の一匹だ」

 

 アルベルトが最後の一体を斬り捨てた事で、ここに現れたアルカ・ノイズを全て倒した。

 

「ご丁寧に私とマリアを狙ってくる辺り、余程私達を排除したいようだな」

 

 アルカ・ノイズは翼にだけは襲わず、マリアとアルベルトだけを標的にしていた。恐らく訃堂の意があってのものだろう。

 

「行くわよ翼。……翼?」

 

 マリアの呼び声に反応を示さない翼。あれほど防人として、装者の先輩として皆を纏め上げていた。今の翼にはその影すらも感じさせないほどに弱っていた。

 

(戦えない……私には……何を糧にして戦えば良いのか分からない……)

「翼!!」

 

 俯いてばかりの翼にマリアが喝を入れる。思わず翼は、まるで叱られた子供のようにビクッと身を縮こませてしまう。

 

「瑠璃が危ないのよ!!今あなたがここで立ち止まったら手遅れに……」

 

 

 

 

 

 

 うわああああああぁぁぁーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 再び夜空を切り裂かんばかりの悲鳴。今度は輪のものだ。さらに夜空を見上げると、意識を失い、ファウストローブが強制解除された輪が打上げられ、落ちようとしている。

 

「出水……?!」

「まずい……!ファウストローブ無しに、あの高さから落ちたら……!」

 

 マリアの言う通り、輪は屋敷より遥か高く打ち上げられてから落ちようとしている。地面に叩きつけられれば助かる見込みなどありはしない。

 そこにアルベルトが素早く屋根に跳躍し、そこから高く飛び込むように飛翔した。

  

「アルベルト!」

 

 マリアが気付いた時には、アルベルトは既に空中を飛び込んで、腕を伸ばしていた。天高くから落ちていった輪を抱え上げてキャッチした。たが着地は両足ではなく、アルベルトの背中だった。

 輪を守って地面を強く背中を打ち付けたアルベルトだったが、ファウストローブを纏っていたお陰でダメージは軽減された。

 

「流石に今のは堪えた……。っ……!」

 

 だが着地した場所というのが、奇しくも血塗れの遺体となった瑠璃のすぐ近くだった。

 

「まさか……ルリ!!」

 

 輪を安置させると、取り乱すように瑠璃に駆け寄るが、おびただしい出血量で助からないと悟り、膝から崩れ落ちた。

 

「ルリ……そんな……!」

 

 誰にも見せなかった悲嘆の顔。両眼からは涙を流し、その一滴が瑠璃の頬に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 ルリィーー!!何処だぁーー!?ルリィィーーー!!

 

 

 

 

 

 ルリ……すまないルリ……!

 

 

 

 

 

(また……失うのか私は……。あのお方も……ルリも……)

 

 愛する者を失った絶望。それが数千年の時を経て、再びその身に降りかかった。歯を強く食いしばり、握った掌は爪が食い込んで血が滲み出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぅ……ぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……?」

 

 微かに聞こえたうめき声が、アルベルトを驚愕させた。声は下の方から、そこにあるのは瑠璃の遺体。

 そこを見ると、閉じていた重い瞼が少しずつ開いている。

 

「ルリ……?!」

 

 瑠璃が刺されたであろう心臓部には傷がない。そこにアルベルトが耳を当てると、本来であれば止まっているはずの心臓の鼓動。

 

「生きてる……!」

「ここは……確か私は……」

 

 朧気の意識の中で動こうとするが、無茶させまいとアルベルトが制止する。

 

 あれだけの出血量であるにも関わらず、息を吹き返した。どうしてかは分からないが、ルリが生きている事に変わりない。アルベルトにはそれだけで十分だった。

 

「大丈夫かい……?痛いところは……」

「うん……何とも……。どうして泣いてるの……?」

 

 悲しみから安堵へと変わっても、アルベルトは涙を流している。何でもないと言いたいのか、無言で微笑んで首を横に振る。

 

「良かった……姉ちゃん……!」

 

 モニタリングしていた本部でも、瑠璃が息を吹き返したのを見たクリスは足の力が抜けてしまったのか、転んでしまう。

 その横から調と切歌が支える。

 

 

 ギアを解除したマリアと翼も正門前に駆けつけた。

 

「アルベルト!瑠璃と輪は……」

「皆無事だ。だが、ここに留めるのは危険だ」

「そうね、二人を頼んだわよ!」

 

 アルベルトは瑠璃と輪を抱えて、訃堂邸から離脱した。

 

「翼、急いで司令と合流を……」

 

 だがマリアの背後を風鳴訃堂が殴り飛ばした。

 

「マリア!」

 

 強烈な一撃を受け、塀まで飛ばされたマリアはそのまま背中を強く打って気を失ってしまう。翼がマリアに駆け寄るが……

 

「翼!」

 

 訃堂の強い声に怯えた翼が振り返る。

   

「儂の下に来い!防人ならば、風鳴の血が流れているならば、夷狄を全て討滅せよ!」

 

 夷狄と言われて、瑠璃の事だと察するが、戦えない弱気な少女になってしまっている翼に、そんな事が出来るはずがなく、それを拒否した。

 

「……出来ません。私には……家族を殺めるような事は……私には……!」 

「刻印、起動!」

 

 不浄なる視線(ステインドグラス)の支配から既に解放されている翼には、意のままに支配する事は出来ない。

 防人の姿を失った翼に訃堂は失望した。

 

「お前もまた、風鳴の面汚しか……」

 

 もう不要であると、そう告げるかのように懐から出したモーゼルC96の銃口を容赦なく翼に向けた。

 

「この親不孝者めがあああぁぁぁーーー!!」

 

 モーゼルの引金を弾いた。銃口から発射された弾丸が翼に襲いかかった。が……

 

「ぁ……ぁ……!」

 

 突如翼を守るように庇った男が、訃堂の凶弾に撃たれ、倒れた。翼も、モニタリングしていた本部にいる全員が驚愕した。

 

「お父様!!」

「ここにも愚息がおったか!」

 

 八紘が翼を身を呈して守ったのだ。泣きながら翼は凶弾に倒れた八紘に駆け寄る。

 

「どうして……お父様が……!」

「私以外の男に……お前の父親面をされたくなくてな……がはぁっ!」

 

 八紘は吐血した。しかも心臓に近い位置を撃たれている。群蜘蛛に穿かれ、意識不明の重体だった瑠璃よりも傷が重い。

 

「あ……あああぁぁ!!」

「翼……」

 

 泣き叫ぶ翼に、最後の力を振り絞って伝えようとする。

 

「人は……弱いから護るのでは……ない……。人には……守る価値があるからだ……。それを…………忘れる…………な…………」

「あぁ……あああぁぁ!!お父様ああぁぁーー!!」

 

 それを最期に、八紘は事切れた。目の前で父親が亡くなり、翼は泣き叫んだ。

 

「逝ったか!親に逆らうからだ!」

 

 孫と実の息子をその手に掛けても嘲笑う訃堂。だが、泣き止んだ翼が立ち上がる。

 

「護るべき人の価値……それが何なのかは、未熟な私にはそれを知るべくもありません……それでも……!」

 

 そこにいるのは泣き虫の翼ではない。正面から訃堂と相対する。

 

「私の歌を……聴いてください!」

 

 戦う意味を見出した今の翼に、迷いはない。

 

 Imyuteus amenohabakiri tron……

 

 天羽々斬ギアを纏い、訃堂が刀を握り、互いの刃を交える。




おまけ 雪音姉妹誕生日編

瑠璃「28日……私達姉妹の誕生日。だけど私は……」

その頃クリスはというと……

クリス「28日……あたしら姉妹の誕生日。だけどあたしは……」

ルリクリ「「クリス(姉ちゃん)を盛大に祝ってやるんだ!」」

瑠璃「必要なのは料理と……」
クリス「プレゼント……そんで……」
ルリクリ「「パーティーの飾り付け!」」

瑠璃「姉妹の誕生日パーティーはぜひ私の家で……」
クリス「誕生日パーティーはあたしの家で……!」

場所は離れても、考えている事は一緒だった

手料理編

瑠璃「料理ならお手の物!ローストビーフにケーキ、ピラフにサラダ!クリスは喜んでくれるかな?」

クリス「チクショウ!手のこんだ料理とかあたしは出来ねえぞ?!これじゃあ姉ちゃんを喜ばせられねえよ!」

瑠璃の勝ち

続いてプレゼント編

クリス「実は前から狙ってたやつがあんだよ。結構高いが、財布の紐を緩くするならこの瞬間だ!」

瑠璃「嘘?!無い?!前から欲しかったやつなのに!」

クリスの勝ち

そして誕生日パーティーの飾り付け編

瑠璃「何とかして人材を確保しなきゃ」
クリス「何人かに手伝って貰わなきゃ、あたし一人じゃ大変だ」
瑠璃「だけど……」
クリス「だけど……」

ルリクリ「「こういう時のお姉ちゃん(先輩)は頼りにならない!」」

人材の評価も一言一句同じだった

瑠璃「ねえ調ちゃん!」
クリス「なあ切歌!」
きりしら「え?」
ルリクリ「あっ……」
瑠璃「あ、あらクリス……」
クリス「お、おう姉ちゃん……どうかしたのか?」
瑠璃「べ、別に?そういうクリスは?切歌ちゃんに何か用でもあるの?」
クリス「よ、用が無ければ話しかけちゃいけないのか?そういう姉ちゃんだって……」
瑠璃「私は何も……」
クリス「いいや、何かあるな?」

調「どうしちゃったんだろう二人とも……?」
切歌「二人の誕生日は目の前なのに殺伐としてるデスよ!」

翼「どうかしたのか二人とも?何か手伝う事があるのなら、私を頼ってほしい」
ルリクリ「お姉ちゃん(先輩)じゃ駄目(だ)!」
翼「なっ?!姉妹揃って私を……ガクッ……」
調「大変!翼さんが!」
切歌「双子の二重攻撃でポッキリやられてしまったデス!」

その後、姉妹は知り合いという知り合いにパーティーの飾り付けを手伝ってもらい……

迎えた28日

瑠璃「遂にこの日が来た。」
クリス「この日の為に、あたしは用意した!」
瑠璃「後は電話でクリスを家まで呼び出せば……」
クリス「電話で姉ちゃんを家まで呼び出す。そして……」

ピンポーン

瑠璃「誰かな?」
クリス「誰だ?」

マリア「瑠璃、車に乗って」
瑠璃「マリアさん?!何で?!」
マリア「いいから来なさい!」

翼「私のバイクに乗れ、雪音」
クリス「先輩?!どうして……」
翼「無駄話をしている暇はない!乗れ!」

瑠璃はマリアの車に、クリスは翼のバイクに乗せられ、向かった先は……

瑠璃「ここって……」
クリス「本部?!」
ルリクリ「「あっ……」」

マリア「まったく……あなた達ときたら……」
翼「考える事は同じだというのに、僅かな差異でここまでの事になるとはな」

ルリクリ「え?」

マリア「とりあえず中に入りなさい」
翼「皆が待っているぞ」

ルリクリ「皆?」

中に入ると……

パァン!パァン!

誕生日おめでとーう!!

ルリクリ「「へっ?!」」

響「いやあ二人とも早く言ってくれたら良かったのに〜!」
瑠璃「え?!どうして?!」
輪「アンタ達、自分達の家でサプライズでバースデーパーティしようとしてたでしょ?切歌と調が泣きそうな顔で相談して来たからもしかしたらと思ってたら、案の定だもん」
クリス「え、まさか姉ちゃん……」
瑠璃「クリスも……同じ事考えてたの?」
クリス「だって、姉ちゃんの誕生日……バルベルデで出来なかった分、喜ばせてやりたいって……」
瑠璃「私も同じ……」

輪「この姉妹、こういう所で息が合うんだよなぁ。ま、それで改めて……瑠璃!クリス!」

誕生日おめでとう!!

瑠璃「皆……」
クリス「お前ら……」

「「ありがとう!」」


瑠璃、クリス、誕生日おめでとうございます!
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