戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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みなさん、お待たせして本ッ当に申し訳ありませんでした!

え?何をしていたかって?バカテスにハマってましたw

新年明けて、気づけばバレンタイン。流石にマズいと思い、投稿しました。

今回、瑠璃に宿るアヌンナキの名前が明らかになります。


真名

「お、お前は……?!」

「説明している余裕はない。この子達を頼むぞ」

 

 突然、敵であるはずのアルベルトが瑠璃と輪を窩抱え、訃堂邸の外で待機していたS.O.N.Gのエージェントの前に現れ、二人の身柄を彼らに預けた。

 エージェントにとって、アルベルトの不可解な行動に狼狽え、拳銃を構えるが、アルベルトは構わずその足で訃堂邸に戻る。

 

 戻ってみれば、戦う意味を取り戻した翼がギアを纏い、訃堂と交戦している。

 だが、相手はファウストローブを纏った輪をいとも容易くねじ伏せた、正真正銘の化け物。

 

 翼が脚部のユニットから剣を二本射出して、それを手に取ると柄同士を連結、双剣となったその刃に紅蓮の炎が纏う。

 脚部のブレードユニットのバーニアを点火、双剣を高速回転させてながら高速で直進する。

 だが片手で構え、振り下ろした群蜘蛛の刃が、翼の技を消し飛ばした。

 

 

 【風輪火斬 何するものぞ!!】

 

 

「奴め……本当に人間か……?!」

 

 老体の生身でギアをねじ伏せるその力を目の当たりにしては、ファウストローブを作る者としては笑えない。

 だが現に、生身でシンフォギアを圧倒している。相手はあの弦十郎を倒した、まさに怪物。シンフォギアのアーマーを軽く砕き、翼の髪留めも破壊される。翼は手も足も出ず、守る事しかできない。

 

「歌では世界を護れない!人と繋がり、分かり合うなど片腹痛し!そのような世迷言、血を流し、命を礎として来た先達に顔向けできない事が何故分からぬ?!」

 

 片手で九字護身法を刻み、群蜘蛛を構える。その姿はまさに不動明王。国を護る為ならば如何なる対価を支払う。それが彼の矜持であり、心技体を重ねた故の強さ。

 

 翼が刀と脚部のブレードに蒼い炎を纏って斬りかかる一撃を、訃堂は刺突をもって迎撃。翼は技を相殺されるどころか押し負けて吹き飛ばされてしまう。

 だがそれを見逃すほど、訃堂は甘い男ではない。

 

「散華せよぉっ!!」

 

 渾身の力を込めた斬撃が翼に襲い掛かった。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「クソッ……デタラメにも程がある……!どうなっている……?!」

 

 訃堂が放った一撃は砂煙が広範囲におよび、目視では何も見えない。翼は無事なのかすら分からない。

 だがあの一撃はまともに防ぐ事など不可能に近い。それ程までに訃堂の力は強大なのだ。

 

「だが……ここで倒れられては困る……」 

 

 凶弾に倒れた翼の父、八紘と翼の気持ちを汲んで手出しせずに静観していたが、ここで訃堂を野放しにしては今後何が起こるか分かったものではない。

 

「かくなる上は……っ!」

 

 ラピスのファウストローブを纏おうと杖のスペルキャスターを掲げようとした時、砂煙から一つの黄金の光が発せられていた。 

 

「あれは……!」

 

 一度、装者達が車両廃棄所でノーブルレッドと戦った時に見た事があった。翼のギアの形状が、まさにその時と同じだった。

 

「馬鹿な……アマルガムだと?!」

 

 辛うじてアマルガムのバリアが防いだ。だがそれは護国災害派遣法を盾に封印せざるをえなくなった、まさに禁じられた切り札。それを使えばS.O.N.G.はさらに立場を悪くしてしまう。

 

「ま、間に合ったのか……?!」

 

 S.O.N.G.の本部で翼達の戦いを固唾をのんで見守っていた藤尭が呟いた。そのモニターには『制限解除 議決』と表示されていた。

 

「お父様ああああぁぁーーー!!」

 

 手を合わせ、右手の装甲に象られた黄金の華を展開させると、黄金と青い巨大な剣と化し、刃が開かれ、六つの非対称の枝刃となる。

 そして枝刃が一側に展開され、刃に蒼い炎が纏われる。その姿はまさに一つの羽根のよう。

 

 翼がそれを振りおろし、訃堂の群蜘蛛で迎え撃つ。だが分が悪いと悟った訃堂は、たった一合で後退する。同時に、黄金の刃と交えた群蜘蛛の刀身が崩れ落ちた。

 

「我が命にも等しき群蜘蛛が!」

 

 この時点で勝敗は喫した。だが翼はトドメを刺そうと掛けだした。その顔は怒りが滲み出ている。

 

「この国に必要なのは防人ではなく、護国の鬼!」

 

 そう言うと訃堂は自ら上着をはだけさせ、古傷が刻まれている胴体を露わにした。

 

「儂は死んで、護国の鬼とならん!そしてお前もぉ……!!」

「あの馬鹿めが……!」

 

 訃堂は翼の一振りを以て、十文字による割腹を果たそうとしている。翼を護国の鬼と落とす為に、護国の為に喜んでその身を捧げようと。

 訃堂を助けるのは不本意ではあるものの、ここで翼が訃堂を斬れば、翼が護国の鬼へと堕ちてしまう。それは八紘が望むものではない。

 だが怒りに取り込まれた翼は構わず、剣を振り下ろした。

 

「護国の鬼よおおぉぉぉぉ!!」

 

 だがそこに、一人の男が訃堂の前に立った。それに気が付いた翼は振り下ろした刃を止めた。その男は風鳴弦十郎だった。

 

「そこまでだ翼……。お前まで鬼と堕してしまえば、俺は兄貴に顔向け出来ん……!」

 

 額から血が流れ落ちる。もう少しで弦十郎と訃堂を斬り、訃堂の目論見が成就してしまうところだった。

 最愛の父への裏切りにも等しいこの愚行を翼は悔いながら、亡くした父を想い泣き叫んだ。

 

 だが、思い馳せる時間など与えてくれなかった。突如発生した地響きと揺れが発生した。

 その揺れに気が付いたマリアが目を覚ました。

 

「地震……この鳴動は……?」

「いえ、あれを!」 

  

 緒川が指した方、訃堂の屋敷から赤い光柱が天を貫くが如く顕現した。

 

「な、何なんだ……こいつは?!」

 

 その場にいた皆が天を仰ぐように空を見上げる。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

 

 同じ頃、チフォージュ・シャトーでシェム・ハの繭との戦いでアマルガムの不許可使用で謹慎処分が下された響は今、父親である洸が住むアパートにいる。両親が蟠りが解けたとはいえ、まだ別居なのだ。 

 

 響は何となく、父に話を聞いてほしくてここに来た。インスタントラーメンを食べた後に、響はその事を話した。

 とはいえ、聖遺物のせの字も無縁な一般人である洸には到底アドバイスなんて出来るわけがなかった。

 

 そして日が暮れ夜になると、本部からの通信が入った。

 

「はい。でも、私の謹慎は?……分かりました!本部に向かいます!」

「行くのか?」

 

 通信を切った響に、洸が心配そうに声をかける。

 

「うん……行かなきゃ」

 

 急いで支度をしようと立ち上がる響。

 

「なあ響……」

「うん?」

 

「……へいき、へっちゃらだ」

 

 どんな困難を前にしても、自然と笑顔になれる魔法の言葉。突然それを言われた響は素っ頓狂な声を発する。 

 

 

「へ?」 

「何もしてやれないダメな父親が、娘にかけてやれる唯一の言葉だ」

 

 洸が手に取ったのは、かつて幼い響の小学校の入学式の日、桜が満開に咲く小学校の校門で、親子揃って笑顔で映っている家族写真。それを眺めながら語りかける。

 

「同じ言葉でも根性なしの俺には、いつしか呪いと変わっていった……だけどお前は、違うだろ?」

「お父さん……」

 

 へいき、へっちゃらと、幼い響にいつも言っていたが、ある日洸は家族を捨てて蒸発した。結果的にそれが、逃げ続けて来た洸を縛る呪いとなった。

 だが響は、それでも諦めなかった。それが今でもお守りのようになっていた。

 

「物事を呪いととるか祝福ととるかなんて、気の持ちよう1つだ」

「呪い……うん、そうだね」 

「それにほら、なんだ……呪いも祝福も、漢字で書くとよく似てるだろ?裏と表で……お?俺の言ってる事もあながち間違いじゃないかもな!」

「ハハハ!何それ?」

 

 自分で名言を作った気になっていた洸が自慢げに笑うと、響もそれにつられて笑う。

 

「来年の今頃には、きっと名言だ!」

「けだし名言だよ!」

 

 話を終え、支度も整った響。外は既に夜であり、吐いた息が白く表れる。勢いよくアパートの階段を降りた響に、洸が投げかける。

 

「行けぇ響!お母さんの事は任せろ!」

「ありがとうお父さん!ラーメン美味しかったー!」

 

 振り返って手を振った響は、進むべき道へと向いて走り出した。

  

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの日、私は大切な人を遺して死んだ。

 

 

 

 

 

 

 シェム・ハとの戦いに敗れた私の肉体は崩壊して消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 残された魂は、星屑となって天へと昇華した。

 

 

 

 

 

 

 

 万が一、私が敗れた時の為に施した最後の手段

 

 

 

 

 

 

 この星に残った最後のアヌンナキとして、果たさなければならぬ使命

 

 

 

 

  

 エンキが死にもの狂いで守ろうとしたこの星と、守るべき者達の為に

 

 

 

 

 

 

 

 

「……様……起きてください」

 

 

 あれ……?ここは……?あなたは……その姿は……

 

 

「どうかされましたか?」

 

 

 あなたは……誰なの?

 

 背中にまで届く白い髪。神官の衣に身を包んだ青年。けど、何故かその出で立ちには不思議と初めて見たような気がしなかった。

 

 むしろ、何処か懐かしさを感じる。

 

 っていうかここって、宮殿?何で私はこんな所に?

 

「それよりも、朝食が出来ております。早く起きてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 エレキガル様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 え?エレキガル?

 

 エレキガルって誰?!私は風鳴……って私、裸?!

 

「どうかされましたか?」

 

 待って待って!男の人の前で、私は……何がどうなってるの?

 

「お熱でもございますか?」

 

 待って待って!顔が近い!

 

 

 ぁ……あぁっ……駄目……!私……まだ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ……!」

 

 瑠璃が目を覚ますと、そこは本部のメディカルルームだった。

 

「今のって……夢?一体何だったの?」

 

 夢にしてはかなり現実味が帯びていた気がしてならない。だがバルベルデの悪夢の時ように、何かを訴えかけている気がしてならない。

 

「エレキガル……あの人は、私の事を……」

「それが……アンタの本当の名前なんだね」

「え?」 

 

 右隣のベットから輪の声が聞こえて振り向いた。

 

 

 




エレキガル

瑠璃に宿る冥府のアヌンナキ。
詳細は現時点では不明。
パヴァリア光明結社との戦いで瑠璃が深い絶望に落ちた事で未熟な覚醒めを引き起こしてしまい、絶対なる破壊神と化した。

おまけ

XDバレンタインボイス

瑠璃
頑張ってチョコを作ったの。これ、よかったら食べて。

そういえばお父さんってば、誰に渡すのか必死に聞いてきて、ちょっと恐かった……。そんなに欲しかったのかな?


はいこれ!バレンタインチョコ!え?本命じゃないのかって?まあ本命は……今もずっとアイツだけにしかあげないからね
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