戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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お待たせしました!いつの間にか3月になり、XDもサ終……

ですが、こっちはまだまだ終わってなぁい!

と、いうわけで今年もよろしくお願いします


私の答え

私の中に、私以外の何かがいる。

 

 

 破壊の限りを尽くす、あの絶対的な悪魔の力を振りかざす、恐ろしい存在。

 

 

 あの時、地獄の記憶が蘇り、生きる事を諦めた絶望と呼応するように顕れた。

 

 

 輪とクリス、そして皆の力があって、私は地獄の枷から解き放たれた。

 

 

 生きることを選んだ。

 

 

 だけど、まだ私の身体の中で覚醒の時を待っていた。

 

 

 お祖父様の手で、私の命の鼓動が終わりを告げようとした時、再び私の前に現れた。

 

 

 私を助ける為に……

 

 

 

 

 

 

 

 私と……1つになって……

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 同じ頃、S.O.N.G.本部は既に種子島を発ち、紀伊半島の東を航行している。オペレーター達は反応消失した装者達に通信を試みるが、未だに反応はなかった。

 

 だがそこに、一つの電子音が鳴り響く。友里が報告する。

 

「識別不能のコールです。発信源特定!まさか……月?!」

「回線を繋げ!」

 

 地球のどこでもない、先史文明の遺産が眠る月から発信。弦十郎はすぐに指示を下す。

 

 『こちら翼。マリアも一緒です!』

 

 画面は映し出されていないが、この聞き覚えのある凛々しい女性の声は翼で間違いない。

 

「二人は無事なんですね!」

「だが、どうやって通信を?」

 

 無事を確認した緒川は真っ先に喜ぶが、明らかに通常の通信ではないのは明白だ。何が起きたのか、二人に説明を求める。

 

「管制室にて、月遺跡と本部の電信を確立。遺跡内の防衛システムの一部と、通信制御を解除しました!」

「はぐれた仲間とも連絡を取り合い、合流するべく誘導している所よ」

 

 調と切歌はすぐに応答し、ここへと向かっているようだが、瑠璃達の通信は一向に繋がらず、どうしているか分からない。

 

『こちらは、ユグドラシルの稼働を確認し、対策に向かっている最中だ』

「早くも動き始めている?!」

「ユグドラシル……どうやらその世界樹は、見た目以上にろくでもない代物みたいよ」

 

 マリアが得た情報を本部の弦十郎達に伝える。

 

 

 


 

 

「さあどうする……友を救う為に我と同化するか?我を拒んで友を殺すか?」

 

 プログラムとはいえ、アヌンナキであるエレキガルから迫られた残酷な選択。

 

 シェム・ハとなった未来を助ける為に自分がエレキガルに食い潰されれば、二度と瑠璃として生きる事はない。

 

 だが拒めば神殺しの力で未来の肉体をシェム・ハ共々殺す事になる。

 

 どちらも瑠璃にとって、到底選ぶ事は出来ない残酷な結末になる。だがエレキガルは瑠璃の心を通して、彼女がどちらを選ぶか分かっている。

 

「器よ。お前は優しすぎる。他者を救う為にその身体に傷をつけてきた。妹を救う事もな……」

 

 瑠璃は家族を、友を守る為に、喜んで自分の身を捧げた。その性質は幼い頃から、記憶を失い、悪夢を克服してからも変わらない。

 

 だからこそ、瑠璃は未来を犠牲にする事は出来ない。

 

「私は……」

「お前の事だ、出来ぬだろう?友を、仲間を葬るなど。故に貴様は、友を救う為に我と同化するしかない。でなければ……っ!」

 

 だが一瞬、違和感を感じ取ったエレキガルの眉が一瞬だけ揺れ動いた。

 

「何……?!」

「少し前の私だったら、前者を選んでたと思う……。そしたらまた、クリスを……輪を悲しませてた……」

「まさか、貴様……!」

 

 俯いていた瑠璃が顔を上げると、その瞳は冷たい闇へと変わっていた。プログラムだけでなく、クリスに響、輪もいつもの瑠璃からは考えられないくらい、圧倒的なプレッシャーを受けて怯んでいる。

 

「姉ちゃん……その目……」

 

 目の前にいるのは、あの時と同じ絶対の破壊神と化した姉……そのはずなのだが、どこか違和感があった。

 

(何だ……この感じ……以前の時と違う……)

 

 瑠璃の、自分達に向ける目。それは敵意を感じない。それどころか、普段の優しい目だと思わせている。瑠璃はその目を、エレキガルに向けた。

 

「私がここにいるのは、未来ちゃんを助ける為だけじゃない。皆を守る為に、大切な人達と過ごす日常(あした)を迎える為……!」

「それがどうした……?自分が傷つくと分かっていながら、何度も思い知ってもなお同じ選択をした。仲間を、友を、家族が傷つくのを目にしたくないが故に……」

「だから……私の心は一度死んでしまった」

 

 大切な人を守る為に瑠璃は傷ついた。

 

 クリスを守る為に、瑠璃は自分自身を差し出した。妹を守るのは、姉の役目だと、姉にしか出来ない役目だと思って。

 

 だがそれこそ思い上がりだった。結果的にクリスは別の組織に捕まり、そこで六年間一人で傷ついた。

 

 そして瑠璃もまた、嬲られ、犯され、全てを奪われた。

 

 その身体に刻まれた傷跡は一生消える事はなく、死ぬまでそれを抱えて生きていくだろう。

 だが今の瑠璃はそれを悔いる事はないが、それはたった一人で守ろうと、思い上がった故に受けた傷。故に誇る事もしない。

 

「ならば、贄とするか?仲間を……」

「出来ないよ……そんな事。だって、元の日常に帰る為には、未来ちゃんが必要だから!だから……」

「愚かな……貴様一人で何が出来る?我の魂が無ければ、ここまで来れなかった。必要なのは、お前が我と同化し、新たな我として蘇る事……貴様はただの器に過ぎん」

 

 執拗に同化を迫るエレキガルのプログラムから醸し出される圧倒的なオーラ。例えプログラムであっても、アヌンナキとしての格、力を映し出している。

 

 

「姉ちゃんは一人じゃねえ!」

 

 それでも、それが相手でも堂々と気に食わない相手に立ち向かう一声。

 

 クリスの声に驚いた二人はその方を向く。二人の問答に割って入って来た部外者が入って来た事にエレキガルは嫌悪感を露わにする。

 

「何だ貴様……引っ込んでいろ」

「姉ちゃんが傷ついているってのに、妹のあたしが引っ込んでられるわけねえだろ!」

「クリス……」

 

 クリスは瑠璃の隣に並び立ち、堂々とエレキガルと対峙する。

 

「お前が姉ちゃんに成り代わるなんざ、あたしは認めねえ!お前にとっちゃ、姉ちゃんは替えのきく器かもしれねえが、あたしにとって姉ちゃんは、かけがえのない大切な家族だ!それを、お前なんかに壊されてたまるかよ!」

「その通り!」

 

 今度は輪が乱入して来た。輪もまた、瑠璃の隣に並び立って相対する。

 

「私は、今の瑠璃が一番好き。初めて会った時もそうだけど、瑠璃は人を尊ぶ優しい子。アンタみたいに、犠牲を要求する人間なんて、そんなの瑠璃じゃない!」

 

 そして、響も前に出る。

 

「私達の明日は、私達の手で切り開かなくちゃいけないんです。未来を助けるのだって、私達じゃなきゃダメなんです。神様としてじゃなく、一人の人間として……。だからエレキガルさん、瑠璃さんを、私達を信じてください」

「馬鹿な……何故……」

 

 瑠璃を守る為に、未来を助ける為に、恐れず相対した三人を目の当たりにしたエレキガルは、何故人間がアヌンナキにこれほど立ち向かえるのか理解出来なかった。

 

「これが、私の人生で得られた……最高なもの」

「最高なもの……?」

「本当に大切なものを守る為に、私が得た答え……」

 

 その答えを瑠璃は告げた。 

 

「皆と紡ぐ絆。繋いだ絆の数だけ、私を強くしてくれた。今までも、これからも……!」

「何……?」

「あなただって、分かっているはず。大切な人が出来たから、愛を知ったから槍が生まれた。そして、その魂は今も尚、私の中にある事を!」

「何故それを……まさか貴様、我の記憶を?!」

 

 本来であれば、それはエレキガルにしか知りえないもの。瑠璃が知るはずがない記憶。それを彼女が知っているという事が何を意味するか、エレキガルは悟った。

 

「バルベルデの記憶が蘇ったあの時の私は、目の前に映るものが全て怖くなって、これ以上傷つきたくなくて、何もかも……消してしまいたいと思って、一度は破壊神にこの身を委ねた。

 それでも、輪とクリスは諦めなかった。絶望に沈んだ私の元へ、輪が歌を届けてくれた。クリスが手を差し伸べてくれた。あの時聴こえた歌はとても優しくて……繋いでくれた手はとても暖かかった」

 

 そう言いながら響の方を見て微笑んだ。そして、輪とクリスの方も見てやる。

 輪の歌が、クリスの手が、瑠璃を絶望から解放してくれた。もう独りではないということを教えてくれた。今の瑠璃に、迷いなんてない。

 

 再び幻の自分(エレキガル)と向き合う。

 

「繋いだ絆を離さない!だから私は私のまま……あなたの槍を支配してみせる!私の中には、私を守る為に一つになった、もう一つの魂があるのだから!」

 

 冷たい闇の瞳が、ラピスラズリを思わせる藍色の瞳へと変わった。瑠璃とエレキガル、一つとなった二人の魂の影響だろうが、紛れもなく主は瑠璃であると、プログラムに突きつけた。

 

 それを目の当たりにしたプログラムのエレキガルは、悟ったように目を閉じた。

 

「そうか……お前が進むと決めたその道が、どのような結末を迎えたとしても、受け入れてしまうのだろう。ならば迷う事なく進むがいい。長きに渡る魂の旅の終着地は、もう間もなくだ」

 

 瑠璃に託すように告げると、少しずつその姿形が歪んでいき、次第に指先から砂のように崩れ始めた。

 

「エレキガルさん!身体が……」

「プログラムたる我の役目は果たした。そうなれば不要となる。故に自動的に消去される」

 

 役目を終えたプログラムは消えるのが定め。プログラムとはいえ、消えてしまうのは悲しい。そう言いたげな瑠璃と響を見たプログラムが呆気に取られ、苦笑する。

 

もう一人の私(エレキガル)……」

「やれやれ……我が消えゆくのを悲しむ人間が……ここにも(・・・・)いるとはな……」 

 

 その台詞を最後に、プログラムの肉体は完全に消去された。プログラムが消えた事で、背景が元の月遺跡に戻った。

 

(今のって……)

 

 プログラム消滅間際に浮かべた苦笑だったが、その目は呆れや可笑しいとかそう言ったものではない。まるで……

 

(瑠璃を、憐れんでいるような……けど何で……)

「行こう……他のみんなと合流しなきゃ」

「あ、うん……」

 

 進むべき道を見出した瑠璃は逸れた仲間達と合流すべく部屋から出ようとするが、あまりにも早い切り替えに輪は一瞬呆気に取られた。

 

「なあ、姉ちゃん……」

「ん?」

 

 部屋を出ていこうとした時、クリスに呼び止められた。

 

「さっきは……ごめん……。あたし、姉ちゃんの事……」

 

 焦燥感に駆られて、心無いことを言ってしまった事を謝罪した。そして瑠璃も……

 

「私こそ、ごめんなさい。お姉ちゃんだからって、クリスに心配かけたくなかった……。けど、結局もっと心配させちゃったね……」

「良い……。ったく。お互い不器用だよな」

 

 クリスの瑠璃に対する不信感は完全に無くなっていた。また姉を一人ぼっちにさせる所だった。責任感が強い故に、また瑠璃も肩が軽くなったように感じた。

 

 やはり姉妹は仲良くしていた方が絵になるのか、輪はこの微笑ましい姉妹の姿が撮れないのを悔しがっていた。

 

「カメラがあればなぁ……おっ?!」

 

 ポケットに入っていた通信機からコールの反応。何度も通信を試みても繋がらなかったのが、突然繋がって、待ち侘びたかのような反応で繋げる。

 

「もしもし?!」

『やっと繋がったわ!一体何処にいるの?!』

「マリアさんこそ、今どこに?」

 

 通信を繋げた輪が声を荒らげながらも、ようやくはぐれた仲間の声が聞こえて安堵する




次回戦闘描写となりますがVSミラアルク戦はカットさせていただきます。

申し訳ありませぬ……
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